◎老化と癒し、パーツと身体全体の調整
(2022-08-31)
きくち体操を始めてから1週間程度だが、明らかに何十年鍛えていなかった、ふくらはぎ裏、もも裏、足首回りの筋肉が痛いのと、手指の一部の血行がよくなっている感触がある。
菊池和子氏は、ひざ裏などを延ばすことに熱心であり、中野ジェームズ修一氏が筋肉は15秒過ぎてから自分で延びて来るとするのだが、きくち体操では、平気で1分くらい延ばさせたりもしている。
きくち体操は、時により足の指広げと握り・放しとマッサージと足首回しだけで15分以上かけたりするのだが、これが必ず毎回メニューの最初に入って来る。
椅子生活中心に変化した現代人が最も触らない部位は足裏であり、足裏・足指から鍛え始めるというのは、きくち体操の発見であり、オリジナルであるというのは、もっともなことであると思う。
冥想に関心を持ち始めるのは、大体が10代、20代の頃。一般に20代前半では老化ということは念頭にはないが、20代後半には、老化が始まる。
実際に老化が問題になってくるのは40代後半であって、それまで激重のカバンを持ち歩いていたのを、軽量なのに変えていくことは、自分でもそうだったし、他人でもよく見かけたシーンである。
駅前ヨーガ教室の中心メンバーは、せいぜい50代以前であり、きくち体操の主要対象は60代以上などと言われるのだが、60代以上は、整形外科や街の整体が中心なのだろう。整形外科や街の整体をおおまかに「他力」と呼び、きくち体操は、自ら「自力」と呼ぶ。冥想の準備として、20代の健常者向けの柔軟中心の片手間メニューと、老化が相当に進んだ60代以降向けでは自ずと体操メニューの力点は異なるべきである。
菊池和子氏の話のはしばしに、老人ホームで、身体が硬くなり相当に動かなくなった人の身体をどうにかしようとした体験が出てくる。たとえばブリッジも10cm20cm高以上は危なくてやらせられないなど。
中国では、戦後歴史的に食料も医師も人口比不足していて、太極拳を中心とした気功を国家的に進めることで対応してきたところがある。これは、「自力」の対応の一種。
癒しを冥想技法で、観想法や、エーテル体以下の技法でやる技術は確かにある。メディスンマンのそれや、白隠軟酥の法である。きくち体操では、手足の指先を起点として体操で刺激し、かつ「意識」して肉体運動をやらせ身体全体の調整を狙うところが、「他力」系のものとは異なる。
きくち体操のメニューには、「らくスクワット」というヒンズー・スクワットとは異なり、動かさない相撲の四股みたいなものがあるが、これなども筋力が弱った人向けの優しいメニューである。
きくち体操のメニューはこうした結構身体が硬くなって筋力が弱った人向けのものがそろっており、かつ彼女の老人向けの50年の指導経験が反映したものとなっている。
朝日新聞に“連載 「いっしょに! きくち体操」” https://www.asahi.com/relife/series/11032509
があり、これに29メニュー上がっていて大要はこれでわかるし、youtubeでも20本くらいメニューの断片を拾うことができる。だが実際のところは、各ポーズで、力まないとか、ここを伸ばしたままにするとか、どこを意識するとか、口伝の部分がある。
きくち体操体験談集が単行本に載っているが、慢性病や医者に匙を投げられた多種多様な病気が軽快している例が多数ある。彼女は、まず数か月の継続を求めている。
人口の三分の一が老人という人類未体験の環境である。そこにはこうしたオリジナルな技術が登場すべきなのだろうと思う。
それにしても崑崙山中の500歳の神仙はどんな体操で健康維持していたのだろう。