三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【きた住まいる南幌-3 北の太陽光導入&制御デザイン】

2018年06月09日 05時53分13秒 | Weblog




今週はきた住まいる南幌探訪記シリーズ展開になっております。
わたし自身も北海道の住宅をこれだけまとめてみるのは久しぶり。
やはり日頃、北海道の人間として全国のみなさんと対話していて、
彼我の違いに気付く部分があり、改めて北海道の住宅を見て共感する部分が多い。

今回の住宅展示でとくに面白いなと思ったのは、設計者と施工者のタッグぶり。
設計者ばかりでなく施工者についても多くの住宅事例を見てきているので、
「AさんとB社か、さてどんな展開になることやら」とワクワクしたりする(笑)。
この住宅ではまさにド・パッシブという山本亜耕さんの設計に対して
キメの細かいディテールの女性社長・柳さんのアシスト企画さんタッグで
どんな住宅に仕上がるのかと、ドキドキしていました。
山本さんは太陽光取得制御に対して、北海道の設計者の中でも特徴的に
ドストライクな路線を走っている。パッシブと言えば太陽光だ、みたいな
真っ正直な路線でしょう。高緯度な北海道らしくどちらかといえば
取得優先みたいな潔さ。一目瞭然、太陽光に対してまことに正面から向き合っていて、
この家の家族とお日様との「対話」がこの家の基本テーマであることは明瞭。
そして一方で太陽光の制御についてはちょうど京都町家のような格子が
いくつかのグラデーションを持ってデザイン構成されている。
この両者のバランスについて、立地条件を踏まえ計画されたことが明らか。
残念ながら山本さんに話を聞くことはできなかったので、
日射取得面である建物正面の反射板を構成する面の角度とか、方向、
さらに制御側での軒の出と反射板面とのバランスをどう取ったのか。
縦方向でいくつかの制御段階に分けられている格子ルーバーの寸法意図など
詳しく伺うことは出来なかったのですが、意図はきわめて明確ですね。
太陽光の取得と制御という基本に沿ったデザインだと思います。
さらにディテールでは素材についてその魅力を十分に引き出す丹念さが随所にあります。
決して値の張る素材ではなく一般的な合板などの使用ですが、
その層をなしている小口側を建具などの各所で上手に見せて
統一感のある仕上げ。また、造作建具の面材に床フロア素材を利用したり、
全体としてインテリア空間の質の高さ、ていねいさが強く感じられました。
格子のルーバーデザインから、このディテールの仕上げまで
デザインの一貫性を強く感じさせられておりました。
ヒアリングしていないので想像ですが、この設計と施工のペアリングが
生み出した素晴らしい雰囲気ではないかなと感じさせられたのです。
わたし的にはこの組み合わせ、ありだなと思わされた次第。
作り手側からの「コンセプト」は以下。
●新 北方型住宅2018「南幌まちなかの家」
南幌の四季の眺望や夕陽を取り入れた眺めの良い2階をLDKとし、
1階は家庭菜園など南幌の自然、土と触れ合う楽しみを味わうための
仕掛けを備えた住まい
施工/(株)アシスト企画 設計/山本亜耕建築設計事務所
コメント
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