つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

妖精が生まれた日。~ オードリー・ヘップバーン。

2021年05月04日 19時00分00秒 | 手すさびにて候。
           
本日・5月4日は、ある女優の誕生日。
鬼籍に入って四半世紀以上が経つが、ここ日本で彼女の人気は取り分け高い。
今回は、その生誕と時を合わせ一筆啓上してみようという趣向である。
長文になったが、時間と都合が許せばお付き合いくださいませ。
では--- 。

ほんの手すさび 手慰み。
不定期イラスト連載 第百七十一弾は「オードリー・ヘップバーン」。


 
「オードリー・ヘップバーン」は、
1929年の5月4日、ベルギーの首都・ブリュッセルで誕生。
オランダ貴族の血を引く母親と、粋人でコスモポリタンの父親は、彼女が9歳の時に離婚。
間もなく第二次世界大戦が始まる。

生まれ故郷のベルギーからイギリスへ。
母のつてを頼り、ナチス占領下のオランダへと辿り着いた頃には、赤貧洗うが如し。
また、多感な心を「ホロコースト(ユダヤ絶滅作戦)」が打ちのめした。
彼女が目撃した強制収容所へ連行されて行くユダヤ人は、あまりの絶望からか、皆、無表情。
能面のようなポーカーフェイスは、悪夢となって、夜毎、少女を苦しめたという。
唯一の慰めは、バレエ。
踊っている時だけは何もかも忘れられた。

その後、何とか戦争を生き延びた「オードリー」は、ロンドンに渡り、
本格的にバレリーナを目指すものの、夢は叶わなかった。
それは、彼女の身長が、当時の平均を大きく上回っていたためといわれる。
周囲より頭一つ抜け出た長身では、バランスを重んじる舞台に居場所がなかった。

ならばと、ショービジネスの世界へ飛び込む。
ミュ-ジカルの端役(はやく)としてステージに上りながら、
生活費を稼ぐ為、カメラの前にも立つ様になった。
どんな小さな役であっても手を抜かず、持ち前のねばり強さで、真正面から向き合ううち、
その誠実さが 認められる時がやって来る。

アメリカ・ハリウッド、パラマウント映画社の試写室で、
イギリスから運ばれてきたフィルムに目を通していた男が、立ち上がって叫んだ。
『あの太陽の様に輝いている子は、誰だ!?』
--- 男の名は「ウィリアム・ワイラー」。
運命の歯車が回り始めた瞬間だった。



1952年の夏。
記録的な猛暑に見舞われたローマから、1人の〝妖精〟が誕生した。

お忍びで宮殿を脱け出したある国の王女と、
アメリカ人の新聞記者がローマの街を舞台に繰り広げる、甘く切ない恋のおとぎ話。
「オードリー・ヘップバーン」のアメリカ映画初主演作
「ローマの休日」が完成したのである。

スペイン広場で美味しそうにジェラートを頬張るアップ。
ベスパに乗ってのタンデムデート。
コロッセオやパンテオン、真実の口などローマの名所巡り。
どれも絵になった。
主人公「アン王女」が、生まれて始めての冒険で感じた開放感は、
未知の領域に挑む女優の心境そのもの。
全てを新鮮に感じながら演じたフィルムは、主演女優賞を筆頭に3つのオスカーを獲得。
映画史に残る傑作になった。

また、作品の中で彼女が披露したショートカットは、世界中で大流行。
スレンダーでチャーミングな笑顔で魅せる新しいスターの登場は、女性の美意識を変え、
ヨーロッパ、ローマへの観光旅行ブームも巻き起こす。
こうした数々のエピソードは、
「ローマの休日」を、映画の枠を越えた「1つのブランド」にも似た存在にする。

そして「オードリー・ヘップバーン」といえば、
実在の有名ブランドを思い浮かべるファンも多いだろう。
1961年に公開された主演9作目「ティファニーで朝食を」のファーストシーン。
人気のない早朝のニューヨーク五番街。
イエローキャブで、宝石店「ティファニー」の前に乗り付けた彼女が身に着けていたのは、
ピッタリと体に張り付く「ジバンシィ」の黒いドレスだった。
当時、まだ新進気鋭のブランドにとって「オードリー」は最も効果的なモデル。
一方、スレンダーな体に女性らしさを補ってくれるドレスは、
彼女にとって願ってもないアイテム。
いわば、相思相愛の関係だったようだ。

およそ40年に亘る女優生活の中で、2度の結婚を経験した「オードリー・ヘップバーン」。
温かな家庭に恵まれず、家族を思う気持ちが人一倍強かった彼女は、
残された2人の息子の為、スクリーンから身を引き、平凡で平和な日々を過ごしていた。
充分に満足していた。
ある日、アフリカから送られて来たニュース映像を見るまでは。



内戦で家を焼かれ、人々が身を寄せる難民キャンプ。
痩せ細り、顔にたかるハエを追い払う気力もなく、虚ろな目をした子供たち。
それは、幼い頃に目撃したあの顔。
絶望という名のポーカーフェイスだった。
忌まわしい記憶と再会し、居ても立ってもいられなくなった彼女は、
1988年、ユニセフの特別親善大使に就任する。

