2187冊目はこの本。
高橋亮平・小林庸平・菅源太郎・特定非営利活動法人Rights『18歳が政治を変える! ユース・デモクラシーとポリティカル・リテラシーの構築』現代人文社、2008年
この本も少し古い本ですが、ゼミ生に18歳選挙権問題についての卒論を書く学生がいるので、参考文献として紹介したいと思い、読んでみました。なんとまあ、京都精華大学人文学部の学生だった頃の菅源太郎さんも、この本の編著者のおひとりですねえ・・・。
2187冊目はこの本。
高橋亮平・小林庸平・菅源太郎・特定非営利活動法人Rights『18歳が政治を変える! ユース・デモクラシーとポリティカル・リテラシーの構築』現代人文社、2008年
この本も少し古い本ですが、ゼミ生に18歳選挙権問題についての卒論を書く学生がいるので、参考文献として紹介したいと思い、読んでみました。なんとまあ、京都精華大学人文学部の学生だった頃の菅源太郎さんも、この本の編著者のおひとりですねえ・・・。
2186冊目はこの本。
半藤一利『「昭和天皇実録」にみる開戦と終戦』(岩波ブックレット、2015年)
この本も、政治や昭和史に関心のある大学生くらいの人にはすすめてみたい一冊。ただし、「終戦」ということばには注意を要するかも。おそらく白井聡さん(政治学)あたりから、「敗戦」の「否認」につながるのがこの「終戦」ということばである・・・・という指摘がでてきそうだから。実際、天皇の終戦のことばがラジオで語られた8月15日以降も、戦艦ミズーリの上で降伏文書に調印する9月2日まで、樺太等々では戦闘が続いていたそうだし・・・。
2185冊目はこの本。
浜矩子・柳澤協二・内橋克人『民主主義をあきらめない』(岩波ブックレット、2015年)
まずは、今の大学生くらいの人に、「マスコミで報道されている安倍政権の諸政策に対してこのような批判をする人がいる」ということを理解してもらうのに、ちょうどいいサイズのブックレットではないか・・・と思った。
2184冊目はこの本。
柿沼昌芳・永野恒雄・田久保清志『高校紛争 戦後教育の検証』(批評社、1996年)
もう20年くらい前の本になるのだが、卒論ゼミで高校紛争のことを扱っている学生が居るので、参考文献として紹介しようと思って読んでみた。18歳選挙権の実施が目前に迫った今、1960年代末の高校紛争や、この頃の高校生の政治運動・社会運動への参加と、それに対する教育行政・学校の取り締まりの動きは、あらためて再検証されるべき時期に来ていると思う。そのことを、この本を読んで強く感じた。
また、この高校紛争が盛んな1960年代末からこの本が書かれた時期、つまり1990年代半ばまでの左派の教育学の言説についても、あらためてその有効性の検証が必要ではないかと思う。というのも、1960年代末から90年代半ばまでの状況に対しての左派教育学からの教育行政や学校の管理主義批判が、今もなお部分的にであれ通用する側面があるとすれば、それは「学校や教育行政の体質がこの間、何も変わっていない」ということであり、と同時に、「左派教育学からの批判にはまるで効き目がなかった」ということでもあるのだから。
2183冊目はこの本。
池上千寿子『性について語ろう 子どもと一緒に考える』(岩波ブックレット、2013年)
これも「性教育」について卒論で取り組みたい学生がいるので、読んでみたブックレット。まずは、紹介だけ、ということで。
2182冊目はこの本。
橋本紀子(監修)『こんなに違う!世界の性教育』(メディアファクトリー新書、2011年)
