平安の昔から観賞され、人々に愛されてきた芙蓉の花。その園芸品種の一つが「スイフヨウ(酔芙蓉)」です。
今日は私が住まいしている大阪・泉州・熊取町、山の手台住宅の遊歩道に咲いているこの「スイフヨウ(酔芙蓉)」の花をご紹介します。
・午前7時頃に撮影した「スイフヨウ(酔芙蓉)」です。純白で見応えのあるきれいな花です。
「スイフヨウ(酔芙蓉)」はアオイ科、フヨウ属の落葉低木で、原産地は日本、中国、台湾といわれています。
花は一重咲きの芙蓉に対して八重咲きで、時間の経過と共に変色していくのが大きな特徴となっています。
「スイフヨウ(酔芙蓉)」は、早朝には白い花を咲かせ、正午前後にはピンク色に変わり、更に、夕方にかけて赤くなって、翌朝には萎んでしまいます。
この様を、酒酔いの顔がだんだん赤くなってくることに例えて「酔う芙蓉」ということからつけられた名前です。
・正午頃に撮影しました。ピンクに変色しています。
・1日のうちで白、ピンク、赤、と変色し翌朝には萎んでしまいます。この萎んだ花も「枯れ芙蓉」として鑑賞されるようです。
赤色の萎んだ花は前日咲いた「スイフヨウ(酔芙蓉)」の花です。
・芙蓉の樹皮は強く、製紙の原料や下駄の緒に、また、花や葉の粉末は腫れ物の特効薬として用いられてきたそうです。
「スイフヨウ(酔芙蓉)」の花は、中国では楊貴妃の美しさに例えられています。
・早朝の「スイフヨウ(酔芙蓉)」の花です。
白色も、ピンクも、そして夕方の紅色も、いずれも見応えのある素晴らしい花です。
ピンク色に変色した「スイフヨウ(酔芙蓉)」の花です。正に、楊貴妃が酒に酔ってほんのりピンクに染まったと思わせるような妖艶さが漂っています。
・正午頃撮影した「スイフヨウ(酔芙蓉)」の花です。早朝の白からピンクに変色したところです。
・午後5時30分頃に撮影しました。ピンクから真っ赤に変色しています。
「芙蓉の貌」、「芙蓉の顔(かんばせ)」という表現があります。これらの言葉は「美しい」、「しとやかな顔立ち」を意味し、美人の例えとして使われる表現です。
「スイフヨウ(酔芙蓉)」の美しさ、優雅さはこのように言葉において特別に表現されており、とても魅力的な花です。
・午前中の白色が夕方には一斉に赤色に変色しました。
芙蓉を詠んだ歌と句をご紹介します。
「白き芙蓉 あかき芙蓉と かさなりて 児のゆく空に 秋の雨ふる」 与謝野鉄幹
「反橋(そりばし)の 小さく見ゆる 芙蓉かな」 夏目漱石
「枝ぶりの 日ごとにかはる 芙蓉かな」 松尾芭蕉