今夜も本をまくらに。

山歩きが好き、落語が好き、おいしい物が好き、中島みゆきが好き、
でもやっぱり活字がなければ生きていけない私。

黒牢城

2024年03月04日 | 「本」のひきだし

ブクログより



新聞の書評欄で見て、図書館にリクエスト。
待っている間に何と直木賞受賞が決定。
何というタイミング、と手に取りましたが私、戦国時代は苦手なんですよね。

誰それがどこどこを攻めた。誰それが誰それに謀反を起こした。などなど・・・登場人物多すぎるし、攻防により立場が簡単に変わるし、状況が目まぐるしすぎる、と思うのは私だけだと思いますが、ではなぜにこの本を?
作者のこれまでの作品が良かったのです。
帯にもある戦国×ミステリ これです。

時代は本能寺の変より4年前、信長に叛旗を翻し有岡城に立て籠もった荒木村重、そして土牢に幽閉されている織田方の黒田官兵衛。
あとはそれらを取り巻く人々。
舞台は変わらないし、時代もそれほど進まない、新しい人もあまり登場しない、そういう中で不可思議な事件が起こり、謎解きがなされるのです。

戦国ものながら大変わかりやすい、そしてやっぱりミステリーです。
それが史実に基づいて描かれているのですから、自然にのめり込んでいきます。
う~んますます目が離せない、米澤穂信さんでした。
直木賞受賞おめでとうございます。(2022/2/3)

第166回直木賞受賞作


黒牢城 / 米澤穂信





お雛様も終わり






山は早、花の時期となりました。


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自炊。 何にしようか

2024年02月13日 | 「本」のひきだし

ブクログより




自炊って、学生さんや一人暮らしの人が、アパートのキッチンで、簡単なものを作って食べる、みたいなイメージでしたが、かつての料理人が、家でおしゃれな料理を作って食べるのも自炊。

誰がしても自分のために自分が食事を作るのを自炊っていうんだなぁって改めて思った次第です。

・・・生きるというより、どっちかというより死んじゃうから食べるという感じ・・・(あとがきより)

えっ!! 信じられない、本の中に紹介されている料理を、こんなことを考えている人が日々作っているなんて。
普通こんなふうに生きている人なら、材料にもこだわらないだろうし、手間暇かけて作ったりしない、絶対。

保温付炊飯器や電子レンジを持たないというのもこだわりのひとつなんでしょうね。
私が自炊するようになったら・・・怖い。



自炊。何にしようか  / 高山なおみ

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中央駅

2024年02月04日 | 「本」のひきだし

ブクログより




これはホームレスの話なのか、恋愛小説なのか、それともこういう状況を許している社会への糾弾なのか。

舞台はソウルの中央駅、ある夜、男がキャリーケースを引いて駅舎の片隅にやってくる。周りには似たような先住者がそこかしこに寝ている。仲間入りをした男はやがて一人の女と知り合い、行動を共にするようになる。

彼らの日常やら、生活の様子などが描かれていく中で違和感を覚える。
男に関しての情報が一切無い。男の素性、生い立ち、経緯など、話は一人称で進んで行くので、男の名前すら出てこない。
唯一、周りの人たちの言動から男は若いということだけがわかる。

女にしても名前もなく、目鼻立ちもわからず、半ズボンにサンダルを履いていたとだけ記されている。
後に病気で、夫や子供がある身だということは明かされるが理由は明かされない。
男は、他のものより若い、少しでも未来があるという意味合いで、支援センターの人たちや、機関が手を差し伸べても振り払うばかり。自暴自棄にも見えるが、女と出会ってからは、目的ができたかのようにも見える。それが愛なのか、相哀れみの感情なのかうかがい知れないが。

今回の舞台はソウルだが、これが東京の上野駅でも、何の違和感も持たないだろう(柳美里の小説にもあった)
これでもかこれでもかと暗い部分を暴き出す内容に、最後まで希望が見いだせない展開に目をそむけたくなりつつ読んでしまった。
これは私の知らない世界の話だ、と思っている自分が少し嫌だと思いながら。




中央駅 / キム・ヘジン

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闇を泳ぐ

2024年01月25日 | 「本」のひきだし

ブクログより




全盲のスイマー、木村敬一さんの自伝小説。
目の病気で何度も手術を繰り返すが、2歳で全盲となり、4歳から水泳を始める。
6歳から寮生活、中学は東京の盲学校、地元の学校では、世間が広がらないというお父さんが決断した。
高校、大学と進学し、すでに水泳選手として活躍していたが
更なる飛躍を目指して拠点をアメリカに移す。
とんとん拍子に進み、サクセスストーリーのようだが、とんでもない。
彼は目が見えないのだ。
トラブルや、事故を数え上げたらきりがないだろうが、持ち物の紛失(盗難も含め)は多々、電車のホームからの転落や、遮断機の中で電車の通過を待っていたなど、命に関わることも。
でも彼は明るい、前向きだ。
手を差し伸べてくれる周りの人たちにも恵まれている。それも彼の人徳だと思う。
生きていく上での「武器」のひとつである水泳に向き合う姿勢もまじめすぎて読んでいて苦しくなるほど。
「銀や銅のメダルをいくつとっても意味がない」オリンピックにも届かない人が聞いたら、怒りそうなことを言うが、彼にはそう言えるだけの、積み重ねてきたものがある。その自負が言わせる。納得できる。


最後にお母さんからの手紙が綴られています。
6歳から親元を離れて行った子供を思う気持ち・・・何度も言いますが彼は目が見えないのです。
母親の切ない気持ち。
もうたまりません。






今季最大の寒気到来ということで、こちらも昨日夕方から断続的に雪が降り続け、朝起きると20㎝程の積雪。
わ~久しぶりに積もった!


学校も臨時休校となり、喜ぶ。


出番だ、出番だ! 


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なっちゃんの花園

2024年01月20日 | 「本」のひきだし

ブクログより




ある日夫婦で散歩していた時、外来植物のナガミヒナゲシがたくさん咲いているのを見て、どうやら意図的に咲かせてあると思った寮さんは、管理者を探し声をかけた。

それがなっちゃんとの出会い。
なっちゃんの家は、堤防敷の一部の公共の土地にあり、川岸にへばりつくようにして建っている。
昔は親族で住んでいた家が何軒かあり、今は借家にしてなっちゃんは自分の家で一人暮らし。
獣道のような土の道を、セメントで年月をかけて少しづつ少しづつ、コンクリート敷にしたり、蛇やカエルの住みかだった草野原を手入れして、花壇まで作ってある。
以来、寮さんと交流ができ、壮大な壮大ななっちゃんの人生を聞き、一冊の本に仕上げた。

なっちゃんは在日2世。
二度結婚して三人の男の子をもうけるが、結婚生活はいづれもうまくいかず、女手で育て上げた。
54歳で夜間中学に通うまで、ろくに読み書きもできなかった。
できなかったのに、それまでに原付バイクの免許を取っている。はっ?どうやって?
万事がこういう調子、なっちゃんの人生。

行きあたりばったりとかやけくそとかそんなんじゃなくて、学校に行って勉強はしてこなかったけど、なっちゃんには生きる知恵、力、度胸があった。
逞しい、頼もしい、若いころのものすごい苦労もなっちゃんが語ると、なんでもないのかなと思うけど、生半可な苦労では無かったと想像できる。
80歳を超えてのそのエネルギー、明るさはそういう苦労を乗り越えてきたから、「今が一番幸せ」と笑うなっちゃんにはまだまだやりたいことがある。




なっちゃんの花園 / 寮三千子

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