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できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

しばらく更新が途切れます。

2008-05-24 00:54:21 | 悩み

本当は橋下大阪府知事がすすめようとしている財政再建策について、子ども施策・人権施策が大幅に削られようとしている今こそ、いろいろと、このブログを通じて、「それはおかしいんとちゃうか?」とか、「なんでこの施策、なくさなあかんねん?」とか、「どうしてこの施設をいらんというねん?」等々、次々にクエスチョンマークをつけていきたいところです。

ですが、たいへん申し訳ない。実は私の実家の父が、今週月曜日(5月19日)に入院してしまいました。今、医者から手術をすすめられているところで、父や他の家族と、そのことについて話し合っている最中です。急いで、そのことについて、結論を出さなければいけません。

このような次第で、しばらく、ブログの更新ができないところです。「一時中断」とさせてください。

ただ、せっかくだからひとことだけ。

いま、大阪府がすすめようとしている財政再建策のなかに、何かおかしいことがあれば、「おかしいことは、おかしいと、はっきりいう」必要があるし、「これは、この人たちのため、私たちのために、どうしても必要な施策(施設)だ」と思ったら、そう思った人から順に、いろんな方法で、積極的に声をあげてほしい。

この間、障害のある人たちの団体が中心になって、大阪府庁を取り囲んで抗議活動をしたとか、人権施策関係で助成金や補助金を切られようとしたり、あるいは、施設の整理(統廃合)を迎えようとしている団体の関係者が集会を開いたりしているようです。そして、ブログや自分のホームページ、各団体のホームページなどで、大阪府の財政再建策に対する疑問や抗議の声をあげているケースもあるでしょうし、署名運動や抗議のファックス送信のとりくみなども徐々に取り組まれているところかと思います。府議会の各政党においても、府庁側への対案づくりに動いていると聞きます。

そういう動きが反映してのことか、今、徐々に新聞記事やテレビのニュースなどで、大阪府の財政再建策について、行政サイドから流れる情報と共に、それに反対の立場からの意見とか、抗議の動きなども、伝えられるようになってきました。といっても、まだまだ圧倒的に橋下府知事や財政再建策を作る側が流す情報量のほうが多く、これに抗議したり、反対の意思表明をする側の動きを伝える記事などの扱いは小さいか、少ないわけですが。しかし、それでも、大阪市の市政改革や、一連の「」施策見直しのときの抗議・反対の動きの扱いに比べてみれば、ずいぶん、流れはちがうような印象を受けます。

とすれば、私が家庭の事情でブログを更新できないその間も、できる人が、できるところから、できる形で、大阪府の財政再建策の問題点・疑問点を感じたら、そこについて、積極的に情報発信を続けてほしい。

その地道かつ多様なルートでの情報発信や、ひとりひとりの異議申し立ての蓄積が、やがて、大きなうねり、地殻変動を起こしていくことにつながっていくと、私は思うのです。

どうぞ、今後も積極的に、大阪府・大阪市の行財政改革の動向、特に今は府の財政再建の問題について、それが「おかしい」と感じた人は、それぞれの人の方法でいいので、何らかの意思表示を続けてください。よろしくお願いします。

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大阪府PT試案が意味するもの

2008-05-14 11:34:46 | ニュース

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200805130016.html

http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/080514/20080514003.html

http://mainichi.jp/kansai/news/20080513ddf041010012000c.html

そのうち、新聞社各社の記事掲載が終わるかもしれないけど、一応、リンクだけははっておく。

昨日、大阪府庁の周辺で、府下の障害者団体によるPT試案への抗議集会や、府庁を取り囲んでのシュプレヒコールなどがあったそうである。そのことは、上にリンクをはった朝日新聞・毎日新聞・大阪日日新聞のネット配信記事からも明らかである。

リンクが先々切れてもネット上に記録を残したいので、3紙の記事の内容を私なりに要約・整理してまとめておくと、次のとおりになる。まず、「知事に届けよう! 障害者や家族の想い・大阪ネットワーク」という団体が主催して、約3000人が集まった、ということ。その集まった人びとの多くは、就労支援やグループホームなどへの府の支援事業の縮小・廃止案と、障害のある人たちへの医療費負担の増加を求める提案への抗議の意思表示のために来た、ということ。そして、集会参加者からは、「御堂筋のライトアップよりも障害者の暮らしが明るくなるように」「障害のある子どもたちの笑顔を奪わないで」とか、このPT案に対して「障害者の生活基盤が奪われる切実な問題だ」という声がでている、ということ。だいたい、3紙の記事からわかることは、こんなところである。