これも「性教育」を卒論のテーマに選んだ学生がいるので、読んでみた本。アメリカ、オランダ、フィンランド、イギリス、ドイツ、オーストラリア、カナダ、タイ、中国、韓国、日本の11か国の性教育の現状を比較している。ただ、「こんなに違う!」というわりには、各国の取り組みが徐々に共通のものになりつつある印象も受ける。たとえば性行為感染症や避妊、セクシュアリティの問題、10代の性交渉と恋愛等々、各国で多少の事情こそ違えども、性について学ぶべきことが似通ってきている印象も受けた。
2181冊目はこの本。
18歳選挙権研究会(監修)『18歳選挙権の手引き』(国政情報センター、2015年)
「18歳選挙権」をテーマにした卒論を書く学生がゼミにいるので、読んでみた本。おそらくこの本、18歳選挙権について学校で扱う際の標準ラインがこのあたり・・・というガイドラインを示すつもりでまとめたのではなかろうか。あたりさわりのないような、たとえば地元自治体の選挙管理委員会から投票箱を借りてきての模擬投票だとか、そういう話が多かった。
2180冊目はこの本。
遠藤美季『子どものネット依存 小学生からの予防と対策』(かもがわ出版、2015年)
この本も、ゼミ生のなかに中高生のSNS利用と情報モラルを卒論のテーマに選んだ学生がいるので、読んでみた1冊。この本の69ページにネット依存に陥らない「根本的な方策」として、「家族との関係がよい」「自己肯定感が高い」「自己有用感が高い」「将来やりたいことがある」「決まった生活習慣がある」などを挙げている。ここの部分、前々から現実の社会生活にいろんな緊張や葛藤があるから、ネット空間上での生活にはまりこむのではないか・・・・と思っていた私には、「やっぱりそうか」と思うような内容だった。そしてこのことに気付いていると、実はおとながSNSなどの子どものネット利用のあり方について、それほど多くのことを知らなくても、ネット依存にはまらない対応も可能になることが見えてくる。つまり、現実の社会生活を円滑に営むことができるように子どもの暮らしをサポートしていれば、あまりネット依存に陥ることはない・・・・という方向性が見えてくるわけである。
2179冊目はこの本。
塩見鮮一郎『戦後の貧民』(文春新書、2015年)
敗戦直後の混乱期の東京を主な舞台として、闇市、孤児、赤線など、貧しさのなかを日本人がどのように生きぬいたのかをまとめた一冊。来年度、もしも人文学部で「子どもの社会史」を担当することがあれば、これは参考文献の一冊に入れておきたい。
2178冊目はこの本。
内山節『半市場経済 成長だけでない「共創社会」の時代』(角川新書、2015年)
これからの経済のあり方を考える上で重要なのは、競争原理にもとづく従来の市場経済を前提とするのではなく、「なんのために、誰とともに、何を実現するのか?」「人としての豊かな暮らしとは何か?」といった志、価値観、思想のようなものの共有、交流なども含めての経済のあり方を構想すること。そういう視点から、市場経済と折り合いながらも人々の充足感、幸福感の実現を目指す取り組みをいくつか紹介している。この本で提案されている内容は、先ほど2177冊目で紹介した「里海」の話とも、どこか相通じるものがあるように思う。
2177冊目はこの本。
井上恭介・NHK「里海」取材班『里海資本論 日本社会は「共生の原理」で動く』(角川新書、2015年)
広島湾や来島海峡、岡山県の日生など、瀬戸内海の「里海」の再生に取り組む人々の取材を通して、NHKの取材班がまとめた1冊。赤潮に代表されるような海洋汚染に対して、貝類や海藻類の水の浄化能力を高めるように人間が少し自然環境に手を加える(それが「里海」。山でいう「里山」のようなもの)。そのことを通じて海水が浄化され、貝類や海藻類を食べるプランクトン、小魚類が復活し、そのプランクトンや小魚を食べる大きな魚も集まってくる・・・・。このようにして海の生態系が豊かさを取り戻せば、魚介類や海藻類を扱う漁業が活性化し、漁業の活性化は漁港での水産加工業、小さな船舶に関する造船や船の修理業等の活性化、さらにはその魚介類や海藻類を活かした飲食業、農業などの活性化へとつながる。人々の生活に身近な環境の整備は、結果的に諸産業の発展、人びとの暮らしの豊かさへとつながる・・・・ということがわかる1冊。こういう発想を、大阪府・市の(経済)再生、都市活性化にも取り入れてほしいよなあ。たとえば大阪湾の環境の浄化とか・・・。
