
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00236071.html
福島1区では原発をめぐり、有権者の思いがさまざまです。
激戦が続く選挙区をシリーズでお伝えする「FNN総選挙2012 ニッポンの決断」。
福島市に加え、南相馬市や飯舘村など、被災地を含む福島1区では、原発をめぐり、有権者の思いもさまざまです。
東日本大震災からおよそ1年8カ月たった、福島・相馬市の漁港は、復旧工事が進められているところもある一方、手つかずのままとなっているところもある。
今も震災の大きな爪痕が残る、福島・相馬市の松川浦漁港。
この漁港で、カメラクルーを引き連れ、政見放送の撮影をしていたのは、自民党の亀岡偉民氏(元・57)。
亀岡氏は高校時代、名門・作新学院で、江川 卓投手とバッテリーを組んでいた。
2005年のいわゆる「郵政選挙」で初当選を果たしたが、前回は、民主党の候補に敗れ、議席を失った。
福島市を含む福島1区は、飯舘村など、今も福島第1原発事故の被害に苦しむ地域を多く抱えている。
この日、亀岡氏は、南相馬市の仮設住宅を訪れた。
ここには、放射線量が高く、自宅に帰れない人たちも暮らしている。
南相馬市の住民は「除染をして帰れって言われたって、むしろ困る。帰ったって、農業やったって、作れるようになるかもわからないけど、売れる見込みは何もない」、「除染しても、また戻るって言うんですよね、放射能が。だから、いつまでたったって、うちには入られないですよ」などと語った。
コタツを囲んだ座談会で、被災者たちから上がったのは、「帰りたくても帰れない」という悲痛な声だった。
亀岡氏は「ニュータウンをつくって、とりあえず一戸建てで、安心して暮らせる環境に入ってもらって、そして次なる生活設計を考える」と述べた。
亀岡氏は、仮設住宅などではない、長期的なサポートが必要だと強調する。
亀岡氏は「国が責任を持って、激甚災害の(被災者用)公営住宅の中に、きちんと早く入れてあげると。まず早く現役に復帰して、政権をとったら、まずやるべきことは復興だと思っていますので。それを一生懸命やりたいと思います」と語った。
全国に広がる第3極の動き。
それは、福島1区も例外ではなかった。
国民の生活が第一の石原 洋三郎氏(前・39)は、伊達市で「1日でも早く復旧が進むように、私、石原 洋三郎、政府に要求をし、取り組んでまいります」などと演説した。
3年前の総選挙では、民主党から出馬し、初当選したが、消費税増税法案に反対し、小沢一郎氏率いる新党・国民の生活が第一に参加した。石原氏は「増税の前に、やるべきことがたくさんあります。脱原発、原発ゼロ、消費税増税は廃止」と訴えた。
民主党在籍時の2011年6月、震災およそ3カ月後に被災地を視察した際にも、すでに民主党の震災対応に疑問を持ち始めていた。
石原氏は2011年6月、「現場のニーズにあったものが、政策対応できなかったんだと思います」と語った。
そのため選挙活動は、被災した地域を多く回るよう、心がけている。
伊達市にある、飯舘村から避難している方々が住んでいる仮設住宅で、石原氏は、避難してきた方にあいさつ回りをしている。
仮設住宅を訪れ、住民から話を聞く石原氏。
仮設住宅に住む人は「ここに来て、(仮設住宅の)家賃が4万~5万円の話になった。何で? と言ったら、予算がないから家賃上げると。そのへんをしっかりしてもらわないと。本当に、避難民から難民になっちゃいます」、「これからの先行き見通しのつくような、責任を持てるようなことをお願いしたいですね、これからも。まだまだ何も進んでいないですから」と語った。
これらの声に、石原氏は「大変時間かかって、本当に申し訳ないんですけど。原発事故の収束と、被災者の方々の生活再建に最優先で、これからもあたっていきたいと思います」と述べた。
一方、石原氏の離党で、候補者の擁立が遅れていた民主党。
先週末になって、元福島市議の大場秀樹氏(新・43)の擁立を決めた。
大場氏は「被災地の声を国会に届ける。そういうふうに頑張りたいと思います」と述べた。
大場氏が、民主党の福島県連を訪れた際には、その個性的な髪形がスタッフの注目を集めた。
民主党に逆風が吹く中での決断。
しかし、新人の自分だからこそ、できることがあるという。
大場氏は「今回、訴えたいことは2つあります。簡単に言いますと、これまでの福島、自然も文化も人も素晴らしい、この福島を取り戻そう。もう1つは、時計の針を戻してはいけない。古い政治に戻してはいけない。新しい民主党で頑張りたい。そういう思いです」と述べた。
さらに、大場氏は「新しい子どもたちに、素晴らしい日本と、素晴らしいふるさとを受け継がせるように、一生懸命頑張っていきたいと思っています。何とぞ、よろしくお願いします」と述べた。
また、福島1区には、共産党の渡部 チイ子氏(新・59)も出馬を予定している。
渡部氏自身も、原発事故で避難生活を余儀なくされている被災者だった。
渡部氏は「何としても、原発はゼロにする。そして、再生可能な自然エネルギーに転換できる、政府・政治に、大きく切り替えていこうということを、強く訴えて頑張りたい」と述べた。
今回の衆議院選挙に、被災した福島の人たちは、どんな思いを託すのか。
被災した福島の人は「一番してほしいのは、やっぱり自分の家に帰りたいことだね。あとは家族がバラバラだから。それが元に戻って、一緒に居たいということだね」、「何のあれも期待できない。どの党もわからないし、あんまり党が多すぎて」などと語った。
福島1区は26日現在、4人が立候補を予定している。
福島1区というのは、福島という被災地が抱える問題が、1つに凝縮されたような選挙区となっている。
放射線の影響で全村避難を余儀なくされた飯舘村が入っているほか、南相馬市は、放射能汚染で一時的な被害を受けただけではなく、風評被害でも漁業が非常に困難な状況に置かれている。
この福島1区の有権者からは「除染が終わっても、そこで暮らしていけるように、農業ができる環境をつくってほしい」、「漁をしても、風評被害がひどく、魚が売れない。具体的な支援策を知りたい」といった声が聞かれた。
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