今夜も本をまくらに。

山歩きが好き、落語が好き、おいしい物が好き、中島みゆきが好き、
でもやっぱり活字がなければ生きていけない私。

旅屋おかえり

2024年04月18日 | 「本」のひきだし

ブクログより


少し前、ドラマを見ました。
以前から、少しずつ原田マハさんを読んでみようかなと思っていたので、この機会に手に取りました。

熱い社長率いる芸能プロダクション、所属タレントはもとアイドル(あまり売れていない)丘えりか、ひとりだけ。
唯一、旅の番組を持っていたが、スポンサー名を間違えて言ってしまい、番組は終了。
仕事が無くなってしまったが、自分はやっぱり旅が好き、いろんな事情で旅ができなくなってしまった人に代わり、旅の依頼人の思いを背負った仕事なんだけど、それ以上に自分もその旅を思い切り楽しんでるところがいいなぁ。

ドラマのキャストも原作にぴったり!
出てきた旅館、本当にあるのかなと探してみたり(四国の喫茶旅館、本当にありました)
行ってみたいなと思わせてくれたり。
旅の番組にドラマ性を持たせることによって、より深い内容になっています。またドラマ再開してくれないかなぁ。




旅屋おかえり / 原田マハ

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その女アレックス

2024年04月15日 | 「本」のひきだし

ブクログより


なんかとんでもない本を手に取ったなぁと思った。
まずタイトルからやられましたね。
原題はどういうのかわからないが、これでなんかつかまれてしまった。

始まりは、ある女性が誘拐されて、監禁される事件。
この監禁状態の時点で少しおかしいなとは思うが、それはすぐに忘れてしまう。とにかく女は自力で脱出する。
これでめでたく事件は解決とはいかなくて、始まりはこれからだった。
なんとなんとこの女の過去が明らかにされるにつれて、話はとんでもないほうに行ってしまって・・・
もう啞然とするしかなくて、でも続きが読みたくて、ほとんど一気読み。

そして、そして見事な最期のどんでん返し。
参りました。


その女アレックス / ピエール・ルメートル

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塞王の楯

2024年04月11日 | 「本」のひきだし

ブクログより


時は、秀吉が死に戦乱の気配が漂う時代。
戦国時代というと、主人公は武将だったり、その妻だったりするが、本書の主人公は主に城の石垣を積んで、城を守る穴太衆と呼ばれる石工達。
またそんな石工の積んだ石垣に対抗するのが、鉄砲職人の国友衆、「絶対破られない石垣」と「どんな城も落とす砲」と互いに敵対、まさに矛と盾。
そういう集団があったことは知っているし、地元の普段から見聞きしている城や地が舞台であるので、興味は尽きず面白くないはずがない。
石垣は積んだら終わり、鉄砲は納めたら終わり、今まではそういう認識だった。
しかし彼らの仕事は、いざ城攻めにあう、または今まさにあっている。そういう時にも要請があれば駆けつけ、戦況によって石を積みかえたり、飛び交う玉の間を縫って、崩れた石垣を補修したりと、そこらの小者たちより危険な戦いを繰り広げる。
クライマックスではそんな戦いが琵琶湖畔に建つ大津城を舞台に繰り広げられる。
穴太衆、飛田屋 副頭の匡介と、国友衆、最高職人の彦九郎。当然、飛び道具のほうが有利で、作戦を練り、総動員で不眠不休の作業、しかし万全尽きてもはやこれまで、と思われた。
この時の大津城の城主は、京極高次。戦闘意欲に欠け蛍大名と呼ばれた。その妻は浅井長政の次女、初。
そんな城主だが、家来や民には慕われ、最後まで逃げ出すことなく、城に残り采配を振るった。この高次が実に好ましく、この殿のためならと皆が心を一つにしたのも頷けるのだ。

第166回直木賞受賞作


塞王の楯 / 今村翔吾

直木賞受賞後、全国の書店を回ったり(その間、執筆などは車の中で)閉店する本屋さんを立て直したり、いろいろ尽力中の今村さん、目が離せません。

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わが友、スミス

2024年04月06日 | 「本」のひきだし

ブクログより



ページをめくるといきなり筋トレの描写が始まる。
それもかなり詳しく、器具を使った本格的なトレーニングであるとわかる。
主人公が頑張っているのだが、そもそもジムについてあまり詳しく知らないし、主人公が男性なのか女性なのかもわからず、人の名前もU野だとか、O島などと記号で表記しているので、ややこしくて馴染めない。が読み進めるうちになんと引き込まれているのである。

単に筋肉を鍛えていただけの主人公が、ボディビル大会への出場を目指し、ストイックな筋トレと食事管理に明け暮れる。
さらに驚くべきは、大会で優勝を目指すには、女も磨かなくてはならないと。
ピアスに脱毛、日焼けサロン、そして大会に必須の12センチのハイヒール。
普段すっぴんで、スニーカーで過ごしている主人公には難題山積み・・・
筋肉を鍛えるだけではだめなのか。
指先から足元まで女性らしさをアピールするだなんて。
ふ~んである。
かくして大会に臨んだ彼女は、努力の甲斐があったのか。

まあまあそういう結末ですか。
いいんじゃないでしょうか。
知らない世界を見せてもらいました。
ちなみにスミスとは、筋トレの器具のことです。



わが友、スミス / 石田夏穂





桜が咲き始めました。
4月2日の京都蹴上インクラインの様子です。この時は五分咲きくらい、今まさに満開のようです。

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赤猫異聞

2024年03月17日 | 「本」のひきだし

ブクログより




火事と喧嘩は江戸の花、と言われたのは昔。

時は明治。とはいえ最後の将軍はとうに大政奉還されているのに、新政府の機能は整わないまま、何もかも以前と変わらぬまま物事が動いていた宙ぶらりんな時代の話。

牢人を収監する牢屋敷も多分に漏れず、急な沙汰で一人の罪人が今まさに斬首されようというその時、遠くで半鐘が鳴り響いた。
すぐさま執行は取りやめ、解き放ちの相談が始まる。

その昔、火事が出ると、罪人といえども牢内で焼け死ぬのは忍びないと、一時解き放ち、という決まりがあり、鎮火の後は決められた場所に必ず戻ることとして、全員解放された。戻れば一段階、罪の軽減、戻らなければ捜して死刑。
まぁ今考えればずいぶんとのんびりした話であるが、当時はほとんどが言いつけ通りに戻ったというのだ。
情けには情けで答えるということか。

さて、この牢屋敷には先ほど刑が取りやめになった者の他に、後二人、重罪人が収監されており、この三人の処置を巡り役人たちの議論が繰り広げられる。
結果、いくつかの条件付きで異例の解き放ちとなった。
三人三様事情を抱え、目的を果たすべく向かった先には・・・何とも奇怪な事態が待ち受けていた。

その謎解きは、後年関係者に対する聞き取り調査で明らかにされる。
驚愕の真実。
理不尽な仕打ちを受けても、腐らず真っ当に過ごしていたらお天道様は見ていてくださる、ということか。
ちょっとほろりとして、胸のすくミステリーだ。


赤猫異聞 / 浅田次郎

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