年末の『毎日』紙の読者の投稿欄「みんなの広場」に82歳の無職の男性が投稿していました。結婚54年のこの男性の77歳になる奥さんが老人ホームに入居して丸5年近くになるそうです。この人はほぼ毎日、自宅から車で約40分かけて奥さんが入居している老人ホームに行き、4時間前後、食事、トイレ、歯みがきなど奥さんの介助を手伝っていました。
知人達は皆車の事故を心配してくれ、実際にこれまでに他の車との衝突事故でけがをしたり、道路の左側に寄り過ぎてタイヤノパンク事故があったようです。この男性自身が車の事故を気にし始めていたところ、自宅から徒歩十数分のところに老人ホームがオープンし、順番待ちして12月末に奥さんは入居できました。長年入居していたホームに慣れ親しんでいたので、転居することは相当迷ったようですが、「いつでも好きな時に妻に会えるといううれしさは、何物にも代え難いと判断し、決めた」そうです。この投稿は次のように結ばれています。
「夫婦のどちらが先立つかはわからないが、私の元気なうちは毎日、何回でも、可愛くて、可哀そうな妻の顔を見ながら、余生を過ごしたい」。
この投稿では触れられていませんが、奥さんはあるいは認知症なのかも知れません。それにしても5年間の献身的な介護には頭が下がります。そして82歳になってもなお、77歳の奥さんを「可愛い」と言えるのは素晴らしいことで、このご夫婦の54年の結婚生活は、きっと愛情に満ちたもので、それをこの男性は毎日想い出しているのだろうと思います。