この映画を観てまず思ったのは
「やればできるじゃないかNHK」。
このブログを読んでくださっている方なら先刻ご承知、わたしがたびたび糾弾しているように、
地球市民的反日テレビ製作者が、エイリアンの如く増殖しているとしか思えない昨今のNHK。
都合の悪い国会中継は放送せず、民主閣僚の献金問題も報道せず。
日本はもう駄目、他の国に追い抜かれ、未来は真っ暗、
だって日本人って中国や韓国に比べると大したことないしそもそも戦争犯罪国だし、
過去の歴史すらまったくろくなもんじゃないし。
それより韓国!韓国は素晴らしい。華麗な歴史、イケメンと美女しかいない国、
韓国旅行で女性が多数性被害に在ってる?ぼったくりも多い?
そんなことは報じません。NHK内にある韓国のテレビ局から文句が出るからね。
戦争を扱えば、今度は当事者の意向お構いなしのお涙ちょうだい感動ドラマにするために、
事実の改ざん、捏造は当たり前。(『真珠湾への突入』ですね)
日本だけが悪かったのです、とひたすら自虐的な偏向も忘れずに。
「日台戦争」「人間動物園」
番組から生まれた造語が独り歩きして、「従軍慰安婦」のように国際問題にでもなれば御満足?
(『JAPANデビュー』で集団訴訟され、いまだ訴訟継続中)
国民からお金を取ることでしか成り立たないくせに、国民の報道機関である自覚無し。
いったい、誰のために報道をしているのか?
ところでわたしは、NHK勤務の報道記者とキャスターを一人ずつ、個人的に知っています。
彼らは聡明で、知的な人特有の控えめさを持ち、話をしていても実に気持ちのいい人たちですが、
ひるがえって、彼らの属する組織の惨状を思うと、
「NHKといえども、一人一人はこんな人たちばかりなのに違いないのだが・・・」
と、半ば奇異な想いを抱かずにはいられません。
彼らに組織の最近の異常さについて問い質すこともとてもできませんし、
したところで彼らにはどうしようもない問題であることも確かなのですが・・・。
さて、そんなNHKが2010年の夏に製作、BSで先行放映後、劇場公開したのがこの映画、
「日本のいちばん長い夏」です。
まず、評価すべき部分は、この映画が「娯楽目的で作られたものではない」ということ。
簡単に言うと、決して面白い映画ではありません。
終戦から18年が経ったある日、文藝春秋の企画で料亭に集まった30名の人々。
彼らが終戦を振り返り座談会をする、それだけがこの映画の内容です。
お涙ちょうだいのドラマも、スローモーションも、感動の秘話も、何もありません。
テーマに興味のある人間には面白いですが、興味がなければまったく観る気にすらならない。
そしてその映画のテーマは、
「終戦の時、人々はどこで何を考えたか」。
終戦から18年経った昭和38(1963)年6月。
この座談会は「文藝春秋」の主催、料亭「なだ万」にて行われました。
話を順番に行う間、発言者以外は料理を食べていたそうですが、
当時は今ほど美味しいものもあまりない時代でしたから、皆ご馳走に大喜びだったそうです。
この映画を語るのに、どんな立場の人間が出席したかを説明しなくては何の意味もありません。
わたしなりの分類をして、分かりやすくまとめてみたのが以下です。
ちなみにこの「実在の出席者」を演じたのは、俳優ではない人が多く、
そのギャップをまた、感慨を持って受け止めたり、少し笑えたり、という趣向になっています。
遠藤周作氏亡き今、そのようなものがあるかどうかは分かりませんが、「文士劇」と言うやつです。
本人の名前の後が戦後の職業、カッコ内が演じた人の氏名です。
司会 半藤一利・作家 (池内万作)座談会当初は文藝春秋編集者。
【帷幕、政府関係者】
迫水久常 ・参議院議員(湯浅卓・国際弁護士)・・・・・・・・・内閣書記長
松本俊一・衆議院議員(中村伊知哉・慶応大学教授)・・・・・外務次官
岡本季正・国際文化振興会理事(青島健太・スポーツライター)・駐在スウェーデン公使
佐藤尚武・参議院議員(山本清・俳優)・・・・・・・・・・・中ソ連大使、終戦時は抑留中
入江相政―(未出演)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・侍従、戦後侍従長
吉田茂・元首相(未出演)
【軍関係者】
富岡定俊・資料調査会理事(早川純一・俳優)・・・・・・・・海軍少将、軍令部作戦第一部長
今村均・偕行社理事(冨野由悠季・アニメ映画監督)・・・・・陸軍大将、ラバウルで終戦
荒尾興功・トヨペット常務(重松収・俳優)・・・・・・・・・陸軍大佐、陸軍省軍事課長
池田純久・松竹(株)顧問(鳥越俊太郎・ジャーナリスト)・・陸軍中将、内閣総合計画局長官
南部信清・防衛庁統幕幕僚学校(加納竜・俳優)・・・・・・・海軍少佐、伊四〇一潜水艦艦長
【軍関係者、予備士官、召集兵】
上山春平・京大人文研助教授(山本益博・料理評論家)・・・・海軍予備少尉、回天搭乗員
