ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

「乙女のゐる基地」と二人の特攻隊員

2012-05-13 | 陸軍

       

昭和20年4月26日。
陸軍航空本部の監修によってこの映画「乙女のゐる基地」が公開されました。
先日訪れた知覧の特攻基地から初めて沖縄に向けて特攻隊が飛び立ったのはその一か月前、
3月26日のことです。

この映画の撮影は千葉県の下志津教導飛行師団、銚子飛行場で行われました。
若い女性が、まるで自分の子供のようにいつくしみながら手に掛けて整備した飛行機。
彼女らに感謝しつつ特攻隊員が出撃していくラストシーン。

戦士たちの尊い犠牲と、それを支える乙女たちをこの上なく美しく謳いあげて、
国民の共感を呼び、また覚悟を訴える「国策映画」そのものです。


実際に陸軍基地で撮影されているので、使われている飛行機は当然ながら実機。
実際の離着陸も、勿論のこと陸軍の搭乗員が行っているのです。

この頃の日本の経済状態はジリ貧ですから、それを反映してセットは一切無し。
外で集音マイクは使わなかったのか、セリフは全て屋外のシーンでもなぜかエコー入り。
しかも、出演者の滑舌の悪さと音響のお粗末さ、さらに当時の日本語の言いまわしで、
何を言っているのかさっぱりわからない個所多数。



訳があって、台湾で発売されているDVDを購入したので、字幕は中国語です。
分からないところはこれを見て推測していたという・・・。
因みにこれは笠智衆の演じる隊長ですね。

そして主人公の乙女たちなのですが、主演の「秀ちゃん」が、こういう人。



この娘が、近所の婚約者(佐野修二!)との結婚と仕事の両立に悩んだりします。
いやまあ、主役が必ずしも美人でなくてもいいんですが、そして、この子はこの子なりに、
可愛いとは思いますが、若いし、朗らかそうだし、なんと言っても清楚だし。



昨今のテレビや映画の女子軍団ものは、フライトアテンダントも医者も新幹線の係員も、
「こんな不自然に美人ばっかり集まってるわけないだろっっ!」と突っ込んでしまうわけですが、
(昔やってた弁護士事務所ものは酷かったなあ)
集団に一人美人がいるくらいの方が、リアリティがあっていいですよね。
ということだと理解。
この娘は準主役の美人さん。



ところでこのイケメン中尉ですが、これ誰だと思います?

答えは安部徹。
後年ヤクザ映画のコワモテだった俳優さんですが、なんとこの頃は二枚目俳優でした。
トラ!トラ!トラ!では草鹿龍之介長官役をしていましたね。


映画は、整備隊として健気に頑張る少女たちと、それを見守る基地の隊長や整備隊の
雇員(東野英治郎)、そして搭乗員とのふれあいを描きます。

隊長が「あんな仕事をさせていたらだんだん女らしさが無くなるんじゃないか」と心配したり、
「中尉殿、お靴に泥が・・・」と士官のブーツを手で拭ったり、
秀ちゃんの婚約者の父が、
「あの娘は気が強いのが難だが、まあそれくらいの方が使いでがある」と言ってみたり、
婚約者が自分の穴のあいた靴下(しかも匂いつき)を秀ちゃんに平然と繕うために渡したり、
上野千鶴子が見たら憤死しそうな表現多数。

この短い映画から当時の女性が社会的にどういう存在であったかが覗い知れます。

しかし、考えても見てください。
この頃の男性は、銃後の女性のために、死んでいったのです。
この苛烈な現実の前には、甘っちょろい男女同権だの女も男の地位をだの、
そういった「平和時の論理」など、はっきり言ってちゃんちゃらおかしく思えてきます。

そこでふと考えたのですが、
「反戦」と「男女同権」というのは根を同じくするムーブメントではありますまいか。
いや、わたしは基本反戦論者であり、男女は同権であるべきだとも思っていますがね。

ただし、この世界には、反戦を訴えていようがいまいがどうしても戦わなくてはならない時があり、
男女はそれぞれの特性に応じた権利をのみ有するべきで、何が何でも同権である必要はない、
という条件付きですが。


さて、先日訪れた知覧の「富屋食堂」の鳥浜トメさん、通称「特攻の母」の娘さんが、
戦後「ホタル帰る」という手記を書いています。
それによると、彼女、礼子さんがなでしこ隊の一員として三角兵舎で働いていた4月、桜の頃、
熊本出身の二人の少尉が、この映画の主題歌を礼子さんに教えると言って聴かず、
礼子さんは何度も一緒に歌って覚えさせられたというのです。

この映画のラストシーン、特攻隊員が整備隊の彼女らに挨拶し、飛び立っていくシーンから、
この歌は始まります。



原曲は別の調ですが、譜面を見やすくするために二短調で採譜しました。

よく有る感じの戦時歌謡調で、決してこれ自体有名な曲でもありません。
悪くはないが、どこかで聴いた感じ、一口で言ってそんなメロディなのですが、この曲を
二人の少尉は、一生懸命礼子さんに教え込み、そして口癖のようにこう言っていたそうです。

「鳥浜さん、僕らが死んだら、この曲を歌って僕らを思い出してくれよ」


この二人はまた、
「実は俺たち、この映画に出演しているから、是非観てくれよ」
とも言っていたというのです。
戦後、何十年もたったある日、礼子さんはこれを見ました。
しかし、礼子さんには二人を見つけることは出来なかったといいます。

映画には何シーンか、本物の搭乗員が遠景に映るシーンや、後ろ向きのシーンがあり、
もしそこに二人が映っていたとしても、ただでさえ不鮮明な当時の映画ですから、
認識することができなかったのでしょう。



特攻隊員が最後に飛行機に向かう後ろ、操縦席から降りてくるところ。
こういうところにもしかしたら彼らはいたのかもしれません。

 

 

 

もしかしたら、乙女らが整備をする向こう側を「轟沈轟沈」という唄を歌いながら行進している
搭乗員たち、ここにいたのでしょうか。
この映画にはこの二人だけでなく、陸軍航空隊でその後知覧から特攻出撃した隊員が
部隊ぐるみで出演したのだそうです。



乙女たちとバレーボールに興じる隊員たち。
「出演した」というからには、こういうシーンに映された可能性もあります。
しかし、現在の鮮明なDVDでも判然としないのですから、礼子さんが見たビデオテープでは、
おそらくどこにいたとしても、見分けることなど不可能だったと思われます。

彼らは、映画のカメラを向けられ、そしてその映画が特攻隊の出撃で終わることに、
並々ならぬ思い入れを持ってこの曲を歌っていたのでしょう。

まだ公開していない映画の主題歌を知っていたということは、もしかしたら、彼らは、
映画のスタッフが撮影に来ている間に、それを彼らか、
或いは整備隊役の女優たちの誰かから教わったのでしょうか。



最後の出撃する6人の特攻隊員は勿論全員役者であると思われます。
(特攻隊の役として本物の搭乗員を使うとは考えられませんから)
それにしても、このときかれらが飛行機に向かって歩いていく様子は、
演技とはとても思えないばかりか、威容すら湛えており、圧巻です。

 

愛機を整備してくれた娘に向かって最後に微笑みかける隊員。
この瞬間、二人は「愛し合っている」とも言うべき共感で結ばれている、そう思わせるシーンです。


「映画を観てほしい」
「この歌を歌って自分を思い出してほしい」

それはとりもなおさず、自分が何のために、誰のために死んでいくのか、
それを分かってほしい、そしてせめて忘れないでほしい、ということでもありましょう。

映画に出演することになったとき、二人の特攻隊員は、
自分の生のよすががこの映画に刻まれたと思い、或いは歓喜したのかもしれません。
そして、後世の人々が在りし日の自分の姿を目にすることを、
せめてもの慰めにしながら出撃していったのかもしれません。


この映画のラストシーンで、清純な乙女たちと最後の微笑みを交わす特攻隊員は、
そのまま彼らの姿でもあるのです。

たとえ彼らの姿がはっきりと映し出されていなくとも、二人の特攻隊員、
柴田秋蔵少尉と松田豊少尉がこの映画のどこかに、この光と空気の中にいたことを、
この曲のもの哀しい旋律と共に、心にとどめておきたいと思います。



乙女のゐる基地

御国を想う真心は いかで男子におとるべき
基地に咲く花 紅き花 叫べこの夢 吾が翼 
我は乙女の整備隊

ますらおなれや 生還を期せぬ門出の高笑い
神をおろがむ国のため 駆けれ吾が夢 吾が翼
我は乙女の整備隊











映画「パール・ハーバー」世界の感想から

2012-05-12 | 映画

 

「パール・ハーバー」監督のマイケル・ベイと、製作者のジェリー・ブラッカイマーです。

こりゃまたなんというか・・・・・・・・。

ブラッカイマーさん、何と言うか典型的なジューイッシュですね。
我々にはわかりにくい感覚ですが、メディアの世界でユダヤ系であることは、
成功するための一つの資格なのです。

クラシック音楽界でも
「演奏家として成功するには三つの条件がある。
ユダヤ人であること。男性であること。そしてゲイであること」
という金言があり、中村紘子女史などはこの言葉に対し

「東洋人の女性などまったくお呼びでない世界」

であることを嘆息していました。
それにもかかわらずそれなりの地位を獲得した中村女史は、偉大だったんだなあー(棒)


さて、この、いろんな意味で突っ込みどころの多すぎる映画「パール・ハーバー」。
本人の予想通り、エリス中尉は案の定異常な関心と喰いつきを見せ、何と、
一つの映画をネタに5日にもわたって記事を書き連ねてきました。

心情的忌避感から、「一生観ない映画リスト」に入れていたにもかかわらず、
(後、このリストにはアメリカ制作の「ミッドウェイ」、「戦場にかける橋」があります)結果として、
これは観て良かった、いや、観るべきであったと思っています。
(劇場公開であれば、売上に協力しないためにも決して観に行かなかったと思いますが)

この映画で、あらためて確認したこと、見えてきたもの。

それは、アメリカと言う国の大衆が、実は今も持っている独善的善悪二元論や、あるいは
いかに取り繕おうとも隠すことのできない白人以外への差別が、つまるところ、あの戦争にも、
勿論それ以降にも拭いがたくあり、むしろそれを彼らはどこかで肯定したがっているということです。

そして、実は、第二次世界大戦というのは、つまり一段下の人種である悪役ジャップが卑怯にも
先制攻撃(彼らには騙し打ち)してくれた真珠湾のおかげで、彼らにとっては

「大義名分のうえに行われ、勝った、最後まで完ぺきに美しい戦争」

となりえた、つまりいまだに懐古するに相応しいヒロイックな戦争であったらしいということです。

そう、朝鮮戦争、ベトナム戦争と、次第にアメリカの正義はいわば曇りを生じてきます。
こうした「付きまとってきた後ろめたさ」が次第にアメリカ人には拭いがたくなってきたのです。

この真珠湾を緒とする日本との戦いは、アメリカにとって、ヒロイックで、100%正しい理由のある、
「正義の戦争」
だったと、大半のアメリカ人はいまだに思いたがっているということではないでしょうか。
(思っている、ではなく)

だから、男でさえその悲劇に涙を流し、同時にアメリカン・ビューティと、たくましいアメリカの青年の
悲恋を楽しみ、家に帰ったらビールでもあおって、スカッとさっぱりできるようなこの映画が、
そういう彼らに歓迎されたのかもしれません。


今日は、ユーチューブのコメントから、印象的なものをご紹介することにして、世界の
この映画に寄せる意見を少し分析してみることにします。
ただし、英語でコメントしているからと言ってアメリカ人とは限らない、
ということを頭にいれてご覧ください。



ここにも、日本の映画サイトにもいた「ミーハーさん」。

この映画大好き<3(ため息のつもり)ジョシュ・ハートネットってとおおおってもカワイイ!

因みに、その下は

なんでマイケル・ベイがこの映画を撮りたかったかわかったよ:爆発だ!

うふふ、メイキングを見てわたしもそう思いましたわ。
こいつらにとって一番大事だったのは爆発だってことが。
二番目に、飛行機、かな。
「史実」はリストの41番目くらいだったんじゃないかしら。(50中の)

このほか、「グレート・ムービー」「泣いた」などという、多数の「デートムービー派」に交じって、


こんな野郎もやっぱり必ずいるんですよね。
しかしそれ以上に、映画のできそのものについては一言

inaccurate film. Hollywood garbage.
不正確な映画だ。ハリウッドのゴミだよ。

T.V movie. Sucks!
テレビ映画だな。くだらない!

とこき下ろしている人も多数。

ところが、なぜか、映画の内容をそっちのけで、こんなことを言いだす人たちが・・・。



OK.日本は軍事施設を攻撃したんだ。アメリカ人は市民を攻撃しただろうが。恥を知れ!

おお?
この映画で隠匿されている「日本が攻撃したのは軍施設、アメリカはいつも対象が市民」
この件に付いて、何人もの人たちがこんなことを・・。



日本の人々は軍事目標を攻撃し、一般人は狙っていない。
U.S.Aは市民の上に原爆を落とした。酷いよな。
あるいは

So how bout the two atmic bombs when that happend??
(じゃ二つの原爆を落として何が起こった?これについては?)

Japanese attacked a militar target at Pearl Harbor.
Americans killed millions of civilians at Hiroshima and Nagasaki.
Just that.
(日本はパールハーバーで軍施設しか攻撃していない。
アメリカ人は、広島と長崎で何万もの市民を殺した。これが全てさ」

アメリカが原爆を落としたことについては非常にたくさんのコメントがありました。
そればかりでなく、



じゃ、(アメリカが)日本対しておこなった残虐行為はどうなんだ?
「American mutilation of Japanese war dead」という本を読んだが、
沖縄の女性は
レイプされ、10万以上の沖縄市民が
(彼らはアメリカ兵が会った最初の日本市民だった)殺された。

それも、火炎放射器で軍事施設でもない街や市民がね。
(ここは、おそらく前発言者がアメリカを救世主呼ばわりした模様)
あんたのような連中見てるとむかむかするわ。
自分のこと、自分だけがいい人だとでも思ってんだろ」

しかし、これらの「アメリカ、この映画で正義ぶってるけど、実際酷いのはおまえらだ!」
という意見に、まともに反対できるアメリカ人はあまりいない模様。
・・・まあ、そうだろうなあ。

さらに、



俺は日本はアメリカより「いい」なんて言ってないよ・・・
俺はただ、アメリカは「救世主」みたいな行為だけでなく、
くそみたいなこともやらかしてるって言ってるだけ。
そしてあんたは、さらに間違ったことを言い無知を披露してるんだ。
じゃ、少し素敵な質問させてよ・・・もしあんた軍事施設だけを攻撃したいのならさ、
なんだって、東京で焼夷弾を市街地に落として三万人もの市民を殺したの?

どうも、「アメリカは正義だ!」と暴れていたアメリカ人がいたようです。



あんたアメリカ人?
全く、あんたみたいにアメリカ人が過去何をやったか、で今何をやってるかについて、
全く無知な人間見てるとむかむかするよ。
まず、俺だって(あんたが言うように)日本の兵隊が中国で何万人も殺したってことは知ってる。
しかし、第二次大戦後、アメリカは世界中の主な戦争に全て関係してきたじゃないか。
朝鮮、ベトナム、湾岸戦争、そして最近じゃアフガニスタン。
アメリカは人類を消し去ることのできるほどの何千もの核をを冷戦下で製造していたよね。
どう?誇らしい?

