影絵作家 藤城清治さんを思う のつづきです
番組後半では、
『ここがききたい 87歳 藤城清治 僕の24時間』
ということで、藤城さんの1日の
タイムスケジュールについて触れていました。
※こちらも驚きの連続でしたが、ただ驚くだけでなく
藤城さんのタイムスケジュールの中には、
【長生きの秘訣】や【健康的に生きる為のヒント】が
ふんだんに詰まっている様に感じさせられました。
『藤城さんの1日のタイムスケジュール』
朝5時半起床→6時~10時まで散歩(4時間)
藤城さん曰く
【朝の散歩は「生きているぞ」ということであり
仕事が遊びで、むしろ散歩の方が仕事
と言っていいくらい。
一歩一歩、歩く事で アイディアも出る。
影絵をピッと切るのは1つの繋がりであるので、
「今日は大丈夫かな」
「この調子で切れるかな」という感じが分かる】
※このお話を聞いて思いました。
「猫が身体をメンテナンスする為に 毎日何度も
念入りに毛づくろいをするように、
藤城さんは、毎日が車検のように、
ご自分の資本となる肉体という大事な乗り物を
4時間の毎日の散歩の中で
点検なさっている。その長年の繰り返しの
積み重ねが藤城さんの心も体も健やかに整え
見る者達の心をゆさぶる素敵な作品や
豊かなひらめきへと
繋がっていらっしゃるのではないかしら」と。
散歩中の映像も流れましたが キャップを被り
鞄を襷がけにし、ハイソックスから覗く筋肉は逞しく
その足どりは実に軽やかで速く、そして力強く
凄いパワーを感じると共に漲る若さまでも感じられ
こちらの方まで元気のお裾分けを頂きました
散歩から帰宅→2時間かけて入浴
(「これは一番長い時には」と、笑って補足されていました)
藤城さん曰く
「年をとっているので、熱めのお風呂だと危ない、
という事で、足湯のように足だけをぬるめの湯で
温める。そして、少しづつお湯を増やしていって
腰湯にし、少しづつお湯の温度をあげていくけれど
胸までは足さないようにする。そして湯船の中の
手摺を持って湯船の中で足が大事だから5000回
足をバタバタしている。一杯汗をかきます」
※5000回という想定外の数字に、アナウンサー同様、
私もかなり驚き、を見ながら思わず
「エェーッ5000回?」と声に出していました。
「数を数えていらっしゃるんですか?」と驚いた顔で
聞き返していたアナウンサーの顔も印象的でした
入浴後12時~→朝食
13時~15時まで→休憩
15時~16時まで→昼食とおやつ
(甘いものがお好きとの事でした)
16時~→仕事
20時~21時→夕食
※夕食のテーブルには、バランスのとれた
身体がわくわく悦ぶような、沢山のお料理が
所せましと並べられていました
藤城さん曰く
「お肉もお魚もなるべくなら年をとっているので
腹八分目にしたいけれど食べたいし甘い物も
好きなので(笑)昼食は軽めに取りその分
仕事をする夕食は、しっかりととる。
肉が好きだったけれど最近はだいぶんおさえている」
21時~深夜1時→仕事
1時→就寝(目標)
※昔は朝までお仕事をしていたという事でした。
アナウンサーも「寝る時間がないですね」と
またまた 驚かれていました
藤城さん曰く
「朝の太陽が昇って 夜明けが凄く好きだったので
空が白み始めて明るくなってきたのを見て
仕事をやめる、というのを10年位前まではしてました
どうしても仕事をしていると乗ってくるから、
3時位までやってしまう事が多いので。乗ってくると
どうしても途中でパッとやめちゃう事はできない」
※冒頭でも私の主観を通して書かせて頂きましたが
藤城さんのタイムスケジュールには、【長生きの秘訣】や
【健康的に生きる為のヒント】が
沢山詰まっていたように思いました。
ここにそのタイムスケジュールを纏め載せましたが、
「さぁ、私達も是非明日から真似してみましょう!」の
それではありません。藤城さんのように願わくば
一日をこの様にゆったりと過ごせたら
ステキなのですが、今や文明の利器にどっぷり浸かり、
色んな事に追われながらの現代人が、
実生活において、藤城さんのようなゆったりとした
タイムスケジュールにのっとって動く、というのは中々
ままならないものがありますが、それでも思うのは、
健康に生きる、身体を大事にするという事の大元は
