子供のころ、隣近所のおっちゃん・おばちゃんを

2017年02月04日 | ふるさと




 楽(たの)しみは   思い出します  村の人  ちゃん付け呼んだ  記憶たどるとき



昨日は節分、今日は立春です。

『玄関に “立春大吉” って紙を貼るのって意味分かるか~』と若嫁さんと家内に聞きます。
『邪気の入るのを防ぐ習わしだよ』、

『鬼さんが、立春大吉のお札が貼ってあるお家に入ってくるわな。 入ったあと、ふっと振り返って後ろを見ますと、立春大吉の札が目に入るんだわ。
裏から読んでも立春大吉なのです。おかしいな~、わしはまだこの家には入ってなかったのかとウロウロするんだよ。

こりゃいかん。入り直そうかと外に逆戻りしてしまい、鬼さんはこの家から退散してしまうんだって』と話します。
「そんなこと誰に教えてもらったんよ」と家内は聞きます。

もうひとつ、
『ながたん打つって意味知っとるか?』と聞きました。

「ながたんは包丁の事でしょ。それを打つってなんなのよ」、
「ながたんて但馬弁か知らんけれど、ながたん打つなんて国府の言葉は知らんわ」、

「そんなん知らん知らん、
豊岡でも城崎でも知らん。国府の田舎の言葉だわ」と二人そろって言いますね。

『ながたん打つって、嫁さんが怒って実家に帰ってしまうことなんだよ』、
「へ~~、おもしろい話知ってるね」と笑います。

二つとも昔の大人に聞きました。
私が子供のころは、近所の大人からいろいろなことを教わりました。

それにしても、昔って戸数もとても少ない池上の近所のおっちゃん、おばちゃんを、
さらに、おじいちゃん、おばあちゃんも呼び名をちゃん・さん付けて言っていたことを思い出します。

親の会話の中で隣近所の呼び方を、
山本さんちとか坂本さんちとか言わずに、おうちの人の名を呼んでいました。
子供もほとんどのおうちの人を覚えていて、ちゃん・さん付けで呼んでいました。

「そんなことなかったで~。豊岡はちゃんと苗字読んで〇〇さんとこのおばちゃんと言ってたよ」、
「池上は田舎だな~」と不思議な顔をします。

『言ったろか。28戸しかなかったんよ池上は』、
『うちの隣から “はまちゃん” だろ、“おまっさん、おえ~さん、おさっつあん、おこうさん、ひろっさん、じろちゃん、てえちゃん、まあちゃん” のように呼んでたよ。

子供がそのころは、だれでもそう呼んでいたんよ』と話します。

子供のころ、仰ぎ見ていたおっちゃんおばちゃんは、ずっと年を取ってほとんど亡くなりました。
子供のころ、30才くらいのおっちゃんというよりお兄さんのYさんが、よくいろんなことを教えてくれました。

家内とそんな話をしているところに、区長さんからの訃報の知らせです。
「Yさんちの “せえっさん” が亡くなったんようよ。90歳だって」と家内が話します。

いろんなことを教えてくれたYさんちのじいちゃん、
子供のころから、ちゃん・さん付けで呼んでいた最後の「せえっさん」が亡くなりました。

心よりご冥福申し上げます。