世界共通意見ですね。



戦争なんだからみんな同じことするよ。
アメリカ兵は日本人を拷問だってしてるし、火炎放射器で殺したんだぜ。
(とても想像できないが、生きながら死ぬまで焼かれるって想像してみろよ)
アメリカは市民を殺した。彼らが危険かもしれないってだけでだ。
で、USAは核を日本に落とした。一瞬で消えたのはまだましな死に方で、他は文字通り
化け物のように、目が溶け、皮膚は濡れた袋みたいに垂れさがり、ピザみたいになって死んだ。
アメリカは絶対に無実なんかじゃないのさ。

原爆の被害に付いて、アメリカで写真を展示しようとすると、猛烈な反対運動が起こり、
妨害が大変なのだと、アメリカ住民に聴いたことがあります。
しかし、このネットの時代、原爆の被害状況など、いくらでも目にすることができ、
皆は、こちらが思う以上に、このことをよく知っているようです。

ところが、こういう「アメリカ、酷い国じゃね?」という声に対し、なぜか
「日本は中国でたくさんの中国人を殺した!」と言いだす一派が。
なぜか731部隊の実験(これも現在確証はないと言われる)について語りだす人も。
ここであまり関係が無いこれらの意見を出す人たちは

「ああわかった、あんた単に日本嫌いなんだな」

と言われたりしていましたが、特にこの



ロスアンジェルスのキミン、という(キミンはコリアンの男性の名前)人物は、
このような日本を誹謗する(そして日本が戦っている)大戦中の様々な噂に付いて、
完璧に真実だとしたうえで、執拗に、何度も同じコメントを貼り続けていました。

何故かコリアンは、国を捨ててアメリカに住みながらそこで反日活動をし、アメリカの議会に
日本に対する懲罰を決議させようとしてアメリカのコリアン社会ぐるみで非常に活発に
活動しているのですが、どうやら彼もその一人のようです。
全く、かれらのこの執念と怨念の源は、どこにあるのでしょうねえ・・・(嘆息)

彼は、「あんた、何人?」と聞かれて「アメリカ人ではない」と言っていたので、単なる
「アメリカに住んでいるコリアン」のようです。

ところがどっこい、日本のなんかより、もっと酷いやつらもいるぞ!ってことで



中国は文化大革命で1949年から体制崩壊までの間に8万人殺したよ!
他のコメントで
「しかも殺したのは同じ国民なんだよな」

「アメリカ人はね、85万人のインディアンを殺したんだよ」

いつの間にか、「酷いのはどの国か」の言い争いになってしまいました・・・。

しかし、
「アジアの開放が日本の目的なら、なぜ彼らはその植民地で搾取したんだ?」
「日本人の精神性は、ナチと同じだ」
などという無知なコメントを見ると、英語の全般に苦手な日本人は、ぜひもう少し英語力をつけて、
こういう世界の無知に対して少しコメントしてやってほしいと思うのです。
え?あんたがやれ、って?
んー、こういう書き込みって、わりと精神を病みそうなので、遠慮します・・・。



東京空襲と広島長崎の原爆投下については、ほとんどの日本人は小中学校で習うよ。
しかしながら、彼らはそれがアメリカの犯罪だとは習わない。
純粋に、戦争の悲劇としてだけそれを習う。

私はこれに賛同する。これは確かだ、ルメイの決定は非常に残酷だったってことだ。

でも、マクナマラも言っているけど、この頃の規則なんて、弱点だらけなんだよな。
私は、ただ、もう二度とこんなことが起こらないように祈るだけだ。


マクナマラは、ケネディ時代の国防長官で、ベトナム戦争にアメリカを突入させた人物、
とも言われています。

メディア批判をする人もいました。



リメンバー・パールハーバー。アメリカは攻撃した。
リメンバー・911.アメリカは攻撃した。
邪悪なのはアメリカのメディア。
人々を盲目にする。

それにしても、映画の感想やコメントがほとんどないじゃないか!って?
そうなんですよ。
映画に触れているのは「グレイト ムービー!」みたいな馬鹿っぽいコメントだけで、
少しまともな人たちは、映画ではなく、歴史を語りだしてしまうので。


でも、こんなのもありました。
やっと映画の内容に突っ込んでいるコメント?を見つけたので、ご紹介しましょう。
レイフと、死にゆくダニーの会話、あえて翻訳しませんので、どうぞ原文でお楽しみください。

" Do not die! You're gonna be a father!"
"Oh,great,thanks a lot for not telling me  this
before jumped in the line of fire!"





「三笠」を救った人々

2012-05-11 | 海軍



昨年、横須賀にある記念艦「三笠」を訪ねたとき、意外なほどシルバー世代の見学者が多く、
NHKの「坂の上の雲」効果かなあ、と思ったわけですが、
その後、第4部が放映された後、一層訪れる人は増えたようで、なんと先日は
三越お客様対象の「坂の上の雲の舞台を訪ねて!記念艦三笠見学ツアー」
なんてプランを見つけてしまいました。

あの番組の放映によって「日本海海戦」「東郷」「秋山真之」「広瀬中佐」「バルチック艦隊」
こんな言葉に魅かれた人々が、ドラマに描かれたころの痕跡を求めて立ち寄る場所がある。
記念艦「三笠」の存在は、まさに我々にとって歴史的遺産です。

今でこそその姿を静かにそこにとどめている「三笠」ですが、ここに至るまでに、
なんどもその存続については危機が訪れています。
前回三笠について書いたときに、敗戦後、ソ連政府によって、バルチック艦隊に屈辱を与えた
三笠を廃棄せよという申し出があったこと、そしてその後も進駐軍によって、
水族館や「キャバレー・トーゴー」などの遊行施設となる辱めを受けたことをお話ししました。

このとき、戦後の三笠を救ったのは、この惨状を見た
イギリス人の新聞記者ジョン・S・ルービン
でした。
若き日に時計を扱う商人であったルービンは、日本の回航員を相手に商売をするうちに、
日本の将兵と親しくなりました。
イギリスで建造中の三笠の姿を知っていたルービンは、1902年、三笠がイギリスの港を
辞するとき、艦影の霞むまで埠頭に立ちつくして涙ぐみ、別れを惜しんだと言われます。

日本を敵国と呼ばなければならなかった第二次世界大戦中、
ルービンの住居に飾られていた三笠の写真は、ひっそりと奥にしまわれこそしましたが、
平和な世になり、新聞記者として日本を訪れることになったルービンは、
旧友、いや、恋人に会うような気持で、横須賀の「三笠」との再会を果たしました。

彼はそこで半世紀の間脳裏にあった三笠に接し、アドミラル・トウゴウの霊に語り、
日本破れたりといえども、三笠と東郷の精神ある限り、
大国への復活もまた速やかならんことを祈ろうとしたのでした。

・・・ところが。
そこに三笠は見えませんでした。
再び探すと、そこに裸になって残骸を横たえている三笠がありました。
執拗なソ連の要求によって、マスト、砲塔、煙突、艦橋を撤去された、まるで河馬のような三笠が。

憤然としたルービンは、筆をとり、火を吐く激しさでジャパン・タイムズにこれを訴えます。
日本人はこの国辱的仕打ちを看過するのか。精神まで汚されて平気なのか。
日本人の忘恩と無自覚を問責したこの記事が書かれたのは、昭和30年のことです。
これを見て、アメリカ人ハロルド・ロジャース、オーストリア人ボール・ド・ジャルマスイが、
その文責で
「三笠の復活は日本国民の精神復興の試金石である」
と説きました。

アメリカ海軍太平洋艦隊司令長官、チェスター・ニミッツも、三笠を救った一人です。
「出てこいニミッツ、マッカーサー」
と、鬼畜米英の象徴として戦中の日本国民にその名をうとまれたニミッツですが、
もともと彼は若き士官候補生時代、日露戦争の戦勝園遊会で東郷元帥と握手し、
言葉を交わして以来の熱烈な「トーゴー・ファン」。
アメリカ軍のアジア艦隊旗艦の艦長として、東郷の葬列にも参加しています。

ニミッツは自著の売り上げを原宿の東郷神社再建や、三笠の保存のために投じ、
さらに保存会の立ち上げに奔走し、米海軍にも協力を呼びかけました。

ルービン氏が国内に、かつて三笠の回航員であった日本人に呼び掛け、名乗りを上げた中に、
退役後学習院の院長として、その人柄を広く慕われた海軍大将山梨勝之進がいます。
山梨とルービンのつながりを示す文献は見つかりませんでしたが、23歳のときに回航員として
英国に二年渡り、のちに英国から「サー」の称号を受けた山梨の若き日が
「時計商人ルービン」の親しかった回航員ではないかなどと、ふと考えてみます。


話は遡りますが、ここまで三笠が荒廃したのにはこんなわけがあります。
昭和23年、三笠を観光用に使うことが、米軍と横須賀市の間で話がついて、Sという会社が
引き受けて経営することになりました。
この社長もまた元新聞人であって、三笠の廃棄を惜しみこそすれ、
この記念艦を汚そうなどとは思っていませんでした。
しかし、S社は、逼迫した会社の経営のために、背に腹は代えられずというところでしょう、
艦上の鉄類をはぎ取って売却したと言われています。
S会社が、観光遊覧を生業とする個人の会社であることが裏目に出たというわけです。
軍艦の神聖維持など二の次三の次、というわけでついには三笠は、
ダンスホール、映画館として利用されることになってしまったのです。

「バー・トウゴウ」「カフェー・カトウ」は、さすがに悪質な風評ではあったようですが。

日本が独立後、昭和27年に、三笠は大蔵省の財産目録に加えられました。
そこで国の庇護のもとに入るかと思われた三笠ですが、実際は大蔵省は、三笠の艦側に
保全されていたマスト、砲塔、煙突、艦橋の鉄類が、スクラップ業者に売られていくのを
阻止することをしませんでした。
知らなかったのか、知っていて(何らかのキックバックをもらって?)見逃したのかは、謎です。

時は朝鮮戦争のころ、クズ鉄の値段が高騰し、戦艦に使われた高品質な鉄材を安価に
払い下げたこの業者は、さぞぼろ儲けができたことと想像します。

いずれにしても、ソ連の要請により取り外されたものの
「いつかその時がきたら復元するために」と梱包して保存していたオリジナルの部分は、
日本人みずからの手によって永遠に葬り去られてしまったのです。



日本海海戦において輝かしい武勲を飾り故国に凱旋してきた三笠。
日露戦争から一年後の1905年、佐世保港内で弾薬庫の爆発のため沈没します。
死者339名(多くが軍楽兵)を出す大事故でした。
その後、ウラジオストックで、今度は座礁して、満身創痍となって日本に帰ってきました。

次いで1921年(大正10年)、ワシントン会議の結果、三笠は廃棄処分が決まります。
このとき廃棄になったのが香取、薩摩、安芸、摂津、生駒、伊吹、鞍馬など。
三笠の主要部分は着々と取り外しが進み、あとはスクラップになって溶鉱炉行き、
というところで、「三笠保存運動」が起こります。

この中心になった人物というのが、不思議なことにこれもまたジャパン・タイムズの関係者。
アメリカ在住が長く、日本語より英語の方が上手いといわれた、元社長芝染太郎氏その人です。
氏は長い間ハワイで新聞社の社長として活躍した人ですが、母国を離れたからこそ、
生まれた国の良さを知ることになった、烈々たる愛国者でもありました。
(僭越ですが、わたしも日本を離れていた時期に日本の良さを知った口です)

日本海海戦の旗艦であった三笠を、歴史の証人として保存すべく、芝は立ちあがります。

「トラファルガル開戦のヴィクトリア号も、南北戦争のコンスティチューション号も、

皆記念艦として大切に保存されているのに、等しく嚇嚇たる武勲に輝く我が三笠だけが
無残にもスクラップ・ダウンされるなどという不合理なことがあってよい筈はない」

芝は毎日のようにこういう論陣を張って、自分の新聞で啓蒙に努めました。

そして、内外の賛同者の意見を紹介し、世論の喚起に懸命の努力をしたのです。
その熱意は人々を動かし、東郷大将が芝社長を訪ない、意見を交わすこともありました。
芝の不退転の熱意はついに天に通じ、スクラップ寸前の三笠は廃棄処分を免れ、
晴れて記念館として永久保存することが決定したのでした。

芝に対して、この功績を称えるための叙勲が打診されました。
しかし芝は
「私は日本人として当然の務めを果たしただけなので、叙勲など滅相もないことです。
それに、一介の民間の新聞人は新聞人らしい無位無勲が似つかわしいと思いますので」
と固辞し続けました。

その態度にいたく感銘を受けた東郷大将は、非常に大きな三笠の写真に、例の

「接敵艦見之警報
欲聯合艦隊直出撃撃滅之
本日天気晴朗波高」

「皇国興廃在此一戦
各員一層奮闘努力」

の言葉を墨痕も鮮やかに大書して署名花押し、贈呈しました。
老提督と芝社長は感激して上気し手を取り合ったということです。

そして、その後前述の、屈辱のときをくぐり抜けた三笠でしたが、
またしても危機が訪れます。

記念艦として一時仮据え付けをしたものの、最初の設置場所の海底の状況が悪くて、
現在据え付けてある位置まで移動させる必要に迫られました。
しかし、長年の就役期間に度重なる爆破、座礁、地震(関東大震災のとき岸壁に衝突)のため
損傷、腐食、漏水が甚だしく、浮揚移動させることが難しく、ヘタすると沈没の危険もあり、
艦橋だけ残してあとはスクラップ、という話がでます。

しかしながら、横鎮参謀長、宇川少将(日本海海戦参加者)や港務部員らの苦心によって、
滞りなく現在の位置に据え付けることができ、ここでも三笠は救われます。

そして冒頭の終戦後の荒廃が「二度あることは三度」目の危機であったわけです。


たくさんの人々の熱意と努力によって存えた三笠は、いまはそのかつての雄姿を埠頭に留め、
軍艦旗は今日も横須賀の空に翩翻と翻って、往時へと訪れる人々をいざなっているのです。







映画「パール・ハーバー」~東京大空襲編

2012-05-10 | 映画

映画「パール・ハーバー」前半までのあらすじ

卑怯なイエローモンキー、日本軍の奇襲攻撃で真珠湾では多くの人命が失われた。
アメリカは、軍がしり込みする中、一人気を吐いて「やられたらやり返すのだ」と
復讐を呼び掛ける
合衆国大統領FDRの強い意志の元、その攻撃目標を東京に定めた。


この映画を観て、まだ大半のアメリカ人と言うのがこういう与太話を信じているのだとしたら、
大国アメリカの衆愚政治はまだまだ有効であるという気がいたします。
かつて学生運動によって厭戦感が蔓延し、結局負けてしまったベトナム戦争のような失敗の轍を
二度と踏まぬように、好戦国家アメリカとしては、歴史の改ざんでも何でもいいから、
とにかくアメリカのすることは全て正しい、と民衆に刷り込み続ける必要があるわけで、
それもある程度成功しているということなのでしょうか。

(「日本人ざま観ろ!リメンバー・パールハーバー」って言っているやつが地震の後にもいたな)

さて、これが公開されてすでに11年が経過しました。
この頃ディズニーが期待していたほど、ことエンターティンメント文化に関して中国と言う国は
美味しい市場にならなかったようですね。
トラタヌしてた皆さん、ご愁傷様です。ヽ(^。^)ノ

モラル崩壊した、つまり大半は文明人とも言えない、つまり、エンターティンメントによって
精神を喜ばせるものと金銭を皆が喜んで等価交換できるような文化の下地が、
中国にはその面積に比例するほど育っていない、ということにようやく気付きましたね。
分かりましたか?日本と言う国が良くも悪くも、エンタメ市場としては一番「堅実」なことが。


さて、映画に戻りましょう。

「真珠湾攻撃」の仕返しとしての「東京大空襲」。

これはまた、アウトラインのすっきりしすぎた話ですね。
まるで、勧善懲悪の西部劇みたいです。
それもそのはず、この映画は「ヒーローもの」だからです。
ヒーロー、それはこの二人のアメリカ人パイロットではなく、アメリカそのものです。

実際のところ、開戦以来アメリカ本土には帝国海軍の伊潜が次々と襲撃を行い、
伊潜に積まれた艦載機による空爆なども行われ、アメリカ人にとっては衝撃の連続でした。
この頃のアメリカの潜水艦は、ことごとく伊潜に敗退していた状況です。

前回、ルーズベルトと軍上層部の対話に付いて書きましたが、つまりあのシーンは、

軍「本土が攻撃されているのだから、日本本土を責めるのは無理では?
ソ連の領土は、日ソ不可侵条約ため、爆撃のための基地使用は行えません。
また、我が海軍の空母艦載機は航続距離が短く、爆撃のためには空母を日本近海に
接近させる必要があり、大変危険です!」
ルーズベルト「東京を空襲するのは、人心を鼓舞させるためだ!」(立ちあがってみせる)

ということではないかと、このたび理解し、皆さんに分かりやすく書きなおしてみました。
つまり、開戦以来押されっぱなしだったので、ここで一発派手にやりましょう、という、
言わばパフォーマンスが目的の攻撃だったわけです。


ですから、実は命令する方は
「東京さえ派手に攻撃してくれたら、メンバーは生きて帰れなくても仕方ない」
というのが真意。早い話、戦意高揚のための決死作戦。スケープゴートです。

おそらく、ジミー・ドゥーリトルは、それがそういった目的のための作戦で、
生還の可能性がこの作戦には無いことも十分理解していたと思われます。
その意味では、死を覚悟した出撃で、作戦を成功させたうえ生還した彼個人に付いては、
全く見事な軍人であったと称えるべきでしょう。

前回ドゥーリトルが「もし機がやられたら、捕虜にならず自爆する」と言ったことを
アメリカ人の分際で笑わせるんじゃない、と言ってみましたが、



空襲の後、中国大陸に着地せよという、全く人命を軽視したこの命令を粛々と受け、
自らも出撃したドゥーリトル准将が、このような覚悟を持っていたとしても不思議ではない、
と、日本人としては思わないでもありません。

さて、ヒーローものにありがちなこととして、「リベンジのための特訓の経過」があります。



陸軍機に対し、空母からの離艦と重量の減らし方?の指導に、海軍さんが出張してきます。
この表現は、「東京上空」でもありましたが、アメリカも陸海軍間って仲良くなかったんですかね。
「東京」では海軍さんを迎える陸軍パイロットの間に妙な戸惑いを表現していました。



