円空仏、中から阿弥陀像 羽島の中観音堂、母親思い供養仏か
十一面観音像(奥)の開封に立ち会った浅野薫さん(左)と加藤奨さん=岐阜県羽島市の中観音堂で
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2019050890085518.html
生涯で12万体の仏像を彫ったとされる江戸時代の僧・円空(1632~95年)。生誕の地と伝わる岐阜県羽島市の中観音堂で昨年末、本尊の十一面観音像の背面にある木ぶたを関係者らが初めて開封したところ、胎内から阿弥陀(あみだ)如来像などが見つかった。「母親思い」とされる円空が約350年前、母の供養のために入れたとみられている。(長崎高大)十一面観音像は、円空が北海道、東北の旅を終えた40歳ごろ、大洪水で非業の死を遂げた母親の鎮魂のため、33回忌に合わせて彫ったと伝わる。木曽ヒノキが使われ、高さ222センチ。右胸の背面に10センチ四方のくりぬきがあり、木ぶたでふさがれていた。長年、開封は厳禁とされ、中に何が入っているのかは地元でも謎だった。だが、観音像の制作時期を巡って昨年11月に研究者から「円空が旅に出る前ではないか」と異論が出たのを機に、観音堂を管理する円空上人遺跡顕彰会(同市)が「何かヒントが見つかるのでは」と開封を決断した。発見されたのは、円空が彫ったとみられる阿弥陀如来像(高さ約5センチ)や、母親の形見と思われる鏡(直径約8センチ)。他に寛永通宝と大観通宝が各1枚、筆、水晶、舎利の代わりとみられる石、「圓(円)空」と書かれた起請文も、一緒に和紙にくるまれていた。開封に踏み切った顕彰会の元会長、加藤奨(すすむ)さん(73)は「開けた瞬間はやっぱりか、と思った。円空は大変な母親思いと伝わり、供養のための何かが入っていると考えていた」と語る。円空仏の研究者らでつくる「円空学会」の顧問で、開封に立ち会った長谷川公茂さん(85)=愛知県一宮市=は「母親の供養のため、円空が入れたと考えるのが自然だ。形見の鏡を入れていることからも、十一面観音像に込めた思いの強さが伝わる」と指摘。制作時期は、定説の通りと見る。観音堂の運営は現在、300円の入館料とわずかなグッズ販売が収入源で、近年は赤字が続く。顕彰会は今回見つかった阿弥陀如来像などの一般公開を6月、期間限定で予定している。顕彰会会長の浅野薫さん(71)は「開封により多くの人に関心を持ってもらうことも大事だ」と話す。十一面観音像は、岐阜県と羽島市の重要文化財にも指定。市生涯学習課の担当者は「信仰上は開けない方がいいのだろうが、学術上は開けないとわからないこともある」と指摘。阿弥陀如来像などが納められた時期の特定には、さらに詳細な検証が必要だと話している。<円空> 「円空仏」と呼ばれる独特の木彫りの仏像を彫ったことで知られる。江戸時代の初期に各地を歩き、作品を残した。全国で約5300体の円空仏が見つかっており、うち愛知県で約3000体、岐阜県では約1000体。出生地は岐阜県羽島市のほか、同県郡上市など諸説ある。作風は初期は彫りが浅く、中期は荒々しくて力強い。後期は簡素化が目立つ。(中日新聞)
「オール沖縄」タカラ氏擁立
参院選挙区 新基地ノーの民意何度でも
沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設に反対する「オール沖縄」の立場で、7月の参院選の沖縄選挙区に出馬する意向を示していた元琉球大法科大学院教授で憲法学者のタカラ鉄美氏(65)と、オール沖縄の政党・会派、諸団体は7日、那覇市内で記者会見を開き、タカラ氏をオール沖縄の予定候補として支援することを発表しました。(関連記事)
(写真)ガンバロー三唱をするタカラ氏(前列中央)、デニー知事(その右)、糸数参院議員(前列左から3人目)ら=7日、那覇市
