リコの文芸サロン

文化、芸術、手芸など人生を豊かにする情報発信ブログを始めました。より良いブログに育てるためにコメントなどお寄せください。

玉と拾はむ

2021-06-14 | 奇貨譚

ブログ開設3周年企画

最終回:玉と拾はむ

リコは短歌をしていますが、鹿児島県の鹿屋市の特攻基地から飛び立ち戦死した息子を偲ぶ老夫婦の想いをなんとか伝えたいと思い7首目に詠草しました。

今回で3周年企画は終わりますがまだまだ皆様に読んでいただきたい記事が在りますので、「奇貨譚」(役に立つもの)と言うカテゴリーにまとめ置きますのでお読みくださると嬉しいです。

★★2018年8月★★


私が改めて万葉集を読もうと思ったきっかけは里中満智子先生のコミックス「天上の虹」全23巻を先生は完結されるのに32年かけたと知り、その熱意、意志の強さに感動してさっそくアマゾンで全23巻を購入して読みました。

「天上の虹」は大化の改新の645年~702年の天智天皇の第二皇女、「うののさらら」後の第41代、持統天皇の物語です。全巻に万葉集の歌が引用されています。

改めて万葉集を読んで心に響いた言葉を元に詠草しました。
特に7首目の特攻機に乗って鹿児島県の鹿屋基地から飛び立って戦死した息子を思い基地跡を訪れた老夫婦の話を読んで下さい。

玉と拾はむ      涼風

〇万葉集の心にしむる言の葉に種々の思ひの湧きいづる宵

〇磐姫(いはのひめ)の切なる心に知る言葉「わが黒髪に霜の置くまで」           

(万葉集の87参照 「ありつつも君をば待たむ打ち靡くわが黒髪に霜の置くまで」) 

〇待ち人の来たらぬ痛みよみがへり涙せし日々青春と言はむ

〇高市皇子(たけちのみこ)のなすすべもなき嘆き満つ「汲みに行かめど道の知らなく」  

(万葉集の158番参照 「山振(やまぶきの)立ち儀ひたる山清水酌みに行かめど道の知らなく」

「黄色い山吹の花が咲いているという泉の水をくみに行きたいけれどそこへ行く道をわたしは知らない」・・・山吹の花の黄色と泉とで黄泉の国(死の世界)を表わしている。)

〇政争に翻弄されし薄幸の十市に会はむ黄泉の国とて(十市皇女・とをちのひめみこ)

〇東歌に知りたる恋の切なさよ「君し踏みてば玉と拾はむ          

  (万葉集の3400番参照「信濃なる千曲の川の細石(さざれし)も君し踏みてば玉と拾はむ」と詠われていま す 。(信濃にある千曲川にある小石だって、あなたが踏んだ石なら玉として拾いましょう。)

古来、大切な人が触れたものには魂が籠ると言われています。

〇特攻機に乗りゆき散りし子の踏みけむ鹿屋の石を玉と拾はむ

(歌の元になった話は以前本で読んだ話ですが、鹿児島県の鹿屋市(かのやし)の元特攻基地での話です。

鹿屋基地から特攻機に乗って飛び立ち戦死した息子の踏んだ石かもしれないと、基地跡へ乗ってきたタクシーの運転手さんに石を一つ頂いても良いでしょうかと老婦人が聞かれたそうです。ご夫婦の息子さんがこの基地から飛び立ち戦死されたそうです。

もしや、息子がこの地の石を踏んだかもしれないと大切そうにハンカチに包まれたそうです。老夫婦の思いに深く心を打たれました。)

〇わが生に何をか玉と拾はむや手触れしものに魂こもるとて

(私の人生でこのように真剣に魂籠るものと考えて自分の触れたものを考えたことが在りませんでしたが、今思うと日々のひと日ひと日が大切なものとして生きて行きたい。」

「游ひと日ひと日・・・毎日を大切に楽しむ)


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⑳ガンバ、グリックたちの冒険、余談⑤

2021-06-14 | 奇貨譚


ブログ開設3周年企画
⑳樹上の人


★★再アップ★★
②のグリックの冒険、④の冒険者たち、ガンバとカワウソの冒険の物語はとても大切な人生の智慧が沢山書いて、あります。
本の内容を詳しくは書きませんので皆様どうぞ物語に登場するネズミ、カワウソ、カモメ、カッパ、野犬らの会話を読んでみて下さい。

以前、リコが書いた英文を紹介します。
樹の上の人は樹下の人々にとっての未来と過去も同時に見れます。

飛び去った鳥。
       
             
                                             近づく虎
 
 鳥は飛び去ったので樹下の人々にとっては過去です。         
虎はこれから現れるので樹下の人々にとっては未来です。
樹上の人は鳥も虎も現在として見えています。


【All branches of knowledge】・・・知恵と経験の樹
Trees need deep and strong roots if they want to be wide and high trees,
もし、大きい樹に育ちたければ深くて強い根が必要です。
and we also need wide and deep knowledge for our growth.
そして、私達も自分の成長の為に広くて深い知識が必要です。
From the top of the big tree, we can see further than from the ground.
大きい樹の上からは根本に立つ人より遠くが見渡せます。
(根元に居る人々にとっては樹上に居る人の見ているものが自分に見えるまで時間差があります。つまり、根本の人にとっては未来を樹上の人は見ていることになります。 又、過ぎ去ったものは過去として根元の人にはもう見えませんが、樹上の人には見えます。)
From broad knowledge, we can see not only the past but also the future.
幅広い知識で私達は過去のみならず未来まで見通せます。
But do not forget the foothold!!!(でも足もとがおろそかにならないようにね)
I call this knowledge four dimensional knowledge which covers width, height,
depth ,and time.
(リコはこれを4次元の知識と名付けます。広さ、高さ、深さ、時間)
The trees suggest public and visible aspects, and the roots suggest personal
and invisible aspects.
(樹の根は公衆と目に見える局面を表わし、根は個人と目に見えない局面を表わします。)
                  written by RIKO

 


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高野山の襖絵:千住博画伯

2021-06-14 | 奇貨譚

長い間、白襖のままの大主殿。

3月18日に千住博さんに高野山金剛峯寺の襖絵の「瀧図」に芸術活動で優れた業績の日本芸術院賞、恩賜賞が送られました。

★1月31日のブログを再アップします。

1月23日にNHKスペシャルの放映を見ました。
2015年の高野山開山1200年の記念行事として、
次の1000年を見据えた企画として
千住 博画伯(63歳)は高野山金剛峯寺の大主殿の茶の間(出家、得渡の際に使う部屋)と囲炉裏の間の44面の襖絵を描かれた。この部屋は長い間、白襖に成っていた。
完成までの6年に及ぶ創作の様子が放映されました。




下記の青字をクリックすると5分間の番宣が観れます。

リコは当初、以下の疑問を持ちました。
○放送中に那智の滝の画像が流れましたのに、なぜ、瀧の絵も紙に皺をいれて岸壁を右に左に分かれ流れ落ちる滝を表現しなかったか?

○瀧は紙を斜めにして上から絵の具を流して描かれたので平らな面を真っ直ぐに流れ落ちた水にしか見えず、瀧音が聞こえない。山中の瀧でなくコンクリートの壁を流れ落ちる瀧のように見える。

○千住画伯は完成した高野山での瀧の襖絵を見て「慈しみに満ち、暖かい瀧に成った」と話してみえた。
動を「崖」として紙に皺を入れてゴツゴツの質感を出された。一方、静を「瀧」として描かれたのだろうか。絵は芸術であって写実ではない。



リコは何度もこの特集を観て解りました。
○瀧音を無とし、お大師の声を聞こうとこの瀧を描かれた。
「命をかけて描きました」と画伯は言われた。
画伯は無意識だったかも知れませんが、
「感応道交」の風光です。


○瀧の絵の中にお大師様が見えると千住画伯は言われた。何度も仕上げをしてみえた箇所です。
不思議なことに襖絵がはめ込まれた部屋の横の部屋にお大師様の御像が安置されていた。



茶の間に「崖」、囲炉裏の間に「瀧」を描かれた。



大昔に読んだ武満 徹の『音、沈黙と測りあえるほどに』(1971年10月発行)を思い出します。


「」
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美智子皇居様の歌

2021-06-14 | 奇貨譚

1月16日の宮中歌会始で美智子皇后のお歌は、  

「今しばし生きなむと思ふ寂光に園の薔薇(さうび)のみな美しく」

 皇居・御所のバラ園でプリンセスミチコなどのバラが咲く情景をある日の夕方に見て、残された日々を大切に生きようという思いを皇后様は珍しく心情を明かされたお歌に詠まれた。

皇后さまも85歳になられて心が弱くなられる中、夕方にバラを見た時のお気持を詠まれた。美智子皇后様も老いを寂しむお心がおありだとしんみりとしました。


リコは1月13日のブログに「力落しなるもの」をアップして曽野綾子さんの『夫の後始末』に関して老後を
取り上げていますが、まさに皇后さまも最後の歌会始で老後を詠まれた。

リコも20年もすれば曽野さんが言われている「個体の老化」が勢揃いする事でしょう。

それならば心構えを
しておこうと思った矢先に、1
月7日にNHKの「ルソンの壺」で司会の真山仁氏が4人の社長の失敗談から
学んだ成功の秘訣について真山氏のコメントをリコ成りに理解して、
「いずれ来る老化には身体、心に色んな変化が有って当たり前、衰えると言う覚悟を持っているだけで、
 思わぬ事が起きても対応可能なのだ」と考えました。

具体例
①あれもしょうこれもしょうとあまり計画を広げない。
自分も老いていることを念頭に置く。体力、気力、特に忍耐力が激減する。
 その時になると予想していたことと全く違う状況が多いので覚悟をしていても役に立たないかもしれないが、数十年前にこんな事を考えたと覚えておこう。


②連れ合いとの相性、他の家族との兼ね合いも在るので曽野綾子さんの本の様には物事は運ばないと理解して、「出来ることをしたら良い」とリコは気楽に考える事にします。

③今の日々の暮らしは体調不良とか困り事があると神頼みで氏神様にお参りをしています。
 人間なかなか合理的には生きれませんね。


〈参考〉真山仁氏は「ハゲタカ」等の小説でお馴染みの人気作家です。

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