飛行機の重量をできるだけ減らし、赤い線から向こうは海のつもりでこの手前で離陸せよ!
という特訓が行われますが、なかなかうまくいきません。
それを最初に成功させるのが、なぜか戦闘機パイロットだったダニーという設定です。
皆が見守る中、赤いラインを飛び越し、ミッションの成功に向けて一歩乗り出すD隊。
一人成功すると、なぜか後続の飛行機は次々と難なく離陸ができるようになります。



空母ホーネット。
「東京上空」では本物が使われていましたが、その後海軍によって撃沈されたのは周知の通り。
この映画は、CGを駆使して、あるものを無いように、無いものを存在するかのように見せています。



艦上で初めてミッションの内容をメンバーに説明するドゥーリトル少佐。
「こんな少人数で東京を攻撃して、しかも生きて帰れるかどうかも分からない、
それに値する価値がこの作戦にはあるのですか?」
とダニーが聞いています。

それに対する隊長の答えが
「真珠湾がハンマーの攻撃だったとすると、アイスピックでしかない。
しかし、相手の心臓を刺す攻撃だ」

水を差すようでなんですが、この作戦もルーズベルトが期待するほどのものにはなりませんでした。
アメリカ国内はこの空襲の報告によって沸き立ちます。
しかし、この東京初空襲に対抗して、6月21日には伊25が、
オレゴン州アストリアにあるスティーブンス海軍基地を砲撃し、被害を与え、さらに、
9月には日本海軍の潜水艦の艦載機がアメリカ西海岸オレゴンを2度空襲しています。

しかも、アメリカ政府と軍は、人心への影響をかんがみ、この空襲の事実を公表しませんでした。
アメリカも「大本営発表」はあったのですね。当然ですが。

つまり、この映画で高らかに彼らの戦果を称えているわりには、実際の戦況の転機には
なりえなかったし(何度も言うように、それはミッドウェー海戦であったというのが世界認識です)
勿論彼らが言うように真珠湾の仕返しというようなものにもならなかったということです。

さて、ドゥーリトル隊を運ぶ米艦隊が日本近海に近づいたとき、出撃予定の12時間も前に、
艦隊は日本側に発見されてしまいます。
そして予定より遠いところから慌てて予備燃料を積み込み、発進することを余儀なくされます。
実際は漁船に発見されたのですが、漁船に発見されて慌てて発進じゃサマにならないから、
艦隊に発見されたことにしています。

そこで、後方の銃座の銃をおろし、ほうきの柄を黒く塗って銃に見せかけることに・・・(/_;)

実話ですか?

だったら、何のために?
ほうきであろうがなんであろうが、日本軍は撃ってくるでしょうに。

さて、いよいよ、攻撃目標に到着!

 

なんと、この笹原さんがオーナーの工場は、アメリカの爆撃隊御一行様のために
「ここが兵器を作っている工場ですよ!」とばかりに工場名を看板にしてくれています。
右写真は読みにくいですが、リレビック発電所だと書いてあります。
なぜ発電所の名前が英語なのかは全く理解できませんが、彼らはこの二か所に爆撃したところで
何故か日本国内でまるで市街戦の真っ最中のような土のうを積んだ陣地から、
日本軍の攻撃を受けます。



「乾坤」(のみ)「八紘」(のみ)「護国」「日本帝国万歳」(スペースの関係で大を省略)
などのスローガンがやたら貼られた基地には、臨戦態勢の陸軍兵が、
どう見ても日本製に見えない対空砲をガンガン撃ってきます。

映画ではこれによって銃撃された搭乗員が死亡するような描き方をしているのですが、
実際は対空砲の犠牲になった隊員はいません。

そして、ピンポイントで軍需施設だけを攻撃したような描き方をしているのですが、
実際のところ、隊長のドゥーリトル機は、いきなり攻撃対象を間違え、
全く無関係の学校や一般家屋を盛大に爆撃しました。
結果、早稲田中学の生徒が二名死亡。

ある一機は横須賀のドックに係留中の艦船や、重要施設の爆撃に成功し、爆弾を捨てて
離脱した臆病者は一機だけ、発進した16機中15機は何らかの爆撃に成功しました。
中国大陸に向かう途中も、残りの銃弾を全て「ジャップ退治」に消費すべく、彼らは遭遇する
全ての漁船などに銃撃を加え、死傷者が出ました。

中国大陸にたどり着き、捕虜になった隊員の中には、明らかに一般人に狙いを定め、
各地で銃撃を加えて回った16番機の乗組員がおり、彼らは、この攻撃が国際法違反に
あたるとされ、処刑になっています。

(一説では、原爆投下はこの処刑への仕返しであったとされます)

この攻撃における一般市民の死者数、87人。家屋喪失262戸。



過酷な命令を出しておいて悩んで見せるルーズベルトの図。
白いバラを差し出すのは、黒人の執事。
美しい光景ですね(棒読み)

 

中国大陸までたどり着いたものの、日本軍の陣地が点々と・・・。
「敵の陣地だ」
などと字幕には書いていますが、実際は「ジャップ」「ジャップ」のオンパレードなんですよ。
遠慮しないで字幕もジャップって翻訳しろよ、ああ?(ガラ悪くてすみません)
しかし、燃料不足でジャップの真っただ中に不時着するレイフの乗り機。

たちまち怪しい風体の日本兵があらわれ、銃撃戦になります。

 

ちょっと・・・どう見ても帝国陸軍の兵隊には見えませんなこりゃ。
まず、鉄兜の色が黒。大陸ではつきものの偽装網も着用していない。
両肩にかけているはずのベルトが無い、そして襟にある筈の赤の階級章がない。
ボタンの色も黒。
そもそもこんな緑ではなく、もっとカーキに近かったはず。
まあ、色は鮮明ではないからいいとしても、なにしろこの軍服はどう見ても、
ヘルメットだけ変えた中国軍の恰好にしか見えません。

さらに、この日本人たち
「人がいるぞ」と「立て」しかしゃべれません。
特に全ての命令を「立て」で済ませようとします。



テレビの枠が映ってしまったのに、カットしていません。(疲れてきた)
何故か、そこにダニーの操縦する機があらわれ、この一団の中から日本兵だけを撃ち殺す、
というシモ・ヘイヘも真っ青のスナイパーぶりを発揮してレイフを救います。



しかし、着陸の際、瀕死の傷を負うダニー。
苦しんでいると、またもや「人がいるぞ」「立て」とどなり散らす野蛮なジャップがやってきて、



なぜかいちばん重傷を負っているダニーに、わざわざ重そうな木を背負わせます。
他にピンピンしている搭乗員が何人もいるのですが、見向きもしません。
そして、その搭乗員たちも、陰に隠れたままダニーを助けません。
死んだふりしていたレイフが、またもやカルロス・ハスコック並みのスナイパーぶりを発揮して、
ダニーにあたらないように、両側の日本兵だけを的確に狙撃して彼を救います。



さて、このヒーロー活劇の
「俺たちゃ真珠湾のリベンジとして、しかも正々堂々と、
軍事施設だけを攻撃して帰って来たんだ!」
という論調とは裏腹に、アメリカ、そして連合国が

「白人様に逆らった黄色い猿」

に対して、どんな扱いをしたか、ここで一部列挙してみます。
いずれも、戦闘行為だけにとどまらない、人種差別と、復讐に燃えた、卑劣なものです。


「バターン・死の行進」への復讐。
すでに収容所段階から陰湿に行われており、フィリピンのルソン島にある第一捕虜収容所では
日本兵捕虜にはほとんど食事を与えず、一万二千人もの人たちが栄養失調で死亡している。

ブーゲンビル島のラバウル基地内にあった第八海軍病院は、国際法の規定によって
屋根に赤十字の標識が描かれていたにもかかわらず、アメリカ軍機はこの病院を爆撃したのち、
さらに銃撃まで加えて、医師、看護婦、患者ら千四百人を殺傷している。

沖縄戦でのアメリカ兵による住民虐殺。
この戦いに赴き撃沈された戦艦大和以下四隻の艦艇の乗組員たちは、海に投げ出されて漂流中、
無抵抗な状態であるにもかかわらず、執拗な機銃掃射の凶弾に次々と撃ち殺された。

オーストラリア軍も「日本兵の捕虜は取らない」をモットーにして、アメリカ兵とともに
ニューギニア戦線の至る所で、投降してきた日本人負傷兵を皆殺しにした。
高高度にある飛行機から捕虜を突き落としたという報告もある。

ニューギニア近海でのビスマルク海戦では、米豪合同軍の空爆によって沈没した輸送船から
脱出し、ボートやいかだなどで漂流している約千名の陸軍兵士に対し、米豪軍の戦闘爆撃機は
銃弾を基地に補給しに戻ってまで、繰り返し機銃掃射を浴びせたと言われる。
この虐殺の模様は飛行機に同乗した映画カメラマンによって撮影までされている。

そして、東京大空襲(死傷者12万人)。
広島、長崎への原子爆弾投下(死者21万人)。

東京大空襲を指揮したカーチス・ルメイの前任者ハンセル少将は、
高高度からの軍事施設への精密爆撃にこだわったため解任されたと言われています。



この映画のメイキングムービーを観ましたが、そこで語られるのは常に「撮影の苦労」
(確かに苦労はしたみたいですね。お金もふんだんにかけて(笑))
まさに戦場のような撮影現場では、爆発のリアリズムや、実機を使った戦闘シーンを
いかに迫力あるものにするかに全精力が傾けられ、映画のストーリーそのもの、
ましてや真実とか史実とか、そういった根本の部分など、彼らにとってはすでに
「どうでもいいこと」になってしまっている様子がよくわかります。

これを観た日本人がどう思うか、世界中の歴史に詳しい人々が観たらどう思うか、
そんなことは、彼らにとって、全く「どうでもいい瑣末なこと」になってしまっているのです。

日本を描いたシーンが、果てしなくいい加減で考証の痕跡もないのは、逆説のようですが、
この映画が
「わざわざ日本を貶めるための反日的な意図があったわけではない」から、とも言えます。

つまり、敵は現在の日本とは全く別の、「日本軍」というまるでドイツにおける「ナチス」
のようなものであり、そして彼らが戦ったのはまるで天災のような「災難」であると。
それに雄々しく立ち向かい、戦い、そして勝ったアメリカを称え、誇らしく思う。
それが達せられれば、はっきり言って日本人がどう思おうと知ったこっちゃないからです。

 



さて、再び映画に戻って・・。
というわけでダニーは死んでしまいます。
「パールハーバーの恋人たち」の項で、「唯々諾々と心変わりの相手の子供を押し付けられて・・」
と書きましたが、実は、見落としていたダニーの一言があったんですね。

"You're gonna be a father. Please"
"No.You are"

これが二人の最後の会話。

「死んじゃいけない」は、全くの意訳で」
「お前は父親になるんだ。お願いだから・・・」
「だめだ。お前がなってくれ」
つまり、この一言でレイフはダニーに父親になることを頼まれてしまったんですね。

頼まれたんなら仕方ないな・・・。

彼ら男同士の幼いころからの固い友情の結びつきを思えば、それは仕方の無いことなのです。

だけど、それにまんまと乗っかる女、こいつだけは、やっぱりゆるせ~ん!

 



家の庭にあるこれ、もしかしたら、ダニーのお墓?
中国大陸から持って帰ったダニーの遺体、よりによって物置の横に埋めちゃったのか・・・。

合掌。

あと一回、書きたいことがあるのですが、「あること」を確認してからの記事になります。
いつになるかわからないけど

最終回に続く。




映画「パール・ハーバー」間違い探し第三次攻撃

2012-05-09 | 映画


というわけで、「パール・ハーバー」について書くのも4日目になりました。
やっと真珠湾攻撃の部分にたどり着いたので、今日は寄り道せずに参ります。
出撃前夜、日本軍の搭乗員たちが遺書をしたためる艦内が映され、日本語で

「父上様 自分は使命を果たすため出撃します。
喜んでお国にわが身を捧げる覚悟でおります。

たとえこの身が滅ぶとも我が一族の誉れとなることを祈ります」

というナレーションが重なるこのシーン、ただでさえ狭く空気のすくない艦内で
蝋燭をボーボー燃やしているのも謎です。
連中にはアジアの人々は蝋燭燃やす、というイメージがあるんですかね。



で、これ見てくださいよ。
これは、艦内の神棚ではなく、どうやら隊員個人の「マイ・仏壇」ですね。
どこの東南アジアの祭壇?みたいな寝殿造りのミニチュアの前に並べられたのは

仏像
開きっぱなしの(多分)お経の本とそこに乗っけた数珠
仏壇の前にあるような鐘
甕に入った、おそらく焼酎かドブロク
画鋲で留められたお経の文句
日本刀
蝋燭は確認できるだけで14本

おーい!だれかこいつらに艦内にあったシンプルな神棚の写真を見せてやってくれ!
「雷撃隊出動」でも、実写フィルムでもいいから。
そして、仏壇と神棚の違いを説明してやってくれ!

そして、仮にこんな仏壇があったとしても、仏壇に褌のお尻を向けて着替えをするような
不信心な日本人は少なくともいないということも教えてやってくれ!

・・・・・全くもう・・・これ、わざとやってるでしょ?褌と日の丸と仏壇のコンボ。
褌の締め方もさることながら、この隊員がこの後お腹に巻きつける日の丸に書いていある
日本語が、全く解読不明。
漢字でもひらがなでもない、象形文字。
そういえば、この酒びんに書いてあるのも漢字のようで全く読めませんね。



ごまかしているけど、栗という字だけ、アップにしても大丈夫だったんでしょう。
よくよく見ると、一つとして正しい漢字はありません。
どうやら中国人スタッフすらこの場にはいなかった模様です。
おまけに、寄せ書きの上にわざわざ杯を置いて、先般仏壇に供えてあったどぶろく瓶から
お酒を注いでいます。
ワインじゃないんだから、お酒を注ぐ時は、隊員に猪口を持たせてやってくれ!
ちょっと調べれば、特攻隊出撃のシーンで、指令が隊員に酒をついでいるシーンぐらい
すぐ出てくるだろうに・・・。



思わず目が釘付けになってしまった不思議な乾杯シーン。
皆、杯を目の上に持ちあげ、それを全く動かさずに、頭だけを下げるという、
やってみたら非常に難しい乾杯をしています。

それにしても、民族独特の動きや、ある場合の身のこなしというのは、ことほどさように、
他の民族には決して真似できないものなのですねえ。
日本に住んでいて同じような風体をしていても、民族が違うと、考え方、行動、倫理や道徳、
その他感情の表わし方やなんかまで全て「日本人ぽくない」部分は分かってしまうようなもので、
ましてや海を越えた別人種ともなると、酷いものです。
まあ、要するにそう言う奴が他文化を描くな、って話なんですが。
(さすがクリント・イーストウッドは、賢明にも製作を日米で分けたということで、偉大でした)

 

出撃前、鉢巻きを締める隊員・・・・はいいんですが、鉢巻きの字が意味不明。
もう、わけわかんない漢字を創作するのやめてくれんかな。
でもって、この隊員は、幾らなんでもこんな鉢巻きに何も意見具申しなかったの?
漢字の無い国の出身?それとも、英語しかできない三世?

 

搭乗員の出撃シーンに続き、なぜか参謀飾緒をつけた士官が、事業服の整備員に挟まれて
帽振れをするの図。
この帽振れシーンの並び方は、全く順不同のようで、カオスです。



 

朝もやの開けたパール・ハーバー。
ここに、戦前は存在しなかった艦船が見えるらしいです。



問題のシーン。野球場で上を見上げる子供たちに向かって
「逃げろ!」と叫ぶ後部銃席の搭乗員。
いくら日本人でも、しかもアメリカ人に向かって声をかけようかって人なんだから、
「Get Away!」
でいいんじゃないかなあ。
この作戦に参加しているのは海軍のエリート搭乗員で、英語教育もある程度受けていたはずだし。
このシーンが「アメリカで行われた試写会には無かった」という件ですが、もっと悪質な説もあり、
それはシーンはカットされなかったけど、そのかわり隊員は
「Fu○K You!」
と叫んでいた、というものです。
でも、まあこれは悪意が回りまわって派生した噂だと信じたいですね。
何より隊員の顔がそんなことを言っているようにはとても見えない。



いよいよ攻撃開始。
99式艦爆ですね。こっちのは小隊長機、で、向こうも小隊長機?
ブルーの認識ラインを巻いた飛行機が、赤のと一緒に飛んだのですか?
そもそも、車輪カバーの塗装がブルーというのを、わたしは見たことが無いのですが・・・。
真珠湾攻撃のときの認識ラインはみんな赤でしたよね?



