NHKの夕方の番組に「ニュース シブ5時」があります。
この番組の中に”お悩み相談渋護寺”というコーナーがあって、先日、奥さまからご主人のことについての相談がありました。
その相談に対して、僧侶で宗教学者の釈徹宗先生からの回答が「俺が俺がの『が』を捨てて、お陰お蔭の『げ』で生きよ」という言葉を送りたいとのことでした。
私たち人間はその性(さが)として、どうしても自分中心に考えてしまうことがあります。
しかし、仏教では、「今あるのは仏様のおかげ、親のおかげ、世間様や皆さんのおかげなんです。誰も自分一人では決して生きては行けないんです。」と教えています。
この言葉をご主人にお伝えしたらどうでしょうか?
とお話ししていました。
更につけ加えて、「忘己利他(もうこりた)」という言葉についても話されていました。
「もう懲りた!」ではありません。
「忘己利他」
「忘己利他(もうこりた)」とは、伝教大師・最澄の言葉で、『己を忘れて他を利するは慈悲の極みなり』、即ち、自分のことは後にして、まず人に喜んでいただくことをする、それは仏さまの行いで、そこに幸せがあるのだという言葉なのだそうです。
つまり我欲が先に立つような生活からは幸せは生まれないのだということです。
しかし、他人に利益を与えるからといって、見返りを期待する気持ちを持ってはいけません。
「忘己利他」はあくまでも見返りを期待せずに他を利するのです。
それが慈悲の極みなのです。
相手の為に尽す「慈悲の極み」を実践することはなかなか難しいと思います。
お釈迦様との距離が少しづつ近付いている年代の小生は、「もう懲りた!」の言葉は封印し、「忘己利他」の精神をいつも持っていたいと思います。