アヴァターラ・神のまにまに

精神世界の研究試論です。テーマは、瞑想、冥想、人間の進化、七つの身体。このブログは、いかなる団体とも関係ありません。

すべてが異郷のものだから帰郷する

2023-01-31 17:31:03 | 現代冥想の到達点neo

◎ユダヤ神秘主義ハシド派の一言

(2020-05-31)

 

ハシド派は、ハシディズムのこと。到達した人々がいることが、以下の言葉でわかる。

 

『ある師について、彼は「私はこの国では寄留者である」(出エジプト二・二二参照)という、モーセの言葉にならって、まるで寄留者のようにふるまったと語られている。

 

遠方から、生まれた町を出てやってきた男のように。

 

彼は名誉にも、彼を益するなにものにも心を向けなかった。ただ、生まれ故郷の町に帰ることだけを考えていた。

 

彼はおよそなにものにもとらえられないが、なぜなら彼は、すべてが異郷のものであり、自分は帰らねばならない、

と知っていたからである。』

(忘我の告白 叢書・ウニベルシタス マルティン・ブ-バ-/編 田口 義弘/訳 法政大学出版局P252から引用)

 

世俗感覚で読めば、エジプトが異郷でカナーンが故郷だが、ここではそう読まない。

 

あるいは、故郷を出て都市で暮らしていた者が老境にさしかかって、故郷でセカンドライフを送ることでもない。

 

聖者にとっては、この世のすべてが異郷であり、エクスタシーたる根源だけが故郷である。

 

ダンテス・ダイジは、『私は私という心身の異郷の客』である悲しみを歌い上げたが、全くそれと同じ感慨を持つ者がハシディズムにもいたのである。

 

悟りとは帰郷のことである。

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