三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

地域中小工務店 「信頼」の勝ち取り方

2016年04月28日 06時18分45秒 | Weblog
きのうまで2回にわたって、
国交省による平成25年ユーザー動向調査結果に基づいて
地域の住宅事業者(地域工務店や建築家)の立場に立って
市場動向を見ています。
日本の住宅建築・選択の実態としては「戸建て注文住宅」が市場形成の基本。
その結果として、家を注文で「頼む」依頼先の「会社選び」が
いちばんの市場動向基盤要因であることが見て取れました。
ではその上に立って、いわゆる大手ハウスメーカーとどう戦っていくのか、
圧倒的な「資本力」と企業認知度をもつ大企業との
ユーザーの「企業信頼感」という戦場での戦い方の研究ということになります。

ここで「信頼感」っていうものの概念特定が必要になってきます。
わたしたちは住宅事業という立場を超えれば、
だれもが一般的価値認識の世界にいる。
住宅以外のこと・ものについては、一般的価値感を持っている。
それはたぶん、戦後社会が新聞やテレビの情報革命を経験してきて
「全国画一」という常識規範が成立していることが大きな要因でしょう。
そういう価値感の現代での現象では、コンビニの存在がわかりやすい。
一時期、スタバのない県とか、セブンイレブンが出店していない県とか、
新しい価値感での「社会格差」が取りざたされましたが、
わかりやすく「全国一律である」ことのユーザー「安心感」を、
ああいった商業空間で毎日、ユーザー消費者は体験し続けている。
あの空間では、旺盛で熾烈なマーケティング努力の戦いも展開している。
先日もローソン店舗で、書店機能の強化発展形実験を見ましたが、
思わぬ角度から、新商品を開発しようとするビジネス魂をまざまざと見ました。
ただ、そういった戦略も常に成功するとは限らない。
セブンイレブンのコーヒーの大成功と、それをステップにしての
ドーナッツの「失敗」事例は記憶に新しい。(まだセブンは諦めていないけど)
しかし全国画一という「常識的選択眼」からくる合理的なモノへの価値基準は
ユーザー意識に於いて、どんどんと鋭敏になってきているといえます。
地域の中小零細企業であっても、こういう先端的感受性は
つねに「市場」からの刺激として受け止め,認識しなければならない。

こういった基本的市場構造は、大前提として受け入れていくしかない。
インターネットの普及は、それを後押しする側面もある。
が、テレビの圧倒的「画一化」とは、インターネットはやや違いも持っている。
セブンイレブンもなんどもネット物販サイトを大々的に打ち出しているけれど、
インターネットはなかなか御しきれないと見えて、活況ではない。
住宅は必ず土地の上に根付いて建てられるモノですから、
必然的に「地域性」というものからは逃れられない存在。
やはり「地域性」ということへのこだわりの方向が、
小資本企業が戦いうる最適の「戦場」であることは疑いがないのでしょう。
大量生産社会の生み出す全国画一の安心感はベースだけれど
これまでの大量販売・全国画一型だけではない方向も出てきている。
「安心感」を満たした上での、地域的な「信頼感」が求められている。
戦いの舞台を小さい「エリア」戦場にすることによって、
大手とは違う「信頼感」の求め方が、必然化するのではないかと思います。

コメント
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