オール沖縄勢力は、同新基地建設断念や米軍普天間基地(同県宜野湾市)の閉鎖・撤去などを求める「建白書」の実現を目指し、オール沖縄を貫く立場で、玉城デニー県政を国政から支える人物と確認し、タカラ氏への支援を決めました。会見にはデニー知事、タカラ氏にバトンを託す糸数慶子参院議員も出席。糸数氏は、タカラ氏について「新基地建設に心から反対の気持ちを持っている」と語り、「平和の一議席こそ、タカラさんにバトンタッチするべきもの」と強調しました。デニー知事は「平和の一議席は、尊厳の一議席と呼びたいくらい非常に重たい県民の思いが込められている。尊厳の議席を、しっかり守り、勝ち取ろう」と訴えました。タカラ氏は冒頭、争点は辺野古新基地問題だと述べ、「県民の意思は辺野古(新基地)阻止だとはっきりしている」と訴えました。新基地建設を強行する安倍政権に何度でも民意を示すことの意義を強調し、憲法改悪に反対する姿勢も示し、支援を呼びかけました。経済界を代表して建設会社・照正組会長の照屋義実氏、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員などの国会議員らが同席しました。
赤旗2019年5月8日(水)
- 「オール沖縄」タカラ氏擁立/参院選挙区 新基地ノーの民意何度でも
- 核兵器ない世界へ進もう/2019国民平和大行進スタート
- 日朝平壌宣言に基づき外交努力を/小池書記局長が強調
- 共謀罪・秘密法廃止に/市民らが国会前行動 野党議員参加
- 認可外お墨付き批判/参院委 保育「無償化」で参考人/田村議員が質問
- 障害者活躍の職場に/衆院委 改正法案めぐり参考人/高橋議員が質問
- 12日に6中総を開催
- 沖縄の民意 参院選でも/タカラ氏・「オール沖縄」の会見 発言要旨
- 辺野古新基地 自作自演/推進チーム出向で埋め立て強行/国交省→防衛省22人
- 足立から安倍政治ストップを 東京/区長・区議選 小池書記局長訴え
- 外国人児童生徒実情は/愛知・知立 本村議員ら学校調査
- 官邸の質問制限を検証/沖縄民意無視を批判 法政大で報道フォーラム
- ガザ武力衝突の停戦合意/イスラエルとパレスチナ武装勢力/双方の合計死傷者300人以上
安倍内閣使い放題の“ヤミ金”
官房機密費 67億円
6年間 「政策推進」名目 領収書必要なし
安倍内閣が昨年1年間に支出した内閣官房機密費(報償費)約12億円のうち、菅義偉官房長官の裁量で領収書無しの支出ができる「政策推進費」が11億円を超えることが5日、本紙が情報公開で入手した資料で判明しました。第2次安倍内閣が発足してからの6年間でみると、菅官房長官は、官房機密費の中でも最も“つかみ金”の性格を持つ「政策推進費」を67億円も使ったことになります。(矢野昌弘)
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官房機密費をめぐっては、昨年1月に最高裁が支出に関する文書の開示を認めました。同年3月、支出に関する文書の一部が公開されました。最高裁判決を受け、官房機密費の使い方が変化するのか注目されましたが、前年までと変わらず「政策推進費」が支出の90%超を占めていました。官房機密費は、会計検査院に対しても領収書や支払い相手を明らかにする必要がない“ヤミ金”の性質を持ちます。その中でも「活動関係費」など他の支出は出納事務に内閣総務官らがたずさわり、内部処理では領収書を必要とします。ところが、官房長官自身が管理する「政策推進費」は官房長官に渡された時点で、支出が完了したことになります。官房長官から先の支払先を明らかにする必要がなく、領収書も不要となっています。昨年の全体の支出12億3800万円余りのうち、「政策推進費」は11億1620万円。その他の「活動関係費」と「調査情報対策費」は計1億2200万円余りとなっています。2012年12月に第2次安倍内閣が発足してから昨年12月末までに総額74億円余りを使っています。一方、年度末までに使い切れずに国庫に返納した機密費は6年度分を全て合わせても33万円余にすぎません。
