息子がクレープに入っていたそば粉でアレルギー症状を起こし、
久しぶりに旅先での「事件」というものに遭遇した我が家です。
我が家は旅行好きで、しょっちゅうあちこちに行っているわりに
重大な事件には今のところ遭遇していませんが、
この事件は今までの中でもベスト10に入るくらいのちょっとした騒ぎでした。
ちなみに、今まで起きた旅行中の大(中?)事件を思い出すまま挙げてみると
1、マイアミ旅行中TOがぎっくり腰になって荷物をすべてわたしが運んだ
(そんなときに限ってエレベーターの無いモーテルの二階に部屋があった)
2、ボストン空港からクリスマスにマイアミに行くとき(1とは別の時)、
クリスマス休みを取る搭乗客が多すぎて飛行機に乗れなかった
空席待ちを二本かけて最終便で現地に着いたのは当日深夜
こんな時に限ってこの日予約していたのはリッツカールトンだった
3、恒例の夏滞在中、サンフランシスコで息子が滑り台から落ち腕の骨を折った
4、パリで借りていたアパートのガラスドアが、突風で閉まったときに粉々に砕けた
5、ローマのホテルのカフェでホテル従業員(女)の釣銭詐欺にあった
6、高知の温泉に行ったとき、出発前空港で食べた夕食の何かに食あたりし、
帰りの出発までずっと旅館の天井を見て過ごした
まあ、この程度ですから、事件などというものに数えられるほどでもないのですが。
その他、ニースのホテルでは部屋が取れていないためTOがフロントとケンカ、
キーウェストでは窓を挙げたら目の前に排気口がある部屋で部屋を変えろとクレーム、
部屋を変えたら今度は食べ残しのキーライムパイがテレビの後ろから出てきてクレーム、
ホテルへのクレームとその対応にいらいらしたことなら数えきれないくらい。
つまり本題ですが、この台南シャングリラ・ファーイーストプラザホテルの危機対応には
今までいやというほどホテルに泊まってきた我々にも絶賛すべき
手際の良さと誠意とホテルのホスピタリティが溢れていたと言うことができましょう。
えてしてこのような巨大ホテルは、超一流でもなければサービスが雑になりがち。
ましてや駅前の一等地にあるホテルで必要以上に高くないのに食事が美味しい、
そんなところをわたしは日本で今まで見たことがありません。
このシャングリラは、まさにその希少なホテルの一つでした。
台北のホテルは、確かにお値段も食べ物のおいしさも「それなり」でしたが、
日本人にとってそれなりでも、おそらく台湾人にとっては
「もっと安くておいしいところなんていくらでもある」というものなのだと思いますが、
このホテルは台北のどのホテルと比べても段違いに上等でした。
着いて二日目、メインダイニングに行ってみることにしました。
最上階にはバーラウンジではなく、得意中の得意、台湾料理のレストランが。
周りに予約で座った客はすべて日本人観光客。
レストランの従業員は基本英語で接待し、日本がしゃべれる何人かが
各テーブルを走り回っていました。
しかし、決して達者な日本語ではなかったので、
英語がしゃべれない隣の中年夫婦は見たところ大変苦労なさっていました。
ここでは二種類のコースを頼み、三人で分けることに。
冬瓜の中に詰められた魚のすり身。
ソースはカボチャ。
エビのソースがけ。
銀杏と白菜の煮物。
台湾で目覚めたのが銀杏の美味しさ。
この白菜と餡で絡めたのが美味しいんですよ。
どこでも頼んでしまう水餃子。
スープをたっぷり含んだ餃子を蓮華に乗せて
「あつっ」
などと言いながらフーフーしていただく。
どこに行ってもこの餃子だけは掛け値なしに美味しい。
ピーマンと鳥の炒めもの。
これがいわばメインコースでした。
これは隣のテーブルの人が食べていたもの。
あまりにも不思議な造形なのでこっそり写真を撮りました。
何だったのか最後までわからず。
餃子の皮のようなものか、野菜にソーセージ状の肉をコーン巻にし、
それを積み重ねたものだと推測してみる。
ここはこのホテルのメインダイニングですから、いろいろと気合の入った料理、
お味は勿論見た目も凝りに凝った一皿がいただけるのですが、
ルームサービスもキッチンから直接頼めるのがうれしい。
むしろ、和洋中取り合わせて好きな量いただけるので、
我が家にはこちらの方がありがたいことが多いのです。
というわけで、頼んでみたルームサービス。
食事の量の割にデザートが多すぎないかって?