これを読んで思い出したのは、以前もこのブログで引用した「福祉徴用の時代」という一文である。これを書いた人は、大阪市の市政改革にもいろいろかかわり、今度は大阪府の特別顧問として府政改革にもかかわろうとしている。この人は、自らのブログに読売新聞の取材にこたえた記事を掲載しているが、そこには、「補助金を当てにしている団体は、削られれば困ると言いますが、冷静に見て、そんなに気の毒な状況でしょうか。医療費助成など他の都道府県にないサービスも多い。財政危機なのだから、事業の見直しについて、一律に「弱者いじめ」と批判するのは無理があります」などという文章もある。

正直なところ、行財政改革のほかの部分はさておき、教育や福祉に関する改革についていえば、私はこの人の考えには、ちっとも納得しない。

はっきりいえば、この人の考えは、今まで社会的に不利益を被りやすい層の人びとに対して、国としても不十分な施策しか行なわず、他の都道府県なども不十分な施策しかやってこなかったが、その線を「あたり前」「妥当」とした上で、「大阪府や大阪市は今までやりすぎたのだから、財政難だし、他の都道府県並み、国のレベル並みの線に至るまで、そんな部分はやめていい」といっているわけである。

他の都道府県にだって、「もっと教育や福祉に関する施策の充実を」という声をあげてきた当事者はいるわけだし、国レベルで考えれば、その施策の不十分さを指摘する声はたくさんある。むしろ、日本全体で「底上げ」をはからなければならない課題も多々あって、大阪府・大阪市の行政が自腹を切りながら、当事者からの声を受け止めつつ、教育・福祉施策について先行的にやってきたラインに、国や他の都道府県の施策をそろえるべきだ、という考え方だってできるわけである。

結局、この人の理屈は、社会的に不利益を被りやすい層への支援施策を、「財政危機だから」という理由だけで、「全国一律に低レベルにもっていく」ということ以外のなにものでもないように思う。

しかし、昨日あたりから報道されているように、たとえば大阪府の財政再建策として、府議会議員の報酬や定数を削減するという案だってある。前からこのブログに書いているように、この財政危機のなか、何から予算を削減するのか、何から事業を縮小するのか、どういう施設を統廃合するのかといったことのなかに、行政トップ層の価値意識が現れる。

とすれば、今出されている財政再建案は、やはり、「他の都道府県でやっているような教育・福祉サービスのレベルにまで大阪府・大阪市の事業は下げてよし。全国一律に低レベルでよし」という価値意識にもとづいている、と言われても、しかたがないのではないだろうか。

そして、「御堂筋キラキラ計画」というのか、御堂筋のイルミネーションにかける約20億円の予算があれば、昨日、府庁の周辺で抗議集会を行なった諸団体への助成金のかなりの部分がまかなえると思うのは、私だけだろうか。そこに、やはり、今の大阪府の財政再建案がどのような価値意識にもとづいているのかが、顕著に現れているように思う。

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大阪府PT試案への批判(2) 渡日生徒支援

2008-05-11 18:19:21 | ニュース

大阪府のPT試案を府庁ホームページからダウンロードして、ていねいにみていくと、一事業あたりの予算はせいぜい300~500万円程度と少額であっても、それがたとえば「行政と民間のパートナーシップ」としてみればモデル的な事業であったり、あるいは、大阪府下に暮らすマイノリティにとってはきわめて重要な事業であったりするケースがでてくる。

先日、ここで批判的に意見を述べた、学校における子どもの権利擁護関連の事業がそうであるし、今日、とりあげる大阪府教委の渡日生徒関連の事業予算の削減・廃止もそうである。

大阪府下には、アジア諸国や中南米諸国など、いろんな国・地域出身の親子が暮らしている。当然ながら、日本の学校生活になじむにあたって、子どもも保護者(親)も、自分の生まれ育った国や地域の学校文化や生活習慣、言語などが異なるわけだから、さまざまな面で困りごとがでてくる。こうした子どもや保護者の困りごとについて、在日外国人の教育にとりくむ教員団体や府下各自治体の教育委員会、国際交流関係の団体、NPOなどが連携して、さまざまなサポート活動を行っていくのが、府教委の「帰国・渡日児童生徒学校生活サポート事業」である。また、この事業を通じて、日本以外の国・地域出身の子どもや保護者への支援活動として、府下7ブロックごとに連携のための組織がつくられるとともに、多言語で学校生活に関する情報を提供する試みを行なったり、何か困りごとがあったときに母語で相談ができるような体制を整えたりしてきた。

