権謀術数
『権謀術数』という四字熟語をご存じでしょうか?
日常生活ではあまり使わないため、聞きなれないという人も多いかもしれません。
分かりやすく言えば現在の中国の習近平独裁体制をイメージしてもらえればいいかと思います。
「権謀術数」
権謀術数(けんぼうじゅっすう)とは、主に社会や組織などの集団において物事を利己的な方向へ導き、自身の地位や評価等を高めるために取られる手段や策略であり、目的のためには手段を選ばない行為のことを指します。
つまり、何かの目的を達成するためには、人として正しいと思われる手段だけでなく、時にはモラルを逸脱した行為もいとわないことを表す言葉です。
その語源は、12世紀の中国宋代に活躍した儒学者・朱子の著した『大学章句序』です。
大学章句序は、儒学の重要な古文献である『大学』について、朱子が注釈として書き下ろした文献の一部で、道徳を重んじて生きることや学びの大切さが記されていますが、その中で悪い例として挙げられたのが権謀術数という言葉です。
「言葉の意味」
『権』は権力のことを意味しており、主に政治的な力のことを指します。
『謀』は謀略のことで、誤った情報を与えて混乱させ、自分の思う方向へ誘導するという意味です。
この二つを組み合わせた『権謀』は、その場に応じた策略のことを表します。
そして、『術』は技法のことで、自分の目的を達成するために用いる具体的な手段のことです。
『数』は、状況を分析して計画を立てるために用いる計算のことで、『術数』は、はかりごと・たくらみを意味しています。
これらが組み合わさってできたのが「権謀術数」という言葉です。
「彭帥さん消息不明問題」
中国が「権謀術数」である諸問題の一つに「彭帥さん消息不明問題」があります。
中国の女子プロテニス選手、彭帥さんは共産党幹部の性暴力を告発した後、消息不明になりました。
この件で、国際オリンピック委員会(IOC)は21日、トーマス・バッハ会長が彭さんとテレビ電話で連絡を取ったと発表し、彭さんは北京の自宅で安全に元気で生活していると説明しました。
しかし、欧米や世界では、この主張に信憑性はなく、彭さんの安否が依然として懸念されるという表明が相次いでいます。
IOCは事態の沈静化を図り、来年2月に開催予定の北京五輪への影響を回避する狙いがあったとみられますが、完全に中国のプロパガンダ(特定の主義や思想に誘導する宣伝戦略)に利用されているのが明らかです。
一方、WTA(世界女子プロテニス協会)に届いたメールについて、最高経営責任者(CEO)のスティーヴ・サイモン氏は17日声明を発表し、彭さんが書いたか、代理人が彭さんの思いを記したメールだと「信じるのは難しい」とし、「彼女の安全と居場所に関する私の懸念は高まる一方だ」と話しています。
サイモンCEOはまた、「WTAおよび世界中が、彼女の安全を証明する、独立的で検証可能な証拠を必要としている」と主張し、性的暴行被害の訴えは「完全に透明かつ検閲なしに調査される必要がある」と、改めて強調しました。
当然でしょう!
中国のプロパガンダに利用されたIOCのバッハ会長と違って、良識ある見解であり、大いに共感できます。
中国の人権抑圧については、新疆ウイグル自治区における「ウイグル族の地獄のような弾圧問題」や香港の問題、そして今回の件など、大いに問題があります。
このような人権問題を抱える中国で、平和の祭典と言われている冬期オリンピックを開催するのが果たして相応しいのか、疑問が生じるのは当然のことでしょう。
「権謀術数」の出典となった『大学章句序』は、12世紀の中国宋代に活躍した儒学者・朱子が記した書物です。
中国の指導部には、自国の偉大な歴史をよ~く学んでほしいものです。