今日は「ムクゲ(木槿)」の花をご紹介します。
「ムクゲ(木槿)」はアオイ科フヨウ属(ハイビスカス属)の落葉低木です。
原産地は中国で、日本には平安時代に渡来したと言われています。
渡来当時、日本では桔梗やムクゲの花を「アサガオ」と呼んでいたとの説があります。
当時「アサガオ」とは特定の花を表す名前ではなく、「朝に咲く美しい花」との意味だったと考えられているようです。
草丈は2m~3mになり、花径は8㎝~10㎝、夏から秋にかけて美しい花を次々と咲かせます。
花色は白、紫、赤などがあり、咲き方は一重咲きや半八重咲き、八重咲きなど、多様な品種があるようです。
・中心部が紅色の美しい花です。
「ムクゲ(木槿)」の名前の由来は、韓国名である「無窮花(ムグンファ)」から変化したとする説や、中国名の「木槿(もくきん)」が訛ってムクゲとなったとする説などがあります。
葉は互生し、卵形で4cmから10㎝くらい、緑の葉で粗い鋸葉となっています。
・「ムクゲ(木槿)」の葉と蕾です。
ムクゲには薬用としての効能があり生薬として用いられています。
・樹皮を乾燥したものは木槿皮(もくきんぴ)、槿皮(ちんぴ)という生薬で、抗菌作用があり胃腸薬や水虫などの皮膚炎の薬に配合されるそうです。
・また、花を乾燥したものは木槿花(もくきんか)、槿皮(チンファ)という生薬で、皮膚炎、胃腸炎、下痢止めなどに用いられます。
「ムクゲ(木槿)」は、中国ではフヨウと共に古くから鑑賞された花木であり、韓国でも中国から渡って多く栽培され、今では国花のように親しまれているそうです。
また、儒教や道教では徳を象徴する花として扱われ、仏教では仏法を象徴する花と考えられてきたようです。
諺に、「槿花(きんか)一日(いちじつ)の栄(えい)」があります。
これは、「ムクゲ(木槿)」の花が1日で萎むことに例えて、”人の世の盛りははかない”ことを言っており、栄華が早く滅び去ることを説いたものです。
・1日で、はかなく萎んだ「ムクゲ(木槿)」の花です。
「ムクゲ(木槿)」を詠んだ句をご紹介します。
・「それがしも その日ぐらしぞ 花木槿」 (小林一茶)
・「道のべの 木槿は馬に 食はれけり」 (松尾芭蕉)