主張
大軍拡と対決の年
9条生かす外交で平和築こう
2023年がスタートしました。戦後日本の78年の歩みの中で最大の分岐点となる年の幕開けです。岸田文雄政権は昨年末、日本の安全保障政策を根本から転換する「安全保障3文書」を閣議決定し、敵基地攻撃能力の保有や過去に例のない大規模な軍拡に突き進もうとしています。「専守防衛」に徹して他国に脅威を与えないとしてきた大原則を踏み越える危険極まりない「戦争国家づくり」です。大軍拡の道を絶対に許してはなりません。戦争放棄・戦力不保持を明記した憲法9条を軸に据えた平和外交を進め、平和を築いていく年にしていきましょう。
日本に再び惨禍招く危険
「専守防衛という従来の日本の防衛政策の基本理念を否定する」(立憲デモクラシーの会)「日本の『国のかたち』そのものを転換させる」(平和構想提言会議)―「安保3文書」に、多くの団体・個人が批判の声を上げています。
日本弁護士連合会が発表した28ページの意見書にはこうあります。「日本が敵基地等への攻撃に踏み切った場合、その相手国は当然に日本に対するミサイル攻撃その他の反撃をすることになり、日本はその相手国と武力の応酬を繰り返すことになる」「想定される限りそれは米国と一体となった共同行動でもあり、日本は引くに引けない事態に陥る」「多大な国民の犠牲と広範な国土の荒廃を招き、再びこの国に戦争の惨禍をもたらすことが、真に危惧される」。破局的結末を招くことへの危機感の表明です。
日本が攻撃されていないのに、米国の戦争に参加して他国に攻め込む準備をする岸田政権の姿勢は、歴史の教訓に反した逆行です。戦後の日本は、おびただしい命を奪った侵略戦争への痛苦の反省が出発点でした。二度と戦争の過ちを繰り返さないと誓って制定されたのが憲法です。
その決意は1947年の憲法施行の際、文部省が発行した中学1年生用教材『あたらしい憲法のはなし』の「戦争の放棄」の記述に示されています。「よその国と争いごとがおこったとき、けっして戦争によって、相手をまかして、じぶんのいいぶんをとおそうとしないということをきめたのです」「おだやかにそうだんをして、きまりをつけようというのです。なぜならば、いくさをしかけることは、けっきょく、じぶんの国をほろぼすようなはめになるからです」。改めて胸に刻みたい言葉です。
歴代自民党政権は、憲法を敵視し改憲策動を繰り返しましたが、憲法の制約の下で自衛隊は1人の外国人も殺さず、戦死者も出してきませんでした。「軍事大国」にならない姿勢が、外交面で日本の信頼を得てきた面もあります。9条を生かし、外交に徹することこそ平和なアジアをつくる道です。
岸田政権に終止符を打ち
岸田政権では昨年末、秋葉賢也復興相が辞任に追い込まれました。統一協会との癒着、「政治とカネ」疑惑の解明に背を向ける岸田政権への国民の不信と批判は広がり続けています。内閣支持率は下落の一途で、「軍拡大増税」には反対世論が多数となっています。
平和でも暮らしでも国民の願いに逆らう岸田政権に終止符を打つ国民的運動を進めることが重要です。4月の統一地方選で審判を下し、解散・総選挙で「信を問え」と迫っていくことが不可欠です。
2日(月)付は休刊とさせていただきます。ご了承ください。
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