『一番の問題は戦争です。
 現在、発展途上国は、何億ドルもの大金を兵器の購入にあてていますが、
 世界の兵器の90%を売っているのは、国連の安全保障理事国です。
 地球上には、胸を張って平和を語れる国はありません。』

世界中の紛争地帯へ足を運び、時に激しい言葉で訴え、時に優しく語りかけた。
アフリカ東海岸のソマリアからの帰国便の中で胃の痛みを覚えるも、
そのまま欧米各地を廻り、救済キャンペーンを続行。
ようやく、ロサンゼルスの病院で診察を受けた時は、既に、手遅れ。
体内各所に転移したガンは、最早、手の施しようがなかった。

1993年・1月20日、「オードリー・ヘップバーン」は、
息子たちに看取られ、スイスの自宅で64年の生涯を閉じた。

もしも存命なら、92歳。
亡くなって28年が経つ。
決して短くない時間が流れた。
しかし、時の隔たりさえ朧気(おぼろげ)に思えるほど存在感を保っているのは、
やはり、彼女が〝銀幕の妖精〟だからかもしれない。
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日々旅にして旅を栖(すみか)とす。

2021年05月03日 15時44分44秒 | 日記
          
大型連休さ中。
いかがお過ごしだろうか?
僕は、遠出を控え津幡町に留まっている。
理由は言わずもがな。





国内で新型コロナウイルスへの感染が確認された人数が、
きのう60万人を超えた。
先月(2021/04)9日に50万人を超えてから、20日余りで10万人以上増加。
感染力が強いとされる変異ウイルスが各地で広がっている。
わが石川県も例外ではない。

ホントは、滋賀・大津に一泊旅行する予定だった。
拙ブログをフォローしていただいている方に教えてもらった、
大津のカトリック教会を見に行くつもりだった。
併せて「びわこ競艇」で旅打ちに興じ、
琵琶湖唯一の有人島を訪れるつもりだった。
--- が、断念した。





愛犬のリードを握り散歩に出かけ、
本津幡駅に滑り込むローカル鉄道や、
道を往くローカル路線バスに飛び乗りたい衝動に駆られた時。
ふと脳裏に「奥の細道」の一節が浮かんだ。

“月日は百代の過客(はくたいのかかく)にして、
 行きかふ年もまた旅人なり。
 舟の上に生涯を浮かべ、
 馬の口とらへて老いを迎ふる者は、
 日々旅にして旅を栖(すみか)とす。”


散歩も旅の一つなのだ。
そう自らに言い聞かせては、旅情を心の奥へ押し込めた。
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賭けたり、競ったり、怒ったり。

2021年05月01日 15時17分17秒 | 賭けたり競ったり
             
本日・5月1日、艇界は「期替わり」を迎えた。
前期は5月1日~10月31日。
後期が11月1日~4月30日。
期間内における勝率、複勝率、事故率などを基準にレーサーの「級」が決まる。
ランクはトップのA1から→A2→B1→B2と4つ。
上に行くほど、出走日数や格の高いレースへの出場機会がアップ。
つまり賞金を稼げるチャンスが増えるのだ。

また期替わりは、事故点数が一旦リセットされ、
キレイな身体になって出直すタイミングでもある。
心機一転。
新学期みたいなものなのだが、今年は沢山の「停学」がいる。

ご存じの方も少なくないと思う。
持続化給付金の大量不正受給が判明した。

不正受給者数:215名。
不正受給総額:2億1,473万円。(全て返還)
不正者の級別:A1級43名、A2級39名、B1級110名、B2級23名。

持続化給付金は、新型コロナにより事業の持続が困難になった事業主に対する制度。
確かにレーサーは賞金で生計を立てる「個人事業主」だが、
新型コロナにより艇界の事業(レース開催)数が、減少しているわけではない。
売り上げは、巣ごもり需要とネット投票のお陰で過去最高に迫る勢い。
稼げていないのは、本人の技量不足などコロナ以外の理由である。
不幸にも感染、または濃厚接触してしまったケースを除き、
対象にならないことは子供でも分かる道理だ。
それなのに。
まったく、バカなことをしたものだ。


(※上掲画像に写る選手は、不正受給は認められていません

実名は公表されていないが、上のクラスになるほどバレる。
今月末のSG「オールスター」に選出されていたうち2名が、出場取り消し。
トップの中のトップ、人気も成績も上位のレーサーが。
ファンの期待や応援だけじゃなく、銭もかかる立場のレーサーが。
一端(いっぱし)の大人が。
情けない限りだ。

もちろん、彼らは重い十字架を背負う。
新型コロナの影響がないのに受給した67名が、1~4ヶ月の「出場停止」。
新型コロナによってレース中止なった等、
一時的な影響を被り受給した148名が「戒告」。
当事者個々人が臍(ほぞ)を噛むだけでは済まない。
仲間、関係者、ファンへ多大な迷惑をかけたのだ。
これを機に引退してしまう選手もいるだろう。

それにしても数が多い。
もしも、不正受給する方法がマニュアル化されて広がったのだとしたら、
騒動はまだ拡大する可能性がある。

そして、日本モーターボート選手会は割と早い段階で不正の動きをかぎつけ、
注意喚起はしたが調査はしていなかった。
これも問題である。
業界の信頼回復は、茨(いばら)の道だ。
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