◎合気道の力のポイント
合気道には独特の力のポイントというのがあって、指先数センチのところがその人の中心であって、そこを抑えると相手を抑えこめるというようなことを聞いたことがある。
そこを指一本で抑えることで相手を制することができるというものである。
気とはエーテル体のことであるが、これは、エーテル体独特の性質を利用したコツのようなものだと思う。
『次に各地を巡回中、ある一地方にいった時のことである。漁師町であった。そこに素人相撲で腰のねばり強い二十七、八貫、五尺八、九寸はあったと思うが、この男ににわかに勝負をいどまれた。失敗はしないが手こずった。
裸の全身にヌルヌルに汗をかいて容易に掴めない。とにかくするうちに相手も疲れていたのであろうが、手がふれたら指一本で抑えることができた。
この時、ウナギ掴み、すなわち気でもって相手を抑える、すなわち位づけの妙法を悟ったのである。こうして合気の真の鍛練法ができてきたのである。』
(合気神髄・植芝盛平語錄/八幡書店/「死生を往来して修行の道に入れた」から引用)
さらに植芝盛平は、指さえもいらないとも言っている。
『合気というものは、初め円を描く。円を描くこと、つまり対象力、相手に指一本ふれないでも相手は跳んでしまう。このひとつのものをつくりあげるにも十年くらいはかかる。』
(合気神髄/八幡書店/「宇宙のひびきを自分の鏡に写しとる」から引用)