昔、子供の遊びに「はないちもんめ(花一匁)」がありました。
年配の人はこの遊びをご存知と思います。
2組に分かれて歌を歌いながら歩き、メンバーの一人を指して『○○さんが欲しい」と宣言してやり取りをする遊びです。
この遊びに歌われている歌は、花を一匁(もんめ)買う際に、値段を負けた悲しい売り手側と、安く買って嬉しい買い手側の様子が歌われているとされていますが、実際は、貧しい親が人買いに「箪笥、長もち、どの子が欲しい?」と聞くという悲しいものだそうです。
子供の頃は意味も知らずに歌いながらよく遊んでいたものです。
今日は、その「匁」についてご紹介します。
「匁(もんめ)」とは、尺貫法における質量の単位です。明治24年(1891年)公布の度量衡法によって1匁は3.75グラムと規定されました。
この単位の公式の名称が「匁」になったのは明治時代の事で、それまでは銭(せん)と呼んでおり、その重さは名前の通り1文銭(3.75g)の重さに由来しているそうです。
因みに、この重さは現在の5円硬貨の重さと同じです。
なお、『尺貫法』とは、長さの単位として尺を、質量の単位として貫を用いる日本古来の度量衡(長さ、容積と重さ)の体系で、中国大陸や朝鮮半島から伝来し、大宝律令(701年)により制度として確立されたと言われています。
この『尺貫法』は昭和34年に廃止され、メートル法が施行されて、重さについては一貫とか一匁などは使わなくなりました。
「世界で使用されている匁(もんめ)」
ところが、「もんめ」という単位を今でも公に使っている業界があります。
それは真珠業界です。
真珠業界では「もんめ」と平仮名で書きますが、真珠の重さの単位として今でも特例で「もんめ」の使用が認められているそうです。
「もんめ」が世界中で使われるようになったのは、明治時代に日本が真珠の養殖に成功し、世界の真珠取引の中心になったことによるもので、海外では「momme(mom)」と書くそうです。
廃止になった重さの単位「もんめ」は真珠業界を介して世界で通じる日本語として残っているようです。