ネイビーブルーに恋をして

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昔取った杵柄

2012-05-31 | つれづれなるままに


「昔バスケットボールやっていました」

男性ならともかく、女性がこう言うと、なんていっていいのか分からない曖昧な表情をされるので
聴かれでもしない限り公言したことはありませんが、バスケットボール部出身です。



「アメリカンフットボール以外は何でもできた」と豪語する(今にして思えば鉄板ウソ)
自称スポーツ万能の父親の「我が家の人間はすべからく文武両道たるべし」という宣託のもと、
スイミングクラブに通わされて、水泳はかなり得意、かつ走るのも速かったのですが、
個人競技である陸上部や水泳部を選ばず、団体競技であるバスケットボールを選んだのは、

負けても自分のせいではないと言える団体競技だから。

負けず嫌いというよりは「負けるのが嫌い」であったため、本能的に「結果が分かりやすい」
スポーツはやめよう、と計算をしたものと思われます。
因みにこんなわたしはいまだに「勝負事」が嫌いで、トランプすらしません。


「不愉快になるような可能性のあることはできるだけ避ける」
というのが現在のわたしの座右の銘ですが(つまんない座右の銘ですみません)、
この頃から既にこの傾向は萌芽としてあらわれていたといえましょう。

さて、延々と前置きしましたが、バスケ部では、右45度の脚を生かしたカットインプレーヤー
として、不動のスタメンとなり、我が市では常勝チームの一員として勝利に寄与しました。

ただし。

それは市内だけのこと。
ご存じないと思いますが、関西の中学女子バスケ界には
「学区地域における住宅地の専有面積とバスケットボール部の強さは反比例する」
という黄金の法則があり(比較的高級な)住宅地ばかりの我が市内では無敵を誇った我が校も、
一歩弱肉強食の阪神大会に出たとたん、N区やA市あたりから来たやたら目つきの鋭いチームに
一回戦で手もなくひねられてしまう、という井の中の蛙に過ぎなかったのです。

ともあれ、夢中になって過ごした二年半。
たった二年半のバスケットボール生活だったのですが、集中して一つのスポーツに打ち込むと
一生残るほどの強烈な濃縮した思い出となって残るものです。

このころ身につけた技術も、そう簡単に忘れるものではなく、大学の体育の時間などに
「まだまだ現役?」
と自画自賛してしまうくらい動きもよく、また、試合をしている夢などもよく見たものです。


以来幾星霜、バスケットボールとは全く縁のない生活をしていました。
ところで、朝散歩する公園に、バスケットゴールがあります。
ときどき練習をしている人や、春休みに小学生が皆で遊んでいるのを見るたび、
「ボール買おうかなあ」
と思いながら通り過ぎる毎日。

しかし家に帰ればすっかり忘れてしまうのと、わざわざボールを買いに行くほどの熱意もなく、
ずるずると年月が経ってしまったのですが、ある日、
面倒な買い物は全てアマゾンで済ませることができる!いわんやバスケットボールをや。
ということに気づき、クリック。数分後には、女子用の公式ボールを購入完了していたのです。

届いたボールを、翌日うきうきとドリブルしながらいざコートへ。
ここのコートは、片面式で、大小二種類あります。

ところが。

いざシュートしてみて愕然。
頭の中ではあんなにくっきりしていた動きのイメージに身体が全く付いてこない。
シュートすれどもすれども、思っている場所に、思った角度で飛ばない。

「これはつまり、体のコアに身体を支える筋肉が全く無くなってしまったということだな」

昔は一ミクロンもしなかったこのような「分析」だけは、めまぐるしく脳裏をよぎるのですが、
いかんせん身体がついて来ない。
最初の10分は、ゴールポストに届かないシュートなどを連発。
ふと気づけは二時間、結構日差しの強いコートで、夢中で走り回っておりました。

しんどい運動は一切お断り、いわんや息を切らせて走り回る運動をや、が座右の銘であった
(略)このわたしがですよ。

次の日。
全身の倦怠感と筋肉痛で体がぎくしゃくしていましたが、それを押してまたしても出撃。
しかし、この頃から次第に身体がイメージに追いついてきて、かなり思った通りにボールを
コントロールすることができてきました。

そして今日、6日目。
ロングシュートがかなりの確率で決まり、さらにアンダースローのランニングシュートは
ほぼ百発百中位になってきたわけですが、一つ問題が。

下半身、ことに膝が往年とは違ってかなり弱体化しているため、ジャンプが低い。
つまり、体が重いのは一向に改善せず。
これは一週間やそこらでは無理かもしれませんね。
日頃こまめに身体を動かしているつもりでも、10代の頃の自分とは勝負になりません。

わたしはシュートのとき左足で踏み切るのですが、その左のひざの裏の痛み(炎症?)が、
いつまでも消えないので、日常生活にまで若干不便をきたしている有様。

でも、昔取った杵柄は、思い出すのも結構早いことがわかりました。
夏までに頑張って感覚を取り戻すぞ。






コートの端に置いていたキャップにお客さんあり。