どうも~。いやぁ、相変わらずキビしい天気が続きますねぇ! そうだいです。
皆さん、NHKの大河ドラマって観てますか? 今やってる『龍馬伝』、すごい人気ですね!
私は日本の歴史全体が大好きなので、毎年手をかえ品をかえ放送している大河ドラマはなるべく観ることにしているのですが、劇団の稽古で放送時間に家にいなかったりすると、ついつい観そびれてしまっている今日このごろです。
NHKの大河ドラマをどのくらい観ていたのかによって当然個人差も出てくるのでしょうが、誰かとお互いの記憶に残っている大河ドラマの話をするのって、楽しいですよね。何が楽しいって、それぞれの忘れていたことをおぎないあって思い出せたりするんです。「あぁ、そうだった、そうだった! よくおぼえてるねぇ!」みたいな感じで。
まぁストーリーについての話もいいんですが、私が思うに、大河ドラマの話題で一番盛り上がるのは、配役についてのことなんじゃないでしょうか。
ある意味で残酷なことでもあるんですが、大河ドラマの配役には、その作品の放映された年の芸能人の「旬」というものがハッキリと反映されていると思います。もちろん、旬すぎて忙しい方や、旬であっても大河ドラマに出演することを考えていない方は出てこないのでしょうが、国民的ドラマということもあって、たいていのその年を代表する顔が並んでくる感はあります。
そして、1963年放映の第1作『花の生涯』以来、今年の『龍馬伝』をもって47年49作の歴史を持つ大河ドラマの中で、織田信長や坂本龍馬といった超のつく有名歴史人物が多くの作品でカブって登場してしまう以上、キャスティングというものは、各作品のオリジナルカラーをうちだす上で最も重要なポイントになってくるんだと思うのです、ハイ。
実に多くの魅力あふれる作品を生みだしてきた大河ドラマなんですが、私の記憶の中で、ことキャスティングについて非常に強く印象に残った作品があります。
それが、1992年に放映された大河ドラマ第30作『信長 KING OF ZIPANGU』(原作・脚本ともに田向正健)です。
まず、キャスティングについて語る前に言いたいことがありまして、意外に思われるかも知れませんが、この作品は長い大河ドラマの歴史の中で、唯一の「織田信長が単独の主人公となっている」作品なんです。実はそれ以前1973年に放映された『国盗り物語』でも織田信長は主人公となっているのですが、この作品では前半の主人公が斎藤道三、後半が信長と明智光秀のダブル主人公となっているため、信長だけが主人公ということはありませんでした。
高橋英樹、藤岡弘、役所広司、石橋凌、そして最近では渡哲也、反町隆史、舘ひろし……まぁそうそうたる面々が織田信長を演じて、他の人が主人公となっている作品に華をそえてきました。その信長がついに主人公になった! いったいどんなにおもしろいドラマになるのかしら? しかも、サブタイトルが「KING OF ZIPANGU」だってんだから、大きく出たねぇ! でも信長って、本州の3分の1しか統一できなかったんじゃ……モゴモゴ。
そういった大きな期待の中で製作された『信長 キンジパ』(すみません、勝手に略しました)なんですが、問題のキャスティングは、まさにその時の「旬」をそのままの新鮮さでお届けするものとなりました。カッコの中の年齢は、1992年当時のものです。
主人公・織田信長 ……緒形 直人 (25歳)
信長の正妻・帰蝶(濃姫)……菊地 桃子 (24歳)
信長の妹・お市 ……鷲尾 いさ子(25歳)
信長の乳兄弟・池田恒興 ……的場 浩司 (23歳)
信長の家来・羽柴秀吉 ……仲村 トオル(27歳)
秀吉の奥さん・ねね ……中山 美穂 (22歳)
やせすぎてる徳川家康 ……郷 ひろみ (37歳)
顔が濃すぎる明智光秀 ……マイケル富岡(31歳)
妙にいろっぽい信長の母 ……高橋 惠子 (37歳)
その母の不倫相手 ……平 幹二朗 (59歳)
どうですかお客さん、この陣容! 高橋さんと平幹さんはおいといて、かなりフレッシュ&タイムリーなキャスティングですよね。ひろみGOさんは確かにちょっとだけ年上ですが、当時の画面を見る限り、史実通りに直人信長より年下だと言い張っても全然無理のない若さをたもっていました。
ところで、ここで私が一番注目したいのは、明智光秀を演じたマイケル富岡さんです。
史実上、明智光秀の生まれた年は諸説あってはっきりしていないのですが、有力ないくつかの説の中で最もおそいのは、1528年なのだそうです。
……アレ待てよ? 織田信長が本能寺の変で光秀に殺されたのが1582年で、その時は信長は49歳だったんだから……え、明智光秀って、本能寺の変の時にはどう若く見積もっても55歳(数え年)だったの!?
