http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2009082602000034.html
09年衆院選 「政・官」改革は時の流れ
2009年8月26日
「官僚内閣制」とも揶揄(やゆ)される霞が関優位の行政システムが行き詰まっている。「政と官」の関係見直しは時の流れだ。各党は政治主導の旗を掲げるが、新政権に問われるのは即実践への覚悟だ。
戦後日本を世界第二の経済大国にまで押し上げたのは、官僚の使命感と優秀な頭脳なしには語れない。だが、気がつけば、地元への利益誘導を重視する政治家の役人依存が強まる一方、官僚も「国益より省益」に陥りがちになったのは事実だ。
近年、そのひずみが一気に噴き出している。管理のずさんさにあきれ返る「消えた年金」問題や、私物化といわれても仕方ない道路関連予算の無駄遣いなどは、世間の不信や怒りを募らせた。「役人天国」の代名詞である天下りや渡りも思うがままだった。
今回、政と官の関係のあり方が選挙戦の争点に位置づけられるのは好ましいことだ。
自民党は、政治主導に向け首相を補佐する「国家戦略スタッフ」の配置や、縦割り行政の脱却へ国家公務員幹部人事の一元管理などを打ち出した。ただ、麻生太郎首相は一連の役人の不祥事について多くを語っていない。官僚主導を許した政治の側の反省と総括なくしては、公約に信ぴょう性は生まれようもない。
「脱・官僚主導」を明確にアピールしたのが民主党だ。鳩山由紀夫代表らは、一九九三年に発足した細川政権時の苦い体験を教訓にしている。自民から非自民政権に看板は替わったが「官僚政権」の本質は変わっていなかった、と。
公約の具体策は、政府に国会議員約百人を送り政府・与党の一元化を図る、予算の骨格を策定する首相直属の国家戦略局を設置する、官僚主導の象徴である事務次官会議を廃止する、などだ。
こうした政権構想によって、官僚丸投げの政治から決別するとしているが、既得権益に固執する霞が関もしたたかである。民主政権誕生も想定して、対応策を練っているともいう。
司令塔となる国家戦略局についても、役人がコントロールするのなら、官僚支配の呪縛(じゅばく)から逃れられない。具体的な設計図を詰めて、有権者の納得を得なければならない。
政と官の関係でいえば、外務省が「ない」と言い張る日米間の核持ち込み密約の扱いも、新政権の課題になろう。官僚が長年握ってきた実権や情報を、一つ一つ国民の手に取り戻すときだ。
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あまり先走るなよ(^^)
民主人事構想、小沢代表代行が続投
民主党の鳩山由紀夫代表は衆院選での勝利をにらみ、鳩山政権の人事構想に着手した。最大の焦点となる小沢一郎代表代行の処遇については、引き続き代表代行として国政選挙の陣頭指揮を任せる意向を固めた。来夏の参院選に向け、早期に党の態勢を整える狙いがある。
小沢氏は代表を退いた今年5月以降、選挙担当の代表代行として衆院選の公認決定や活動方針を取り仕切ってきた。党の「次の内閣」では「副総理」に位置付けられている。
ただ、小沢氏が実際に入閣した場合は、国会に出席する義務が生じる。衆院選後には西松建設の献金事件で起訴された公設秘書の初公判が開かれる見通しで、野党から国会の場で小沢氏が直接追及されることは間違いなく、国会運営の支障になりかねない。
このため、鳩山氏は小沢氏を閣僚には起用せず、党務に専念させ、来夏の参院選に向けて引き続き手腕を発揮してもらう考えに傾いた。
これまで小沢氏の処遇については「民主党の団結力を維持するために、これからも枢要なポジションで頑張ってもらいたい」と述べていた。
菅直人代表代行は内閣の重要ポストに、岡田克也幹事長は続投か主要閣僚に起用するとみられる。