また、特に最近増加傾向にあるアジア諸国から渡日する子どもとその保護者に対して、文化や生活習慣、言語などの違いに配慮しつつ、学校生活にうまくなじめるように適切にサポートを行なう相談員を養成する取り組みも、大阪府教委が今まで行なってきた。これが「アジア渡日児童生徒支援者養成事業」である。この事業は具体的にいえば、アジア諸国の文化や言語と日本の学校教育の状況に詳しい支援者を、さまざまな研修機会を整えることを通じて養成して、その支援者が積極的に渡日の子どもとその保護者からの相談に応じたり、学校の活動に協力したりする、というものである。

ちなみに、2008年度の当初の予算案でいえば、「帰国・渡日児童生徒学校生活サポート事業」が約374万円、「アジア渡日児童生徒支援者養成事業」が約306万円である。「たった」ということばがぴったり来るように私などは思うのだが、出身国・地域の異なる子どもたちの就学権を保障する営みのために、大阪府教委は民間団体や各自治体教育委員会、さらにはボランティアなどの協力を得ながら、とにかく、何か責任をはたそうと努力してきたわけである。

私などは、この両者のとりくみを、はずかしながら、このPT試案の中身を批判的に検討する中で知ることになった。検討していくなかで、「これは今後、本格的に発展させて、新たな学校ソーシャルワークの取り組みにまで持っていくべきではないのか?」とすら思う、アメリカの学校ソーシャルワーク論の文献などを見ても、文化・生活習慣の異なる子どもの学校生活への対応は、とても重要な活動領域であるからだ。

しかしながら、今、出されているPT試案では、「アジア渡日児童生徒支援者養成事業」の約306万円の予算は、大阪府の「廃止」、もうひとつの「帰国・渡日児童生徒学校生活サポート事業」の約374万円の予算は、約150万円にまで大幅減額である。

たぶん、この2事業に対するPT試案上の扱いについては、大阪府教委のこの事業の担当者や、今まで府教委と連携しながらさまざまな活動を続けてきた民間団体、教員団体、国際交流関連の団体、自治体教育委員会の関係者などは、相当な憤りを感じているはずである。

私もまた、あらためてPT試案の内容を検討しながら、「この予算まで削るのか? いったい、渡日の子どもや保護者の生活をどう考えているのか? 今までだってわずかな予算の範囲内でやりくりしながら、それでも渡日の子どもや保護者の生活が落ち着くよう、学校教育の面で行政と民間とが手をとりあいながら、地道に蓄積してきたことを、このPT試案でぶちこわしにしたいのか?」と言いたくなる。そして、「大阪府のPT試案を作っている人々は、こうした行政施策を通じてのマイノリティ支援の取り組みを、これからどのようにしたいと思っているのか? その施策がはたしてきた役割を、どのように考えているのか?」と、思ってしまう。

この2事業の予算は、それこそ、府立国際児童文学館や青少年会館、ドーンセンターなどのような大きな施設関連の予算ではないから、ほんとうに目立たない。だから、マスメディアなどの伝える情報にはなかなか、あがってこない。その分、人びとの注目も集めないし、反対の声もなかなかあがってこない。

しかし、金額的にはとても小さな予算であっても、その予算で営まれているさまざまな活動によって、今日も暮らしを支えられている人たちがいる。その人たちの暮らしについて、府の財政再建案を作っている人たちは、今、どれだけ想像力を働かせているのだろうか。また、そのわずかな予算を効果的に使って、行政と民間の連携体制を構築して、かかっている経費以上の効果を発揮しているという事業があれば、こうした予算を削減するのは、かえって府民サービス上、マイナスでしかない。

そして、マスメディアが報道するような大きな事業予算の廃止・縮小や公共施設の統廃合の問題の陰で、こうして地味で小さな事業だけど重要なものの存続を求めるような、そんな動きを今、私はしていきたい。大きな事業の廃止・縮小や公共施設の統廃合などは、いろんな人がすでに反対の意思表明をして、さまざまな形で抗議活動を行い始めた。今後もその動きに興味関心を持ち続けたいし、情報発信も続けるつもりだが、大きな動きはそちらのみなさんの動きを応援することにしたい。

とはいうものの、実際、日々の仕事などの合間を見て、こうした小さな事業だけど重要なものをPT試案からピックアップして、大阪府庁や府教委のホームページや各種文献など、いろんなルートで情報を集め、こうして批判的な意見を発信するのは、なかなか、手間ひまがかかるものである。誰か、お手伝いいただける方はいないのだろうか・・・・?