現在の感覚での55歳じゃありません。「人間50年」と言われていたころの55歳なんですから、「敵は本能寺にあり!」と叫んだ光秀は、かなりのジジイだったことになります。
最近はその辺のこともくみとっているのか、一時期よく言われていた「光秀は誰かにそそのかされて本能寺の変を起こした」という説はなりをひそめており、もっぱら「天下を取れるラストチャンスがきたと判断した光秀の単独犯行」説が主流となっています。うん、わかりやすいことはいいことだ!
ところが、『キンジパ』のマイケル光秀は、そんな野望に燃えた爺さんを演じるにはあまりに若すぎました。ここも当時の時代というものなのかもしれませんが、『キンジパ』での光秀が信長を襲った理由とは、天下統一の野望ではなくなんと、
「上司(信長)の期待があまりに大きかったために、それがプレッシャーになってノイローゼになっちゃったから……」
だったんです。おおい!! あんたそれでも戦国武将か!? 何十年も乱世を生き抜いてきたにしては、あまりにチキンな動機じゃありませんこと!? そんなんじゃあ、殺された信長さんも本物の光秀さんも、草葉の陰で仲良くズッコケちゃうよ!
……要するに、当時は企業の中での「過労死」が社会問題化していたんですね。
マイケル光秀に限らず、『キンジパ』の主要キャストのフレッシュさは、それぞれの役が物語の中で年をとっていくにつれてなんだかマイナスになってしまったようで、後半になればなるほど、本来はコマーシャルなどで元気に笑っているはずの皆さんがどんどん暗いしゃべり方になっていくという印象が私には残りました。ムリしておじさんおばさんをやっている、みたいな。演技で「年齢を重ねる」って、なんなんでしょうね!
ただし、「史実に合わない」とか「ドラマが暗い」とかいった問題は関係なく、最終回で信長とともに炎上する本能寺を眺めてマイケル光秀がつぶやいたセリフは、なんだか妙にリアルな実感がこもっていて、私の心にズシリときました。大河ドラマ史上に残る名セリフだと思います。
「これで、眠れる……」
これって、光秀だけじゃなくて、製作に関わった人全員の言いたかったことなんじゃ……
そんなこんなで、今日はここまで!
アテブレーヴェ、オブリガード!
皆さん、NHKの大河ドラマって観てますか? 今やってる『龍馬伝』、すごい人気ですね!
私は日本の歴史全体が大好きなので、毎年手をかえ品をかえ放送している大河ドラマはなるべく観ることにしているのですが、劇団の稽古で放送時間に家にいなかったりすると、ついつい観そびれてしまっている今日このごろです。
NHKの大河ドラマをどのくらい観ていたのかによって当然個人差も出てくるのでしょうが、誰かとお互いの記憶に残っている大河ドラマの話をするのって、楽しいですよね。何が楽しいって、それぞれの忘れていたことをおぎないあって思い出せたりするんです。「あぁ、そうだった、そうだった! よくおぼえてるねぇ!」みたいな感じで。
まぁストーリーについての話もいいんですが、私が思うに、大河ドラマの話題で一番盛り上がるのは、配役についてのことなんじゃないでしょうか。
ある意味で残酷なことでもあるんですが、大河ドラマの配役には、その作品の放映された年の芸能人の「旬」というものがハッキリと反映されていると思います。もちろん、旬すぎて忙しい方や、旬であっても大河ドラマに出演することを考えていない方は出てこないのでしょうが、国民的ドラマということもあって、たいていのその年を代表する顔が並んでくる感はあります。
そして、1963年放映の第1作『花の生涯』以来、今年の『龍馬伝』をもって47年49作の歴史を持つ大河ドラマの中で、織田信長や坂本龍馬といった超のつく有名歴史人物が多くの作品でカブって登場してしまう以上、キャスティングというものは、各作品のオリジナルカラーをうちだす上で最も重要なポイントになってくるんだと思うのです、ハイ。
実に多くの魅力あふれる作品を生みだしてきた大河ドラマなんですが、私の記憶の中で、ことキャスティングについて非常に強く印象に残った作品があります。
それが、1992年に放映された大河ドラマ第30作『信長 KING OF ZIPANGU』(原作・脚本ともに田向正健)です。
まず、キャスティングについて語る前に言いたいことがありまして、意外に思われるかも知れませんが、この作品は長い大河ドラマの歴史の中で、唯一の「織田信長が単独の主人公となっている」作品なんです。実はそれ以前1973年に放映された『国盗り物語』でも織田信長は主人公となっているのですが、この作品では前半の主人公が斎藤道三、後半が信長と明智光秀のダブル主人公となっているため、信長だけが主人公ということはありませんでした。