わたし、ここ、知ってまーす。
確か、マウイのどこやらホテルのドライブウェイ・エントランスだったと思います。
逃げ惑う一般人、執拗に攻撃を加える日本機。



この映画では、日本軍は徹底的に病院や一般人、海上に浮かぶ兵を射撃したことになっており、
このあまりに悪辣な創作が、過剰な演出としてまた不評を買いました。
このあたりについては、また稿を別にします。(って『まだやる気なのか?』)←イヤミ



ちょこちょこ出てくるメイド・イン・ジャパンのものにも、ふんだんにヘンな表示が書かれています。
これは・・・三号爆弾だと思われますが、爆弾の表面に「型式」「製造番号」とだけ(しかも誤字で)
書かれているものの、それだけなので、型式も製造番号も当然ナゾのまま、爆発しました。
どこかで「投下しても爆発しないのはおかしい」という説を読みましたが、もしこれが
三号爆弾であれば、遅延信管を採用していたので、一定の秒数後爆発するという、
この爆弾の正しい爆発のしかたをちゃんと再現しているということになります。

この同じ爆弾がアリゾナで芋を剥いていた黒人の兵隊の目の前に落ちて、後ろのペラが
「ぴ」
と止まり、兵隊が「さのばび」まで言ったところドカン、と爆発していました。

余談ですが、日本の戦闘機エース岩本徹三は、この三号爆弾を扱ってラバウルやトラック島
付近で大きな戦果をあげたと言われています。
かれの卓越した飛行技術が、この爆弾の性能を最大に引き出した模様。



91型魚雷(のつもり)を搭載した飛行機・・・はいいんですが、なぜか機体に
「鳥海」と、ヘタな字で、しかも左から右に向かって書かれています。
鳥海所属機っていう意味(のつもり)かな?

 

零戦隊のコクピットに貼られた「アリゾナ」の写真と、彼女のポートレイト。
日本の搭乗員も一人一人には家族がいて恋人がいて・・・、と、
取ってつけたように表現して、全体的にバランスを取ろうとしています。(取れてませんが)
それにしても、この女性は、妙な服装ですね。
チャイナ服のような立ち襟の色ものブラウスの上にブレザージャケット。



さて、ここで前回も触れた欺瞞的ディズニーの、この映画でのアフリカ系に対する扱いについて。
艦内で行われるボクシングの試合。
黒人兵が皆で自分たちの代表の賄い兵を応援し、通りかかったダニーも彼を応援します。

この黒人や、前回指摘したルーズベルトの執事にわざわざ黒人を配した理由。

これは、一概にディズニーの偽善的キャスティングとばかり言えない事情があります。
現在、アメリカの映画界には、「すべて白人だけで映画を作ってはいけない」
というとんでもないルールがあるのをご存知ですか?
俳優協会だか、人権協会だか知りませんが、何しろそういう協会の指導により、
「必ずどこかに黒人をキャスティングすること」
と決められていて、例えばチームがあればその中に何人か、組織上層部も白人だけではだめ、
と言う風に必ず一定の人数黒人を入れないといけない訳です。

(皆さん、警察などのボスに、やたら黒人が多いと思ったことはありませんか?)

「パール・ハーバー」を映画で描くことになったとき、本来なら全くありえなかった黒人の出演者を
どこかで使わなくてはいけない、というこの縛りは、当初スタッフを困らせたことでしょう。

ところがどっこい、実際にウェスト・バージニアで雑用をしており、日本軍の襲来の際、
死亡した水兵の代わりに機銃座に座り日本軍機と戦い、その功績により黒人初の
海軍十字章が贈られた、ドリス・ミラーという黒人兵が実在しました。

そこでわざわざこの黒人を採用。ディズニーにとって一石二鳥ですね。



艦長にボクシングのチャンピオンになったことを「艦の誇りだ」と言われ、涙ぐむドリス。
さすがにここまで露骨なのはやり過ぎでは・・・・。

もし、当時、アメリカでこの映画に描かれているように黒人が扱われていたのなら、
公民権運動は起こらずにすんだかもしれませんね。



この映画では撃墜された日本機が、わりと原型をそのままとどめていることが多いのですが、
この零戦も、地面に激突したのに、どうやら胴体着陸でもしたらしく翼が無いだけで無傷。



全くこちらも原形をとどめたままの搭乗員の白いマフラーが、相も変わらず訳のわからない、
解読不明の機体に書かれた漢字の上になびきます。

アメリカに住んでいると、よくドアのノブに引っ掛けられている、インチキジャパニーズや
チャイニーズの宅配デリのメニューのロゴが、こういう雰囲気です。
アメリカにおいてアジア風と言うと使われるのがこの字体ですが、日本では見たことがありません。



恐る恐る近寄ったアメリカ兵が、機体の日の丸を蹴飛ばすシーン。
自爆した飯田大尉の遺体はアメリカ軍によって丁重に埋葬されたということで、
今でも突入地点には碑が建てられています。
「相手の勇気に敬意を表する」シーンを入れれば、単純なアメリカ人は
「これだけやられたのに懐の広い俺たちのアメリカ!」となったのではないかと思うのですが、
それより何より「憎しみをあおる」のが映画の目的だったってことなのでしょうか。


 

やたら運動性能のいい99式艦爆の雄姿。
これだけ運動性能が良ければ、零戦必要ありませんよね。


 

聯合艦隊とハワイで日本軍の襲撃を受ける米艦隊。
わたしにはまったく認識できませんが、どうやら多数のシーンに、当時無かった艦船が
多数映っていた模様。

 

何となく嫌だったシーン。
多数運ばれてくる負傷者をトリアージするために、看護婦のイヴリンが得意になって取りだす、
真っ赤な口紅。
これで額に「M」(minor)歩ける傷、とか、この人のように「F」(fatal)致命傷、などと
書きこむんですが、こんなもんで額にFとか描かれたまま死ぬのって、すごくイヤ。
男の人なら、許せるのかしら。

それにしても、この頃の口紅って、こんな色ばっかりだったの?

 

真珠湾攻撃の知らせを受け、手に持っていた書類を落として驚いて見せるルーズベルトと、
俳優協会の取り決めで、もう一人くらい黒人を出さないといけないため、
無理やり黒人であったことにしたらしい、ルーズベルトの執事。

そして、このシーンです。
少し長いですが、ちょっと読んでみてください。


ル「今すぐ反撃を負わせなくてはならない 同等の痛手を日本に負わせるのだ」
陸「大統領閣下 事実を無視した結果が真珠湾です 過ちは繰り返せません
  長距離爆撃機の発進基地は?ミッドウェイは遠すぎ、ソ連は設置を拒否」
海「海軍旗の航続距離は短く 空母を敵地に接近させると失う危険があります
  空母なくして侵略は防げません」
ル「リスクを冒さず勝利を得られるとでも?戦争にリスクは付き物だ」
陸「大変なリスクです 今侵略を許せば奴らは4週間でシカゴまで攻め入ります」

ルーズベルト、一瞬押し黙ってから

ル「諸君はー脚が悪くなる前のわたしを知るまい私は頑強で誇り高く傲慢だった
  今の私は絶えず自問してる ”なぜ神は私を車いすに?”
 今の君らの目と同様 米国民の目に敗北の色を見るとき私は思う
 “神はこのために私に試練を与えたのだ 我々は挫けぬとおもいおこすために”」
軍「閣下のご要望は実行不可能です」

ルーズベルト、いきなり驚く皆の前で車いすから立ち上がる

「この私に不可能と言うな!」(ぜいぜい)

これがルーズベルトシーンの見せ場なのですが、こうして見てもどうもわかりません。
陸海軍共に、一体何を主張しているのか?
ルーズベルトの言っていることの、何が不可能なのか?
ルーズベルトが敵地に攻め込めといっているのに対し、提督は
「いま侵略を許せば・・・・」
全然話が噛みあっていないように思うのはわたしだけでしょうか。

映画でさらりと一度見ただけでは、ルーズベルトが車いすから立ち上がってパフォーマンスを
するシーンで圧倒されて、何しろ彼は自分のリーダーとしての意志を貫いた(らしい)と
わかるものの、内容がさっぱり意味不明。

なんだか、SF活劇映画の、悪者たちの会議(それらしいけど全く中身が無い)みたいです。
雰囲気だけは理解できる、という知的レベルのアメリカ人に向けた、
「強いリーダー、ルーズベルト」を表現するためのシーンだったのでしょうか。

だいたい、大統領が「戦え」といってるのに、閣僚でもあるまいに、
軍人たちが大統領に「不可能です」なんて、言うわけないと思うんですが。
軍人は戦えと言われれば戦うのが使命でしょ?

とはいえ、わたしはルーズベルトの開戦に際しての軍指令について何も知りません。
本当にこんなやり取りがあったのだったら謝りますが。



人形のように死体の漂うアリゾナの付近。
閉じ込められた艦内から通風口に手だけ出し、次々と溺れた者の手が力を失ってだらりと
垂れていく、それはもうこの世の地獄で、実際にあのようなものを見たら、彼らが生涯
「リメンバー・パールハーバー」と叫び続けたとしても仕方がないことに思われます。

今から溺れて死ぬのだと悟る機関部の兵士の表情、「That’s it!」(もうだめだ)と叫ぶ声、
いきなり死に直面した兵士たちの死の恐怖がこれでもかと描かれ、おそらく何も知らない
アメリカ人なら、これを観終わった直後、日本にもう一発核を落としたい、というくらい、
憎しみと復讐心に心が燃えあがったのではないかと思われます。

ここまではよろしい。
実際の死の恐怖など、映画ではとても表せるものではないし、その史実の片鱗でも映画で
伝えることに努めた、この映画の姿勢そのものは、非難されるものでもありません。

ただし

これに続く東京大空襲で多数犠牲になった日本の一般市民の被害をもちゃんと、
公平に描いていれば、の話ですが。



と言うわけで、次回「パール・ハーバー」特別編「東京大空襲の巻」に続く!



 


映画「パール・ハーバー」間違い探し第二次攻撃

2012-05-08 | 映画

さて、第二次攻撃に移る前に、前回のおさらいです。
冒頭写真が、日本人どころか世界の教養ある人たちにとっても、最もこの映画で印象的、というか
衝撃的であったシーンなのですが、ちゃんと写真が撮れたので、もう一度突っ込んでみます。

映画を観ているだけは、あまりにもそのショッキングな構図に細かいところを見逃しがちですが、
こうやって写真に撮ってみると、さらにいろんな奇々怪々な表現があるのが判りますね。

鳥居を見てください。
いきなり、コンクリートの上に屹立する妙な形の鳥居。
そもそも、鳥居とは神域と人間が住む俗界を区画するものであり、神域への入口を示すもの。
一種の「門」で、結界を意味するものです。

こいつらにとっては、鳥居など、しょせんチャイニーズ・デリの紙パッケージの模様くらいにしか
意味を為さないものなのでありましょう。
コンクリートの上に、当然どこにも通じていない場所に、旭日旗をただ干すために鳥居を立てる。
他文化(しかも神事)への冒涜としかいえない愚かな仕業です。
おまけに、鳥居の上部からは、よく見ると

転倒防止のためのワイヤーが四本張られているのが見えます。

さて、映画のときもしかしたら皆さんは見逃していませんでしか?
この軍極秘軍司令部会議海上の向こうには、聯合艦隊の艦船が大集合していることを。
いや、これはまた、港でもないのに随分沿岸近くを航行するものですなあ。

そして、軍極秘の会議会場に、なぜ事業服を着た下っ端がこんなにたくさんいるのか。
手前の事業服三人トリオは、いったいどんな役目のためにそこにいるのか。
鳥居の下の三人は、鳥居が倒れてきたら支える係なのか。
見れば見るほど、いろんな発見があって味わい深い一シーンですね。



これは、何か?
わざわざプールに模型を浮かべないと艦隊の動きが想像できないようなトーシローが、
日本海軍の上層部であるとでも言いたかったのか?
また、この爺さんたちも、真剣に模型見て考え込んでるんじゃない!

因みに、この三人、まん中のマコは日系ですが、二人ともいかにも中国人な顔をしています。
右の軍人は、日本語吹き替えで、全く口と台詞が合っておりません。
マコは一応吹き替えなしですが、吹き替えにした方が良かったと思います。
思わず「日本語でOK」と肩を叩いてやりたくなる山本五十六です。

「真珠湾の 朝もやが晴れるときに 総攻撃だー」

って、山本司令はポエム爺さんだったのか。



スパイが撮ってきた写真を、なぜか竹の床几に並べる司令部。
小さな茶碗は、中国茶用のものですね。中国人スタッフが置いたんでしょうけど。



これが日本帝国海軍の使用していたチャート(海図)だ!
アートです。
きっと、棟方志功に彫らせた版画に違いありません。
あんたら、日本の文明とか近代化について、完璧に見くびってますね。



はい、搭乗員のブリーフィングは、地べたにチョークで図を描いて行います。
おまけにこの小学生みたいな字と、幼稚園児の描いたような図は何なんでしょうか。

「空母」「破壊船」「船艦隊」「零式艦」「フォド島」

空母以外は全く意味不明。図の表すところの意図も、意味不明。



九一式航空魚雷の仕様を、この海軍のお偉いさん達はこれまで見たことが無かったようです。
確かに真珠湾攻撃で使われたのはこの九一式航空魚雷(二型)で
この型が大日本帝国におけるほぼ唯一の航空魚雷であったわけです。
1941年には二型が改良されてテストを済ませたところだったので、確かにこの
世界から絶賛された航空魚雷がデビューするシーンがあるのは納得します。
しかし、91型2のスペックをさらに良く見ると、

全長5メートル?

これ、全く5mの長さに見えないんですけど。
第一、真珠湾攻撃についての会議で、わざわざ石板に魚雷のスペックを彫り込んで、
それを軍司令部が総出でうち眺めなくてはいけない理由が、わたしには全く分かりません。






ちなみにこれが91式魚雷ヒット寸前の図。
・・・・なんですが、これもどう見ても小さすぎるでしょう。せいぜい1mに見えません?
・・・ってことは、これ、もしかして、艦艇用の酸素魚雷、93式じゃないですか?
このペンキ塗りをしている水兵の真下に直撃。
哀れ彼らは木っ端みじんこ、というわけです。




さて、このへんでレイフの出征した欧州戦線に目を転じ・・・。
血のべっとり防風ガラスに付いたままの飛行機を
「これ、あんたの乗機の予定だから」
と得々として他国から来た新人パイロットに見せるような無神経なのが即ちイギリス人だと、
まあ、要はこう言いたいわけですね。

それはいいんですが(よくないけど)このスピットファイア―に書かれたRF、これは何か?
これは、バトル・オブ・ブリテンで名をあげた第303コシチュンコ戦闘機中隊
が使用していたマーカーだそうです。
ポーランド人ばかりのこの戦闘機隊は、10機以上の撃墜エースを多く抱え、まさに
「ポーランドの英雄」でしたが、連合国のポーランド人に対する偏見に悩まされたそうです。

この部隊にアメリカ人がいたという記録は無いそうですが、
なぜこの部隊をレイフの転任先に選んだのかは、謎です。
というか、どうせ「何か適当にアルファベット付けておけばいいんじゃね?」
ってな態度で、調べもせずに適当に字を書いたとわたしは踏んでいるのですが。



フェイム・オブ・プレーンから引っ張り出してきた御自慢の実機でしょうか。
やはり経年劣化はごまかしがたく、翼などボコボコしているのが判ります。
だから、52型はまだこの時できていないと何度言えば(略)



こういう、カウリングに被せる座布団状のカバーを、帝国陸海軍の飛行機の写真で
今まで一度も見たことが無いんですが・・・・。
それから、全体的にこの映画に映る日本兵は態度が悪い。
指を伸ばして歩かないと殴られる世界なのに、肩にカバンがけしてデレデレ歩くとは。
まあ、アメリカ人スタッフや中国人のエキストラには、未来永劫わからないだろうな。
日本の軍人の(とくにこの時の)佇まいや、緊張感など。



99式艦爆。めずらしく、これは間違っていない気がしますが(ですよね?)、甲板がなぜ
白いペンキで塗装され、さらに真っ赤なラインを引いているのかは謎です。



隊員の集団写真。
これも、出撃前に必ず写真を撮る海軍を表わすに正しい描写で、見たところ
わりと日本人ぽい顔の青年たちが搭乗員になっている気がします。
ただし、椅子に座っているのが大尉で、中尉がが一番前の地べたに座っているのはヘン。
そして、一番前の搭乗員、歯を出して笑うな。



艦内でラジオ(変な形)を聴く将官たち。
・・・で、このデスクの上のまるでお茶の間にあるような木の小引き出しには何が入ってるの?
薬?重要書類?爪切りと耳かきとか?
ちょっと時化たら、みんな転がり落ちちゃいますが、いいんでしょうか。
この妙に安定の悪いラジオは、時化でなくても倒れそうですねえ。



さて、このへんで、この映画にチョイ役で出てくる人たちをご紹介。
この男前は、キンメル准将。
うふふ、真珠湾攻撃のときに59歳だった、比較的醜男のキンメルとはとても思えないわ。
真珠湾攻撃のときに57歳だった山本五十六を、69歳の怪しいジジイに演じさせておいて、
これは無いんじゃない?

