今、大阪市の経営企画室の検討チームが出した「市民利用施設の利用状況」(2006年12月)という資料を見ていました。これは大阪市のホームページから閲覧可能ですし、PDFファイルでダウンロードできますので、さっそく私もダウンロードしました。
それで、当然ながら、経営企画室の検討チームが大阪市の青少年会館の利用状況をどのように分析しているのか、そのページを見てみました。で、それを見た結果、思わず笑ってしまいました。「この人ら、この数字の意味がわかってるのか?」という意味で。
例えば、利用状況を比較・検討するために、「底面積あたりの年間利用者数」というのを出しています。しかも、同じような計算式を図書館や老人福祉センターにもあてはめているんですよね。
青少年会館と図書館、老人福祉センターは、そもそも同じ目的で作られた施設なんですかね? その利用状況は個別に、事業目的や事業内容に即して比較すべきものではないんですかね? 逆に言えば、経営企画室は「底面積あたりの年間利用者数」を根拠に、その施設の回転率だけが問題にしたくてこの資料を作っている、つまり、事業の目的や中身は「どうでもいい」と考えている、ということが見えてきます。あるいは、うがった見方をすれば、個別の事業の目的や中身を評価する「視点」を、経営企画室は「持ち合わせていない」ということなのでしょうか。
また、経営企画室のレポートを読むと、いくつかの青少年会館は「底面積あたりの年間利用者数」がとても高かったりします。ということは、私などは「とても狭い、あまり設備面ではよくない青少年社会教育施設に、大量の地域の子どもや保護者、住民が押しかけている」という構図がそこに浮かび上がってきます。とすれば、「こういう施設は早急に建てかえ、もっといい青少年教育施設にするべきではないのか?」という意見だって出すことが可能です。
「底面積あたりの年間利用者数」が多いということについて、それでもって、あたかも施設が有効利用されているかのように経営企画室は考えているようですが、「狭くて使い勝手の悪い施設に無理やり多くの利用者を押し込んだ場合」も同じように数字が高くなるわけで、実は「これほど、今まで大阪市が市民利用施設を大事に考えていなかったのだ、ということを示す数字」でもあるとも考えられるわけです。
あるいは、「年間10万人近い利用者数がある」という青少年会館の存在も、このレポートでは紹介されています。「設置目的の異なる施設を数字だけで比較する」というこのレポートの議論の流れからすれば、少なくとも住之江(1.8万人)や西淀川(1.4万人)のスポーツセンターよりも、その青少年会館の年間の利用者数は多い、ということになりますよね。これよりも年間の利用者数の多い青少年会館のほうが多いんですが、経営企画室はそれについてどういう考えをお持ちなのでしょうか? こんな利用状況のよくない施設は存続で、青少年会館は条例廃止から「解体」へと向かうのであれば、いったい、この市政改革って何を目指しているのかわかりませんね。
このように、大阪市役所側が市民利用施設について発表する数字については、その数字の意味をもう一度、私たちの目で読み直して、経営企画室とは異なる観点から評価していく必要がありそうです。少なくとも、青少年会館に関連する数字については、こういう検討をもっともっと、やりこんでいかなければいけませんね。