下の句をお聞きになったことがあると思います。
「人間到る処青山有り」
「じんかん、いたるところ せいざんあり」と読みます。
この言葉は江戸末期の僧、釈 月性(しゃく げっしょう)が詠んだ漢詩「将東遊題壁」の一節です。
漢詩ということから中国で誕生したと思われるかも知れませんが、れっきとした日本生まれの漢詩なのです。
「人間」の読み方は「じんかん」で、「人の世」を意味しています。
「にんげん」と読まないように注意が必要ですが、しかし、現在では「人間(にんげん)」という意味でも解釈されているようです。
「将東遊題壁」釈 月性
「将(まさ)に東遊(とうゆう)せんとして壁(へき)に題(だい)す」 (釈 月性 しゃく げっしょう)
男児立志出郷関(男児(だんじ)志を立てて郷関(きょうかん)を出(い)ず)
学若無成不復還(学(がく)若(も)し成る無(な)くんば復(また)還(かえ)らず)
埋骨何期墳墓地(骨を埋(うず)むる何(なん)ぞ期(き)せん墳墓(ふんぼ)の地)
人間到処有青山(人間(じんかん)到る処(ところ)青山(せいざん)有り)
意訳は、
男たるもの志を立てて故郷を出たからには、
学問を成就できなかったとしても、二度とは帰って来ない
どうして故郷の地に骨を埋めることを望もうか
世の中、至る所に死に場所などあるものだ
大体の意味は、「人は、世界中どこで死んでも、墓地とするところはある。志を成し遂げるために故郷を出るならば、どこへ行ったとしても大いに活躍すべきである」
といった意味になります。
この言葉はNHKの朝の連ドラ「マッサン」で、週テーマとなったこともあるのでご存知の方も多いのではないでしょうか?
今日は皆様よくご存じの名言の中から一節をご紹介しました。