ところでこのキンメルさん、ファーストネームがハズバンド。
「マイ・ハズバンズ・ネーム・イズ・ハズバンド」と奥さんは生涯言い続けたんだろうなあ。
真珠湾の責任を全て被せられたキンメルのために、戦後遺族が、
名誉回復の運動を起こしているようですが、クリントンもブッシュも署名を拒否したんだそうで。
なんだかいろんな意味で真珠湾って言うのは、アメリカ人の中に禍根を残してるんですねえ。
キンメルとその遺族には可哀そうだけど、まあ、戦争だったんだから。
と、人事だと思って軽く言ってみる。



ドゥーリトル少佐。
アレック・ボールドウィンが演じています。
もう、すっかりデブってるけど、一応二枚目俳優を使っています。
東京空襲前、レイフとダニーを(戦闘機パイロットなのに)スカウトしますが、その際、
「もし機がやられたら、捕虜にならず適当なターゲットを見つけて自爆する」
と適当なことを言って笑わせてくれます。

ドゥーリトル隊の何人かは捕虜になっちゃったみたいですけど?
わざわざ、自分はとっとと中国大陸に逃げて助かった隊長に
「カミカゼアタック」をするつもりだということを、なぜ言わせたのか?
完全にアラ探しモードに入っているエリス中尉の耳には、
この言葉が何かの冗談のようににか聴こえませんでした。

そういえば「トラ!トラ!トラ!」では描かれていた飯田房太大尉の自爆シーンも、
この映画にはありませんでしたねえ。
実は、特攻って、口では「クレイジー」とか言いながら、彼らにとっては内心「英雄的行為」
として捉えられており、日本軍を英雄的に見せる自爆シーンを描くことをあえて避けたとか?

わざわざドゥーリトルに特攻賛美させた、その理由とは?



イヴリンの同僚看護婦。
うーん、どう見てもコスプレしている「プレイボーイ」のピンナップガールです。
あのチャラチャラしたイヴリンも、あるアメリカ人(御用)映画評論家に言わせると、
「絵にかいたような看護婦タイプ」なんだそうですが、いやー。
そりゃ、本職の看護婦のイメージじゃなくて、あくまでもプレイボーイの(略)
何が言いたいかというと、「男が勝手に思い描く看護婦像をそのまま映画にするな」ということです。
はい。



情報収集官を演じるのは、聞いて驚け、ダン・エイクロイド。
ゴーストバスターズです。
でも、この人が実は一番まともな役をしていたように思います。
「こんな動きがある」というのを軍司令部に「君の直感を信じて艦隊を動かせと言うのか」
なんて言われて、懊悩する小心な(情報収集力はありそうですが)人間を演じています。



赤城艦内で家族への手紙をしたためる搭乗員。
あれ?どこかで見たことあるぞ、このお兄ちゃん。
はっ。
この間感想を書いた「リメンバー・エイプリル」で、日本の水兵マツオを演じた、
ユウジ・オクモトではないですかー!

日本語がほとんどしゃべれないくせに、こういうのにはちゃんと出してもらっているのね。
それはいいけど、艦内でろうそく3本も手許に置くな!
何か?
日本の艦船には、電気が通じていなかったとでも言いたいのか?



さて、わたしがどうしても許せなかったこのマコの演技の一つ。
薄暗い艦長室で、このしわだらけの醜い顔がさらに醜悪に見えるライトを当て、
なぜか肘をついたまま上目づかいで

「皇国の興廃この一戦にあり」

と呟く(呟くな)山本五十六。
ここまでは百歩譲ってまあ許せるとして、問題はこの後です。
写真を見ていただければわかりますが、マコのこの視線、ヘンじゃないですか?
なんで、大決断をした直後の長官に、こんな落ち着きの無い表情をさせるのでしょう。

このシーンをご覧になった方は、お気づきだったかと思いますが、「一戦に在り」
といった後、この山本司令は、わざと視線をきょろきょろと彷徨わせます。

あたかもこの攻撃が、後ろ暗い疾しいものであるということを、
山本長官自ら認めているような


演技なのです。

表面的に見て「なんだか日本を貶め過ぎだなあ」と何となく感じる人は、
日本人のみならず世界中にいたものと思いますが、実はその貶め方も「ついうっかり」とか、
「資料を調べていなくて」とかいうものではなく、普通の人なら見逃してしまいそうなこういう細部も、
実に微に入り際に入り、執念すら感じる計画的細かさで印象操作を行っているのです。

どうよこの卑怯さ。

ところで、お詫びと訂正がございます。
前々回の「山本長官が第三次攻撃を中止させた」のは、全くの過ちでした。


同じような貧相な爺さんを南雲長官にするもので、マコ岩松と見分けがつかず、
つい失礼しました。
2度目に見たら、別の爺さんでした(笑)
で、その理由が
「第三次攻撃は奇襲になりえないからだ」
これは説明しましたね。
しかし、これは「日本が最初から奇襲を計画していた」という大前提でないと、
全く意味の無い台詞になってしまいます。

というわけで、ここもあからさまに創作です。

マイケル・ベイはこの後の世界中からのバッシングによっぽど懲りたのか、この次の作品、
「トランスフォーマー2」では、一転して日本にすり寄り、劇中でも何かと日本をヨイショして、
罪滅ぼしにこれ努めていましたが・・・・・、全く日本人があっさりした民族でよかったねえ。
他の国なら、多分入国禁止ですよ、この侮辱映画を撮った監督ということで。


というわけでまたもや真珠湾攻撃までたどり着けなかったので、南雲長官には悪いが、次回、

第三次攻撃を行う。


このエリス中尉がとどめをさしてくれるわ。パール・ハーバー。





旅しながら淡々と写真を貼る~熱海

2012-05-07 | お出かけ

真珠湾第二次攻撃を読もうと思ってページを開いた方、すみません。
ちょっとブレイクして、「旅淡シリーズ」を挿入させていただきます。

連休の間、何かと用事が多く、結局いつもどおりに近い生活をしていた我が家でしたが、
土曜日の朝、あまりに天気が良いのでふと思いつきで熱海に行ってきました。



こんなとき車で行くのは無謀。
何と言っても新幹線に乗れば、30分で熱海についてしまうのです。
さすが、関東のお座敷(死語?)と言われた熱海です。
我々は関東で育っていないので、熱海が新婚旅行のメッカとして輝いていたことや、
宴会と言えば熱海、みたいな関東人なら誰でも持つイメージを全く持っておりません。



駅前の通りはいまだにこんな感じです。昭和って感じですね。
人通りが無いわけではないのですが、テナントの入っていない空き店舗も多く、
たまに店構えが新しい一角があると思ったら「コリアンパブ」ばかりがずらっと並んでいたり、
なんだか往年のにぎわいも今は昔、のうらぶれた風景でした。

 

いたるところにつわものどもが夢の後。
ホテルだったのかどうか、廃墟のままになっている場所が非常にたくさんありました。
海抜が高いとはいえ、この辺一帯崖の上みたいなところですから、
地震が明日にもきそうなことをあおる学者などもいる昨今、わざわざここにリゾートを立ちあげたり、
ましてやマンションを作ろうとする業者もあまりいないのでしょう。



公国、です。つまり、このリゾートには公爵がおられるようです。
バブル時代の温泉ブームの頃、今までのおじさん中心の温泉リゾートはもう古い、
「女性を呼べるような温泉に」、と競ってホテルのリニューアルをしたそうですが、
どうもここもそうだった模様。

 

こっちが旧館。
開業時は「ホテルニューアカオ」だったわけですね。
「ニュー」をつけるのが流行っていた時期ですから、おのずとその古さが偲ばれようと言うもの。
この旧館は、右写真のように崖の斜面に添うように建っており、ロビーが17階にあります。
中は昭和そのもので、カラオケ屋と足裏マッサージ(スタッフ全員中国人)と、
その横に魅惑の変身スタジオ(お姫様ドレスを着て写真を撮る)なんかがあり、
レトロな雰囲気を模した屋台横丁もあります。



息子が「ラーメン食べたい」というので、この横丁でラーメンを着いた日の昼いただきました。
裕次郎のポスターが、昭和っぽさを一層盛り上げております。
味は・・・・・「人んちのおばちゃんが作ってくれたラーメンレベル」かな。
美味くもなし、不味くもなし。



泊ったのはニューアカオの方ではなく、新館の「ロイヤル・ウィング」の方。
ベッドでなく、洋室にたたみを乗せて、このようにお布団を三つ敷ける部屋。
女子グループやうちのような三人家族向けの仕様です。
因みに奥にテレビがありますが、当然のように一回もつけませんでした。

しかし、温泉旅館にありがちなこととして、インターネット設備は皆無。
わたしの携帯wifiも、全く電波を受信しません。
パソコンから離れるためのお出かけのようなものなので、普段なら全く問題はありませんが、
今回はたまたま「パールハーバー」を作成中に衝動的に旅行を思いつき、出発してしまったため、
なんとかこれを仕上げたいものだと思って、ホテルのロビーに行ってみました。

しかしページが変わるのに、まるまる数十秒を要すような調子でまったく捗りません。
いらいら倍増。何のために旅行に来ているのか、わたしは。

そんなときはあっさりとあきらめるのが吉。
せっせとお風呂に入っていたところ、Toが仕事先から合流してホテルに到着しました。
昨日買ったばかりというwifiが無茶苦茶優秀で、そんな感度の悪い崖の上のホテルの一室でも
恙無く家族全員部屋で仕事をすることができたのでした。
それにしても、wifiも日進月歩ねえ。

 

ところで、ラーメンを食べに息子と一緒に旧館に向かっていたときのこと。
いきなり「ぱりん」と何かが割れる音。
「え?」
かけよってみると、



歩道のタイルが音を立てて外れたのでした。
「・・・・なにこれ」
「「地面が動いたってこと?」
「・・・・地震、クル?」
(息子、心配そうに)「ここで来たらどうなるの?」
「津波が来ても崖の上だから大丈夫。それより建物ががけ崩れで崩壊する可能性があるな」
ちょうどこの日は、「スーパームーン」で、お月さまがやたら大きく、



「今日の夜地震が起こっても全く驚かない」
「やだー」
などといって喜んでいたのですが、何もなくてなによりでした。
でも、あのタイルが跳ねたのだけは、意味がわからなかったなあ。

 

夜はそれなりの温泉旅館っぽい夕食を食べ、開けて翌朝。
家族思いのToが、皆のために貸切風呂を借りてくれました。

 

男性陣が「熱かった」といって早々に帰ってきたので、わたし一人で40分近く、
海風に吹かれながら、のんびりとお湯につかって、温泉を満喫しました。
何カ月に一回か「温泉欲」が抑えきれなくなって、温泉と海のあるところに出かける我々。
息子は、親の影響でときおり「温泉行きてえ」と12歳にして呟く、爺むさい少年です。



この日は連休最終日、日曜日で、崖の下では釣りをしている人影が見えました。
さて、この公国は山を一つ所有しており、「ハーブガーデン」というちょっとした
植物園のような公園をホテル宿泊客への観光の目玉にしています。

今回、なぜToがここを(勝手に)予約したかというと、彼は昔、職場の大々的な打ち上げで
ここに泊り、夜には天使の羽のようなものを背負ったロシア人のダンサーのショーを観て、
次の朝、チェックアウトのあとにこのガーデン見学をした、という経験があるのだそうです。

ショーはともかく、ここにはぜひ一度連れて来たかったから、という理由によるものなのでした。


バスがホテルから出ていて、山のいちばん上まで連れて来られ、皆斜面を歩いて降ります。
で、一番上に(おそらく昔から)あったのが、小さな神社。
ここの絵馬を、ちょっと写真に撮ってきました。



真面目そうな女性、といった気がいたします。
まだ素敵な男性には出会えていませんが、来年結婚したい、と目標がやたら具体的です。
恋愛をしたい、っていうお願いじゃないんですね。
でも、恋愛を結婚と「別もの」にして扱う、なんていう考えの男女が増えた結果、
恋愛はすれども結婚せず、みたいな不埒な?カップルが些細な理由でくっついたり別れたり、
結果、結婚って何?みたいに皆が思いだし、少子化がどんどん進んでいったのではないかと。
難しいことを何も考えずに、ただ結婚したい、これじゃなぜだめなんでしょうねえ。
思うに、恋愛と結婚は、一部しかリンクしないんですよ。
恋愛は結婚の動機になるけど、結婚生活に必要のなのはむしろ恋愛より友情だからねえ。
この女性にいいご縁がありますように・・・。



かと思えばこんな女性も。
「いつか○○(男性名)が迎えに来てくれますように・・・・・」
これは、いかなる状況でしょうか。
男性がどこかに行ってしまったのは確かのようです。
「迎えに来る」とは?
この女性は、なぜ、男性に自分から会いに行けないのか。
もしかしたら、既婚者で、今の状況(旦那がDV男とか)から連れ出してほしいのか?
それにしても・・・今日明日ではなく、すぐにでもなく、「いつか」です。
なんだか、あまり現実味の無いお願いに思えます。
この女性が現在あまり幸せそうではないらしいことだけは、わかります。



向井安全。
こんな四文字熟語、ありましたっけ。
家内安全の書き間違い?
それとも、向井さんの家内安全?
もしかしたら人の名前かもしれないと思いつつ、あまり不審なのでつい撮ってしまいました。
横の絵馬の絵が可愛いですね。

さて、ここは、セクションごとにテーマが違って、日本庭園に始まり、イングリッシュガーデン、
ハーブガーデン、その他、と続きます。

 

深い哲学的意味を持たせて配置してある京都の庭と違って、ここのは
何となくきまぐれで置いてみた、という感じの敷石の配置です。
こりゃどう見ても巨大な肉球にしか見えません。

冒頭の写真は、イングリッシュガーデンに咲いていたラナンキュラス。
文京区在住のとき、小さな庭があったのでこれを咲かせたかったのですが、都内の
高温多湿、ことにあのあたりの風の無い都市型焦熱気候では、全く不可能でした。
ここくらい風通しが良くて日当たりも良ければ、何でも育つんでしょうけど・・・。

  

 



ここは、ガーデンウェディングもできるのですが、その際鳴らす鐘が(多分)これ。
二人で鳴らせば愛が成就する、というようなふれこみで作られたのもだそうです。
もともとはいつも鐘を鳴らす紐がついていたのだと思いますが、紐が垂れていれば引っ張る、
という人の習性により、皆がやたらカンカン鳴らしてひんしゅくを買ったのか、それとも、
紐がすぐに切れてしまうのか、なにしろ、手の届かないところに鐘だけがぽつんと。

「ハイ・アタックで鳴らせるでしょ?アナタバレー部だったんだから」
とけしかけあっていた女子会の皆さんあり。


下りといえども斜面や小さな階段をずっと降りて行くのは、なかなか大変。
ましてやこの日のようにお天気が良すぎると、元気な人でも「ああ、休みたい」と思います。



ちょうど誰もがそう思うころ、そこに忽然と現れるアイスクリーム売り場。
皆、当然のようにここで一つ600円の(高っ)バラのアイスクリームを求めて脚を休めていました。



バラのアイスクリームはバラの花びらのジャムをかけ、中にも花びらが混入しています。
大変!美味でした。
そして、喉も渇くんですよね。これだけ歩くと。
右からバラのジュース、バラのお酢ジュース、バラのお茶。
バラの香りがして、かつ甘くないバラのお茶が、家族全員の取り合いになりました。

ところでわたくし、まさか熱海の温泉に行って山中を行軍するとは全く予想していなかったため、
この日、素足にサンダルという、とんでもない装備で散策をしてしまいましたの。
いやな予感はしていたけど、イングリッシュガーデンのあたりから足の裏が痛くなり、
バラのアイスを食べたところでもう我慢できない状態。
「ディズニーランドやUSJでピンヒールを履いている女子は頭が悪い」などと
偉そうに書いておきながら、傍目には全くそれと同じ愚を犯しているヒトになっていたのです。
この後、バスに拾ってもらい下山して、そこにあった絶景レストランでランチを戴いてから
熱海の駅までたどり着いたわけですが、
そこでふと、この日が連休の最終日で、新幹線が全線満員御礼状態であることに気づきました。

いや、わずか30分、平時ならハイヒールのサンダルだろうが何だろうが立っていることくらい
何でもありませんが、この散策の後、しっかり足の裏にマメを作ってしまったエリス中尉、
デッキでキャリーバッグに座って何とかしのぎ、駅からはタクシーでなんとか家にたどり着きました。
靴を脱いでしばらくは、歩くたびにマメが押されて大変つらい思いをしました。

とはいえ、爽やかな初夏の風と緑を思いっきり楽しむことができ、
いろんな意味で連休らしいお出かけとなり、家族一同大満足の熱海でした。
熱海のイメージも少し変った気がします。






映画「パール・ハーバー」間違い探し第一次攻撃

2012-05-06 | 海軍

あまりに書くことが多い「パール・ハーバー」、全くネタの宝庫でした。
今日は、最初から書くのを控えていた「あまりにも奇妙な日本軍と日本人」の描写について、
思いつく限りの突っ込みどころをたんたんと列挙していくことにします。

ところで、冒頭の赤城から出撃した日本機の映像なんですが・・・。
ここでやる気を失っては先が続かないのですが、一目見ただけで目が点に・・・。
まず、これは編隊飛行なんでしょうか。
先頭は緑色ですが、零戦?
二機は97式艦攻?

