三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

日射制御と通風の伝統デザイン

2014年07月30日 05時21分32秒 | Weblog


先日取材した「蓄熱シンポジウム」での発表で特徴的だった
「断熱・日射制御・蓄熱・通風」という4要素への
住宅性能、外皮性能のまとめが気になってきています。
北海道では、住宅性能の4要素としては
「断熱・気密・暖房・換気」が挙げられるのですが、
気候風土条件を踏まえると、こういった整理整頓がスッキリしている。
写真は、軒の出が確保された日本的な住宅建築での
開口部、というよりも柱間の様子ですが、
障子という紙と、自然素材の葦簀が
「日射制御と通風」に効果的な働きをしている様子が明瞭。
で、北海道の人間の立場からすると
このような住宅建築要素でのデザインが、
「日本的」と言われる生活文化に重要な役割を果たしていたことに
大いにセンシティブにならざるを得ない。
確かにこのような空間性は、
日本各地からの移住者によって構成された北海道開拓初期に
北海道内でも散見されていたけれど、
やがて、こういう住宅デザインは夏場のほんの1~2週間
忽然と出現する季節感に対応しているだけで、
それ以外の時期には、素寒貧住宅の象徴のようだったのです。
それでも、こういった生活文化性には抜けがたいDNA的憧憬があり、
こういった住宅装置がそれとして機能する気候風土での暮らし、
感受性に、強いコンプレックスは持たざるを得なかった。
しかし、北海道はあるときから、こうしたコンプレックス自体
放棄することにしたものかも知れない。
東北の状況は、こういう部分で、捨て切れなさを抱いている。
関東以南ですら、捨てたいと思っている人も増えているかも知れないという、
いまがあるのかも知れません。

しかし、こういった風情が、
気候風土的な室内気候快適化装置でもあると
いわば科学的に見えてくるに及んで、
もう一歩、違う次元的な認識変化が起こってくるようにも思われます。
こういったインテリア空間にさらに科学的な取り組みを加えて
「断熱・蓄熱」という要素技術を加えていく方向もあれば、
「断熱・気密」化された空間に、こういったデザインを導入する方向もある。
たぶん、列島社会の中で、北と南から、
せめぎ合っていくような住宅技術の進化が止揚されていくのかも・・・
そんな妄想が沸き起こってきている次第です。
いいですよね、こんな空間性、大好きです。




コメント
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