返納金 6年で33万円
“使い切ることありき”の疑い
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第2次安倍内閣発足後の6年間で総額74億円を超えた内閣官房機密費(報償費)。実際の支出をみていくと、政府のこれまでの説明とは裏腹に、“使い切ることありき”の使われ方が疑われます。「当時の外交案件等が照合されるなどして(中略)今後の外交交渉等に重大な支障を及ぼす恐れ」(2012年当時の内閣総務官の陳述書)官房機密費の支出について情報公開を求めた裁判で、国はそんな主張で頑強に開示を拒んでいました。昨年の最高裁判決では「政策推進費受払簿」など3種類の文書が開示されることになりました。これらの文書は、いずれも機密費の支出先を書いたものではありません。それでも国側は裁判中、あれこれの“恐れ”を並び立てました。
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ところが文書が開示されてみると、毎月だいたい1億円ずつを国庫から受領し、年間11億円前後を支出することの繰り返しでした。驚かされるのは、国庫に返納する使い残した機密費の少なさです。6年間で、返納した金は合計で33万円余にすぎません。例えば2017年4月に国庫に返した16年度分の機密費は、わずか1万1313円でした。その前月の3月に、菅義偉官房長官が直接管理し、領収書がいらない「政策推進費」がふだんの2倍近い1億5290万円も支出されていました。この金額は、金庫にあった機密費のうち業者などへの支払い分を残して、残額をほぼ全て菅長官に移した格好です。毎年この手法で、機密費がほとんど使い切られてきました。また、菅長官の前任の藤村修長官(民主党・野田内閣)が使い残した「政策推進費」3100万円を菅長官が使用したことも開示された文書で判明しました。「機密」を都合のいい隠れみのにした、使い切り“ありき”の不適切な支出がないか、さらなる情報開示と国民のチェックが必要です。
改善の求めを無視
神戸学院大学 上脇博之教授に聞く
![]() (写真)上脇博之教授 |
第2次安倍内閣の発足から6年で使われた内閣官房機密費(報償費)は74億円あまり。この金の実態を10年余りかけて、裁判で明らかにさせた上脇博之神戸学院大学教授に聞きました。昨年3月に私たち原告団と弁護団は改善を求める要求書を菅義偉官房長官あてに送りましたが、何ら反応がなく無視されたままです。官房機密費の中でも特に「政策推進費」は完全なブラックボックスです。過去には、共産党の入手した内部資料や官房長官経験者の証言などから目的外支出が行われた疑惑が指摘されてきました。財政法は国民の税金の目的外支出を許していません。官房機密費が、目的どおりに使われている保証はどこにもないのです。過去に疑惑をもたれた以上、納税者の信頼が得られないのに、公金を使うべきではありません。そこで私たちは、官房機密費の使途の秘匿性の程度の違いに応じて支出先を将来開示する時期を定めるよう要求しました。政治家や公務員への支出も禁止するよう求めました。しかし安倍政権は見なおしを拒否し続けています。改善しないなら政策推進費を即刻廃止するよう求めましたが、残念ながら菅長官は一顧だにしません。全く改善しないというのは、政権にとって“使い勝手のいい”お金、つまり違法な目的外支出が簡単にできてしまうお金を手放したくないからでしょう。安倍政権は情報公開をはじめ法令を守らず、あちこちで知る権利を侵害しています。これは安倍政権の体質です。官房機密費の改善拒否も、その体質のあらわれだと言わざるを得ません。
赤旗 2019年5月6日(月)
- 安倍内閣使い放題の“ヤミ金”/官房機密費 67億円/6年間 「政策推進」名目 領収書必要なし
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