高橋英樹、藤岡弘、役所広司、石橋凌、そして最近では渡哲也、反町隆史、舘ひろし……まぁそうそうたる面々が織田信長を演じて、他の人が主人公となっている作品に華をそえてきました。その信長がついに主人公になった! いったいどんなにおもしろいドラマになるのかしら? しかも、サブタイトルが「KING OF ZIPANGU」だってんだから、大きく出たねぇ! でも信長って、本州の3分の1しか統一できなかったんじゃ……モゴモゴ。
そういった大きな期待の中で製作された『信長 キンジパ』(すみません、勝手に略しました)なんですが、問題のキャスティングは、まさにその時の「旬」をそのままの新鮮さでお届けするものとなりました。カッコの中の年齢は、1992年当時のものです。
主人公・織田信長 ……緒形 直人 (25歳)
信長の正妻・帰蝶(濃姫)……菊地 桃子 (24歳)
信長の妹・お市 ……鷲尾 いさ子(25歳)
信長の乳兄弟・池田恒興 ……的場 浩司 (23歳)
信長の家来・羽柴秀吉 ……仲村 トオル(27歳)
秀吉の奥さん・ねね ……中山 美穂 (22歳)
やせすぎてる徳川家康 ……郷 ひろみ (37歳)
顔が濃すぎる明智光秀 ……マイケル富岡(31歳)
妙にいろっぽい信長の母 ……高橋 惠子 (37歳)
その母の不倫相手 ……平 幹二朗 (59歳)
どうですかお客さん、この陣容! 高橋さんと平幹さんはおいといて、かなりフレッシュ&タイムリーなキャスティングですよね。ひろみGOさんは確かにちょっとだけ年上ですが、当時の画面を見る限り、史実通りに直人信長より年下だと言い張っても全然無理のない若さをたもっていました。
ところで、ここで私が一番注目したいのは、明智光秀を演じたマイケル富岡さんです。
史実上、明智光秀の生まれた年は諸説あってはっきりしていないのですが、有力ないくつかの説の中で最もおそいのは、1528年なのだそうです。
……アレ待てよ? 織田信長が本能寺の変で光秀に殺されたのが1582年で、その時は信長は49歳だったんだから……え、明智光秀って、本能寺の変の時にはどう若く見積もっても55歳(数え年)だったの!?
現在の感覚での55歳じゃありません。「人間50年」と言われていたころの55歳なんですから、「敵は本能寺にあり!」と叫んだ光秀は、かなりのジジイだったことになります。
最近はその辺のこともくみとっているのか、一時期よく言われていた「光秀は誰かにそそのかされて本能寺の変を起こした」という説はなりをひそめており、もっぱら「天下を取れるラストチャンスがきたと判断した光秀の単独犯行」説が主流となっています。うん、わかりやすいことはいいことだ!
ところが、『キンジパ』のマイケル光秀は、そんな野望に燃えた爺さんを演じるにはあまりに若すぎました。ここも当時の時代というものなのかもしれませんが、『キンジパ』での光秀が信長を襲った理由とは、天下統一の野望ではなくなんと、
「上司(信長)の期待があまりに大きかったために、それがプレッシャーになってノイローゼになっちゃったから……」
だったんです。おおい!! あんたそれでも戦国武将か!? 何十年も乱世を生き抜いてきたにしては、あまりにチキンな動機じゃありませんこと!? そんなんじゃあ、殺された信長さんも本物の光秀さんも、草葉の陰で仲良くズッコケちゃうよ!
……要するに、当時は企業の中での「過労死」が社会問題化していたんですね。
マイケル光秀に限らず、『キンジパ』の主要キャストのフレッシュさは、それぞれの役が物語の中で年をとっていくにつれてなんだかマイナスになってしまったようで、後半になればなるほど、本来はコマーシャルなどで元気に笑っているはずの皆さんがどんどん暗いしゃべり方になっていくという印象が私には残りました。ムリしておじさんおばさんをやっている、みたいな。演技で「年齢を重ねる」って、なんなんでしょうね!
ただし、「史実に合わない」とか「ドラマが暗い」とかいった問題は関係なく、最終回で信長とともに炎上する本能寺を眺めてマイケル光秀がつぶやいたセリフは、なんだか妙にリアルな実感がこもっていて、私の心にズシリときました。大河ドラマ史上に残る名セリフだと思います。
「これで、眠れる……」
これって、光秀だけじゃなくて、製作に関わった人全員の言いたかったことなんじゃ……
そんなこんなで、今日はここまで!
アテブレーヴェ、オブリガード!