本来こういう事を言うのかもしれない、
と思うと同時に 身体を動かすことの大切さ、
日々の積み重ねの大切さを 私はですが、
また改めて教えて頂いた気がします。
太陽のあたたかさを感じ、
澄んだ朝の空気の中で
流れる景色に目を留め、
大地をしっかりふみしめながらの、
リズムカルな朝の散歩は、
藤城さんの肉体に清らかで清々しいエネルギーが
一杯取り込まれている、そんな気がしました。
藤城さんという方は、【流れ】を深い部分で
熟知していらっしゃるようにも感じさせられました。
心と体のバランスがとれてこそ初めて、
健康な体には健康な魂が宿ることで初めて
多くの人を魅了する、あのような、温かく、優しい、
可憐で美しい作品がうまれるのかもしれないと
僭越ながら、朝のお散歩の映像を拝見しながら、
ふと、そんな事を思っていました。
藤城さんがご自宅アトリエで
作品を造っている映像が流れました
これまた驚く事に
(今回のスタジオパークは終始驚きっぱなしでした)
ペラペラッとした薄いカミソリの刃だけを直接
指に挟んでお持ちになり、実に大胆に鮮やかに
躊躇なくシャッシャッという微かな音を立てて
切っておられました。カミソリの刃を
当てている指先を触らせて貰った女性アナウンサーは
ひとこと「とても固いですね~」と言っていました。
藤城さん曰く
「(指は)足の踵のように固くなってます。
刃を持って切り始めると、
指に1本スーッと線(筋)が出来、その線(筋)に
刃が入る感じでより安定するんです。
作業をしなくなると、その線(筋)は
不思議となくなるので、
自分の指ながらも 凄いなぁ~と思います。
カミソリの刃は
反る、しなる、そして捻れるのでいいんです。
カッターなどには柄がついているけれど、
僕の場合には、カミソリが刃で、
自分の腕がその柄のようなものですから、
刃もしなるし、手もしなるし、腕もしなる。」
※「道具になりきる」とは、「一体化する」とは
当に こういう事を言うのだなぁ~」と思いました。
このお話をされた後、新潟の展覧会に出すという
ひと月で仕上げようとしているという作品の下絵を
スタジオにお持ちになられ、ご説明をされました。
藤城さんは
「夜空に花火、そして下には船が勢いにのって
バーッとあり、大漁旗や、新潟なので太鼓でも
叩いたらいいかなと思って。
昨日、佐渡の太鼓を見てきたもんだから。
船の上で太鼓を叩いたら面白いかな、と思って。
下絵を書いていると、毎日毎日ドンドン変わってくる
下絵を鉛筆で書くのがすごく面白い。」
と仰り、続けてまた
【影絵というのは、元々何もない時に焼け跡で
何でもない物でやればいい、というので
始まっているからカミソリなんかもそうだけれど、
道具とか何かを使ってするのではなくて、
自分の身体であるものを使って 何でもやって
光を当てればふぁーっとなるのが 好きだから】
※このお話に私は、
スピリチュアリズムの真髄のようなものを感じ、
この深くて素敵なお話に感動致しました。
そして、表現し続けるにあたって私も
この言葉を胸に 邁進したいと思いました。
『作品にしたくなるものというのはどの様なもので
どの様なものに心動かされますか?』の質問に・・・
「元々、メルヘン的な物が好きだったから、
自分の思った心象風景であったりとか、
夢みたいなものをやってたけれど、
最近色んな各地に展覧会なんかで行ったりすると、
建物にしろ、風景にしろ、すごくいから。九州は九州、
四国は四国、東北は東北、東京、オペラもいいし
五重塔もいいし・・・・・」
【僕は人物が得意だとか、動物が得意だとか、
風景が得意だ、とかいうんじゃなく、
地球上の物全てを書きたいというか、
不得意のものとか、得意のものとかではなく、
あらゆるものに面白さがある。
影絵もある意味そうかもしれないけれど
ある意味、自分のスタイルを作っちゃう、
自分の個性を出そうとするけれど、
僕はどっちかというとそうじゃなくて、
富士山なら富士山を描くんだし、軍艦島、
あるいは桜島、そういうものは山の、
あるいは海の美しさを、自分がやるから
どうしても自分流にはなるけれど、
その山の美しさを訴えたいなと思うし、
地球上のものの全部は
色んな無限の面白さがある。