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今日のシンポジウムですが、ぜひ!

2008-05-10 11:29:25 | ニュース

今日(それももうすぐはじまる)のシンポジウムなのですが、今からでも遅くないので、興味関心のある方はぜひ、ご参加ください。関係者の方、ブログ掲載が遅くなってごめんなさい。

「シンポジウム 財政再建とNPO・市民 大阪府の事例を中心に」

日時:2008年5月10日(土)午後2~5時

内容:

 全国の自治体の多くが財政難に陥る中で、財政再建の必要性が声高に叫ばれています。大阪府も今年4月、「聖域なくゼロベース」を掲げた「財政再建プロジェクト案」を発表しました。同案は、府が独自に実施している教育、福祉、医療、人権などの市民生活に直結する予算の削減や市民にさまざまなサービスを提供している公の施設の統廃合なども盛り込んでいます。NPOをはじめとした市民団体の多くは、こうした市民生活に関係する問題に取り組んでおり、府の案は、団体だけでなく、団体の事業の利用者である「社会的弱者」を中心にした市民にも、大きな影響を与えていかざるをえません。一方、将来の世代に問題を先送りにしないためには、財政再建が必要です。NPOなどの市民団体は、このジレンマをどのように捉え、対応していくべきなのか。このような問題意識に立ち、府の財政再建案を踏まえたうえで、NPOなどの市民団体、そして市民、社会に与える影響や問題を検討し、財政再建のあり方だけでなく、NPOや市民が府の財政再建案にどのように対応していけばよいのか考えるために、以下のようにシンポジウムを企画しました。ぜひ、ご参加ください。

基調報告:柏木 宏 (大阪市立大学大学院教授)

事例報告:藤本伸樹 (アジア・太平洋人権情報センター研究員)・越堂静子(すきやねんドーンセンター世話人)・安孫子浩子(NPO法人 Chacha-House前代表理事)、他

開催場所:大阪市立大学文化交流センター・ホール

JR北新地駅真上・大阪駅前第2ビル6階

http://www.osaka-cu.ac.jp/information/access.html

参加:無料

予約:不要(どなたでもご参加いただけます)

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もっと「おかしい」と声に出して言おう。

2008-05-09 20:11:43 | ニュース

http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news000007.html

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200805080088.html

前から言っているように、御堂筋をイルミネーションで飾りたければ、橋下府知事が音頭をとって関西財界に呼びかけるなり、あるいは、個人の寄付を募ってやればいい。

それこそ、神戸ルミナリエを見習ってほしい。

http://www.kobe-luminarie.jp/

約5億7400万円の収入額のうち、2億7900万円が協賛企業からの出資(154社)だし、1億1700万円が募金で、神戸市や兵庫県などからの補助金は1億5500万円ほどである(上記ホームページにある2007(平成19)年度決算データより)。

なぜ、御堂筋をイルミネーションで飾る事業に、府が20億円も出資しなければならないのか。こういう事業こそ、個人や民間団体などからの募金、出資してくれる企業などを集めればいいのではないのか。それこそ「タレント知事」としての知名度を活かして、これまで交流を深めてきた大阪の有名芸能人に協力を呼びかけてもいいだろう。準備作業に市民ボランティアの参加を呼びかけて、人件費を削っていく道もあるだろうし、いろんな方法が考えられる。

「なぜ、今、多くの府の事業を廃止・予算削減等にして、府民生活にいろんなしわよせを食らわせようとしているなかで、あえてここだけ20億円出資なのか。理解に苦しむ」としか言いようのない話である。

