◎爪先の踏み込み
◎丹田を錬る-14
(2021-03-12)
踵の踏みつけとつま先の踏み込みはペア。肥田春充は、脚の働きから腰を据え、千変万化の自由を得るのがつま先の踏み込みだと唱える。これは、合気道開祖植芝盛平が、『左は発し右は之を受ける、左足は豊雲野神でありますから、これが千変万化の無量無限、神変、神秘を表す』などというように、片足が軸で、自由な運用が他の片足と言うのに似ている。
『(イ)上体の力をスッカリ抜き。
(ロ)両足は爪先で立つ。
(ハ)右膝を曲げて、十分右側方に上げ、右足で右前に、円を描くように廻し、左足の左真横に踏み込む。
(ニ)右足が地に着くや否や、左足をつま先で立ったまま、五寸ばかり後へ引く
(ホ)それから右足の時と同様に、左脚を高く左側方に上げて、左前に円を描き右足の右真横に踏み込む。こうすると、足の位置はいつでももとのところにいる。』
(川合式強健術/肥田春充P157-158から引用)
これは、つま先を軸に上げた足を180度回して踏み込み、シザーズのようになるもの。肥田春充はコツとして、踏み込んだ時には息を吐き出す、とする。曰く、動作の敏捷はつま先。速度はつま先、重量は踵、と。
アキレウスはトロイア戦争で踵をパリスに射られて死んだが、その際につま先の動きでかわせなかったのだろうか。
クラシック・バレエは、つま先立ち偏重だが、バレエでは、下腹が大きく出ているのは良しとはされないので、丹田は気にしないのだろう。だが、バレーでもヌレエフ、ニジンスキーなどの達人が出ている。達人と大悟覚醒したかどうかはよく区別して見るべきである。