またしばらく更新が途切れました。なかなか思うようにブログの更新の時間が取れず、申し訳ありません。
でも、そうしている間にも、大阪市議会では橋下市長(維新の会)・公明党市議団の協議により、学校活性化条例や市職員の政治活動を規制する条例などの修正合意ができたとか。下記の記事を参照してください。
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201207130032.html
一方、西成区などで行っている子どもの家事業を学童保育関連の事業に統合しようという市政改革プランに関連して、あるテレビ番組に出て批判的なコメントをした公立高校教員に対して、橋下市長は相変わらず、ツイッターで罵倒しています。その様子は、下記でわかります。
http://kiziosaka.seesaa.net/article/279998082.html
そして、例の大津市の中学生のいじめ自殺事件に関しても、橋下市長は「日本の教育行政の膿」等々、大津市教委を罵倒する発言を行っています。そのことは、下記でわかります。
http://kiziosaka.seesaa.net/article/280541038.html
しかし私は思うのですが、もしも今の大阪市内の公立学校で何か重大な事故・事件が生じたときに、橋下市長がほんとうに首長として責任ある対応をとるのかどうかは、たいへん怪しいところかと思っています。
これは私のうがった見方でしかないのですが、おそらく訴訟で大阪市あるいは大阪市教委の責任が問われるような事態が生じれば、彼は態度を豹変して、一点「守り」の態勢に入ったり、実際にあったことを「なかったこと」のように言ったり、学校や教育行政の非よりも亡くなった子どもやその保護者の非を大きく言いつのるのではないか。そのような懸念があります。
もしも本当に今の教育委員会の学校事故・事件後の被害者遺族対応のあり方に、彼が大阪の首長として疑念があるのであれば、まずは大阪市教委の教育委員及び市教委の事務当局に対して、「同様のケースが生じないように、万全の体制をとってほしい」と、速やかに要請をするべきでしょう。
また、「過去のケースをさかのぼって、学校や教育行政の対応に誤りがなかったのか、検証作業をするべきだ」と、大阪市の教育委員及び市教委の事務当局に要望するべきでしょう。
さらに、いじめ防止や子どもの自殺防止に向けて、首長としての彼は、大阪市教委及びこども青少年局、市民局等々、関連する部署に「いっそうの対応強化を」という要請をするべきでしょう。
でも、そういったことを、彼はこの数日でやったのでしょうか???
私の知る限りですが、大津市教委を罵倒はしたかもしれませんが、何か具体的に大阪市教委やこども青少年局に要請したという話は聞きませんよね。
もしも彼に本当に教育行政の膿を出し切ろうとか、子どものいじめ防止や自殺防止に努めようという気持ちがあるのなら、他市のことはさておき、自分が首長として責任をもってかかわれる大阪市において、やるべきことが多々あるはずです。
どうしてそこはしないのでしょうか? なぜ先に、他市の教育委員会を罵倒するのでしょうか? 筋違いの対応としか、私には思えないのですが。
私としては、この際、他市のことはどうでもいいから、まずは今すぐにでも、大阪市及び大阪市教委として、子どものいじめ防止、自殺防止や学校での事故・事件発生後の被害者遺族対応に関して、「できうる限りの対応策を考え、実行に移すよう関連部署に要請する」と、彼には首長としてのリーダーシップを発揮していただきたいものです。
先に述べた子どもの家事業に関する話も同じです。ほんとうに首長としての彼がすすめようとしている改革がまともであれば、先の公立高校教員も、テレビで彼の施策提案を批判するコメントはしないはずです。
にもかかわらず、そのような自分の施策提案の見直しなどは一切なく、職員の政治活動を規制する条例案をなんとかして大阪市議会で成立させようとしているわけですし、そのことにひっかけて、彼はこの公立高校教員を罵倒する。
もう、このような首長としての彼の対応、うんざりです。これでは、何も大阪市の子ども施策、よくならないでしょう。単に世の中で話題になっていることに対して自分のいらだちをぶつけたり、あるいは、自分に批判的な意見を投げかける人にたいして、感情的になっているだけのようにしか思えません。
ついでにいうと、教育行政基本条例や学校活性化条例、職員基本条例などの制定によって、子どもの自殺防止やいじめ防止が進むかというと、私は「直接的にはなんの関係もない」以上「期待はできない」というしかありません。
第一、これらの条例案のどこに、たとえば学校で深刻ないじめ自殺事案などが発生したときに、その背景などをきちんと調査して、遺族を含む関係者にきちんと報告をするという規定が盛り込まれているのか・・・・。私の知る限り、これら3条例には、そういう学校での事故事件発生時の対応についての条文は、きちんとした形では盛り込めていないように思います。
なにしろ、大阪市教育行政基本条例第6条の「点検・評価」も、基本的には教育振興基本計画の進捗状況に関する点検・評価を指しています。また、「開かれた教育行政」を規定した第5条1項も、これは学校選択制導入を促進することを狙いとしたもののように思われます。
しいていうなら、この教育行政基本条例が子どものいじめ防止や自殺防止、学校事故・事件発生後の被害者遺族への対応の充実につながるとしたら、第5条2項の「子どもの最善の利益の実現」を理由に、「市民の意向」を反映しろと、大阪市教委や大阪市立の学校園に対して、市民がこれらの対応の充実を積極的に求める動きが強まっていく。それに大阪市教委がなんとか応えなければ・・・・と動いたときくらいでしょうね。
しかし、これもかなり、教育行政基本条例を好意的に「こじつけ」た解釈。とすれば、「もともと、教育行政基本条例案をつくった人々、それに賛成票を投じた人には、子どものいじめ防止や自殺防止、学校事故・事件発生後の被害者遺族への対応の充実なんて観点はなかった」というしかないかと思います。とてもではないですが、こんな現状では、橋下市長が他市の教育委員会のことなど、批判できないのです。
<追記1>
もしも橋下市長が本気で子どものいじめ防止や自殺防止などに取り組む気があるのなら、子どもの家事業や教育相談事業のサテライトのような、子どもたちのセーフティネット機能をもった事業・施設などを縮小したり、廃止したりすることはできないはずです。そこは全く見直さないままで、他市の教育委員会を罵倒することには熱心だと言う段階で、彼がこの問題をどの程度のこととして受け止めているのかがわかります。
<追記2>
もしも本気で橋下市長が子どものいじめ自殺などが起きたときに、学校や教育行政がきちんと被害者遺族への対応をするべきだと考えているのであれば、たとえば兵庫県川西市の「子どもの人権オンブズパーソン条例」のように、市長直属の子どもの人権救済・擁護機関を常設でおく条例をつくる。その上で、そこに調査権限を持たせて、学校及び教育行政側と被害者遺族側のあいだに立って、公的第三者機関として機能するようにもっていく方法も考えられます。しかしこの間、彼の口からそのような意見が出たことはありません。
まあ、川西市子どもの人権オンブズパーソンのような公的第三者機関は、子どもの人権を擁護するためであれば、学校や教育行政に対してだけでなく、首長に対しても勧告・意見表明を出しますからね。首長として、本気で子どもの人権を守るまちづくりをすすめていくために、自分たちにとって一番「耳の痛いこと」をいう公的第三者機関を常設できるかどうか。そこをよく見極めれば、彼らのいじめ問題などへの対応の本気度がわかります。パブリック・コメントが多数集まってもそれを無視するがごとき発言を連発するような首長では、こういう公的第三者機関の常設など、ほど遠いでしょうね。
※なお、<追記2>を書くにあたって、表題を修正しました。