今、府がこれまで行ってきた学校における子どもの人権救済・擁護に関する事業だとか、精神障害者の権利擁護事業、識字教室関連の事業、渡日生徒への支援事業など、多種多様な事業が、例の財政再建プログラム案によって打ち切られようとしている。そのひとつひとつの事業に府が出している予算を見れば、1事業あたり年間100万とか、300万とか、それほどたいした額ではないかもしれない。だが、それをいくつもあつめれば、20億円くらいの予算で、この打ち切ろうとしている事業の多くが継続できるだろうし、それによって、支えられている府民の数といえば、けっこうなものにのぼるだろう。

そういう府民生活のいろんな領域に一方でしわよせを食らわせてでも、あえて財政再建の道を選ぼうとしているなかで、なぜ今、御堂筋でイルミネーションなのか。到底、納得できるものではないし、府知事を前にした幹部の会合で、府庁の部長級職員から批判の声が多々でてくるのも当然。「もっと言え!」と、府庁の幹部職員には言いたいくらいである。

これに限らず、府庁内部で、幹部職員から現場の職員に至るまで、府民からの要望などを受けて、「必要な事業・施設は残せ」と、徹底的に反対の意思表示をしてもいいのではないだろうか。

昨日も書いたように、府職員の立場で、今後の府の財政が「赤字でいい」などということは、口が裂けてでもいうべきではない。

だが、本気で今まで自分たちが担ってきた仕事、行ってきた事業、維持・整備してきた施設に愛着と誇りがあるのなら、「今のこの財政再建案の内容や出し方はおかしいのではないか?」という、そういう声が府職員の間からあがってきてしかるべきだろう。

自分たちの行ってきた仕事や事業、施設運営が、本当に府民生活の向上につながっているという自負があるのなら、ここで徹底的に、府知事や財政再建PT案に対して、府職員として内部でできるだけの抵抗を行ってしかるべきだろう。

もっとみんな、今の府の財政再建案に対して何か「おかしい」と感じているのなら、そのことを、いろんなルートで言っていいのではないだろうか?

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もうちょっと、情勢を考えてほしい。

2008-05-08 19:58:22 | ニュース

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200805070082.html

今朝見たこの記事の内容だが、職員団体の人に、ひとこと言わなければいけないと思ってしまった。

大阪府下の公立学校教職員や、大阪府警の警察官の人員整理を含む人件費の削減に反対だということをいうことまでは、私も「それはそうだろう。それこそ、職員団体として当然の話だ」と思う。私がその立場であったとしても、それは言うだろう。

しかし、だからといって、「赤字で当然だ」といってしまっていいのか、と思う。それでは、職員団体の主張に対する大阪府民の理解は得られないのではないだろうか。「では、府民税などを払ってる側の思いを考えたこと、あるんですか?」と府知事側に言われたら、職員団体の主張としては、終わりである。

まさにそれこそ、今の府知事側は、マスメディアを駆使して一方で自分らの再建案(と言う名の「府民の権利保障切捨て案」だと思うが)をある程度紹介しつつ、こんな交渉場面に関する情報も公開して、「ほら、自分たちは財政再建に向けて全力投球しているのに、府職員は自分らの利権ばかり守ることに必死でしょ? だから府政はダメなんですよ」というイメージを構築し、自分たちの改革の正当性を訴えようとする手法をつかっているわけ。だから、「赤字で当然」というような言葉を発するなんて、「この職員団体、どんな情勢判断してるねん?」としか言いようがない。今のこの情勢下で、「赤字で当然だ」などということばを聴けば、府民の多くは、「自分らの税金、無駄遣いしてる府職員め!」と怒るだけ。

むしろ、それこそ職員団体には、自分たちが勤務している大阪府の行政の話である以上、大阪府いろんな情報が、少なくとも一般市民のレベルよりはたくさん集まってくるはず。その情報を集め、研究者などの外部有識者を集めて財政状況を分析し、「大阪府の財政再建プロジェクトチームが出した案よりも、我々職員団体が自前でつくった再建案のほうが優れている。なぜなら、その案でいけば、府民サービスを低下させることなく、なおかつ、職員の雇用や労働条件の悪化も極力抑えた上で、なおかつ、年間あたり○○億円程度のコスト削減が可能」という、きわめて現実的な対案を出せるはずだと思うのである。

あるいは、「府のプロジェクトチームが出してきた案は、国の○○法や△△に関する国際条約、府の××条例の趣旨に反しています」とか、「過去に□□審議会などにおいて、府政をこうしていくと決めてきた議論の経過を無視するのですか」とか、府の行政職員や府下の公立学校教職員、警察官ならではのスジの通った反論だって、職員団体であれば出せると思うのである。