零戦だとしたら、これは52型ですよね?
97式艦攻だとしたら、真珠湾攻撃に参加した淵田少佐の乗り機、三号型は緑色だったはず。
零戦もこの時はまだ21型で、緑ではなかったはず。

それよりなにより、どうしてこんないろんな色の飛行機が編隊を組んでいるのか?
艦攻二機は小隊長機のマークをつけているし・・・。

 この映画には、プレインズ・オブ・フェイムで保存されている零式艦攻五二型の実機と、
ロシアで復元された二二型の飛行可能なレプリカ使用されています。
つまり、実機を飛ばしているわけで、その意気やよし、なんですが、いかんせん実際に
攻撃に参加した零戦とは色からして全く違っているという・・・・・・。

この件に対してのマイケル・ベイの言い訳。

「零戦のイメージは、緑だから」

おい・・・。
イメージっていうより、飛ばせる実機がたまたま緑だったからじゃ?

このいい加減さは、軍事考証のみにとどまるものに非ず。
この映画がちゃんと史実を描いてリアリティを出すことを放棄していることは、同時に
マイケル・ベイの学校時代の成績をいたるところで如実に表わす結果になっており、
本人にとってこの映画を撮ったことは生涯の汚点となって、
これからも彼の評価を落とし続けることを確信するものです。

 

日本公開のときにここで大爆笑にならなかったんでしょうか。
わざわざ松林のゴルフ場に風よけにも日よけにもなっていないおかしなテントを立てて、
しかもでかでかと馬鹿でかい字の(しかも白抜き)スローガンの幟を・・・・。

「尊王」「憂国」「皇国」これはまあ意味は分かるとして「勇我」ってのは何ですかい?
あんたら、現地の中国人スタッフにこの幟作らせましたね?

そして、なにより、この見張の兵隊の佇まい、これは何ですか?
何でこの兵隊はこんな股下の長い、みっともないサルエル・パンツを着用しているんですか?
そして、脚を開いているのはまあいいとして、なぜ銃口を手で握りしめているのですか?
そもそも、この軍服は、海軍兵でも陸軍兵でもなく、まるで中国兵ではないですか?
あんたら、現地の中国人スタッフにこの衣装を(略)



日本軍が作戦会議を野っぱらでしている横には、着物の子供たちが、
妙な形の凧をあげて遊んででいます。
この凧は・・・日本のものじゃありませんね。
あんたら現地の中国人に(略)



いろんな映画評でやり玉に挙がっていた不思議な大本営会議の図。
まず、この妙な形の中国式鳥居の下に海軍旗を吊るしている表現を、マイケル・ベイはどこで
インプットしたのか。
少しわかりにくいですが、皆が見おろしているのはプールで、そこには船の模型が浮かんでおり、
褌に海水帽を被った兵が、その舟を手に持った棹竹で動かして、会議をしているという・・。
そして、プールの正面には黒々でかでかと

「軍極秘」

ってあなた・・・・。これ、誰に向かって表明しているの?「軍極秘」。
そもそも軍極秘なら、子供が凧上げしている野外で会議はせんだろうと。

この最大に皆に突っ込まれていた会議シーン、なぜこんなことになったかについては面白い
話が(全く面白くはありませんが)ウィキペディアにありました。

戦時中に制作された「ハワイ・マレー沖海戦」(1942年)の特撮中の宣伝用スチル写真
(特撮用プールに入り、攻撃を受ける米戦艦の模型を準備している)を見て、
作戦会議の写真だと勘違いしたものと推測されている



山本長官を演じるのはマコ岩松。日系の役者です。
昔「ソニーがアメリカに攻め込んで~」みたいなミュージカルをやってたような気がしますが、
69歳のマコ、しわくちゃで貧乏くさく、さらにわざわざカメラは室内では下からライトを当てられ、
実に老獪そうで老醜の山本司令を日本語も怪しく演じています。
司令部の日本人は全て選んで、どうしようもない爺さんばかり。
アメリカ側はドゥーリトル中佐を始め、キンメルですらムンムンなばかりに精力的で、
しかも、真珠湾のあった12月にもかかわらず夏の白い軍装でパリッと登場。

日本側のあくまでも地の底から呪術でも行いそうな不気味な描写は徹底しており、
この対比の持たせかたに何の悪意も感じられないのなら、あなたはこの映画の意図を
全く理解していないと言わざるを得ません。



日本海軍の、老人ばかりを使った(平均年齢70くらい)シーンの後にくるのがこれ。
これなど対比の意図が露骨過ぎて、怒りで体が震える気さえしました。
美しい娘たち、彼女らを歓迎してデッキを走る水兵たち。

日本人に対する露骨な人種差別を押し出していることへの言い訳として、この映画は
どうでもいいところにやたら黒人の出演者を挿入して、アリバイを作っています。
アリゾナのコックで、艦長に信頼される水兵(黒人で初めて賞をもらったらしい)。
ルーズベルトの車いすを押しているのが黒人の執事。
前者はともかく、これ、実話ですか?
人種交配論をぶち上げ、実は差別主義で公民権運動勃興の妨害をしたルーズベルトが、
自分の車いすを黒人に押させるとは、とても信じられないのですが・・・・。

この頃のアメリカでの黒人差別は半端でなく、そもそも人間扱いすらされていなかったはず。
そして虐げられていた黒人社会では「日本人が白人をやっつけた」と
むしろ真珠湾を喜ぶ声もあったというくらいだったのですが、
この映画における世界では、アメリカは人種差別をしたことは無いと言い張っています。
この、ディズニーの世界では。

実は、あれからドナルド・ダックが日本軍をせん滅させて大笑いする動画を見つけてしまいました。
戦闘機に旭日旗がついているので、ディズニーも言い訳できません。
ある意味「東京上空30秒前」より露骨で、現在のディズニーの見せている顔が
全く信用できなくなるしろものです。

だからわたしはディズニーが嫌いなの。
戦時中はこうやって、子供に人種差別を刷り込んでいたことを隠し、
平和になったら素知らぬ顔で、愛だの友情だの、お安い理想社会を売るディズニーが。


そして、この映画は、ディズニーらしく、こうやってアリバイ操作をしながらも露骨です。
このありえない前時代的な日本軍の姿、敢えて醜悪な人選をしたとしか思えない司令部、
(トラ!トラ!トラ!の山村聡のような男前など意地でも使うもんかという意志が見えます)
スパイの日本人は、とても日本人に見えない、しかも佇まいの醜いしわくちゃの爺さんで、
加えてこのろくに考証をしていない日本軍の総じてカッコ悪いことといったら・・・。

「トラ!トラ!トラ!」における日本軍のシーンがやたら凛凛しく、何も知らない息子すら
「かっこいいよねえ」とつぶやいたという、あのような描写はここでは全く無視されます。
(スタッフは絶対にこの映画を観ていると思うのですが)

どこかで、「この最低の映画の良い点とは」という問いの答えに
「あまりに酷いので、他の戦争映画、ことに『トラ!トラ!トラ!』の評価が爆上がりした」
というのがありましたっけ。
あれもあれで、いろいろとあったようですが、このアメリカ側のファンタジーだけで作られた、
奇怪な映画に比べると、超リアリズムに思えてくるから不思議です(笑)

意外と?書くことが多くて、間違い探しを一回で終わることができませんでした。
残りは第二次攻撃に回します。



それにしてもこれ・・・。
レイフがイヴリンの気を引こうとして「6時間かけて作ったんだ」と手渡す折りヅル。
ここでなぜ使われる小物が「オリガミ」なのか?
わざわざ日本伝統のものにしたのか?
しかも、この折りヅルは、6時間かけた割に作り方が間違っていないか?

仕込みも小物の製作をするスタッフにも日本人など勿論一人もいなかったってことですかね。


(怒りを貯め込みつつ続く)


映画「パール・ハーバー」の恋人たち

2012-05-05 | 海軍


続きまして、「パール・ハーバー」です。
昨日、大上段から「911に向けての民意懐柔の準備ではないか」
などと書き殴ってみましたが、まあ、あまり本気になさらずに。

アメリカは常にどこかと戦争している国。
国としては、戦い続けることに国民が疑問を持たないような安直なアメリカ正義論を、
常にエンタメに紛らせて投入しておく必要があって、この映画もその目的で作られ、
たまたまそれが911の直前になっただけのことかもしれませんし(棒読み)

もう少し問題を卑小に見れば、この映画を製作したのはディズニーです。
どうせ失敗するだろうと日本におけるディズニーランドの経営権を、本国ではなく
オリエンタルランドに丸投げして、蓋を開けてみたらその大成功ぶりに歯ぎしりをした、
あのディズニーです。

日本人はディズニーが好きですが、ディズニーは日本が好きじゃないのです。これ本当。

「ライオン・キング事件」(手塚治虫のジャングル大帝を丸ごとパクった)をご存知ですよね?
なぜか、やたら中国を持ちあげていたムーラン、そしてこの「パール・ハーバー」。

強烈なレイシストで、反共産主義、反日思想の持ち主であったウォルト・ディズニーの、つまり
創業者の意志を受け継ぎ、ついでに当時ビッグな市場として今後の中国に資金投入するための
意向をくんだ自然な流れ、と観ることができるかもしれません。

つまり、国家というより「ディズニーの反日映画」なのだと。

ウォルト・ディズニーは、第二次世界大戦中や冷戦中、自ら版権を持つキャラクターを
軍や政府に無償で提供していましたし、当時製作された映画にはミッキーマウスが戦闘機に乗り、
零戦を射ち落とすシーンもあるそうです。(・・・・観てみたいけど)

ディズニーランドの日本進出に手を出さなかったのも、
「ウォルトが生きていたら絶対に反対した」という一事によるものだとわたしは思うのですが。

さて、今日は政治関係の話をそっちに置いておいて、この映画の人間模様について。

え?こんなどうしようもない恋愛ドラマの話なんぞ聞きたくない?
まあそう言わずに。

評判、悪いです。
ヒロインのイヴリン。
彼女の美点って、まず、なんですか?

美人?

おそらく、レイフもダニーも、彼女の美貌が好きだったわけです。
レイフは彼女に一目ぼれして、もう一度診察してもらうために人のカルテを使って診察を受けます。
ありがちなアメリカン・ムービーの手口です。
おかげで、お尻を彼女に見せる羽目になり、注射を二本もばっつりと打たれます。
そしてこの看護婦のイヴリンも、男が実はどんな奴なんだか、何にも考えちゃいません。

ただ目の前に現れては注射の作用で昏倒したり、シャンパンのコルクを鼻にぶち当てて泣く、
という間抜けぶりを披露する男に、いきなりキスを、それも自分からするのです。

このあたりがまずもってとんでもなくカルい。待ってた感満載です。

軍に看護婦として勤務することを、他の看護婦連中もそうですが、
「アーミーのボーイフレンド探し」程度にしか思っていない、という感じです。
取りあえず、あたくしの美貌に引っ掛かってきた気の良さそうな男がいたのでゲット、みたいな。

おまけに、恋人と元恋人がそろって東京空襲に参加することになったとき、この看護婦のしたこと。
自分が真珠湾攻撃のときに助けた通信将校に、
「ドゥーリトル隊の情報がわかる部署に連れて行って」と頼み、相手が渋ると、
「あなたの激動脈を指でつまんで止血をし、命を救ったのよ!わたしは」

・・・なんなんだこのヤクザ看護婦は?
自分の当然の任務を恩に着せて強請るつもりですか?
あなたは何のために看護婦になり、何のために任務に付いているのですか?

この、恋愛至上だか何だか知らないけど、公私混同を当たり前のようにやってのけるなど、
実際の従軍看護婦への侮辱でもあるし、こういういい加減さを何より嫌う日本人には
全く共感のできないシーンだったのではないでしょうか。


さて、このレイフとイヴリン、出会いがそんななので、愛したの何のと当人たちが言っても
「しょせんお尻がかわいかったからだろ」
程度の意味しか、この恋愛には認められないのです。
いや、実際の恋愛も、こんな他愛の無いものが大半なんでしょうけど。

だから、レイフが戦死したとたん、声をかけてきたレイフの親友ダニーをコロっと好きになります。

またこの映画の恋愛表現が、お定まりのアメリカ映画の踏襲。
わたくし、「愛している」なんて主人公がまじで言いあう映画を久しぶりに見ましたよ。
そして、後ろめたさもあって、なかなか素直になれない女を、男はもうひと押しするため、
軍規を破って無断で上空飛行に連れ出すのです。
戦闘機で。(げんなり)

所詮お尻でふらふらするようなレベルの女ですから、飛行機なんぞに乗せた日にはもうイチコロ。
見つからないように二人でパラシュート倉庫に逃げ込んだあたりでこの後の展開が読め、
(スリルがまた女を大胆にさせるってね)お約束のラブシーンが始まった頃には、
もう百回くらい観た映画のような気さえしてしまいました。

まあ「バック・ドラフト」の消防車のホースの上、みたいなラブシーンが欲しかったんでしょうねえ・・。


そんなこんなで大はしゃぎしていると、生きていたレイフが欧州戦線から帰還。
生きていたとはお釈迦様でも知らぬ仏のレイフ登場。
三すくみの三人。

いちばんここで可哀そうなのはレイフくんでしょう。
かれにしても、彼女のどこに惹かれたかと言えば綺麗だったからとしか言いようがないけど、
それにしても、こんなにあっさりと自分のことを忘れて、しかもちゃっかり親友とくっつくような、
その程度の女であった、と知ったことが最大のショックだったと思われます。

でも、レイフくん、これは仕方がないのよ。
イヴリンにとっては男性はこの世を生きていくための大事な命綱。
切れてしまえば次のを探すしかないのですよ。
ちょっと忘れるのが早すぎるけど、そんなこと言ってたらチャンスは無くなってしまうし。

可哀そうなレイフ、自分が彼女のことを思って、最後の夜を共にしなかったのに、
ダニーの野郎はしっかり彼女を妊娠までさせたことを知り、二重にショックを受けます。

いや、これは怒っていいよ。

「死んだと思ったから」っていうのは、実に狡猾な言い訳に過ぎない。
レイフのことをネタに盛り上がってしまった、ただし本人の意向はあっちに置いておいて、
というのが本当のところですからね。

男性二人が三角関係で殴り合ったりしていると、おあつらえ向きに真珠湾攻撃が起こり、
問題は一時棚上げに。(もしかしてそのための『パール・ハーバー』?)
この際二人で日本機を多数撃墜したので、ドゥーリトル大佐からスカウトされ、東京の空襲に
参加することになります。

・・・って、戦闘機乗りがいきなり艦爆に?

