エトガル・ケレット『銀河の果ての落とし穴』
カバーのイラストがとても綺麗だ。
宇宙空間にいる宇宙飛行士の顔。
見つめる先にあるのは地球なのか。
タイトル、著者名などの文字はすべて斜めに置かれ、浮遊感が漂う。
帯を外すと、ほかの天体から届いた文字のように見えるヘブライ語が、遠く離れた世界を感じさせる。
でもSFだけの短編集ではない。
身近な地球での物語。
アメリカだったり、イスラエルだったり。
とても短く、あっという間、一瞬にして通り過ぎていくような物語もある。
バラバラの物語だが、共通するものがあるようにも感じる。
人と一緒にいるときの、伝わらない言葉、思い。
すぐ隣にいても、理解できない、されないこともある。
距離が離れていたり、文化的な背景の違いで、うまく関われないこともある。
そんなもどかしさを、少し感じる。
装画は矢野恵司氏、装丁は川名潤氏。(2020)
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