「藤井聡太4冠誕生」
9日前の11月13日、将棋タイトル戦の最高峰と呼ばれる竜王戦第4局が行われ、藤井聡太三冠が勝利して史上最年少で四冠達成を果たし、序列1位となりました。
序列とは、2020年現在、竜王戦が1位、名人戦が2位、以下、王位戦→王座戦→棋王戦→叡王戦→王将戦→棋聖戦の順となります。
タイトル戦の序列は契約金の額によることから、契約金が変更されれば序列も変更されます。(ウィキメディアより)
序列の決め方は「竜王」「名人」のタイトルが重要で、タイトルが1つだとしても竜王か名人であれば複数タイトル保持者より上になります。
今回、藤井四冠は「竜王」のタイトルを獲得したことで、渡辺明名人(三冠)を超えて序列1位になりました。
その藤井4冠はマスコミの取材で、「将棋を指したくないとか、駒に触れたくないなどと思ったことはない」と、いつも将棋を楽しんでいるようなコメントをされていました。
この基本的な考え方や探求心が強さの秘密なのかも知れません。
論語にも「楽しむことが一番」という一節があります。
「論語:楽しむのが一番」
孔子の教えに下記の一節があります。
子曰、「知之者、不如好之者。好之者、不如楽之者」
「これを知る者は これを好む者に如かず これを好む者は これを楽しむ者に如かず」
「口語訳」
子曰く、「ものごとを知識として知っている(だけの)者は、これを好きな者にはかなわない。(さらに)これを好きなだけでは、楽しんでいる人にはおよばない」
この一節は、「知るよりは好きが上、好きよりは楽しんでいる方が上」と言う意味になり、何かを上手になりたかったら、楽しむのが一番ということを孔子が弟子たちに教えている言葉です。
「論語」
論語は孔子(紀元前552~紀元前479)とその弟子たちの問答などを集めた書です。
中国のみならず、私たち日本人にも古くから親しまれてきており、日々を生きる多くの知恵をそこから学んできました。
今日取り上げた言葉も「子曰く」で始まる一文で、孔子が弟子に向けて語りかけたものです。
今日の論語は、「物事を理解し知っている者は、それを好んでいる人には及ばない。物事を好んでいる人は、それを心から楽しんでいる者には及ばない」という意味であり、この一節は「知る」「好む」「楽しむ」という3つの要素で表現されています。
「知る」は単なる知識の会得を意味するのに対し、「好む」は積極的に自ら学ぶ意志がはたらく状態、そして「楽しむ」は「学ばずにはいられない」という感情が働く状態と解釈できます。
翻って、藤井聡太4冠も「学ばずにはいられない」という感情から、奥義を探求するのが楽しくてたまらないのではないでしょうか?
藤井4冠は対局において、「出会ったことのない新しい局面に盤上で出会うと、それが何よりも楽しいらしい」と新聞に載っていました。
19歳3か月という若き天才棋士・藤井聡太4冠、将棋界に彼の時代が到来したように感じます。