まあいいや、この程度のおかしなことを指摘していたら、次回で指摘する予定の「ヘンなこと」
はそれこそきりがありませんから。


そして、その出撃が決まったとき、最後に会いに来たイヴリンの腹黒さときたら・・・・。
まずレイフに向かってうらみがましく、
「ワタシを愛したことを忘れたみたい」
そりゃ忘れたいだろうよ。そしてその原因を作ったのはあんただ。
そして、「妊娠が分かった日にあなたが帰ってきた」などと、言わなくてもいいことを、
わざわざ父親であるダニーには言わず、レイフに言うのです。

わからん。彼女の意図がわからん。

「心はダニーに捧げるけど、夕陽を見たらあなたを思い出すわ。
あなたをこれからも愛してる」

って、何をしっかりコナかけてるんですかこのビッ●は?
そして、その直後ダニーと二人きりになって熱い抱擁を・・・・。
こっちにももちろん「愛してるわ」

はいはい。(げんなり)

これは、どっちが死んでも、生き残った方とどうにかなろうって下心満点じゃないですか。
結果、子供の父親であるダニーは戦死。
(因みにわたしはレイフが生きて帰って来たとたん、最終的にダニーが死ぬのを確信しました)

当然のようにイヴリンは生き残った方をむりやり父親にして子供を育てさせることになり、
後味の悪いハッピーエンドでこの映画は終わります。

レイフに対して最後まで同情が続かないのは、これですよ。
こんな調子でしっかりどちらをも確保している女の手のうちにまんまと嵌って、
自分の子でもない女の心変わりの結晶を唯々諾々と押し付けられている。
「歯がゆいやつだな。もうこんな女、フッちゃえばいいのに」と映画を観ているうちの、
52パーセントくらいはそう思ったのではないかと予想します。

思うに、この映画は帰ってきたレイフとイヴリンを結婚させるべきではなかったね。
イヴリンに同情と共感を得させようとしたら、ここは思いっきり男前に、

「一時でもあなたを忘れたとき、あなたは私の中で死んだの。
卑怯者になりたくないから、ダニーの子は一人で育てるわ」

そしてみんなが一人ぼっち、の方が、少なくとも悲恋としては受け入れられたと思うんですが。


さて、もし、二人とも生きて帰ってきて、ダニーとイヴリンは結婚したとしましょう。

こういう女性はね・・・・必ず夫婦が倦怠期になって喧嘩にでもなったとき、もう一方の男の
ところに行って「最近彼とうまくいっていないの」などといいつつちゃっかり浮気します。

これは確実。
だから、この映画の男二人、お互いのためにも、どちらかが死んで良かったんですよ。
死んだ方も子供だけは残せたわけだしね。

独身の方々、子供の日だっていうのに?夢のない感想ですみません。


映画「パール・ハーバー」の真意

2012-05-04 | 映画

というわけで、観ました。「パール・ハーバー」。
いやあ、さくらさんに感謝です。
もしあのコメントを頂かなかったら、おそらく一生観なかったでしょう。
しかし、このネタ満載、かつアメリカという国を語る上で、こんな面白いテキストは無いと。
でも、これ劇場で観ていたら、爆笑をこらえることができず大変だっただろうなあ。

さて・・・・何から書きましょうかね(笑)

まず、この映画の興行的な目的、から行きましょう。
従来の「タイタニック映画」に恋愛という要素を加味し、監督自ら「これは恋愛映画だ」と
胸を張った映画「タイタニック」が記録的なヒットを飛ばしたので、つまりは
「戦争を舞台にした恋愛映画、どちらかというと恋愛がメイン」にして、
柳の下のいないドジョウを探してみた、とまあこういうことではないかと思います。

勿論、恋愛の添え物にするにしても、タイタニックレベルにお金もかけて、できるだけパニック
(というか戦闘シーン)をリアルに描き、どちらがメインかわからないまでに映像を凝る。
その迫力シーンと、美男美女を配した、女性が涙するラブ・ストーリー(悲恋が尚よし)
を組み合わせれば、タイタニックのように賞を総なめするのも夢じゃない!

きっと、マイケル・ベイは、「I'm the king of the world!」と言って思いっきりスベった
キャメロンの轍を踏むまいと、アカデミー授賞式のスピーチまで準備していたに違いありません。

ところが。

アメリカ人の興行映画製作者が思うほど、世間の人々は馬鹿ではなかった。
さっそくこの映画は賞は賞でもゴールデン・ラズベリー賞に各部門全てノミネートされるという
栄誉に輝き、アメリカの評論家からも酷評され、公開後10年以上経つのに
いまだにアンチ・スレッドがあちこちに立っているという・・(世界レベルで)

マイケル・ベイの失敗。
それはタイタニックにおける豪華客船沈没、という「実際に起こったパニック」として、
「戦争」という、取り扱い要注意のテーマを選んでしまったことにあるのです。

あまりにひどい軍事考証もさることながら、なんといってもこの間抜けなくらいおめでたい
アメリカバンザイの史実捏造、都合のいいところだけ抽出、あくどい印象操作。

おまけに頼みの綱のラブ・ストーリーとやらが・・。
後年「トランスフォーマー」で描いたところの、「ダメ高校生の時は相手にされないが、
ヒーローになったらとたんにモテモテ」みたいなのが、しょせんベイ監督の恋愛観ですからね。
結果、ヒロインのあくどい調子の良さと、それに引っ掛かって翻弄される腑抜け男二人、
誰にも同情できない恋愛模様となり、これも酷評の原因となってしまいました。

因みに、先ほど息子に、ユーチューブにあがっている映像につけられたコメントを
読んでもらいましたが、アメリカ人のほとんどがいまだに無茶苦茶に貶しているそうです。


ハリウッドの勧善懲悪的描写によると、これまで常にアメリカは正義、アメリカは善、
そして、ロシア、ナチス時代のドイツ、最近はアラブや中国、北朝鮮(この辺は仕方ないけど)
は常に悪の組織として描かれていました。
その矛先が、この映画では日本に向いた。ということのようです。
しかし、インディアナ・ジョーンズならいざ知らず、実際に起きた戦争を一方的な勧善懲悪で
描くなんて、情報がくまなく全世界を駆け巡るこの現代において、全く無謀というものですよ。


日本の攻撃をアメリカは事前に察知しており、ルーズベルトが「先に銃を撃たせる」として、
あえて真珠湾を見殺しにしたことなど、いくらアメリカ人でも皆知っていますし、
「真珠湾が計画された奇襲ではなかった」ことも、東京裁判において明らかになっています。

にもかかわらず、この映画は、日本の軍令部の攻撃作戦会議で、山本長官に
「真珠湾に奇襲を行う」
などとしょっぱなから言わせてしまっているのです。
もうこの時点で、映画の目的は見え見え。

劇中、何度もこの「卑怯な奇襲」という言葉は繰り返され、極めつけが
「第三次攻撃を行わないと決めたのが、何故か機動部隊の旗艦に乗った山本長官で、
その理由が『第三次攻撃はもう奇襲になりえないから』

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

だそうですよ。日本の皆さん。
「トラ!トラ!トラ!」では、日本の大使館の通達の遅れた理由をちゃんと説明していましたが、
アメリカ人、よっぽどあの映画が嫌いだったんですねえ。
この映画ではそれはまるでなかったことになってしまいました。

この映画、アメリカの評論家には
「第二次世界大戦のことを何も知らない観客のために、何も知らないらしい監督が作った」
と酷評されました。
いくらアメリカ人でも、まともな見識というものを持っていたら、このあからさまな誘導捏造に
うんざりしたのではないでしょうか。

というわけで、この映画は「アメリカの国策映画」だと位置づけてしまいます。
国策映画。すなわち以前(怒りながら)紹介した「東京上空30秒前」みたいなものですよ。

そう、戦時中に戦意高揚映画として作られたこの「ドゥーリトル空襲」の映画が、
逃げ回る日本の小学生を撃ち殺して、墜落後、日本で処刑になった搭乗員については触れず、
あの攻撃が、ドゥーリトル隊を、いわばスケープゴートにした大統領の政治行為であったことを、
全く糊塗したまま、ただ英雄的行為に描かれていたように、
実はこの映画は、「ドゥーリトル空襲」を正当化することが、一番大きな目的なのです。

パール・ハーバー、というタイトルにはなっていますが、実は後半は「東京大空襲」なのです。
看板に偽りあり、です。
きっかり半分、テーマが違うのに、なぜタイトルを「パール・ハーバー」にしたのか。

それは、アメリカ人のトラウマであるところのパール・ハーバーを、思いっきり悲劇に描き、
「これだけ酷いことされれば、東京を空襲して(ついでに子供を殺しても)当たり前」
いや、・・・実は、こちらがメインだと思うのですが、
「原子爆弾投下は正義だった」
と思っている(思いたい)アメリカ人の言いたいことを言ってあげますよ!というのが、
国策映画としての、アメリカの愚民に向けたメッセージだからです。

というわけで、真珠湾攻撃のシーンは、皆手も足も出ずただやられるシーンが、これでもかと
長丁場で続きます。
映画は調子に乗って、病院や街を歩いている一般人を航空機が攻撃したことにして、
非戦闘員を殺しまくる非人道的な日本軍が描かれます。
実際は諜報の誤りでそういうこともなかったわけではなかったのですが、ここを思いっきり強調。

日本軍の激しい攻撃に為すすべもなくやられるアリゾナ、人が甲板から滑り落ち、
そして水中にすでに溺死した兵の死体が漂う様子が、海面に向けたカメラで撮られ、
その悲劇が映し出される画面には、荘厳な合唱曲風のいとも厳粛な音楽が(ハンス・ジマー)


・・・・・・・・あれ?


「タイタニック」?

うーむ、カメラワークまでそっくり真似をしておる。恥を知れ恥を。
しかも、そのあと、覚醒した?主人公のパイロットが、共に飛行機に
飛び乗り、敵機をバッタバッタ撃ち落とすときには、勇ましい曲調へと・・・(恥ずかしすぎ///)

またこいつらが、一機落とすたびに「ヒーホー」とか「ヒャッホー」とか、
馬鹿みたいに叫ぶの何とかしてくれんかね?
この攻撃に参加した零戦隊が、どれだけベテランの、選りすぐりだったと思ってんの?
さっきまで女を取り合って喧嘩していたような奴や四六時中女のことしか考えてないような連中に、
しかも機銃で撃ち落とされたりするような間抜けな日本機はなかったんだよっ!(激怒)

実際には艦爆を撃墜した10機近くパイロットが二人いたらしいけど、これだけは断言する。
それは君たちではない。

この映画における表現の酷さは、稿を別にして(やっぱり)続編を書くつもりでいるのですが、
それにしても、この映画、日本の描き方の酷さもさることながら、
アメリカの若者の描き方も無茶苦茶です。

女の尻を追いかけることしか考えていない士官、口紅を真っ赤にし、髪を振りみだして
仕事をする看護婦、また彼女たちも、どうやら男のことしか頭にない様子。
そもそも、ヒロインが主人公のレイフに最初に関心を持った原因が「cute butts」ですよ。
そんなことだから、恋人が死んでたった三ヶ月で他の男に乗り換えられるのかね?

この恋愛模様の酷さも、あちこちで酷評されており、誰にも一片の同情できない恋愛として、
今後映画界の金字塔となるのではないかと思うわけですが(勿論イヤミ)、
このどうしようもない恋愛ストーリーをてっきりウケる話だと思い込んだのも敗因の一つかしら。

さて、愚民向け映画ですから、分かりにくい話は抜きで、この映画における第二次世界大戦とは

真珠湾攻撃は日本の卑怯な騙し打ちだった

皆酷い目にあった

だからルーズベルトは東京大空襲を計画した やられたらやり返すのがアメリカだ

この空襲がきっかけで勇敢なアメリカ人たちは前に進み、日本人は逃げ惑った
(ラストシーンのナレーションそのままお送りしています)

アメリカは勝った 正義だったからだ

なんだそうです。

ちょっと待て。
戦況の転機となったのは東京大空襲ではなく、ミッドウェー海戦ではなかったか?
真珠湾の仕返しは東京空襲ではなく、広島と長崎への原子爆弾投下だったのではなかったか?

などとこの映画に突っ込んではいけません。
東京大空襲で攻撃したのが軍需工場だけ、という描き方をしていますが、
小学生を追いかけて機銃掃射し殺したのも、一般住宅を焼き払って、その結果非戦闘員が
何万人も死んだのも、ましてや原爆で無差別殺戮したことなど、彼らにはないことになっています。

真珠湾攻撃が軍事施設だけを攻撃対象にしたのに対し、東京空襲、原子爆弾、そして
沖縄戦、本土空襲に至るまで、アメリカは常に非戦闘員を攻撃してきました。
そのこと自体は責めるに当たらないでしょう。
戦争だったんですから。

しかし、自国のそういう面は全く無かったことにして、日本だけがそれをした、という嘘八百を
堂々と胸を張って言い募るこの態度は、まさに、戦後も常に他国と戦争を続けてきた、
世界一の好戦国家だけのことはあります。

そこでふと考えたのですが、この映画が発表された2001年。
アメリカでは同時多発テロが起こっています。
この映画を観て、アメリカに対する愛を深めた(大笑)アメリカ人たちは、その数カ月後、
国家的な悲劇を目撃することになったわけです。

あれはイスラムのテロではなく、ブッシュ政権が仕組んだ壮大な自演だったのではないかと
いう説があり、わたしはそれをほぼ信じているのですが、その理由は、アメリカという国は
歴史をみても、そしてこの真珠湾で起こったことをみても、戦争を起こすためなら
国民の命を犠牲にすることなどためらいもなくやってのける「二重国家」だからです。


予想通り、911が政府の謀略だったとして、計画はこの映画の何年か前にはできていたでしょう。
政府筋が
「真珠湾をテロとして描き、それに立ち向かう強いアメリカ、やられたらやり返せ、
といった調子の大作を皆が楽しめる娯楽作品として作ってほしい」
と、ユダヤのネットワークを通じて映画界にオファーを出し、
この映画が5月に公開されたのだとしたら・・・?

その後、ご存じのように、9月に同時多発テロが起こります。
皆がこの映画によって知った真珠湾を想起し、「やられたらやり返す」つまり、
ブッシュ政権がテロ国家に対して宣戦布告をすることに、賛同する空気の醸成は、
少し前にこの映画によって主に愚民の間には準備されていたということになります。

たかが映画でそんなことをするだろうか?って?
あなたは、アメリカの底しれない黒さを、そして映画界の大元が深部でどことつながっているかを
ご存知でしょうか。
マスメディア、なかでも映画が政治がいかに裏で手を結んでいるかは、
ナチス政権のゲッベルスの暗躍を例に出すまでもなく、公然の事実なのです。
ましてやアメリカのような国で、プロパガンダが大衆に向けて行われないはずはありません。

わたしの言えるのは、もしわたしが戦争の布石を打つための壮大な自演を企んでいたら、
当然ながら、国民に対する啓蒙をメディアに準備させることも忘れないだろうということです。
この自演の計画の中心に多数いたと言われるユダヤ・ネットワークを使って。

マイケル・ベイは、おそらくこの企画を「タイタニックに続け」とばかり持って来られて、
当初何も考えずその気になってしまったのでしょう。
「俺はやめる!」と4回も製作者(J・ブラッカイマー)に向かって宣言するも虚し。
勢いと成り行きで映画はできあがってしまいました。

ふと気づけば、映画の配給先としては超ビッグな市場である日本の存在をあからさまに貶め、
皆が頭を抱えているのが見えたけど、作っちゃったからにはもう開き直るしかない。
みょうちくりんな日本軍の描写については
「あくまでもわたしのイメージからそうした」と言い張り、さらにこの噴飯映画を日本に売るために
「これはあくまでもラブストーリーだ」と、キャメロンと同じことを、全く別の意味で表明しました。

この映画は、本国の試写会から日本の報道関係者を一切シャットアウトして行われ、
さらに、真珠湾攻撃に向かう日本機の搭乗員が、野球のグラウンド上空を通過しながら
「逃げろ!」
と日本語で叫ぶシーンが、試写会ではカットされていたそうです。

要するに、「ドイツ向け」「日本向け」そしてオリジナルの三パターンが用意されたというのが、
この映画に関わる人間の恥知らずぶりを物語っています。


因みに、この映画がノミネート、さらに受賞した栄えある賞を最後に載せておきます。


第22回ゴールデン・ラズベリー賞

ノミネート:最低作品賞
ノミネート:最低リメイク・続編賞
ノミネート:最低監督賞[マイケル・ベイ]
ノミネート:最低脚本賞
ノミネート:最低主演男優賞[ベン・アフレック]
ノミネート:最低スクリーンカップル賞
[ベン・アフレック&ケイト・ベッキンセールかジョシュ・ハートネットのどちらか]

(↑これ・・・・・・)

第24回スティンカーズ最悪映画賞

受賞:【最悪な総収益1億ドル以上の作品の脚本】部門

ノミネート:【最悪の作品】部門
ノミネート:【最悪の演出センス】部門[マイケル・ベイ]




海軍軍楽兵の憂鬱

2012-05-03 | 海軍




相変わらず気の毒ないかつい水兵さんです。
あれから三年経過し、かれも今や善行章一本の上等水兵。
少しは大きな顔もできるようになったとはいえ、まだまだ上にはたくさんの上官がいます。
下士官には無条件で先んじて敬礼をする立場なのですが、今日は
下士官そっくりの軍服である軍楽兵(下っ端)に間違えて敬礼してしまいました。
よくあることなので、軍楽兵はこんなこともあろうかと、上官水兵を見かけるとマッハの素早さで敬礼します。

「なんだお前軍楽兵じゃないか」
「間違えたのはそちらでしょう」
「ぬあにぃいいい」

という、どう考えてもそれ以上責めようのない口答えをされて

「ぐぬぬぬ」

と引き下がる慌て者の水兵は結構多かったそうです。

軍楽兵は、兵のうちから7つボタンのスマートなジャケットの制服を与えられておりました。
軍帽も下士官のものとそっくり。
「オケラの羽みたいな短い上着」も、ネオンなど無い頃で今ほど夜が明るくなく、
さらに一杯入っている目には見逃されがち。
軍楽兵は人数が少ないので、実態が一般の兵にとっては謎、と言うのもあったでしょう。

それでは一般の兵は軍楽兵をどう見ていたのか。
ただでさえ音楽なんぞ女子供のするもの、という風潮だった当時、
「笛吹いて国に御奉公できるんなら、按摩だってできらー」
と陰口を叩かれても不思議ではありません。
案の定「ラッパ吹いてりゃいいんだから楽じゃのー」
などと言われ、ムカつく軍楽兵はたくさんいたようです。