しかし、これすべて一皿が結構ボリュームがあるんですよ。
デザートも、日本のケーキの1,5倍は優にあります。
息子の頼んだチキンバッファローウィング。
少しピリ辛で、結構な味付けでした。
シンガポール風ビーフン。
野菜もエビもたっぷりです。
非常にあっさり味の、いくらでも食べられてしまうお味。
そして冒頭の大きな写真(大きすぎた)のピラミッド。
これ、なんとトンポーロ―なんですよ。
二日目に行ったレストランで、やはり隣の人が食べていたのですが、
同じものをメニューの写真に発見したので頼んでみました。
これ、どうやって肉をこんな風に重ねてあるの?
おまけに中はくりぬかれてソースがなみなみと湛えられています。
おそらく、大きさの違う四角く切った肉を積み重ね、ピラミッド状にして、
それからその形のまま焼き、焼きあがってから仲をくり抜くのではないか、
と想像してみましたが、それにしてもこんなに正確に肉を切り、
細工をした料理を、ルームサービスにまで出すという・・・・・・・・。
いろんな意味でこれははっきり言ってヘンタイです。
技術を究極まで極めるのが日本人ですが、こちら方面の技術、
しかもこの技術が使われているのが特別の料理でもなんでもないというあたりに、
台湾の人の食にかける熱意のヘンタイぶりが覗えます。
そしてお味も大変よろしかったのですが、脂っこいものの比較的苦手な我が家の面々、
三人がかりでもこのピラミッドを制覇することができず、残してしまいました。
今写真を見ると、もったいないことをしたなあ、と思います。
デザートは、ブラウニー。
チーズケーキ。
ケーキ類も皆絶品。
見た目から想像する味から4割くらい甘さを引いてください。
それがこのホテルで食べたケーキの味でした。
たとえばこのモンブランですが、「モンブランにうるさい」エリス中尉が、
パリのラデュレより、銀座のホテル西洋銀座より、明らかに上であると
厳かに宣言するほどの逸品でございました。
TOなど、出発間際にもう一度食べたくてわざわざ買いに行ったくらいです。
残念ながら売り切れていましたが。
美味しかったのは洋物スイーツばかりではありません。
この「SAGO」が入っている(サゴヤシから取るタピオカ)珍しいマンゴーのスープも。
ところでいつも美味しいものより珍しい食べ物に関心を示すTO。
去年台湾中部の日月潭に行った時も、日月潭でしか捕れないいう
「総統魚」を注文していましたが、今回もメニューを丹念に眺めていたと思うと
ウェイトレスを呼んで「これは何であるか」などと聞いています。
老鼠班。
齢を取ったネズミの斑点。
どう見ても食欲をそそらない名前の魚ですが、TO的にはこの
「要予約」というあたりに「珍しもの好き」の血が騒いだのでありましょう。
このパンサー・グルーパー、お値段も「時価」。
しかも、予約してもその日捕れなければ食べることはできません。
「よっぽどおいしいんだろうなあ。食べてみたいなあ」
とTOが繰り返し言うのでググル先生にお伺いしてみたのですが、
・・・・・・・・・・・ひいいいい。
この、日本名サラサハタというハタ科の魚、白に黒のドットが等間隔にある模様。
このたびアレルギー騒ぎを起こした息子の湿疹でも貧血起こしそうになった
トライポフォビアのエリス中尉には、非常にキツイ画像が出てきましたです。はい。
それにしても、こういうセンサーって、魚とか植物や特に皮膚には反応するけど、
ただの水玉もようやダルメシアンなら平気なのはなぜなんでしょうか。
その上に書いてある47番の「マーブルドゴビー」と言う魚は、もともとタイの淡水魚で、
台湾では養殖されてその淡白な味が主に蒸して食べられているそうです。
こちらはカワアナゴのような感じで、こちらなら食べてみたいと思いました。
48番のナポレオンフィッシュ、これは日本の水族館でもおなじみ。
水槽の下の方をやる気のない態度でのそのそしている鈍重な魚です。
これも要予約で食べられるのだそうですが、この巨大な魚を予約して捕ってもらったら、
まるまる一匹分お代金を請求されそうですね。
これも当然ですが「時価」でございます。
と言うように、このホテル、この台南でも結構「特別の人々」が利用するような
ステイタスのあるキッチンを持っているらしいことがわかりました。
しかも、巨大ホテルのルームサービスなのに、デリバリーしてしばらくしたら
電話がかかってきて「どう?美味しい?」
用事は何かと思ったら、それだけ。
「It was so GREAT!」
お世辞抜きでこういうと、おじさんは(シェフかな)実にうれしそうでした。
美味しい料理を提供するだけでなく、マニュアルではないおもてなしの心を大切にする、
日本にもこれだけのホテルはそんなにあるとは思えません。
台湾のサービス業の底力を知った台南シャングリラ・ファーイーストプラザでした