三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

自然が見せる水平や三角の美

2015年05月21日 05時06分18秒 | Weblog
写真は、いつも朝に散歩する道の風景。
毎日見ていると、四季折々に変化していく様が、明瞭です。
杉は札幌が北限とされている樹木だそうですが、
北海道神宮周辺地域では、杉が森を創っている場所が多く見られる。
神宮境内は植栽の結果もあるのでしょうが、
周辺の円山公園地域は、自然保護区になっているので、
たぶん、このような植生がネイティブに見られていたのだろうと思います。
杉の木立を抜けて、人間の通常目線のあたりで、
太陽光の恵みを最大限に活かして、繁茂しようとする植物群は
このように、葉を水平に張りだして凜とした美しさを見せてくれる。
自然は、つねに合理的で、合目的的に輪廻していく姿を見せてくる。
ふとこんな初源的な美に気付かせてくれました。

長く存在し続けていく建築としての住宅では
きっとこういう「当たり前の美」というようなことが、
人間が意志する以前の感受性の部分で想定されているような気がします。
こうした水平ラインの美の他に、もうひとつあるとすれば、それは
山地の多い日本の風土に多く見られる三角形の美。



山のことをよく、その地域の「屋根」というように表現する。
「北海道の屋根」という大雪山系、というように言いますね。
無意識のうちに人間は、この自然に存在し続けている美しさから
多くのことを学んで、刷り込まれているのだと思えてなりません。
そう考えると、日本の建築は屋根の建築といわれる意味合いも理解出来る。
多くの山々が連なって、不揃いだけれど、なぜか均衡がとれている美を、
日本の山々からわたしたち民族は受け取っている。

結局、水平ラインと三角形というのが、
普遍的に存在する「形の美しさ」の基本にあり続けているのではないか。
わたしたちは、ものとしてのかたちを見続けるとき
きっとそんな周辺環境から刷り込まれた基準で、無意識に判断している、
どうもそんな「当たり前な」ことが、
だんだんに意識の中で、大きく育ってきているように思っています。





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iPadがやって来た

2015年05月20日 05時27分56秒 | Weblog
仕事上の必要に迫られて、iPadを購入しました。
経営に関連するあるソフトが、
iPadでしか使うことができないものがあったのです。
こういうのもきわめて珍しいケースだとビックリ。
用途はそのソフト使用だけだったワケですが、
営業スタッフには顧客へのプレゼン用として
iPadを使ってもらってはいるけれど、なかで自由に使える
カミさんが持っているヤツだと、第1世代のものなので、
これは、最新のiOSが走らない。・・・ソフトインストールができない。
そういうことなので、中古パソコンショップに行って、
特段のこだわりなどはなく、そこそこのヤツを物色。
で、右側のiPad-mini-Wifiタイプを入手した次第。
で、あっという間にさっそく仕事は片付けられました。
で、iPadで作ったデータは、メール機能を使って
Macに転送して、貴重なExcelデータとして活用できました。
まぁそういうきっかけでしたが、iPadは汎用性は高いものがあるので、
いろいろ使い始めております。
入手したのは、2012年の12月頃発売のモデルとのこと。
2年半前のモノですが、まぁ、Apple製品としては、
イマイチ、大ヒットとまでは言い切れないデバイスだと思いますね。

で、一番使い勝手が良さそうと思ったのが、電子書籍リーダー端末機能。
わたしは、いまや書籍はkindle派なのですが、
第1印象では「あ、これでKindle使わなくなるかな」でした。
で、iPad版のKindleソフトをインストールして
読み始めてみたのであります。
ところが、これが案に相違して使いにくい。
電子書籍とは言っても、やはりそこは「本」なのであります。
本には「余白」というものが必要不可欠であります。
さらに言うと、重さというモノもかなり大切な要素。
まず、余白について言うと、iPadはまるでダメであります。
余白は、手にとって本を読むときに一定の幅が必要ですが、
そのようには作られていません。
また、重さはこちらもダメ。重すぎて、片手で軽々とというようにはいかない。
kindleは、こうした点で、非常にフィットする端末だと再認識しました。
しかし、Kindleで感じていたレスポンスのもっさり感はない。
どうも、デジタル雑誌には向いているけれど、
書籍端末としては、イマイチ使いにくいといったところではないかと。
ただ、汎用性は高く、パソコンの用途のかなりの部分は
これで代用可能のように思われます。
旅行や出張などで、デバイスの数を絞りたい場合には、
この汎用性は生きてくるかも知れませんね。
ちょうど今週は、明日から土曜日まで出張があるのですが、
いろいろに使い倒してみたいと思っております。

