ロビンソン本を読む

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身内のよんどころない事情により

2021-09-18 10:36:35 | 読書
 ペーター・テリン『身内のよんどころない事情により』




 カバーの絵は、男2人の後ろ姿。

 ルネ・マグリット「不許複製」で、帯がついていると気づかないが、取るとわかる。

 この絵は「何か変」だ。
 

 この小説も「何か変」だ。

 読み間違えたのか? と感じる程度のちょっとしたこと。それが何度か繰り返され、確信に変わる。やっぱり変だ。

 この著者の企みは、不安を呼ぶ。

 まるで、地図を持たずに見知らぬ街を彷徨っている気分。

 ガイドが欲しくなる。

 読後、案内所へ駆け込むように解説へ向かう。

 解明されない謎にヒントをもらう。

 著者の意図したことを、半分も読み取れていなかったことに驚く。

 もう一度最初から読んでみる。

 解説を読んでいないとわからなかったことが見えてくる。

 手間のかかる読書。

 でも、最初に読んで感じたことだけで、実は満足している。

 十分面白く、心に残る。

 著者の策略は、ぼくにはたいして関係ない。


 装丁は新潮社装幀室。(2021)




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