しかし、そういう揶揄はともかく、万人の認めるところであったのは

「軍楽兵に醜男はいない」

というこの一事でした。
「海軍上層部はもちろん皇族、外国使節列席の場でも演奏し、
練習艦隊と共に諸外国訪問の機会がある軍楽隊」ですから、
鬼瓦のようなのや超個性的な楽員がいて、注目を集めてしまっては困ります。
それになんといっても、軍楽兵の仕事の一つに「電報の取次」があり、司令長官と直接接するわけですから、
人相は悪いよりいいにこしたことはない、と人選をした結果、一般兵からは
「ハンサムばかり」
という評価を得ていました。

事実、楽団員の写真を見ると、見事に平均以上の容姿で、しかも体型も揃っています。
そして必ず何人かはかなりの「眉目秀麗」が混じっています。
このようなイケメン軍団が繰り広げる軍楽行進のかっこよさににひとたまりもなくしてやられ、
軍楽隊に入団をアツーく希望する青年もいました。

・・・・・楽器など全くできもしないのに。

しかし、以前も書きましたが、今とは違い、一部富裕階級の子息ならともかく、
ほとんどの日本人はハーモニカ以外のちゃんとした楽器など見たこともない、という時代です。
やる気と熱意さえあれば、あとは容姿チェック、そして楽器に向いているかのチェック。
歌を歌わせて音痴でなければそれで合格させてもらえました。
そして、歯並びや指の長さ、唇の厚さや身体の大きさに応じて楽器を決めるわけです。

「木下!」と呼ばれた。いや、怒鳴られたと言った方が当たっている。
「立ってみろ」「歯を見せろ」「以前の学歴は」・・・そんな質問の後、Gベース・トロンボーンと決められた。
実に教員一名、被教育者一名という隊内でも珍しい存在となった。(中略)
それは一対一で「気をつけ」「敬礼」に始まり「気をつけ」「敬礼」に終わる日課であった。

音楽どころか、気を付けと礼の繰り返し。
これも、躾がまずできていないと話にならない配置であることからでした。

新兵教育中の6か月は、他兵科と同様、一般陸戦はもちろん、カッター漕法、銃剣術、剣道、
体育
の教育課程を受け、同時に週一回筆記試験(楽典、音感、英語、数学、国語、常識問題)もあります。

全くの私事ですが・・・・・音楽大学を受験していた高校時代を思い出しました。
学校の勉強と受験勉強に加えて、本科の勉強、そして副科のピアノを一日3時間。
(休日は8時間)
我ながらよくやったけど、まあ、わたくしの場合、海軍精神注入棒は飛んでこなかったわけで。

その後、新兵としての訓練は
楽典、唱歌(コールユーブンゲン。うわあああ、このころからやってたのか)
専修楽器奏法、手旗信号、手先信号、艦内応急訓練法(フネの中では応急看護もする)、
遠泳を主体とする海上訓練(フネに乗りこむからですね)

そしてようやく、楽器を配布されます。
海軍のマークが燦然と刻み込まれたこの楽器を
「軍楽器は兵器である。取り扱いは兵器と同様特に細心の注意を払うように」
と厳かな命令と共に受け取るのです。

しかし、決められた楽器が必ずしも簡単に習得できるものとは限らない、
と言うことを以前「楽器決定」の日にお話ししました。

ジョンベラのK氏は、同郷で軍楽兵になった幼馴染に再会します。
野良着しかみたことのない幼馴染の7つボタン姿に、見違えたなあ、と感心するも、
クラリネットを割り当てられたその友達は
「えらいところに来てしまったよ・・・・見てくれ、この唇を」
見れば下唇の内側に前歯がそっくり入るような傷があり、出血しています。
「痛いだろう」
「当たり前だよ、痛いよ。でも、俺だけじゃなくてみんなこんなもんだよ」

文字通り軍隊式で楽器を習得させるのですから、楽器の咥え過ぎで血が出るくらいは当たり前、
へまをしたりいつまでも音が出ないと
「練習室の防音壁が血で染まる」くらい、バッターで殴られます。

罰直は例えば「各自の楽器を頭の上に捧げ持ったまま直立」。
フルートやオーボエはまあいいとして、チューバやユーフォニウム奏者はさぞわが身の不運を嘆いたことでありましょう。

トロンボーンを割り当てられた某氏はスライドで音程を作るこの楽器は初体験。
竹を拾ってきて針金の押さえをを作り、釣り床の中でこっそり練習しているところを見つかり、
「この意気を見習え!」とおおいに褒められます。
しかし、これを見習った班の全員が竹の棒を釣り床に持ち込んだまま寝てしまったそうで、
結果はお分かりですね。

あるいは軍人精神を以てすればできるはず、と軍楽行進曲のパート譜を渡され、
「1番から10番までの行進曲のパートを、一週間で暗記せよ」

って、軍人精神を以てしてもそれ無理ちゃいますか?

だって、パート譜だけ吹いたって、曲がどんなのか知らなければ覚えようがないっていうか。
このような不条理な無理難題も海軍精神で何とかしなくてはいけないわけですが、
案の定1週間後
「各自自分の楽器を頭の上に挙げ、膝を半ば曲げ」

・・・・うわー。チューバやユーフォニウム奏者は(略)
「覚えられたものは楽器を降ろせ」
一人降ろした男がいました。
「お前全部覚えたか」
「ハイッ」

何故か教員は「では吹いてみよ」とは言いませんでした。
彼がチューバかユーフォニウム奏者であった、に1円50銭。


ことほどさように、軍楽兵の生活とは、一般兵並みに、
いや、ある意味音楽という厄介なものが対象であるだけに、過酷でその訓練は苛烈でした。

「現代も日本のブラスバンドに体育会的厳しさが横溢しているのは、軍楽隊の名残り」
と、以前、半ば予測で述べてみましたが、こうしてみるともう間違いない事実に思えます。

このせいなのかどうなのか、日本の音楽教師には、たとえピアノであっても
「叩く」
先生がいるのです。
怖い先生に間違った指をぴしゃり、とされてピアノが嫌いになりやめてしまった人はいませんか?
体罰は、日本以外の、欧米ではまず考えられないことだそうです。
音楽芸術を指導するのに暴力などありえない、という理由で。

この末端のピアノ教師にまで見られる、日本クラシック音楽教育の妙な体育会的体質は、
どうやらクラシック音楽の演奏そのものが軍楽隊経由で日本に入ってきたという由来にあるようです。



因みに、唇を怪我して弱々しく笑っていたクラリネット新兵ですが、
4、5年のち、K氏はかれに再会します。
その時K氏が見たのは、素晴らしいハーモニーを支える海軍軍楽隊の一員として、
自信にあふれた様子で分列行進をリードする幼馴染の雄姿でした。








「日本のいちばん長い夏」

2012-05-01 | 映画

この映画を観てまず思ったのは
「やればできるじゃないかNHK」。

このブログを読んでくださっている方なら先刻ご承知、わたしがたびたび糾弾しているように、
地球市民的反日テレビ製作者が、エイリアンの如く増殖しているとしか思えない昨今のNHK。

都合の悪い国会中継は放送せず、民主閣僚の献金問題も報道せず。

日本はもう駄目、他の国に追い抜かれ、未来は真っ暗、
だって日本人って中国や韓国に比べると大したことないしそもそも戦争犯罪国だし、
過去の歴史すらまったくろくなもんじゃないし。
それより韓国!韓国は素晴らしい。華麗な歴史、イケメンと美女しかいない国、
韓国旅行で女性が多数性被害に在ってる?ぼったくりも多い?
そんなことは報じません。NHK内にある韓国のテレビ局から文句が出るからね。


戦争を扱えば、今度は当事者の意向お構いなしのお涙ちょうだい感動ドラマにするために、
事実の改ざん、捏造は当たり前。(『真珠湾への突入』ですね)
日本だけが悪かったのです、とひたすら自虐的な偏向も忘れずに。

「日台戦争」「人間動物園」
番組から生まれた造語が独り歩きして、「従軍慰安婦」のように国際問題にでもなれば御満足?
(『JAPANデビュー』で集団訴訟され、いまだ訴訟継続中)

国民からお金を取ることでしか成り立たないくせに、国民の報道機関である自覚無し。
いったい、誰のために報道をしているのか?



ところでわたしは、NHK勤務の報道記者とキャスターを一人ずつ、個人的に知っています。
彼らは聡明で、知的な人特有の控えめさを持ち、話をしていても実に気持ちのいい人たちですが、
ひるがえって、彼らの属する組織の惨状を思うと、
「NHKといえども、一人一人はこんな人たちばかりなのに違いないのだが・・・」
と、半ば奇異な想いを抱かずにはいられません。

彼らに組織の最近の異常さについて問い質すこともとてもできませんし、
したところで彼らにはどうしようもない問題であることも確かなのですが・・・。


さて、そんなNHKが2010年の夏に製作、BSで先行放映後、劇場公開したのがこの映画、
「日本のいちばん長い夏」です。

まず、評価すべき部分は、この映画が「娯楽目的で作られたものではない」ということ。
簡単に言うと、決して面白い映画ではありません。

終戦から18年が経ったある日、文藝春秋の企画で料亭に集まった30名の人々。
彼らが終戦を振り返り座談会をする、それだけがこの映画の内容です。
お涙ちょうだいのドラマも、スローモーションも、感動の秘話も、何もありません。
テーマに興味のある人間には面白いですが、興味がなければまったく観る気にすらならない。
そしてその映画のテーマは、

「終戦の時、人々はどこで何を考えたか」

終戦から18年経った昭和38(1963)年6月
この座談会は「文藝春秋」の主催、料亭「なだ万」にて行われました。
話を順番に行う間、発言者以外は料理を食べていたそうですが、
当時は今ほど美味しいものもあまりない時代でしたから、皆ご馳走に大喜びだったそうです。

この映画を語るのに、どんな立場の人間が出席したかを説明しなくては何の意味もありません。
わたしなりの分類をして、分かりやすくまとめてみたのが以下です。
ちなみにこの「実在の出席者」を演じたのは、俳優ではない人が多く、
そのギャップをまた、感慨を持って受け止めたり、少し笑えたり、という趣向になっています。

遠藤周作氏亡き今、そのようなものがあるかどうかは分かりませんが、「文士劇」と言うやつです。
本人の名前の後が戦後の職業、カッコ内が演じた人の氏名です。

司会 半藤一利・作家 (池内万作)座談会当初は文藝春秋編集者。

【帷幕、政府関係者】

迫水久常 ・参議院議員(湯浅卓・国際弁護士)・・・・・・・・・内閣書記長
松本俊一・衆議院議員(中村伊知哉・慶応大学教授)・・・・・外務次官
岡本季正・国際文化振興会理事(青島健太・スポーツライター)・駐在スウェーデン公使
佐藤尚武・参議院議員(山本清・俳優)・・・・・・・・・・・中ソ連大使、終戦時は抑留中

入江相政―(未出演)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・侍従、戦後侍従長
吉田茂・元首相(未出演)

【軍関係者】

富岡定俊・資料調査会理事(早川純一・俳優)・・・・・・・・海軍少将、軍令部作戦第一部長
今村均・偕行社理事(冨野由悠季・アニメ映画監督)・・・・・陸軍大将、ラバウルで終戦
荒尾興功・トヨペット常務(重松収・俳優)・・・・・・・・・陸軍大佐、陸軍省軍事課長
池田純久・松竹(株)顧問(鳥越俊太郎・ジャーナリスト)・・陸軍中将、内閣総合計画局長官
南部信清・防衛庁統幕幕僚学校(加納竜・俳優)・・・・・・・海軍少佐、伊四〇一潜水艦艦長

【軍関係者、予備士官、召集兵】

上山春平・京大人文研助教授(山本益博・料理評論家)・・・・海軍予備少尉、回天搭乗員
会田雄次・京大人文研助教授(江川達也・漫画家)・・・・・・陸軍上等兵、ビルマにて終戦
扇谷正造・朝日新聞学芸部(松平定知・アナウンサー)・・・・・・陸軍一等兵、補充兵
池部良・俳優(柚原旬・俳優)・・・・・・・・・・陸軍中尉、ハルマヘラ島にて終戦
岡部冬彦・漫画家(武藤健治・俳優)・・・・・・・・・・・・・・陸軍見習士官

【軍関係者、学校】
篠田英之介・NHK広報室副主管―(映画未登場)・・・・・・・・海軍兵学校生徒
村上兵衛・中央公論評論(市川森一・脚本家)・・・・・陸軍中尉、陸軍士官学校教官

【軍関係者、捕虜】

大岡昇平・作家(林望・作家)・・・・・・・・・・・・陸軍一等兵、フィリピン戦線で捕虜
酒巻和男・トヨタ自動車輸出課長(未登場)・・・・・海軍少尉、真珠湾攻撃にて捕虜第一号
ルイス・ブッシュ・NHK国際局(D・ディヒーリ・ジャーナリスト)・・英国軍人、捕虜

【報道関係者】

吉武信・朝日新聞論説委員(小田豊・俳優)・・・・・・朝日新聞政治部、首相官邸記者クラブ
有馬頼義・作家(嶋田雅彦・作家)・・・・・・・・・・同盟通信社社会部記者
舘野守男・NHKアナ(瀬川菊之丞・歌舞伎役者)・・・・NHKアナ、日米開戦第一報を伝えた

【その他】

徳川夢声・俳優、文筆家(立川らく朝・医師、落語家)・・講談師
志賀義雄・衆議院議員(田原総一郎・ジャーナリスト)・・・治安維持法(思想犯)で投獄中

鈴木一・中央競馬会顧問(松永英晃・声優、俳優)・・・・・鈴木総理の長男、総理秘書官
楠雅子・主婦(キムラ緑子)・・・・・・・・・・・野戦病院看護婦として沖縄で従軍

 

特に皆さんが「へえー」と軽く驚きそうなキャスティングを太字にしてみました。
中でも、ガンダム作者の冨野氏が陸軍大将今村均
どちらかというと、いやどちらかとうまでもなく明らかに左派論陣の鳥越氏が陸軍中将
そして、共産党員で、戦後衆議院議員になった志賀義雄氏をあの田原総一郎氏が。

個人的に残念だったのは、特殊潜航艇に乗って真珠湾攻撃に参加し、たった一人生き残って
「捕虜第一号」となった酒巻和男氏が、この対談に参加していたにもかかわらず、
映画では扱われなかったこと。
終戦時海軍兵学校の学生であった篠田氏も役がありませんでした。

映画では、宣伝ポスターに見られる
「原爆は落とされなかったかもしれない」
つまり、あのとき歴史の歯車がわずか違っていたら、終戦のシナリオは
全く違っていた可能性がある、ということにフォーカスを絞ったため、
「あらゆる視点から語った終戦」という対談の本筋とは少し違うものを見せようとしています。

しかし、それが最近のNHKお得意の偏向ないし演出かと言うと、決してそうでうはなく、
対談によって見えてきた「歴史的な考察」を、決して解説するでなく、
ただアウトラインをすっきりさせて分かりやすく提示してくれています。

さすがになだ万の料亭だけで終わってしまっては、
テレビならともかく劇場映画としては見場がなさすぎるということでしょうか、
若干の「演出」が見られますが、それは

「昭和38年の対談の再現番組を作ろうとするテレビマン」木場克巳・実際も演出家)

を主人公にし、新たな視点、つまりその対談を見守る「現代の眼」を据えたこと。

あるいは、歌舞謡曲の類も少しはないと、と考えたのか、なだ万の座敷で歌手が
「めんこい仔馬」(軍歌です)を歌い、バックに実写フィルムが流れる、といった演出もあり。
この歌手がなんだか不思議な風体ではありますが、これもまあいいでしょう。
何しろ「昭和38年」なんですから。

念のため、原作となった文藝春秋の新書「日本のいちばん長い夏」を読んで、
細部を点検しましたが、セリフの改ざんは、いっさいしていませんでした。

つまり、NHKには珍しく?素材をそのまま提示する、判断を観る者に委ね余計な解説はしない、
という非常にまともな作り方をしているのです。


というわけで、わたしはこの映画における製作者の姿勢と態度を高く評価するものですが、
残念ながら、心ある人々に評価されるものがエンターテイメント作品として膾炙するかと言うと、
まったくそれは別の問題なんですよね・・・。

しかし、ぴあの初日満足度ランキングでは4位に入っているそうですし、
これを観に行くような意識の高い層を「がっかりさせなかった」ことは喜ばしいことです。

問題の「原爆が落とされるに到る過程を観ていた人々の証言」については、
まとめる意味で、また別の日にお話しすることもあるかもしれません。


こういう、「お金を稼いだり、話題になったりという目的とは全く別の意図を持って製作された」
映画を、実験的なものも含めて近頃ほとんど観ないような気がします。
この意欲を買うとともに、まだNHKには
(アマゾンラテルナという会社に製作させているようです)
まともなものを作れる製作者がいるらしいことが判って、若干ですが、ほっとしているところです。