このほか、政府の重要ポストに藤井裕久最高顧問、年金関連の閣僚に長妻昭政調会長代理の起用が確実視されている。
(中日新聞・東京新聞)
09年衆院選 「政・官」改革は時の流れ
2009年8月26日
「官僚内閣制」とも揶揄(やゆ)される霞が関優位の行政システムが行き詰まっている。「政と官」の関係見直しは時の流れだ。各党は政治主導の旗を掲げるが、新政権に問われるのは即実践への覚悟だ。
戦後日本を世界第二の経済大国にまで押し上げたのは、官僚の使命感と優秀な頭脳なしには語れない。だが、気がつけば、地元への利益誘導を重視する政治家の役人依存が強まる一方、官僚も「国益より省益」に陥りがちになったのは事実だ。
近年、そのひずみが一気に噴き出している。管理のずさんさにあきれ返る「消えた年金」問題や、私物化といわれても仕方ない道路関連予算の無駄遣いなどは、世間の不信や怒りを募らせた。「役人天国」の代名詞である天下りや渡りも思うがままだった。
今回、政と官の関係のあり方が選挙戦の争点に位置づけられるのは好ましいことだ。
自民党は、政治主導に向け首相を補佐する「国家戦略スタッフ」の配置や、縦割り行政の脱却へ国家公務員幹部人事の一元管理などを打ち出した。ただ、麻生太郎首相は一連の役人の不祥事について多くを語っていない。官僚主導を許した政治の側の反省と総括なくしては、公約に信ぴょう性は生まれようもない。
「脱・官僚主導」を明確にアピールしたのが民主党だ。鳩山由紀夫代表らは、一九九三年に発足した細川政権時の苦い体験を教訓にしている。自民から非自民政権に看板は替わったが「官僚政権」の本質は変わっていなかった、と。
公約の具体策は、政府に国会議員約百人を送り政府・与党の一元化を図る、予算の骨格を策定する首相直属の国家戦略局を設置する、官僚主導の象徴である事務次官会議を廃止する、などだ。
こうした政権構想によって、官僚丸投げの政治から決別するとしているが、既得権益に固執する霞が関もしたたかである。民主政権誕生も想定して、対応策を練っているともいう。
司令塔となる国家戦略局についても、役人がコントロールするのなら、官僚支配の呪縛(じゅばく)から逃れられない。具体的な設計図を詰めて、有権者の納得を得なければならない。
政と官の関係でいえば、外務省が「ない」と言い張る日米間の核持ち込み密約の扱いも、新政権の課題になろう。官僚が長年握ってきた実権や情報を、一つ一つ国民の手に取り戻すときだ。
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民主人事構想、小沢代表代行が続投
民主党の鳩山由紀夫代表は衆院選での勝利をにらみ、鳩山政権の人事構想に着手した。最大の焦点となる小沢一郎代表代行の処遇については、引き続き代表代行として国政選挙の陣頭指揮を任せる意向を固めた。来夏の参院選に向け、早期に党の態勢を整える狙いがある。
小沢氏は代表を退いた今年5月以降、選挙担当の代表代行として衆院選の公認決定や活動方針を取り仕切ってきた。党の「次の内閣」では「副総理」に位置付けられている。
ただ、小沢氏が実際に入閣した場合は、国会に出席する義務が生じる。衆院選後には西松建設の献金事件で起訴された公設秘書の初公判が開かれる見通しで、野党から国会の場で小沢氏が直接追及されることは間違いなく、国会運営の支障になりかねない。
このため、鳩山氏は小沢氏を閣僚には起用せず、党務に専念させ、来夏の参院選に向けて引き続き手腕を発揮してもらう考えに傾いた。
これまで小沢氏の処遇については「民主党の団結力を維持するために、これからも枢要なポジションで頑張ってもらいたい」と述べていた。
菅直人代表代行は内閣の重要ポストに、岡田克也幹事長は続投か主要閣僚に起用するとみられる。
このほか、政府の重要ポストに藤井裕久最高顧問、年金関連の閣僚に長妻昭政調会長代理の起用が確実視されている。
(中日新聞・東京新聞)