昨日10月30日(土)のお昼過ぎに、大阪市内で、旧青少年会館廃止後も地元のNPOを中心に、粘り強く子ども会活動を続けている地区の様子を見てきました。
おじゃましたときは、ちょうど子どもたちのお昼ごはんの時間。親子どんぶりときつねうどんがメニューだったのですが、さすがに小学生約40人分+スタッフの分をまとめてつくるのは、けっこうたいへんそう。早く食べれた子と後になった子が出たようですが・・・・。こういうときには、カレーやシチュー、豚汁や焼きそばなど、他のメニューのほうがよかったかも? 子どもの数が多いときのお昼ごはんのメニューには、今後、工夫の余地がありそうですね(苦笑)。
ですが、団地の集会所を借りて、たとえば毎週2回くらい放課後の小学生を集めて宿題の面倒を見る機会をつくるとか、地元の中学生や高校生が中心になったの音楽(バンド)活動、和太鼓の演奏、そして土曜日の子どもたちの遊び等々、ここでは地元のNPOが積極的に子どもや若者の育成活動を展開しています。ですから、もっていきかた次第では、たとえば平日午後と土曜に小学生たちの「学童保育+補習の場」、平日夜などには「若者たちの文化活動サークル+補習の場」などが、このNPOから立ち上がってくるようにも思います。
それこそ、いま「子どもの貧困」問題について研究・実践活動をしている人たちの間では、たとえば児童館での炊き出し、NPOなどによる小中学生対象の無料の学習会などを通じて、学校外で貧困世帯の子どもを支援していく活動に注目が集まっています(この点については、『子どもの貧困白書』(明石書店)などを参照)。だとするならば、大阪市内のこの地区の取り組みだって「負けてないぞ!」といいたくなりますね。
もちろん、ここは常時、活動できる場所の確保がうまくいったようですが、それでも、たとえば子どもや若者とかかわってくれるスタッフの不足(この日の昼ごはん準備が大変だったのにも、これが大きく関わっている)とか、運営資金の不足とか、活動メニューの工夫とか、いろんな課題が多々あると思います。
ですが、地道に何年も活動を続けていく中で、たとえば小学校高学年くらいの初期の参加者が中学生、高校生になり、NPOのおとなのスタッフを手伝ってくれることも出てくるでしょう。あるいは、お昼ごはんの食材を提供してくれるお年寄りとか、「料理くらいなら手伝ってもいいよ」というおとなも、今後は出てくるかもしれません。そして、近隣の大学のボランティアサークルなどに呼びかけてみるなどの工夫をすれば、スタッフとして協力してくれる人は増えるかもしれませんね。
私としても、この地区のNPOの活動が今後、どのように発展していくのか。そこを注意深く見守っていきたいと思いますし、また、私や学生・院生たちで何か協力できることがあれば、手伝っていきたいな、とも思います。
それから、粘り強く活動中の他地区についても、今後、私のところにさまざまな情報を寄せていただければと思っています。もちろん、他地区についても活動の様子を見せていただきたいですし、必要なお手伝いができればいいな、と思います。
そして、これは「全国的に」という書き方になりますが、被差別や貧困世帯の多い地区などで、子どもや若者を対象に、学校外で積極的に取り組まれている子ども会活動、学習会活動や文化・スポーツ活動などの情報を、私のところに寄せていただければ幸いです。どうぞよろしくお願いします。面白い活動をしているところがあれば、ぜひ大阪を含む関西圏以外のところも見てみたいですね。
ちなみに、実は昨日の午前中、(社)子ども情報研究センターの子育ち連携部会の場で、かつて解放子ども会の指導者として、被差別の子どもや若者たちと向き合ってきた方の話をお聴きしました。この方の語るかつての解放子ども会の実践の話を聴くと、このNPOの活動は、青少年会館設置以前の解放子ども会活動の「原点」に回帰した取り組みのようにも感じました。
それこそ、かつてムラのお寺の使ってない部屋などを借りて、地元の若者がムラの子どもたちを集め、宿題の面倒を見る。また、モノもお金もないなかで、使えそうなモノをあちこちから集めてきて、自分たちでおもちゃを作ったり、道具を作って遊ぶ。あるいは、集団での遊びを通じて子どもたちどうしのつながりを作りながら、そのなかでひとりひとりの子どもの思いを聴き、自分たちの置かれている生活環境の諸課題を見つめさせていく。そして、ひとたび学校で何か差別事件などが起きれば、地元の若者が子どもたちとともに抗議の声をあげていく・・・・。このようなかつての「解放子ども会」の活動のなかには、今、あらためて人権教育や子どもの人権に関わる諸活動などが参考にすべきことが、多々詰まっているように思います。
今、私たちはあらためて、解放子ども会の「原点」をおさえなおす作業を通じて、そこから今、NPOなどを母体にしながら、地元の子どもの学校外活動を展開するヒントを得ていく必要があるのではないでしょうか。そのことを昨日は感じました。
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