今夜も本をまくらに。

山歩きが好き、落語が好き、おいしい物が好き、中島みゆきが好き、
でもやっぱり活字がなければ生きていけない私。

コスメの王様.

2024年07月01日 | 「本」のひきだし

ブクログより


いや~久々に一気読みしました。
理屈抜きで面白かった。
いわゆるサクセスストーリー、語りつくされてきた感はあるものの、舞台が1900年初めの神戸、外国との交流も盛んで、おしゃれ、流行に敏感な人たち、そんな中の花街でさえ他とはちょっと違う。

秀才ながらも、家族を支えるため山口から出てきた少年利一。
牛より安い値段で花街に売られてきた少女ハナ。
どぶにはまった利一を偶然見つけて助けたのがハナ、利一が15歳、ハナは12歳、二人の出会いである。
大分の酒類卸店の神戸支店を任され、日々売り上げを伸ばしつつも、
常に向上心を持ち、常に勉強し、今求められているものを考える利一、店をやめ、自分で事業を立ち上げる。
といっても最初は、荷車を引いて行商、ワイシャツを売った。
客の立場に立って、自分の足を使ってどうしたら売り上げを伸ばせるか、奔走の毎日の中で、信用を作り、人脈を得て、それらをばねにして大きく羽ばたいていく。
一方ハナも、置屋一の押しも押されもせぬ芸妓となり、二人は折に触れ励まし合いながら、切磋琢磨する。
思いもよらぬ挫折もあるし、日々忍び寄る戦争の暗い影、多分に漏れずの状況も何とか切り抜け、ハッピーエンド?
う~んそれはどうだろう・・・
何かやり残した感があるし、全て引退してから手に入れても仕方のないものもあるし。
まぁ考え方次第かな。
でも単純に面白かった。うん、良かった。

他の作品、百貨店の外商の話や、トッカンシリーズも大変面白いですが、これはまた違った面白さです。


コスメの王様 / 高殿円

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セカンドチャンス

2024年06月09日 | 「本」のひきだし

ブクログより




主人公の麻里は51歳、長い介護の末母親を見送った。
気がつけば婚期は過ぎ、不摂生で健康診断は医者も見放すほどのひどい数値。

このままずるずると一生を終えるのかと思っていた矢先、友人に背中を押され、水泳教室に入会、水に浮かぶところから始めて、うまくならないと落ち込んだり、人間関係にめげたりしながら、水泳の楽しさに目覚め、仲間と泳ぐ楽しさを知り、気がつけば数値は医者も驚くほど正常化し、体形も変化。まだまだ人生も捨てたもんじゃない、これからが第二の人生だ、と前を向く。

まぁ、麻里にしてみたらきっかけは水泳でなくても良かったわけだが、多分作者の体験が投入されているんだろうなと思わされる、かなり具体的な練習方法などが出てきたり、泳法についてもかなり専門的に描かれている。
ちょっと水泳をする人なら、あぁそういうことか、それね、という風にわかりやすい。

少し前、高橋秀実の「はい、泳げません」が映画化され見たが、だいぶん原作とは違う方向に脚本化されておりがっかりした。
これも十分に映像化できる話だが、小説だけでいいかな。

人生ちょっと立ち止まった人の背中を押してくれる一冊だ。



セカンドチャンス / 篠田節子

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子宝船きたきた捕物帳二

2024年05月26日 | 「本」のひきだし

ブクログより


きたきたきたぁ~捕物帖、第二弾。

亡き親分から引き継いだ「朱房の文庫」の振り売りをしている北一。
爺さん婆さんが切り盛りする長命湯の釜焚きの喜多次。
北一と喜多次できたきたコンビ。

宝船の絵の中の弁才天だけが抜けている、あるいは背中を向けているという不思議な絵が出回って。
それと共に幼い子供が不審死するという「子宝船」
親子3人が毒殺されるという「おでこの中身」ほか。

政五郎親分に目をかけてもらって、岡っ引きの下の下ぐらいの身分で動き回り、事件を解決していく。
前回に比べて、なんだか北一がすごく成長したな、頼もしくなったなという感じがする。
そして喜多次もちょっと口数が増えてきて、北一との意思疎通ができている。
そしてそして、第二話に出てくるおでこ、こんなところでまた出会えるとは・・・
どこで出てきたお人であったか・・・
失念したが、達者であったことは喜ばしい。
ますます続きが楽しみだ。


子宝船きたきた捕物帳二 / 宮部みゆき

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六畳間のピアノマン

2024年05月18日 | 「本」のひきだし

ブクログより



投資用マンションの営業として入社した、大友、夏野、村沢。厳しいノルマ、GPS付き携帯で終始見張られ、早朝深夜を問わずの飛び込み営業、家へ帰る時間が惜しく、事務所の床で寝るような生活。

超ブラック企業のパワハラ上司による洗脳で、もはや人間であることを忘れたかのような三人。
やがて締め付けはエスカレートし、洗脳から解き放たれ、こっち側に戻った者と、追い詰められあっち側に行ってしまったものと。

人間、働かなくてはいけないが、命を懸けてまでする仕事なんてない。
自分の居場所など、探せばどこにでもあるだろう。
そこにとどまる理由などきっとたいした理由ではない。

今こうしている時にも、理不尽な職場で、理不尽な仕事に追われている人がいるかもしれない。
少しその手を止めて、周りを見渡してほしい。
自分のことを見つめてほしい。

NHKのドラマを最初に見ました。
ビリー・ジョエルの「ピアノマン」を主人公のひとりが動画投稿サイトで歌う場面がしばしば登場する。
ドラマの内容とこの曲の旋律がリンクして、殊更切なくさせました。



六畳間のピアノマン / 安藤祐介

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47都道府県女ひとりで行ってみよう

2024年05月06日 | 「本」のひきだし

ブクログより




自由にあちこち行けないとついこんな本を手に取ってしまいます(2020年の感想です)。いや国内ならもう出かけてもいいと思うんですが、なんというか臆病になったというか、二の足を踏むというか、う~ん面倒くさいだけかもしれませんが。

で、人の紀行文を読んで楽しむ自分がいる・・・
一人というのは、身軽で、気をつかう必要がなく、好きにできていいのですが、行った先々で色々気をつかうんですね。
ファミリーやカップルで賑わうなか、一人でも十分楽しんでいるんですが、周りからはどう思われているんだろうとか、まだまだおひとりさまお断りの旅館があったり、気苦労はあるようです。

だんだん慣れてきてそれなりに楽しまれていますが、後の方になると、毎月月末(毎月一県という決まり)に出かけられているのがおかしいです。それって義務になってますやん!!😵


47都道府県女ひとりで行ってみよう / 益田ミリ







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