「新しい生活様式」政治家や官僚にこそ/政界地獄耳
★「長期戦を覚悟」するために国民に「新しい生活様式」を首相・安倍晋三が説くならぜひ、政治家や官僚もこの「新しい生活様式」を必ずや実行してもらいたいものだ。ことに「誰とどこで会ったかメモしたり、スマホの移動履歴をオンにする」を履行してもらいたい。この新しい生活様式になる前には優秀だからと配置された大臣や官僚たちがどんどん記憶喪失になる現象が頻繁に起きていたからだ。新しい生活様式は政治家や官僚にこそ実践してもらいたい。
★元文科省事務次官・前川喜平は加計学園獣医学部開校について首相補佐官・和泉洋人から官邸に呼び出され、「総理が自分の口からは言えないから、代わりに自分が言う」と3回にわたり圧力をかけられたとしたが、和泉は「記憶はまったく残っていない。したがって言ってない」と否定。愛媛県職員が作成した備忘録には「柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と面会し『本件は首相案件』と言われた」とあったが柳瀬は「面会していない」と言い張った。だが、のちに県職員が面会した時の柳瀬の「首相秘書官」の名刺が出て来た。加計学園の話だけでもほかにも何例もある。
★ここ数年の安倍内閣のスキャンダルはそのほとんどが新しい生活様式を取り入れれば解決していたし、うそかどうかすぐわかる。加えて「個別の発言の記載不要」「議事録を残す必要ない」「直ちに破棄した」など官僚が作成したメモや議事録を破棄するなど言語道断。無論議事録を改ざんしてもいけない。それでは新しい生活様式違反になってしまう。ネットには自粛破りを許さない「自粛警察」なるものがあるようだが、政治家や官僚向けに新しい生活様式の「誰とどこで会ったかのメモをしない、または改ざんすることを許さない警察」はないものか。(K)※敬称略
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新型コロナウイルス感染症の拡大は、歴代政権が進めてきた新自由主義=市場原理主義的政策がもたらした日本社会のひずみと課題を浮き彫りにするものとなっています。コロナ禍で表面化する新自由主義の問題について東京外国語大学の西谷修名誉教授に聞きました。(中野侃)
今回の新型コロナウイルス感染拡大をめぐっては、日本の新自由主義的な政策が、予期されたこの危機に全く対応できないということを露(あら)わにしました。
金融市場に没頭
感染拡大を抑えるためには、経済活動を支えている人と人との繋(つな)がり・接触を遮断しないといけません。そうすると、もちろん経済成長は打撃を受けます。でも、一番打撃を受けるのは、数値化された経済システムの中に労働力として組み込まれて生活する人たちです。
感染拡大を防ぐ処置として社会の血流を止める必要があるならば、それでも、しばし人々が生きていける対策もしなければなりません。この時に行政というものの役割が改めて浮かびあがります。経済活動を止めた時に、そこに組み込まれている人たちが一緒に締め出されることのないよう救いあげるのが行政の役割です。
しかし、政府は経済を維持することしか頭にありません。まずは株価が落ちないように金融市場に金をつぎ込む。緊急経済対策も大部分が企業向けです。この社会が、生きた人間によって支えられているということが全く考えられていません。
壊された「雇用」
医療体制で問題が浮き彫りになっています。政府はこの間、「地域医療構想」に沿った医療体制の効率化を推し進めてきました。約440の公立・公的病院の再編統合や13万床の病床削減をしようとしています。これがまさに新自由主義による社会統治の路線です。
その結果、病院体制はどうなっているかというと、集中治療室(ICU)は不足し、資材も、医師、看護師の数も足りません。現場は大変です。常に利潤を最大化する経営発想で最適化されたシステムは、無駄は省けと言われていて、緊急時にはまったく対応できません。公的セクターも経営原理という政策がここにきて危機的状況を招いています。
日本社会はこれまで、無駄を省いた効率的な社会を目指してきました。そういう名目で壊されてきたのが「雇用」です。
近代以降の産業社会では雇用が社会の入り口になっています。ここで排除されると、人は社会的な存在意義さえ認められません。
法人優遇改め人間第一に
日本の場合、かつては歴史的な役割を果たしてきた「雇用の安定性」がありました。一方で、その安定性は企業にとっては大変な負担になります。そこで、企業の負担を減らすための政策として進められたのが「雇用の自由化」です。その結果、非正規労働が増え、経営者は「自由」に解雇して人件費を削れるようになりました。人にではなく、法人(企業)にとって都合のよい仕組みです。
連帯意識を解体
