世界で核兵器を禁止する動きが活発化する中、唯一の戦争被爆国である日本の役割が見えない。むしろ核保有国寄りの姿勢が目立ち、被爆者からは批判が起きている。謙虚に耳を傾けるべきだ。一年前、核兵器の保有や使用を初めて法的に禁じる核兵器禁止条約が国連で採択された。賛成は、加盟国の三分の二近い、百二十二カ国にのぼった。前文には「核兵器被害者の受け入れがたい苦しみと被害に留意する」と明記され、「hibakusha」(被爆者)という表現も盛り込まれた。広島、長崎で被害を受けた人たちの思いを、世界が受け止めた結果と言えよう。条文では核兵器の使用、開発、生産、保有、実験等を幅広く禁止。さらに核抑止力を事実上否定する「使用の威嚇」も禁じた。採択実現の背景には、核保有国が非核化になかなか応じないことへの苛(いら)立ちがあった。ピーク時よりは減っているが、世界には一万四千発以上の核兵器があるとされる。昨年六回目の核実験を行った北朝鮮だけでなく、世界全体で危機は続いている。ところが米国、フランスなどの五大核保有国は核兵器禁止条約に反対。米国の「核の傘」に入っている韓国や日本も消極的だ。日本政府は、核保有国と非保有国の「橋渡し役」になると宣言しているが、「(非核化の)ゴールは同じだが、アプローチが違う」(河野太郎外相)と、条約に冷ややかで、距離を置いている。条約は現在、各国が調印、批准する過程に入っている。五十カ国の批准で条約として発効する。しかし、メキシコや、オーストリアなど十三カ国にとどまっており、核保有国からの圧力があるのでは、とも指摘されている。そんな中、共同通信のアンケートで被爆者の八割が「日本政府は条約に参加すべきだ」と答えた。日本が参加すれば、批准に弾みがつくと期待しているのだ。同じ調査では、日本の姿勢について「被爆者の長年の活動を無視した行為」との厳しい意見もあった。朝鮮半島では、六月十二日に歴史上初の米朝首脳会談が開催され、朝鮮半島の非核化と朝鮮戦争の正式な終結が論議されている。まだ十分な成果は上がっていないものの、半島情勢は変化を迎えている。非核化を実現するチャンスと言えよう。今こそ、日本が世界に語りかける時だ。
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●高山市長は、平和都市宣言したり高山市平和のシンボル「平和への絆」を設置したり熱心である。一言言わせていただければ、核兵器禁止条約に日本が参加すれば、批准に弾みがつくと期待されるので高山市平和都市宣言も賛同を得た高山市議会で取りまとめしてもらって、安倍首相、政府に批准をお願いしてもらいたい。↓
高山市平和都市宣言 (更新日平成30年3月14日)
ごあいさつ 平和への願いを世界に広げていく都市でありたい 高山市長 國島 芳明
http://www.city.takayama.lg.jp/shisei/1006674/1005568.html
最初に、宣言文の作成にご尽力いただいた高山市平和都市宣言検討会議の皆さま、多くのご意見をお寄せいただいた市民の皆さま、その他の関係各位に深く感謝を申し上げます。市民の皆さまの思いがしっかりと込められた平和都市宣言ができましたことにこの上ない喜びを感じております。さて、世界には今もなお争いがあり、自分の意志と関係なく命を奪われたり、住むところを追われたりしている人々がいます。高山市は、日本の小さな地方都市でありますが、平和への願いを世界に広げていく都市でありたいとの思いで、宣言に向けた取り組みを進めさせていただきました。平和とは、そこに住む人々、世界の人々が平穏に心静かに希望を持って生きていける世の中だと思っております。これは、私の思いですが、市民の皆さまもそれぞれに平和への思いをお持ちのことと存じます。世界の恒久平和の実現は、世界中の一人ひとりの思いや行動の先にあります。市民の皆さまにおかれましては、皆さまの思いが込められたこの宣言を大切にし、平和について考え、取り組み、次世代に引き継いでいただきますようお願い申し上げます。市といたしましても、市民の皆さまとともに、引き続き、平和への取り組みを積極的に進めてまいります。皆さん、一緒に出来ることから始めていきましょう。
市役所前に設置した高山市平和のシンボル「平和への絆」
悲惨な戦争の記憶が薄れつつある中、改めて市民一人ひとりが守り引き継ぐべき美しい郷土や平和の大切さについて考え、家族や友人、地域などで語り合う機会が必要となっています。一方、国外では、現在も紛争や飢餓、貧困が絶えず、多くの尊い命が奪われており、これらは一刻も早く解決していかなければならない人類共通の課題です。髙山市は、日本全国のみならず全世界から多くの観光客が訪れる国際観光都市であり、異文化への共感や理解が世界平和に大きな役割を果たしていること、国際連合が9月21日を「国際平和デー」として定め、加盟各国などに世界平和に関する取組みを求めていることを踏まえ、国内外に向けて恒久平和の実現を訴えていくため、平成25年に9月21日を「高山市平和の日」として制定しました。これを受け、高山市における平和のシンボルとなり、シンボルを通じて市民のみならず、国内外からの観光客に対する平和への意識醸成を図るために、平成26年9月21日、市役所庁舎前広場に平和のシンボル「平和への絆」を設置しました(制作:協同組合 飛騨木工連合会)。制作にあたっては、基本コンセプトを「絆」と定め、次に掲げる3つの絆を表現しました。
人と人の絆「ふれあい」
格子の一部分を千鳥格子とし、先人から受け継がれ、また未来へ受け継いでいくべき飛騨の匠の技を取り入れることで「人と人の絆」を表現しています。
人と自然の絆「ぬくもり」
一位一刀彫や飛騨春慶などの伝統工芸品を育んできた自然の恵みである木を活用することにより、「人と自然の絆」を表現しています。
都市と都市の絆「ひろがり」
寺院や他の自治体への一斉鐘打の呼びかけなど鉦(かね)の音を通じた都市との連携により、「都市と都市の絆」を表現しています。このシンボルを通じて、高山市から恒久平和実現に向けた願いを全世界に発信していきます。