ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

ボートの三人男

2019-06-03 22:47:10 | 読書
 ジェローム・K・ジェローム『ボートの三人男』



 1889年に出版されたイギリスの小説。

 なんて古い小説だと思ったけれど、夏目漱石がほぼ同時代。

 ぼくが持っているのは、筑摩書房の世界ユーモア文庫というシリーズ、その新装版。といっても1977年刊行の古本。

 B6サイズの二段組。ビニールのカバーがかかっている。


 シリーズ名の通り、ユーモア小説。

 130年前の小説のためか、丸谷才一氏の翻訳のためか、格調高い雰囲気。大きな口を開けて笑ってはいけない、手で口元を隠して笑う、そんな上品さ。


 過労のため、休息が必要だと信じている三人の男たち。

 テムズ河を、キャンプをしながら、のんびりボートで遡上しようと旅に出る。犬一匹を連れて。

 まるで引越しのような荷物の多さ。

 現代のオートキャンプ並みの優雅な食事。

 彼らは、自分たちの行動がおかしいとは、微塵も感じていないらしい。

 印象的なのは、語り手が訪れた先で、かつてその地を治めた王に思いを馳せ、歴史を感じ取るところ。

 少し風変わりなガイドブックを読んでいるような気分にもなる。

 この小説、クセになりそう。

 だからいまだに、中公文庫、光文社古典新訳文庫などで新刊が手に入るのだろう。

 装画は小島武氏。(2019)



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