哺乳類は、動物全体にすると「目が悪い部類」だ。
犬や猫など多くの哺乳類は嗅覚・聴覚が優れていて、
色の識別が生きるための必須条件ではないと考えられている。
僕たちヒトは色を見分けることができるが、これは猿から進化する過程で、
食べ物を判別するために獲得した能力なのだそうだ。
一方、鳥類や昆虫類は、人間が感じる波長の範囲を超え、
紫外線も色として認識できる。
例えば、人間が黒一色と捉えるカラスは、
鳥の目からすれば、オスが赤っぽく、メスは紫色なんだとか。
盛りを迎えたツツジ。
清潔感に溢れた鮮やかな「白」は、一説によると鳥や虫的には「ライトブルー」らしい。
更に、花の中央部が紫外線を多く吸収していて色濃く映るらしい。
花は虫や鳥を受粉に利用するため、
蜜の在りかを分かりやすく示し関心を惹いているのだ。
また、植物は、種(たね)を離れた場所に運んでもらう仕組みも持っている。
それが果実。
果実と一緒に種(たね)を食べてもらい、糞として排泄されることで、
遠い何処かで新たな芽が吹く。
できるだけ生息場所を拡散させた方が、
種(しゅ)を途絶えさせず生き残る可能性が高まる。
動けない植物のサバイバル戦略だ。
画像は、近所の公園で撮影した「ヤマザクラ」の実。
春に花をつけ、初夏に黒く実が熟す。
--- ということは、前述のカラスの例えに沿うなら、
黒い実は、鳥には赤や紫に映り目立つのかもしれない。
赤は赤ではなく、黒は黒とは限らない。
世界は、人が見ているものが唯一無二ではないのだ。