会田雄次・京大人文研助教授(江川達也・漫画家)・・・・・・陸軍上等兵、ビルマにて終戦
扇谷正造・朝日新聞学芸部(松平定知・アナウンサー)・・・・・・陸軍一等兵、補充兵
池部良・俳優(柚原旬・俳優)・・・・・・・・・・陸軍中尉、ハルマヘラ島にて終戦
岡部冬彦・漫画家(武藤健治・俳優)・・・・・・・・・・・・・・陸軍見習士官
【軍関係者、学校】
篠田英之介・NHK広報室副主管―(映画未登場)・・・・・・・・海軍兵学校生徒
村上兵衛・中央公論評論(市川森一・脚本家)・・・・・陸軍中尉、陸軍士官学校教官
【軍関係者、捕虜】
大岡昇平・作家(林望・作家)・・・・・・・・・・・・陸軍一等兵、フィリピン戦線で捕虜
酒巻和男・トヨタ自動車輸出課長(未登場)・・・・・海軍少尉、真珠湾攻撃にて捕虜第一号
ルイス・ブッシュ・NHK国際局(D・ディヒーリ・ジャーナリスト)・・英国軍人、捕虜
【報道関係者】
吉武信・朝日新聞論説委員(小田豊・俳優)・・・・・・朝日新聞政治部、首相官邸記者クラブ
有馬頼義・作家(嶋田雅彦・作家)・・・・・・・・・・同盟通信社社会部記者
舘野守男・NHKアナ(瀬川菊之丞・歌舞伎役者)・・・・NHKアナ、日米開戦第一報を伝えた
【その他】
徳川夢声・俳優、文筆家(立川らく朝・医師、落語家)・・講談師
志賀義雄・衆議院議員(田原総一郎・ジャーナリスト)・・・治安維持法(思想犯)で投獄中
鈴木一・中央競馬会顧問(松永英晃・声優、俳優)・・・・・鈴木総理の長男、総理秘書官
楠雅子・主婦(キムラ緑子)・・・・・・・・・・・野戦病院看護婦として沖縄で従軍
特に皆さんが「へえー」と軽く驚きそうなキャスティングを太字にしてみました。
中でも、ガンダム作者の冨野氏が陸軍大将今村均、
どちらかというと、いやどちらかとうまでもなく明らかに左派論陣の鳥越氏が陸軍中将、
そして、共産党員で、戦後衆議院議員になった志賀義雄氏をあの田原総一郎氏が。
個人的に残念だったのは、特殊潜航艇に乗って真珠湾攻撃に参加し、たった一人生き残って
「捕虜第一号」となった酒巻和男氏が、この対談に参加していたにもかかわらず、
映画では扱われなかったこと。
終戦時海軍兵学校の学生であった篠田氏も役がありませんでした。
映画では、宣伝ポスターに見られる
「原爆は落とされなかったかもしれない」
つまり、あのとき歴史の歯車がわずか違っていたら、終戦のシナリオは
全く違っていた可能性がある、ということにフォーカスを絞ったため、
「あらゆる視点から語った終戦」という対談の本筋とは少し違うものを見せようとしています。
しかし、それが最近のNHKお得意の偏向ないし演出かと言うと、決してそうでうはなく、
対談によって見えてきた「歴史的な考察」を、決して解説するでなく、
ただアウトラインをすっきりさせて分かりやすく提示してくれています。
さすがになだ万の料亭だけで終わってしまっては、
テレビならともかく劇場映画としては見場がなさすぎるということでしょうか、
若干の「演出」が見られますが、それは
「昭和38年の対談の再現番組を作ろうとするテレビマン」(木場克巳・実際も演出家)
を主人公にし、新たな視点、つまりその対談を見守る「現代の眼」を据えたこと。
あるいは、歌舞謡曲の類も少しはないと、と考えたのか、なだ万の座敷で歌手が
「めんこい仔馬」(軍歌です)を歌い、バックに実写フィルムが流れる、といった演出もあり。
この歌手がなんだか不思議な風体ではありますが、これもまあいいでしょう。
何しろ「昭和38年」なんですから。
念のため、原作となった文藝春秋の新書「日本のいちばん長い夏」を読んで、
細部を点検しましたが、セリフの改ざんは、いっさいしていませんでした。
つまり、NHKには珍しく?素材をそのまま提示する、判断を観る者に委ね余計な解説はしない、
という非常にまともな作り方をしているのです。
というわけで、わたしはこの映画における製作者の姿勢と態度を高く評価するものですが、
残念ながら、心ある人々に評価されるものがエンターテイメント作品として膾炙するかと言うと、
まったくそれは別の問題なんですよね・・・。
しかし、ぴあの初日満足度ランキングでは4位に入っているそうですし、
これを観に行くような意識の高い層を「がっかりさせなかった」ことは喜ばしいことです。
問題の「原爆が落とされるに到る過程を観ていた人々の証言」については、
まとめる意味で、また別の日にお話しすることもあるかもしれません。
こういう、「お金を稼いだり、話題になったりという目的とは全く別の意図を持って製作された」
映画を、実験的なものも含めて近頃ほとんど観ないような気がします。
この意欲を買うとともに、まだNHKには
(アマゾンラテルナという会社に製作させているようです)
まともなものを作れる製作者がいるらしいことが判って、若干ですが、ほっとしているところです。