三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

気仙大工の仕事

2006年02月22日 05時45分14秒 | Weblog

気仙大工、というのは岩手県から宮城県にかけての
太平洋側一帯に手技として残っている職能集団。
きのうは、一関と花泉という岩手県南での取材が2軒。
どちらも、ふと目が止まったのが
ごらんのような「神棚」。
気仙大工の仕事というと、この神棚なんかにあらわれる手業の見事さが特徴。

北海道なんかだと、そもそも神棚も創らない家が多いのですが
東北では、こういう神棚がぴったり似合う家が多い。
左は古民家再生の住宅のもので、
解体したりせず、そのままの状態でジャッキアップして
基礎をあらたに作り、断熱と気密をしっかり施工し直した家。
なんと相当隙間面積で1.5cm平米という高気密高断熱に生まれ変わった。
(相当隙間面積というのは、1m角の壁にどれだけ隙間があるか、で
家の気密性能を表現しているモノ。)
和室など基本的なデザインは変更していないから、この手業がそのまま残ったんですね。
屋根まで付けてあって、格式を表しています。
この家、なんと家紋が丸に十という島津家のもの。
家の人に聞くと、嫡流の家系は3代前で途絶えて、養子が入って継がれてきている家。
そういう家系の話を、北海道では聞くことも全くない。
いずれにせよ、古民家、という伝統の形がしっかり残っている。
すばらしいなぁ、と思いますね。
そういう時間空間の中では、こういう神棚が実に効果的な装置といえます。

一方、右側はモダンなデザインにまとめられた都市住民の家のモノ。
奥さんが研究を重ねて、すごく美しいインテリアの室内で、
和室も、たいへんモダンで、格式にはとらわれていない家。
でも、やっぱり神棚だけは、ごらんのような奥行きのある作り。
仕上げ自体は軽い印象のクロスが張られて、軽快ですが、
しかし、造作は気仙大工の手業の伝統をみごとに感じさせる。

先週末、3日間はどっぷり北海道の建築家住宅で
きのうは、ディープな伝統が残る東北の住まい。
ところ変われば、まったく違いますね。
でも、だから住宅って、面白いんですね、これが。
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