2176冊目はこの本。
山本智之『「聖断」の終戦史』(NHK出版新書、2015年)
先ほど2175冊目で紹介した本が、近代日本の歴史がいかに戦争に次ぐ戦争の歴史だったかを語った本とすれば、こちらの2176冊目の本は、その何年も続いた近代日本の戦争を終わらせることがいかに難しかったか・・・ということを、アジア太平洋戦争期の帝国陸軍の終戦工作に関する実証的な研究を通して明らかにした本。要するに「負ける」ということを陸軍上層部が受け入れ、その準備をしていくプロセスに時間がかかった・・・ということであろう。なまじっか、帝国陸軍は中国大陸や満州に大軍をはりつけていただけに、東南アジア・太平洋戦線で米英豪などの各国軍に陸海軍が大敗していても、「ここでなお一戦を挑んで、有利な条件で講和を」という発想がなかなか捨てきれなかったようだ。
2175冊目はこの本。
原朗『日清・日露戦争をどう見るか 近代日本と朝鮮半島・中国』(NHK出版新書、2014年)
こちらは日本近代史の本。戊辰戦争・西南戦争といった日本国内での統一戦争のあと、日清戦争・日露戦争という朝鮮半島の支配権を争う戦争があり、その先にさらに第一次世界大戦での中国出兵、シベリア出兵、満州事変、日中戦争と、今度は中国の領土を日本の支配権のもとにおくための戦争が続く。まさに日本の近代史は「戦争の歴史」である。そして、「戦争の歴史」は戦費をいかに工面し、戦争遂行に必要な産業を発展させるかという歴史でもある(=著者は近代日本経済史専攻)・・・・という観点から綴られた1冊。これは社会科地歴科教育法、社会科公民科教育法を受講する学生たちに読ませておきたい1冊。
2174冊目はこの本。
笠井潔『8.15と3.11 戦後史の死角』(NHK出版新書、2012年)
日本の「潜在的核保有」の問題など、随所に重要と思われる指摘はあるのだけど・・・。
しかし、「空気」による政策的な意思決定の問題等々について、これを「ニッポン・イデオロギー」と著者は名づけているのだが、「それってはたして日本だけのこと??」という気がした。
たとえばあのアジア太平洋戦争期の日本のように、一度「開戦」の決定をしたあと、状況が悪くなってもなかなか停戦、撤退の決断ができないような意識形態が、なぜ「ニッポン・イデオロギー」なのか。(それを言うなら、たとえば今のアメリカ合衆国はどうなのか? アフガンやイラクでの戦争からなかなか撤退できていないし、ベトナムの敗北の総括もなかなかできていないのでは? あるいは、かつてアフガンに侵攻した旧・ソ連はどうなのか? こんな感じで、次々に疑問がでてくるのだけど・・・)
だから本書で著者が言いたいことについて、ここで私が引っ掛かった以上、あまり積極的に読み進める気が起きなかった。
2173冊目はこの本。
大庭健『民を殺す国・日本 足尾鉱毒事件からフクシマへ』(筑摩選書、2015年)
こちらの本は、文部科学省の「学校事故対応に関する調査研究」有識者会議に出る前に、家で、あるいは電車(新幹線)のなかで読んだ本。近代日本社会における政府(官僚、政治家)と財界、専門家の関係や、そこで用いられる「ことば」のあり方を問うなかから、国家と個人の関係、国策に「奉仕」する人々の意識のありようなどを、倫理学の立場から批判的に検討したもの。大庭さんとは道徳教育の研究会でご一緒したことあるが、自分の出ている有識者会議での専門家や官僚の様子を見ていて、この本の内容はとても参考になった。