法人は「ジュリディカル・パーソン」といって法的には人間のように扱われますが、息もしない、腹も減らない、血も涙もありません。しかし経済の自由化の下では、その架空の人格である法人を機能させるために、生きている人間を絞り切り捨てるようなことが行われてきました。これが新自由主義です。
新自由主義は経済思想というよりも国家統治の思想です。イギリスのサッチャー元首相が「社会などというものはない。あるのは家族と国家だけだ」と言ったのが典型的です。人々が結びつき連帯を伴う社会というものが、福祉に対する“依存”を生み出し、経済成長を停滞させているという認識で、富む者の自由と貧者の自己責任を説きました。こうした考えの下で、社会を個人に分断し、連携意識とか共同性に支えられている関係をすべて解体して、社会を市場に溶解させました。
イギリスから始まったその路線が、今ではグローバル世界の原理になっています。こうした中で築かれた私的利潤と全体効率を第一とする新自由主義の問題が表面化したのが今回のコロナ禍だと思います。
権力私物化狙う
もう一つ問題となるのは、緊急事態宣言に便乗して、自民党が憲法を改定し、「緊急事態条項」を創設する意向を示していることです。
憲法の中に緊急事態条項を組み込むというのは、立憲体制の中で権力の例外状況を合法化するということです。これは権力の私物化を合法化したい政治権力の問題です。感染拡大に対する緊急事態は実はそれとは違います。人々の健康や命の危機に対して、平常時とは違う対応を緊急かつ効果的に行うためのものです。つまり、権力の緊急事態ではなく、社会統治の緊急事態だということです。
コロナ禍はよく戦争に例えられますが、むしろ災害と考えるべきです。戦争なら、国民あるいは国が向き合わねばならない敵がいます。戦時が緊急事態だというのは、この敵とたたかうために国家が権力を集中させ国民を統制するためのものです。
一方で、災害にはたたかうべき敵はいません。災害時においてはむしろ、国家が国民をどのようにして守れるか、対策の中身が課題になります。国民と社会を保護し救うための緊急事態だということを政府が認識する必要があります。
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「イージスアショア」計画 秋田県内で再選定検討(20/05/06)
地上イージス 導入の是非から見直せ
地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」は、そもそも日本の安全保障に必要不可欠な防衛装備なのか。もはやどこに配備するかの問題ではなく、導入の是非から問い直すべきだ。
弾道ミサイルを迎撃ミサイルで撃ち落とすミサイル防衛システムを、従来の艦艇ではなく、地上に配備するのが「イージス・アショア」だ。政府は秋田、山口両県の陸上自衛隊演習場二カ所に配備する現行計画のうち秋田市の新屋演習場への配備を断念した。
新屋演習場への配備には住民や自治体が市街地に近いなどとして反対。加えて、防衛省は選定の妥当性を示す報告書を作成する際、現地調査をせず、インターネット上の地図データを使用して縮尺を間違えた上に、住民説明会で職員が居眠りをする大失態を演じた。地元の強い反対を踏まえれば、配備断念は当然だ。
ところが、新屋演習場に代わる候補地については秋田県内の別の国有地を軸に選定するという。これではとても納得がいかない。
そもそもイージス・アショアは日本の安全保障に不可欠なのか。
安倍内閣は二〇一七年十二月、核・ミサイル開発を進める北朝鮮の脅威を念頭に、二基導入の方針を閣議決定したが、北朝鮮を起点にすると、秋田の先にはハワイ、山口の先にはグアムがある。
日本国民を守るためと言いながら、ハワイとグアムに駐留する米軍基地を守るのが真の狙いと勘繰られても仕方があるまい。
さらに、イージス・アショアは高額で、二基の取得費用に三十年間の維持・運用費、ミサイル発射装置や用地取得費、施設整備費を含めれば、少なくとも五千億円以上に膨れ上がる。
米国が価格や納期の設定に主導権を持つ対外有償軍事援助(FMS)での調達でもあり、貿易不均衡の是正を主張するトランプ米大統領からの購入圧力か、大統領への忖度(そんたく)を疑わざるを得ない。
海上自衛隊はすでに弾道ミサイルを迎撃するイージス艦を配備しており、新たに地上に配備しても巨費に見合う安全保障上の効果が期待できるのだろうか。
日米同盟の強化を掲げる安倍晋三首相は政権復帰した一三年度予算以降、防衛費を増額し続けてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大による影響が収まらない中、費用対効果が疑わしい計画を漫然と続けていいとは思えない。貴重な財源は国民の命や暮らしを守るためにこそ振り向けるべきだ。(中日社説)