そういう職員団体からの理路整然とした反論と対案の提示、それをマスメディアやインターネット上で積極的にアピールすること。そして、その理路整然とした反論と対案の提示に呼応する市民意識の喚起、市民レベルでの取り組みの活性化。これこそが、府知事の財政再建提案に対する職員団体としてのたたかい方なのではないだろうか。

だから、今回の新聞記事のように、マスメディアも職員団体が動くとなれば、取り上げてもくれる。そんな場面で、正々堂々と、法令や各種審議会答申の趣旨をふまえて、あるいは、職員団体側の財政状況の分析など、府知事やプロジェクトチーム側が流している情報への対案をどんどん流して、マスメディアの目や意識を逆に府知事やプロジェクトチームに厳しくするぐらいにしていかなければならない。そこを、まずはしっかりとやるべきなのである。

「本気で職員団体が、府民生活を守りつつ、財政再建にも貢献しながら、自らの権利を守る道をさぐる。そんなことがまず求められる状況下で、「赤字で当然」なんてこと、なんで言えるんだ?」

それが、今日の報道を見て、真っ先に思ったことである。

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「あの金で何ができるか」を問うてみること。

2008-05-04 13:08:15 | ニュース

http://www.asahi.com/special/08002/OSK200804240107.html

この新聞記事にあるとおり、御堂筋を電飾で飾るための20億円があるなら、その20億円をだいたい500万円ずつ、均等に割れば、400件の事業ができる。

昨日書いたとおり、学校における子どもの人権侵害防止に関する大阪府教委の事業の予算は、年間約400万円である。他にも、渡日生徒に対するサポーターの養成・研修に関する府教委の事業予算も、確か年間約400万円程度である。

きっと大阪府教委や大阪府庁の施策のなかには、「1件あたりの予算規模は小さいけれど、それを必要としている人びとにとっては生命線である」というような事業が、いくつもあると思われる。

そうした事業の予算を一括してある程度の規模になれば、逆に「御堂筋を電飾で飾るような事業こそ、民間活力の導入という観点から、もっと、企業などからの寄付金をつのってやるべきだ」と主張し、大阪府教委や大阪府庁の「小さくても大事な事業」を守っていく。そういう取り組みも重要ではないかと思う。

だから、今ある子どもの人権に関する大阪府教委や大阪府庁の施策、あるいは、マイノリティの子どもに関する大阪府の教育施策に関する予算のなかで、今回、大阪府の財政再建PTの案では削減・廃止対象になっているものを、ひとまず、その金額が御堂筋を電飾で飾るのに必要な20億円くらいになるまで、みんなでリストアップしてみよう。そして、「御堂筋を電飾で飾るのをやめて、もっとこっちの事業に予算をつけろ」と、みんなで次々に言ってみよう。

要するに、削減や廃止提案に「反対」ということも重要だし、それもやる必要があるのだが、それに加えて、今、このどさくさにまぎれて、大阪府庁や大阪府教委などが新たに導入しようとする施策についても、「あの金があればほかに何ができるか」「あの予算があれば、今までの施策のどこの部分を守ったほうがいいか」を示し、どんどん、突きつけていく必要があるということである。

いろんな予算が削減・廃止対象になっていくなかで、それでも今までどおりの形態を守られたり、あるいは、新設されたり、増額されたりしている予算もあるはずである。大阪府庁や大阪府教委の施策全体を見た上で、その守られたり、新設・増額されている施策がなんなのかを見極め、「この予算があれば、もっとほかにつかうべきところがある」という主張をすることも、今後の子どもの人権施策充実、教育施策充実を求めていく取り組みにおいては、きっと重要になってくるだろう。

そのためにも、「自分に関心の深いところだけ、PT案を見ていてはいけない」とか、「自分とかかわりの深い予算についてだけ、PT案を見て、廃止・削減反対の要望を出すだけではいけない」と思う。もう少し視野を広げ、いろんな分野の人たちが連帯していけるような、そんな議論がいるのではないか、という風にも思う。

ただ、少なくとも私は、「御堂筋を電飾できらきらにするようなそんな事業こそ、民間活力の導入という観点から、企業の出資や個人の寄付を募ってやるべきこと」であって、「大阪府の財政出動を新たに行なうべき事業ではない」と考える。また、「そのための大阪府の予算があるのなら、2008年度分についてだけであっても、たとえば子どもの人権や教育に関する施策のなかで、廃止・削減対象になっている予算を復活させるべきだ」という風に考える。