山は山、海は海、花は花、魚は魚、
動物は動物、そういう、
魚もいいし、犬もいいし、猫もいいし、という】
※藤城さんの後半のお話の部分はあえて太字とし、
【 】で くくりました。私は特にこの部分に惹かれ
藤城さんの雄大さを感じました。
最新作は、爆笑問題 太田光さんの
『マボロシの鳥』の影絵(40枚近く)を
ご担当されたそうです
実際の原画サイズは1m位ある大きなものなので
本来なら、1枚につき1週間から10日かかるので、
40枚の影絵だと本来なら1年近くかかるものを
3日に1枚、という驚異的なハイペースで、
3ヵ月で完成させたとお話されました。
※私はこのお話をきいて思いました。
心平らかに集中し 全身全霊を捧げていると、
そのあいだは1日24時間という時間枠でさえも
取り払われたようになり、実際の肉体的の
年齢さえも、飛び越えてしまうようような
何かとてつもない 視えない
大いなるエネルギーにも似た尊い何かの力が働き
サポートしてくれるのではないか、と。
(皆さんもそうかもしれませんが)
私は好きな事に向って集中すると、
1時間位経った感じでいたら
実は10時間近く経っていて、翌朝になっていた、
という事は時々あります。
でも不思議と肉体は全然疲れていないのです。
こういう時、私の中では ある意味
時間が飛んでいるのかもしれない、と思います。
『マボロシの鳥』の影絵を
作成するにあたってのエピソード・・・・・
「送られてきた本を読んだらとても面白く(-略-)
メルヘンと今の時代に
何か訴えたいようなものが凄くある。
何か どっかで繋がっている、全体がテーマ。
僕も天が1つだとか、
何処かで繋がっているというのがある(-略-)
実際の原画のサイズは1m位の大きな物。
影絵というのは、切っていくので、
細かいと 細密画みたいなってしまい、
カッカッカッと切れなくなるので、
僕は切る時は手先じゃなくて身体全体で切るので
どうしても、大きくなってしまう。
本来1つの作品は
どうしても1週間から10日くらいかかるけれど
この作品をやりだしたらのってきたので
3ヵ月で出来た。40枚を1枚の作品のように思って。
影絵というのは手先でなく身体で切るから、
あまり丁寧丁寧に切ったら駄目だから
一気にやっちゃうという、だから一気にやったので
今回は3日で1枚のペースで出来た。
これまでは血圧を計りながらやっていたけれど、
今回は血圧も測らなかった」
好きな色は?(番組視聴者からの質問)
「優しくて温ったかくて甘い感じがするからピンク」
理想の女性像は?
「優しくて綺麗で、シャープで、
なおかつ 全体を包んでくれるような
母性像のような、美の象徴みたいな(-略-)」
※人魚にも理想の女性像を感じて
いらっしゃるようでした。人魚も好きで
よく影絵の作品にも登場するそうです。
猫ちゃんはどんな存在?
「猫は、今や助手のような存在。
夜みんなが寝静まって夜遅く仕事をしていると、
ライトが下から当たっているからあたたかいのか、
猫も起きている。紙なんかが
一杯ちらかっているので、それをしっぽで
パッパッパッっと、切ったゴミなんかを
はらってくれたり、時々乗っかってきて
肩を揉んでくれたりね。皆は影絵は破れやすいから、
猫に「あぁ、危ない 危ない!」と言うけれど
僕はもう、「全然大丈夫」って言って。
そんなにや破らないしね。人間が破ったら怒るけれど
猫だと絶対に怒らない(笑)
※この猫ちゃんとの関係に心が和みました。
更に藤城さんの猫ちゃんに対する深い愛情を感じ
私もとっても嬉しくなりました。
87歳の藤城さんのお話をお聞きしながら、
89歳の今も尚、
お元気に精力的に創作活動を続けていらしゃる、
ゲゲゲの鬼太郎でお馴染みの水木茂さんや
今は亡き榊莫山先生や
岡本太郎さんのお顔がふうっと浮かんできました。
私の主観ですが、
皆さん何処となく雰囲気が似てらして
腹が据わり大物でいらっしゃる事に
変わりがないのですが、皆さん共通して
何処かユーモアがお有りで、
せかせかとせずドーンと ゆったり構えてらして、
まぁるい感じで、大海原を穏やかに
心地良い自分のペースを守りながら
ス~イ、ス~イと優雅に気持ち良さそうに泳ぐ
タイマイが頭をよぎりました。
-完-