今日(2月28日)は妻の命日。もう11年が過ぎたが、今もあの時のことが鮮明に記憶に残っている。
もう1週間くらいと告知されてから、比較的穏やかに過ごしていたが、前日の午後に急にこれまでになかったような苦しみに襲われたので、医師に頼んで鎮静剤を打ってもらった。意識は回復しないですよと言われたが、苦しんでいる姿が哀れだったのでお願いした。その夜は昏々と眠っている顔を見ながら過ごしたが、一夜明けても眠り続けていた。そして、一度も覚めることなく、夕方、私と次男と長男の嫁が見守る中で逝った。何も言い残さずに逝った妻がこの上なく愛おしく哀れだった。担当の医師が来て午後4時7分に死亡と確認したが、実際にはその前に息を引き取っていた。
海外出張していた長男の帰国を待って2日後に葬儀をしたが、葬儀がすんで、それぞれ忙しかった息子達が帰り、独りになった夜の言いようのない孤独感は忘れることができない。妻が最後の入院をしてから2か月たっていたから、その間も独り住まいだったのだが、そのときには孤独感はなく、毎日病院の妻に会いに行くのがむしろ張り合いがあった。しかし、もうその妻もいなくなった家の中のいたるところに妻の思い出が残っているのに、もうどこにもいないという寂寞感は、深く哀しいものだった。
あれ以来1日も妻を思い出さない日はなく過ごしてきたが、ただひとつ、逝く前の日に鎮静剤を打った後眠ってしまう前に、なぜ何か話さなかったのかと悔いが残る。ほんの少しでも言葉を交わしていたら、今でもそれを思い出すことができるのにと思う。
今年も、Hr君やHg君たちと同級で生物部員だったS君の姉から供花が届けられた。妻が逝ってから毎年届けられる。S君は高校を卒業後間もなく腎臓疾患のために死んだ。姉も同じ高校の卒業生で、妻とも面識があったが、それだけの縁でこうしてもう11年も欠かさず花を贈ってもらっているのは有難いことだと思う。これも妻の徳だったのだろうと思うことにしている。
最近になって時々妻の夢を見る。多くは明け方の夢うつつの時で、妻は元気そうで、その妻に何か尋ねたり話しかけたりしたとたんに目が覚めて、「ああそうだ。もういないのだった」と思う。その何とも言えない寂寞感が哀しく、ひとしきり会いたいと思う。
存命していたら妻はこの4月で75歳になる。今、心に残っているのは63歳の時の、まだ若さが残っている面影だから、75歳の「おばあさん」の妻の様子は想像できない。妻を知っている人達は、可愛らしい人だったからきっと変わっていないだろうと言ってくれるから、私もそう思うことにしている。
もう1週間くらいと告知されてから、比較的穏やかに過ごしていたが、前日の午後に急にこれまでになかったような苦しみに襲われたので、医師に頼んで鎮静剤を打ってもらった。意識は回復しないですよと言われたが、苦しんでいる姿が哀れだったのでお願いした。その夜は昏々と眠っている顔を見ながら過ごしたが、一夜明けても眠り続けていた。そして、一度も覚めることなく、夕方、私と次男と長男の嫁が見守る中で逝った。何も言い残さずに逝った妻がこの上なく愛おしく哀れだった。担当の医師が来て午後4時7分に死亡と確認したが、実際にはその前に息を引き取っていた。
海外出張していた長男の帰国を待って2日後に葬儀をしたが、葬儀がすんで、それぞれ忙しかった息子達が帰り、独りになった夜の言いようのない孤独感は忘れることができない。妻が最後の入院をしてから2か月たっていたから、その間も独り住まいだったのだが、そのときには孤独感はなく、毎日病院の妻に会いに行くのがむしろ張り合いがあった。しかし、もうその妻もいなくなった家の中のいたるところに妻の思い出が残っているのに、もうどこにもいないという寂寞感は、深く哀しいものだった。
あれ以来1日も妻を思い出さない日はなく過ごしてきたが、ただひとつ、逝く前の日に鎮静剤を打った後眠ってしまう前に、なぜ何か話さなかったのかと悔いが残る。ほんの少しでも言葉を交わしていたら、今でもそれを思い出すことができるのにと思う。
今年も、Hr君やHg君たちと同級で生物部員だったS君の姉から供花が届けられた。妻が逝ってから毎年届けられる。S君は高校を卒業後間もなく腎臓疾患のために死んだ。姉も同じ高校の卒業生で、妻とも面識があったが、それだけの縁でこうしてもう11年も欠かさず花を贈ってもらっているのは有難いことだと思う。これも妻の徳だったのだろうと思うことにしている。
最近になって時々妻の夢を見る。多くは明け方の夢うつつの時で、妻は元気そうで、その妻に何か尋ねたり話しかけたりしたとたんに目が覚めて、「ああそうだ。もういないのだった」と思う。その何とも言えない寂寞感が哀しく、ひとしきり会いたいと思う。
存命していたら妻はこの4月で75歳になる。今、心に残っているのは63歳の時の、まだ若さが残っている面影だから、75歳の「おばあさん」の妻の様子は想像できない。妻を知っている人達は、可愛らしい人だったからきっと変わっていないだろうと言ってくれるから、私もそう思うことにしている。