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人生波乗り越えて、の居間ソファ

2015年05月19日 05時28分19秒 | Weblog
わが家のソファは、新築の1991年からしばらくの間、
10年間くらいは、HUKURAのソファが使われてきていました。
居間のスペースにぴったり合わせたソファ選択でした。
ふたりの子どもが小さいときには、そのソファだったのですが、
職住一体・夫婦共働きの悲しさで、当初の想定生活スタイル
好きな音楽に囲まれたムーディな暮らしはまったく実施できず(泣)、
居間も大きく模様替えになり、居住性も無視せざるを得なくなっていました。
保育園などに預かってもらいながらの仕事優先生活だったので、
のんびりとした家族団らん時間は、ほとんどなかった・・・。
仕事場は近くの土地を購入して新築したので
こっちは専用住宅になったのですが、夫婦共働きなので、
どうしても事務所にいる時間が長くなり、自宅の方はほったらかし気味。
さすがに居住性がイマイチでした。
HUKURAのソファは、それでも布カバーもへたってきたので、
3階の個室に移動させ、写真右手に見える1枚天板、
無垢のナラ材テーブルを座テーブルのようにしていて、
長く、ソファを置いてきませんでした。
そしてついに昨年、下の坊主も家を離れて東京暮らしに。
そんなことで、わが家の居間のインテリアについて、
時間を掛けて考えるゆとりのない、悲しい生活だったのです(泣)。

なんですが、逆に子どもたちがいなくなってきて、
今度は、たまに帰って来たときに、ゆっくり会話したい、
そういう空間を演出したい、というように考えるようになった。
直接には娘が久しぶりに帰ってくるというタイミングで
ごらんのようなソファを買い始めてきています。
日曜日に手前側の2人掛けソファも追加したので
いまは、4人分のお揃いのソファが揃ったところ。
長寿社会になって、子育て時期と、アフター子育て時期では
家族生活ということも、どうも大きく様相が変わるもののようですね。
わたしたちはこれから、子どもたちを待っているという生活になる。
そういう家では、たまにやってくる子どものいる時間が愛おしい。
そういう時間を充実させたい、というように変化するのではないか。
いろいろな人生の波を乗り越えて、
ようやく家族団らんのためのイレモノをじっくり考えられるのでは、
いまは、そんな気がしてきています。
これからの日本の家の、大きな変化のキーポイントのように思う次第。

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人類史とご先祖さま伝承

2015年05月18日 05時29分54秒 | Weblog
写真は江戸時代の「蝦夷地地図」の一例。
先日もわたしのブログでは、人類史の巨視的視点について書きましたが、
きのうのんびり、BSテレビを見ていたら、
「大英博物館展」という展示が東京美術館で現在開催中という案内番組。
人類200万年というようなふれこみによる展示だそうです。
われわれ現生人類よりも先行した人類の痕跡について
かの博物館では展示が行われているようです。
その最古の人類痕跡では、石を他の石で割って、道具として使えるように
「加工」した状況が明瞭であるということだそうです。
学芸員の方の説明では、その石を使って、直接ではない「ご先祖」様たちは
他の動物が獲物として食用に供した動物死骸の骨を砕いて
その「髄液」を貴重な栄養源として摂取していたとされていました。
で、その髄液摂取によって、他の動物とは違った
脳の進化が人類にもたらされた、というように解説されていました。
その発達した脳の領域とは、言語を司る部分と重複するそうで、
人類が言語を用いるようになった起源ではないかということ。

