三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

用の建築、農作事小屋の正直さ

2016年04月09日 06時27分14秒 | Weblog
ときどき、廃屋とかの類に無性に惹かれる習性を持っています(笑)。
このブログでも、たまに「なんじゃこれ」というヤツを載っけたりして
きっと、顰蹙を買っているのではと密かに怖れております(笑)。
しかし、本性はどうやってもいずれ顕れるものですから、
ブログのテーマについては、感じたままに綴ることにしています。
結局はメディアの人間って言うのは、旺盛な野次馬根性なのでしょう。
面白いものには、どうやっても釣り上げられる(笑)。

この農作事のための「小屋」は、青森県内某所にて、
ふと道端で見つけたモノであります。
その外観から伝わってくる、独特の使い込まれた様子と
強烈な外観意匠が、ある種の驚きを見る者に伝えている。
用途は、たぶん農作時にあたっての必要な道具類を
雨風から守る、まったくの「用」を果たすものであるのだと推測される。
で、ありながら、屋根の上に越屋根が乗せられて
空気抜きであるのか、明かり取りであるのか、
そのような意匠がかたちづくられている。
そして屋根も壁も、板金で仕上げられているが、ところどころ、
継ぎ接ぎしました感、あちこちあちこちで、
それが正直にそのまま表されている様子がなんともユニーク。
見ていると、農作時の労働のあれこれの想像すらが、惹起されて来る。
とくに外部壁面に「くくりつけられた」ハシゴが
目に飛び込んできて、そうか、高所作業というのも仕事があるんだと、
そういったこともストレートに見えてくる。
農事というのは、することが百もあるともいわれるけれど、
そういったさまざまの仕事を用立てするモノたちが、
このなかに、使う人間にとっての合理性に基づいて整然と
整頓されて仕舞い込まれていることを、姿が語っているようです。
端部では、基礎が波打っていて、不同沈下を見せている。
土間仕上げで土台などはなく、直接柱を掘っ立てさせているのか、
それとも、寒冷地らしく土面が凍結凍上をくりかえしたものか、
さらに屋根ラインの波打は、防水の破綻が招いたのか
といったさまざまな想像力をふんだんに刺激してくれる。
きっと、そんなことが集積した感受性が騒いで、
こういう建物を見ると無性に惹き付けられるのでしょうね(笑)。
でも、こういう正直にそのまんま、という建物、好きです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする