あけび歌会の大津留温先生が昭和天皇のお通夜に参内された時を詠まれた歌に付いて随想を書きました。
一般人が天皇のお通夜に参内されるとは知りませんでした。
皇居正殿・松の間 涼風
みあかしの消えし殯(あらき)に頭(づ)を垂(た)りて
侍(はべ)れば風の戸をゆする音 大津留 温
侍(はべ)れば風の戸をゆする音 大津留 温
1989年1月7日に崩御された昭和天皇の殯宮(ひんきゅう)の儀(下々のお通夜にあたる)に参内された大津留先生が詠まれた歌です。
歌集『あめつゆを』に、「灯明の消えた殯宮の間に侍していると、しわぶき一つしない静寂の間(かん)に宮殿の大戸を鳴らす風の音だけが聞こえていた。」とある。
歌集『あめつゆを』に、「灯明の消えた殯宮の間に侍していると、しわぶき一つしない静寂の間(かん)に宮殿の大戸を鳴らす風の音だけが聞こえていた。」とある。
天皇陛下のお通夜に一般人が参列されるのを初めて知りました。正殿・松の間での静寂が目に浮び心に沈みます。
十八年後(平成十九年)の宮中歌会始の儀に大津留先生は再び松の間に召人として参内されて、両陛下の御前で先生のお歌は
披講されました。お題「月」
天の原かがやき渡るこの月を
異境にひとり君みつらむか 大津留 温