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滝川一廣『「こころ」の本質とは何か-統合失調症・自閉症・不登校のふしぎ』2004・ちくま新書

2024年05月07日 | 子どもの臨床に学ぶ

 2019年のブログです

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 先日の遊戯療法学会で滝川一廣さんのお話に感心をしたので、本棚の隅っこにあった滝川さんの『「こころ」の本質とは何か-統合失調症・自閉症・不登校のふしぎ』(2004・ちくま新書)を見つけ出して読む。  

 久しぶりだが、いい本だ。  

 統合失調症の発症の経過がとてもていねいに説明されて、中井久夫さんと同じくらいにわかりやすい。  

 幻聴の生じ方もよく理解できる。  

 自閉症に関しては、共同性という概念の導入で、こちらもとても理解しやすい。  

 自閉症が単なる発達の正規分布の一部であることも述べられて(いわゆる自閉症スペクトラムだ)、いたずらに原因追及をすることの弊害も説明される。  

 それよりも、関係性の発達の遅れととらえて、周囲がかかわることの大切さが説明される。  

 昔と違って、一次産業や二次産業の人口が減り、三次産業という対人職種の増加による人間関係のおおらかさや多様性の減少が指摘され、それによる社会のゆとりのなさや人のぎこちなさの目立ちの問題も指摘される。  

 重要な視点が提示され、われわれの視方も吟味される感じがする本だ。

 いい援助のための視点を提供してくれる、いい本だと思う。    (2019.5 記)

 


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