というようなことで、
どうも最近わたしは、巨視的な人類史とふしぎと触れる機会が多い。
先行した人類から、わたしたちホモサピエンスは
枝分かれして発生してきたのでしょうから、
DNAレベルで、こういった進化はわたしたちを形作ってもいるのでしょう。
縄文の開始から13,000年というのが、
この列島社会でのわたしたちの親しい歩みと思いますが、
そうすると世代更新としては、500世代くらいではないかと書きました。
わが家は、江戸の中頃までは確実に遡れる家系なのですが、
確実そうなのは、おおむね10世代程度。
その以前になると、確証がないというか、
どうも三木姓を持った商家を、わたしの直接の肉親のご先祖が
M&A的に入手したようで、
三木姓の方のご先祖様はまだ先までたどれるのですが、
わが血縁の家系の方は、ちょっと手掛かりが見えてきません。
江戸の前期頃のご先祖様が、その家系について書き残した文書もあり
その家系についての故地を訪ね、類縁とおぼしき方たちの墓や家も
確認はできましたが、「あの、その昔・・・」と図々しく声掛けするのも
ややはばかられたので(笑)、その段階から先には進めずにおります。
江戸期以前の社会では、家というのは法人格である意味合いの方が強く
必ずしも血縁関係重視ということでもなかったようです。
家の「相続」にあたって、5親等程度まで幅広く認められていたそうで、
その間で便宜的に「養子」関係でも縁づけられればよかったようです。
血縁と言うよりも、そのような社会状況の中を生き抜いてきて
現在のわたしたちが存在している、
その総体が「ご先祖さま」であるのだろうと理解しています。

家系をたどるうちに、いつしか人類史的な、よりマクロな視点に
導かれていっているように思われます。
恐縮ながら、本日も考古的、歴史的な妄想のブログで、失礼(笑)。


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東大・前真之先生の住宅取材同行

2015年05月17日 06時40分11秒 | Weblog


きのうの続きであります。
前先生は、北海道内の住宅の研究を続けられていて
たくさんの住宅の熱環境計測に取り組んでいます。
過日もそうした成果を発表する機会を当社を使って行われましたが、
今回の講演に際しても、精力的に視察を重ねられていました。
そんなことで、きのうは若手の設計者・丸田絢子さんの
ご自宅を見学していただきました。
丸田絢子さんは山形県出身で、東北大学~東京芸大卒業後、
東京で青木淳設計に勤務されたあと、札幌で設計事務所を開設された方。
経歴からすると、ピュアなデザインを志向されているのかなと
思っていたのですが、ご自宅はQ値1.15、気密性能も0.3レベルということ。
平屋で1.15のQ値はなかなか難しいと思いますが、
聞くと、グラスウール100mmの充填断熱に付加断熱150mmの
透湿機能も持った外断熱用に開発された板状断熱材を使っています。
事務所開設後は、店舗設計などの仕事が多く、
北海道では本格的な住宅設計は、このご自宅が初めてだったそうです。
そういうことなので、寒冷地住宅にはまだ不慣れなので、
建築家の小室雅伸さんにいろいろと相談しながら、
さらに、工務店も氏から紹介されて施工を依頼されたと言うこと。
うかがうと、やや湿度の感じられる室内で、
ちょっとテラスドアを開けると、
びっくりするほど冷涼な外気が飛び込んできました。
まことに高断熱高気密な仕様になっていると実感できます。



わたしが面白かったのが、平屋でフラットルーフなのに、
大きく張り出している庇の部分であります。
神社仏閣の屋根端部のように下に向かって徐々に逓減させている。
まるで「せり上がり」のようにデザインされているのです。
長さは居間の外周部分では1mほどになっているということ。
居間は南と西側に向かって開口しているので、
夏期のオーバーヒート対策として、大きくせり出させているとのこと。
デザイナーらしく、こうした庇をどのようにデザインすべきか、
その先達をなにに求めるべきか、
むしろ温暖地の伝統的住宅のプロポーションに興味が高まっていると
話されていました。
このあたりはまことに興味深い。
札幌という地域性をよく考え、雪の問題の解決策を求めれば
このようなフラットルーフに結論が至るでしょうが、
その上で長い庇を出していくとすると、前人未踏っぽい領域になる。
ハネ出しで庇を出して行っていますが、
この冬の雪の中でも、積雪荷重には十分に耐えていたということ。
お話しの中では、F.L.ライトの建築プロポーションに話が及び
その水平ラインのデザインと、日本の伝統建築の再発見が
この寒冷地北海道で進みそうな話題の進展。
さらに寒冷地住宅が、関東以南の住宅と
デザイン的にどのように違いを持って行くのかというポイントで、
日射の性質の違いがもたらす「地域の陰影感」や暮らしぶりに
たいへん繊細で人間的な感受性を持たれていると思いました。
地域によっての日射の性質の違いが、
どのような室内と外観デザイン、色使いの違いになるか、
さらには、「北海道らしい暮らしぶり」という
形では見えにくいテーマ・要素についてのデザイン的解析姿勢が、
お話しの随所にうかがえて、たいへん面白かったです。
そして、こんな住宅取材が前先生の研究にどんなふうに役立つか、
注目していきたいと思っています。
なお、時間がなくて、きのう書いたわが家のサーモ画像の件については、
先生には確認できませんでした。
やや怖いもの見たさではありますが・・・(笑)。
すぐに次号の原稿〆切も迫ってきますが、
なんとか、無事に進行できるように祈るような思いであります(笑)。


