おはようございます。さきほどまで今朝のプリキュアを見てました。
いや~今日のプリキュアは、シリーズ15年目にしてはじめて「男の子がプリキュアになる場面」を描きました。フィギュアスケートの王子さま・若宮アンリくんが、今日、キュアエールたちの力でキュアアンフィニに変身したんですよ~。これはなかなか、すごい! とうとう、やっちゃいましたね~東映アニメーション(笑)
ただ、アンリくんが変身するに至るまでの物語の展開が、これまた「ほんとにお子さま向けアニメ?」というくらい、重くて深い。
ここ何回かのプリキュアを見ていたらおわかりかと思いますが、アンリくんはほまれちゃん(キュアエトワール)といっしょにフィギュアスケートを続けてきた子。でも足首を痛めていて、今度の大会で優勝することを区切りにして、スケートをいったんやめようと考えていました。その足首を痛めながら無理して練習をする姿に、ほまれちゃんはすぐに気付きます。
その一方で、はなちゃん(キュアエール)たちは、アンリくんのスケート大会の応援グッズをいっしょうけんめいつくっています。でも、自分の応援はこれでいいのだろうか…と迷っているときにチャラリートが現れて、「心が折れそうなときほど、どんな小さな応援だってうれしいもの」とか、「自分もキュアエールの応援を忘れていない」といって去って行きます。このチャラリート、見るからにチャラい若者で、今はユーチューバ―で暮らしているんですが、かつてはクライアス社の社員。今年のプリキュアで真っ先にキュアエールたちに倒されて改心した、かつての敵です。
そのあと、アンリくんは「これが最後の大会だ。スケートの王子として終わりたい」と思いながら会場に向かうわけですが…。なんと、アンリくんの乗っていた車が交通事故に遭い、アンリくんは足に重症を負って入院することになります。
最後に大会に出られない上、これでもう二度とスケートができない…。そんな絶望感におそわれているアンリくんの病室へ、ほまれちゃんとえみるちゃん(キュアマシェリ)の兄(=どことなく、アンリくんのマネージャーみたいになっている)がやってきて、なんとか励まそうとします。でも「同情はよしてくれ!」といって、アンリくんは病室からふたりを出ていかせます。
そこへ、ひらひらとクライアス社の社長秘書・リストルの名刺が。リストルは前々から足のケガに悩むアンリくんに接近していました。また、リストルは3週ほど前に一度、プリキュアたちに倒されたはずなのですが(=ちょうど録画が撮れていなかった回です)、社長のプレジデント・クライの力で記憶を書きなおされ、復活します。リストルの記憶が書きなおされていたことは、あとでハリーに出会ったときに、ハリーのことを覚えていなかったことでわかります。
その後、リストルはスケート会場にいるアンリくんファンの絶望感とアンリくん自身の絶望感をつかって、強力な猛オシマイダーを発注して送り出してきます。その猛オシマイダーと対決するために、はなちゃんたちはプリキュアに変身するわけですが…。
ここから、リストルの力で「絶望感の檻」のようなものに閉じ込められたアンリくんと、キュアエールの会話がはじまります。これが今回、見ものですね。
ちなみに、この「檻に閉じ込められた誰かとプリキュアの会話」という展開は、かつてプリンセスプリキュアでのプリンセス・トワイライトとキュアフローラとの会話を思い出させます。深い悩みを抱え、閉じこもった人の心を、周囲の人々がどのようにして解きほぐしけばいいのか…ということを、プリキュアは毎年、どこかで描いているような気がします。
さて、今日の話にもどります。キュアエールは他のプリキュアたちの力を借りて、何度も体当たりして、そのアンリくんを閉じ込めている檻を壊そうとします。でも、その檻がなかなか壊れない。そこでキュアエールはアンリくんに、「自分には応援することしかできない、でも、今の姿が本当になりたい若宮アンリなの?」と問いかけます。
この「相手の良心に問いかける」というのが、プリキュアたちの得意技ですね。また、そこには「どんなに悪いことをしている人でも、人間としての良心はかすかに、どこかに残っているはず。根っからの極悪人はいない」という、人間の存在そのものに対するプリキュアたちの強い信頼感、期待みたいなものがありますね。それを思い出させるエピソードとして、今日はあえて番組冒頭で、はなちゃんの前にチャラリートを登場させたのだろうと思います。
そう問われたアンリくんは、自分のこれまでのスケート生活をふりかえってみて…。自分がだんだんスケートが上手になるのもうれしかったけど、自分のスケートをする姿を見て、みんなが笑顔になってくれるのはもっとうれしかった。そのことに気づきます。そうすると、檻のなかに閉じ込められたアンリくんに変化が現れます。何かが目覚めて、檻から出ようとするわけです。プリキュアたちはこうやって「相手の良心に問いかけ、目覚めさせ、変わろうとするきっかけをつくる」のが得意です。
でも「そうはさせるか」と、リストルはその檻のまわりにトゲのついたつるみたいなものを巻きつけるわけですが…。
それでもなお、檻のなかから手を伸ばして外へでようとするアンリくんに、キュアエールがその手をつかもうと手を伸ばします。他のプリキュアたちも自分のもっている力をキュアエールに届けて、応援します。そして、アンリくんの手をキュアエールがぎゅっとにぎって、アンリくんを引っ張り出そうとしたとき…。
アンリくんの衣装がプリキュアみたいに。ここで、キュアアンフィニ誕生です。プリキュアの歴史上はじめて男の子のプリキュアが登場した場面ですね。
また、プリキュアのように外から働きかける力と、アンリくんのように内側から外へ向かって変わろうとする力、このふたつのちからがつながりあったときに、深い悩みがあって閉じこもっている人がはじめてそこから抜け出そうとすることができる。そのことを暗示した場面のようにも思います。
まあ、ここから先は一応「観客たちの夢の中」という設定で、キュアアンフィニになったアンリくんがもう一度フィギュアスケートの演技をする。その演技をする姿を見て、観客たちの絶望感が和らぐ。そこでプリキュアたちが猛オシマイダーを倒して…という展開です。
そして、ラストの場面では病室にもどったアンリくんが、もう一度自分のなりたい若宮アンリを探すという話をします。その話を聴いて、次週はほまれちゃんがなりたい自分を探すようです。また、どうもさあやちゃん(キュアアンジュ)も、アンリくんの話を聴いて「今までにない自分」を探そうと思い始めた様子です。もしかしたら今後、お母さんのような役者になりたいと思っていたさあやちゃんが、医者になりたいと言い出すかもしれませんねぇ。これまでのストーリー展開だと、そんな感じです。
あと、エール・アンジュ・エトワールの3人のプリキュアの名前は、どれもフランス語で「つばさ」に関係する名前だということ。そのこともアンリくんが語ってました。応援っていうのは、未来に向けてつばさを拡げていく気持ちを支えるものなんだ…みたいな、そんな話といっしょに。
ということで、今日のプリキュアの話、おしまいです。