こういったことを、どんどん、大阪府知事やPT案づくりをやっている府のスタッフに対して言っていくことが、今は必要なのだろう。

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大阪府PT試案への批判(1) 学校における子どもの人権侵害防止事業をめぐって

2008-05-03 22:22:01 | 受験・学校

いま、何かとマスメディアなどで取り上げられている大阪府の財政再建に関するプロジェクトチーム試案(いわゆる「PT試案」)については、その本文と添付資料一式が、大阪府庁のホームページから入手することが可能です。

私はそこから、今日、本文と大阪府教委関係の添付資料を見ました。それをみて、「これはおかしいだろう?」という項目のいくつかに気づきました。

まず、今まで大阪府教委が行なってきた事業のなかに、「学校における子どもの人権侵害防止事業」があり、2007年度で414万6千円、2008年度の当初予算案で398万1千円の予算をつけていたのを、PT案の添付資料では、「事業効果を検証し、見直しを求めるもの」に位置付けた上で「今年度で廃止」としています。なおかつ、この事業については、添付資料と本文の両方を見比べますと、「エ 上記以外(府が独自に実施しており、事業量削減の裁量があるもの)=4割削減を目安とした個別精査」という位置づけになっています。

さて、この事業の中身なのですが、学校における子どもの人権侵害防止というのは、たとえば広報・啓発などを通じて、学校内でのいじめや各種のハラスメント、暴力などを防ぐとりくみが考えられます。また、その被害を受けた子どもたちに対する電話・面接相談や具体的なケース対応など、何らかの救済活動などを行なうことも考えられます。きちんと確かめたわけではないのですが、私の推測では、おそらく、この事業の予算をつかうことによって、府教委が民間相談機関と連携しながらこの間すすめてきた「被害者救済システム」などのとりくみを実現させてきたのではないでしょうか。

もしも私の推測どおり、この事業にもとづく形で学校における子どもの人権侵害に関する相談・救済システムが設置されているとすれば、この事業がなければ、子どもが命の危険にさらされるケースもある、ということにもなりかねません。そのように考えると、本来であればこの事業は、「イ 個人給付、府民の生命に関わる緊急性・重要性の高い事業」に位置づけ、「制度内容等を個別に精査」して財政削減案を検討する(=場合によれば「全く削減しない」ということも含めて)べきものではなかったのか、ということになります。

また、たとえ「エ 上記以外」に位置付けていたとしたも、「学校における子どもの人権侵害防止事業」について、府のPT試案を作った人々は、どのような個別精査を行なったのでしょうか。また、「4割削減を目安とした個別精査」が方針であるのに、なぜ「全廃」なのでしょうか。

さらに、「大阪府子ども条例」(2007年4月施行)には、次のような条文があります。

(子どもを擁護する取組の充実)

第九条 府は、子どもの尊厳を損なう身体的又は精神的な暴力等から子どもを擁護するための取組について、すべての子どもに等しくなされるべきであるとの認識の下、国、市町村、学校等、事業者及び府民と協力して、その充実に努めるものとする。

この条文を読めばわかるとおり、大阪府には、学校内外における身体的・精神的な暴力等からの子どもの擁護のための取り組みを学校や府民・民間団体等と協力して、充実させるべく努力する義務があります。とすれば、今まで大阪府教委が民間相談機関などと連携して被害者救済システムをつくるなどの方法で、「学校における子どもの人権侵害防止事業」を行なってきたのであれば、この予算を削減することまでは条件次第ではまだ認められても、全廃することは、子ども条例の違反ということになるのではないでしょうか。

以上のような理由から、この「学校における子どもの人権侵害防止事業」に関するPT案の中身は、「そもそも、予算削減の提案の対象とすべきかどうか」という次元から問い直されてしかるべきものであると考えます。

また、私としては、この事業については、「そもそも、予算全廃はすべきではないし、削減についても、そういう提案を行なうにふさわしい理由を、まずはPT案の作成者側が府教委に対して説明すべきものである」ケースだと考えます。

なお、PT案を読めば、おそらく、今後もこうした事例がいくつもでてくるのではないかと思われます。したがって、そのたびごとに、このブログで情報発信を続けていきたいと思います。

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