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東大・前真之先生の最新講演

2015年05月16日 06時28分23秒 | Weblog
Replan本誌で執筆をお願いしている東大の前真之先生、
きのうは北海道の住宅団体・ソトダン21で、講演されていました。
3時半くらいから5時過ぎまでと言う長丁場の講演でしたが、
相変わらず、グイグイと引き込んでいくお話しで
また、後半のエネルギーについての最新知見などは、
まことに興味深く、さらに本誌での次号掲載テーマとも関連していて
しっかりと聴講させていただきました。
なおその後、食事会から2次会まで楽しくお話を伺えて
最新の情報をいただけました。ありがとうございました。
北海道という、日本の人口の少ない地域に対して
東大の第1線の住宅研究の先生が、積極的に関与していただけて
本当に感謝の思い。今後とも、北海道に大いに活気を
注入していただきたいと念願しています。

なんですが、講演のお話しの間は、実は冷や汗続き(笑)。
というのは、前回北海道に来られたときには、
なんとわが家の写真を徹底的に撮影されていたので、
その模様が、いつ飛び出してきて炸裂するか、予断を許さず、
ハラハラドキドキがずっと続いておりました(笑)。
わが家には、恥ずかしながら悪名高い「蓄熱暖房器」が据えられていて
先生の攻撃材料(笑)にはまことに事欠かないのであります(汗)。
でしたが、お話しではそういう展開はなく、ほっと胸をなで下ろしました。
たぶん、一番前の席で聴講していたので
手心が加わったものかも知れません、作戦成功であります。
講演では、関東以南における電力自由化の動きについて
最新の情報、解説的な部分も言及されていました。
日本のエネルギー利用の方向性も、明解に見えてきて
いろいろに刺激的な講演内容だったと思います。
次号の原稿〆切も近づいてきていますが、大いに期待して
お待ちしていたいと思います。次号Replanは6月28日発売です。

毎日更新だけが取り柄の拙ブログですが、
話題の中でちらっと触れられていました。
先生の講演で以前に聞いた「出アフリカ現生人類の旅」に触発されて
最近書いたブログについてであります。
「おお、チェックされているのか」ということで、身の引き締まる思い。
なぜか、多くの第一線の学究の方とご縁があるおかげで、
いろいろな刺激を受けることができています。
多くの豊かな知見に触れる、学べるのは本当にありがたい経験。
さて本日午後には、先生と東大院生の方たちと住宅見学の予定。
あしたもその模様などをお伝えできればと思っています。


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縄文ご先祖オヤジの説教ポーズ

2015年05月15日 05時05分21秒 | Weblog
きのうからの続きで、人間世代スパンと歴史時間についてです。
歴史的な「時間」を測っていくのに、単純には年代を使いますが、
人間は、「世代」を更新しながら命を繋いでいく存在である
ということから考えていくと、もうちょっと違う見方が出来るのではと
そんなふうにいつも考えさせられます。
自分自身のことで言っても、つねに父親や母親、祖父・祖母
といった近縁者の事跡やことばに多くの影響を受けている。
社会はいろいろな動きをしているし、国際関係が影響することもある。
けれど、主観的には人間は血縁のつながり意識のなかで
一番大きな規定を受けて生きているのだと思うのです。
「オヤジはこんなとき、こういう風にして生きてきた」
というような経験値の痕跡を最大の知的資産として
血縁者間で知恵を共有しながら、生き延びてきたと思うのです。
そういったとらえ方で言えば、やはりスパンの単位として
「世代」というとらえ方の方が、人間存在の主観に沿っているし、
もっといえばDNA的にも、納得感があるのではないかと思う。

で、歴史年代的にも、3世代くらいはつねに経験値共有が
ありつづけてわが家の家系は生き延びてきた。
子・親・祖父母というような3世代は、
ある枠の中での情報共有ができていただろうと思います。
そんな時間単位のモノサシを当てはめてみると、
きのう書いた「縄文13,000年からの列島社会での歴史時間」
「アフリカから出発して世界に進出した50,000年にわたる
現生人類のDNA歴史時間」というようなものも、
世代更新の継続と考えてみたら、すこし違う尺度になる。
大ざっぱに、1世代を25年という周期での更新と考えると
それぞれ、500世代とか、2000世代というとらえ方になる。
それも3世代を1ユニットとして捉えると、
わたしたち人間というのは、167世代とか、668世代とかの
「経験値共有」生命としてこの歴史を生きてきたといえるかも。
というような妄想を抱いています。
こういうとらえ方は、かなり刺激的な部分があって、
昔の人のさまざまな経験に対して、なまなましい感受力で
再体験できるような気分をもたらしてくれます。
少なくとも、年単位だけでの把握とは違った手応えが見えてくる。
そして「生き延びていく智恵」として「保守」すべきものは
こういうユニット間で、いわば常識的な生き方として、
いろいろに伝えられてきたに相違ないと思うのです。
いちばん直接的には、父から子へ、母から子へと
一般的には年長者からの「小言」として相伝的に、
そういった智恵は伝えられたに相違ないし、わたしもそうであると。
そういった血縁関係は、たどれるとしても
記憶の忘却作用で、10~20世代も遡ればいい方ではあるけれど、
かならずご先祖様は存在し、いろいろな社会事象の中で生きてきた。

そんなふうに考え続けていると、写真のような縄文の土偶さんからも
「おい、おまえ、いったいなにをやっているんだ」というように
先祖としての「お小言」をいただいているように
そこはかとなく見えてきて、ありがたく楽しい気にもなります(笑)。
あ、土偶なんで、ご先祖母さんかも知れませんね。

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人類史という巨視的視点から

2015年05月14日 05時26分18秒 | Weblog
人類というのは、現生人類ばかりではなく
たくさんの種が生まれて、地球上に生存してきたけれど、
結局いま現在生き残っているのは、われわれホモサピエンス1種類。
そのホモサピエンスの歴史は15万年とも20万年とも言われる。
その人類が、アフリカを出て世界各地に進出を開始してから
おおむね5万年と言われています。
ヒューマンジャーニーともグレートジャーニーとも言われる旅ですが
写真のような拡散の仕方をして現在に至っている。
ヨーロッパ大陸に向かった人々とは遺伝子的にはこの頃に
分化しているというような発見も最近あったそうです。
かれらはヨーロッパで繁茂していた旧人・ネアンデルタールの人々と
同居して生き延びてきたといわれている。
もっとも拡散が遅れた南アメリカ大陸の果てには12,000年前後に
到達し、その後は太平洋の島々に拡散が行われていった。
ハワイ諸島などには1500年前くらいといわれるから
考古的なレベルと言うよりも歴史のレベルの出来事。
いや、考古学的な進展と歴史時間が交差しているともいえる。
われわれの日本列島には、3万年前くらいに到達した。
先日、北海道博物館の考古学学芸員・右代さんに聞いたら、
一般的にはアジア大陸東側沿岸地域を通ったルートがメインと
これまでは考えられてきたけれど、
実は日本列島を南西側から北東側へと通って、アリューシャン列島から
ベーリング海峡を抜けて北米大陸に向かったルートも
相当にメインのルートだったとされているそうです。
気候条件の違いを踏まえれば、地形条件も現在とは大きく異なっていた。
この「拡散」ルートの各所で、各地に住み着くというか、
その地域をテリトリーとして生計を営む人々を生み出していった。
日本列島で「縄文」システムという生活スタイルが始まったのが
約13,000年前と言われます。この時期に前後して、
世界各地で植物の品種改良による農業生産が始められる。
世界的には新石器時代と農業生産の開始が重なるけれど
日本列島では、世界でも稀な豊かな気候条件、食材獲得条件があって、
それらを活かした縄文土器による食文化の開発もあって
特異な進展を遂げてきていた。
いまのわたしたちの食文化の主流に残っている「鍋」食文化は
この縄文がベースにあることは疑いがないと思います。
巨視からまたふたたび列島社会のことへとフィードバックできる。
そういうことで、人類史全体の中でのわたしたちの位置も知れる。

こんなふうなとらえ方で考えられるようになると
人類というものの全体像が、かなりくっきりと見えてくる。
人間の「自己認識」という科学の進歩は、
本当に素晴らしいものだと、感動を覚えてきている昨今であります。
学べるということは、まことにありがたいことですね。


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YKKさんの講演プレゼン、無事任務終了

2015年05月13日 06時07分18秒 | Weblog
きのうはYKKさんから依頼された講演プレゼンを
無事に終了できました。
東北北海道地域の販売店さんとの大きな会議の席で
地域の住宅についての話題提供を求められた次第であります。
とはいっても、いわゆるマーケティング的な話題提供と言うよりも
「断熱」に絞った、日本市場でのアプローチについて
寒冷地で27年間、住宅雑誌を発行してくる中で
さまざまなことを考え続けてきた、その内容をダイジェストしたようなもの。
まぁ、最近1年間くらいで依頼された講演のテーマから
エッセンスを絞ったような内容でした。

なんですが、たいへん大きな会場で、
しかも参集されたみなさんは、大きな会社の社長さんたちばかり。
かなりスケジュールも計画管理された会合のようで
事前にパソコンと大きなプロジェクターとの接続確認のときに
会場に入って、その会合の大きさを初めて知った次第であります(笑)。
でもまぁ、そこで聞いていただくみなさんのプロフィルを確認でき、
約1時間くらいの準備時間もできたので、データを再修正。
やや時間が押していたので、当初予定より5分ほど時間短縮して
しっかり与えられた時間内にプレゼンを終了できました。
っていうか、演題テープル上に時計があったので、
はじめに用意した話の中身の半分程度で
無理をせず、要点のまとまるプレゼンに納めるように努力した次第。
話をする側としては、いちばん気を使うのは
決められた時間内に自分へのオファーをきっちり納める
ということであります。
話の出来の良し悪しは、聞いていただくみなさんの評価なので
それはもう、まな板の上のコイの心境なんですが、
時間的にご迷惑をおかけしないで、仕上げられるかどうかに
自分としてはいちばん、注意して臨んでいるのであります。
講演後、たくさんのみなさんと名刺交換させていただきましたので
それなりに内容には興味は持っていただけたかも知れません。

で、本日は銀行さんの関係のコンペ参加。
こっちの方がたいへんであります(汗)。
なにしろ事前にはまったく練習ができていない(笑)。
その上、天候もイマイチなので、体調管理も大変です。
風邪を引かないように、注意して頑張ってきます。




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キュートな縄文アイドル

2015年05月12日 05時14分31秒 | Weblog
わたしはどうも「博物館」というのが大好きのようです。
東京に出かけると、時間を見ては博物館をチェックしたくなるし、
出かけた土地のことを深く理解するには、まずは博物館見学が必須だと。
情報を業としていると、「どう感受し、表現するか」ということがキーなので、
その地域、風土でどのような経緯があったのか、
さまざまな視点を得るのに、こうした摂取は不可欠だと思います。
博物館には、言語だけでは表現できないことがらを
わかりやすく目に見えるようにする、という大きな役割があるでしょう。
昨日に引き続き、「北海道博物館」の展示からです。

北海道に、「開拓記念館」があって「博物館」がなかった、というのは
なにかを表してもいるのでしょうが、
やはりこの土地地域でどんなふうに人々が生きてきたか伝える、
という博物館の使命は、絶対に北海道にも必要だったと思います。
名前が変わった以上に、フレンドリーな表現に変わったのではと思ったのが
写真の「縄文ビューティ」さんの画像を見たときであります。
しっかりとした歴史考古知見に踏まえて、
そのうえで豊かに想像力を働かせるのは、不可欠な努力でしょう。
しかし、この女性の表情の豊かさには、思わず引き込まれました(笑)。
植物繊維を自ら編み上げて作ったステキな風合いの服。
これも木の皮の繊維を編み上げて作ったショルダーポシェット。
首にはこれも美しい石をつなげたネックレス。
表情をより明るい雰囲気にしている編み上げの髪が
元気いっぱいな彼女のほほえみとベストマッチしている。
露出した健康な脚線美には、若い女性の躍動感があふれかえっていますね。
ホント、現代にそのまま現れても、多くの人が注目するような
そんなステキな女性美が表現されておりました。
そして、彼女が持っている縄文土器には、さて、どんなプレゼントが・・・?。
きっと、彼女が秘密の場所で採取してきた木の実が入っているのかな?
天気のいい日に、好意を持っている若い男性とデートにでも出かける
そんな好ましさが伝わってきます。

縄文って、日本列島社会が特異的に実現した
非農耕でありながら、食物の豊かな定住性社会。
そこではこういう豊かな人間のコミュニケーションも、あったでしょうね。
ご先祖様たちのくらしの楽しさが、ハッキリと見えた展示でした(笑)。




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