ブログ開設3周年企画
最終回:玉と拾はむ
リコは短歌をしていますが、鹿児島県の鹿屋市の特攻基地から飛び立ち戦死した息子を偲ぶ老夫婦の想いをなんとか伝えたいと思い7首目に詠草しました。
今回で3周年企画は終わりますがまだまだ皆様に読んでいただきたい記事が在りますので、「奇貨譚」(役に立つもの)と言うカテゴリーにまとめ置きますのでお読みくださると嬉しいです。
★★2018年8月★★
私が改めて万葉集を読もうと思ったきっかけは里中満智子先生のコミックス「天上の虹」全23巻を先生は完結されるのに32年かけたと知り、その熱意、意志の強さに感動してさっそくアマゾンで全23巻を購入して読みました。
「天上の虹」は大化の改新の645年~702年の天智天皇の第二皇女、「うののさらら」後の第41代、持統天皇の物語です。全巻に万葉集の歌が引用されています。
玉と拾はむ 涼風
〇万葉集の心にしむる言の葉に種々の思ひの湧きいづる宵
〇磐姫(いはのひめ)の切なる心に知る言葉「わが黒髪に霜の置くまで」
(万葉集の87参照 「ありつつも君をば待たむ打ち靡くわが黒髪に霜の置くまで」)
〇待ち人の来たらぬ痛みよみがへり涙せし日々青春と言はむ
〇高市皇子(たけちのみこ)のなすすべもなき嘆き満つ「汲みに行かめど道の知らなく」
(万葉集の158番参照 「山振(やまぶきの)立ち儀ひたる山清水酌みに行かめど道の知らなく」
「黄色い山吹の花が咲いているという泉の水をくみに行きたいけれどそこへ行く道をわたしは知らない」・・・山吹の花の黄色と泉とで黄泉の国(死の世界)を表わしている。)
〇政争に翻弄されし薄幸の十市に会はむ黄泉の国とて(十市皇女・とをちのひめみこ)
〇東歌に知りたる恋の切なさよ「君し踏みてば玉と拾はむ
(万葉集の3400番参照「信濃なる千曲の川の細石(さざれし)も君し踏みてば玉と拾はむ」と詠われていま す 。(信濃にある千曲川にある小石だって、あなたが踏んだ石なら玉として拾いましょう。)
古来、大切な人が触れたものには魂が籠ると言われています。
〇特攻機に乗りゆき散りし子の踏みけむ鹿屋の石を玉と拾はむ
(歌の元になった話は以前本で読んだ話ですが、鹿児島県の鹿屋市(かのやし)の元特攻基地での話です。
鹿屋基地から特攻機に乗って飛び立ち戦死した息子の踏んだ石かもしれないと、基地跡へ乗ってきたタクシーの運転手さんに石を一つ頂いても良いでしょうかと老婦人が聞かれたそうです。ご夫婦の息子さんがこの基地から飛び立ち戦死されたそうです。
もしや、息子がこの地の石を踏んだかもしれないと大切そうにハンカチに包まれたそうです。老夫婦の思いに深く心を打たれました。)
〇わが生に何をか玉と拾はむや手触れしものに魂こもるとて
(私の人生でこのように真剣に魂籠るものと考えて自分の触れたものを考えたことが在りませんでしたが、今思うと日々のひと日ひと日が大切なものとして生きて行きたい。」
「游ひと日ひと日・・・毎日を大切に楽しむ)