三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【シンプルな力感 柱梁軸組構造の迫力】

2016年10月18日 06時24分58秒 | Weblog
よく木造住宅を依頼した建て主さんで、
基礎から構造軸組が立ち上がっていく過程で感動する人が多い。
で、その後、その軸組が面材の貼り込みなどで
壁や天井として仕上げられていくにしたがって、興奮が静まってしまい、
なにか、がっかりするような気分になってしまうのだと。

わたしが古民家に強く惹かれているのも、
どうもそういった部分であるのかも知れません。
昔の人が、いろんなところで生えていた木を切ってきて、
それを縦横に組み上げて、なにごとかを建築したという気分を
多くの人間が共有できるのは、この構造の部分ではないかと思うのです。
人生、ひとの生き死にでも、プロセスではいろいろなことがあっても、
結局は「志」の部分で、すべてが明らかになるみたいな、
そういったものが、古民家建築では明瞭な柱梁として見える。
それがきわめて合理的に、ある安定感を確保させる。
柱梁が水平と垂直をしっかりと見せ
さらに大きな架構が屋根構造としてしっかり住まいを守っている様子は、
農家であれ、商家であれ武家であれ、
しっかりとした人間の筋みちのようなものを感受させてくれる。
「おれはこんな風に生きた」というようなメッセージが聞こえてくる。
とくに男性にそのような印象を抱く人が多いと言われます。

表面がツルッと仕上げられる現代住宅とは違って
こういった古民家では、これらの素材が真っ正直にすべてが現れている。
その建築としての素性の明らかな風情が、
清々しさとして、こっちの側に伝わってくるのですね。
どこに行っても、まずはこうした構造の力強さに魅了されております。

さて本日は再び、北東北への出張。
徐々に本州との寒暖差が気になってきますが、頑張ってきたいと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする